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バレンタイン 編
バレンタインに向けて
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一月いっぱいで浜崎くんは退職した。
ほとんどいい思い出のなかった彼だけど、付き合うまでは悪い人じゃなかった。
私がガツガツ頑張ってるのを表向き認めてくれて、「頑張ってるな」と声を掛けてくれたし、飲みにも誘ってくれた。
だから「付き合おう」と言われて頷いてしまったのはあったんだけど。
良くない別れ方をしたからといって、相手の良いところまでなかった事にしてすべて憎むのは間違えている。
最後ぐらいは気持ちよく送り出し、別れようと思った。
「頑張ってね」
退社時間、エレベーターホールで立っていた彼に声を掛ける。
「……お、おう」
彼はまさか私に声を掛けられるとは思っていなかったみたいで、驚いた顔をしている。
その表情が微妙なのは、私にへたに関われば久賀城ホールディングスが黙っていないと知っているからだろう。
「色々あったけど、浜崎くんの全部を否定したい訳じゃない。あなたにはいい所もあったから」
「ん……」
そう言うと、彼は少し表情を緩めて頷いた。
「今までありがとう。お互い、それぞれの場所で頑張ろう」
「ん、サンキュ」
握手はしなかったけど、私たちはそれで納得しあって別れる事にした。
丁度いいタイミングでエレベーターがフロアに着き、彼は少し迷ってからゴンドラに乗り込む。
「じゃあな!」
私はニコッと笑い、手を振る。
彼も仕方なさそうに笑い、軽く手を挙げてくれた。
**
バレンタインは文香と未望ちゃんと女子ショッピングをして、百貨店のバレンタイン催事場や、街中の個人パティスリーで売っているチョコレートを買いあさった。
チョコレートと言ったらバレンタイン催事に売っている国内海外のブランドチョコがすべてと思っていた。
けれど文香が「ここは超美味しいケーキ屋さんだけど、チョコレートも申し分ないので食べてみて」と紹介してくれた物を食べたら、めちゃくちゃ美味しかった。
聞けばフランスまで行って修行した人で、海外からも注目されているんだとか。
何となく、フレンチならフランスが本場、チョコレートならフランスやベルギーとかが本場……と思っていた。
でも世界各国修行して高い技術を得た人は大勢いる。
日本は食べ物が和洋中、イタリアンにフレンチとか、もうとにかく雑多な飲食店で溢れている。
しかも安くて美味しい。
そういう意味で、食べ物事情的にも海外から注目されているんだと思う。
それは、ケーキやチョコレート、フレンチやイタリアンとかも同じで。
文香の話を聞いて、「そういえばテレビで見た、ピザの世界大会で優勝した人が日本人だったな」とか思いだして納得してしまった。
そんな訳で、私たちはグルメな文香と未望ちゃんのオススメを聞きつつ、両手一杯に紙袋を下げてチョコレートを買いまくったのだった。
一度家に帰ったあと、私はリビングに行かないで自分の部屋に直行した。
……女には自分一人で食べたいチョコがあるんです。
心の中で言い訳して、部屋にある冷蔵庫にギュムギュムとチョコレートを詰めていく。
それから慌てて、出かける準備を始めた。
あの二人はイベント事が大好きで、私がバレンタインについて何か言う前に、すでに「二月十四日のディナーは、レストラン予約しているから食べに行こうね」と言われていた。
言われたのが一月の初め頃で、私は慌ててまた文香に相談して下着を買いに行った。
……エッチする前提で構えるのは恥ずかしいけど、二人と改まったデートをして健全に終わるはずがない。
赤い下着はクリスマスの時に着けたしなぁ……と悩んでいたら、文香が「ワインレッドとかにしたら?」と助言をくれたのでそうした。
文香が「ここのも可愛いよ」と推してくれたのは、海外のインポートブランドだ。
お店に行った時、目が飛び出るかと思った。
勿論普通のブラやパンティもあるんだけど、いわゆるセクシーランジェリーもふんだんにあって……。
ほとんどいい思い出のなかった彼だけど、付き合うまでは悪い人じゃなかった。
私がガツガツ頑張ってるのを表向き認めてくれて、「頑張ってるな」と声を掛けてくれたし、飲みにも誘ってくれた。
だから「付き合おう」と言われて頷いてしまったのはあったんだけど。
良くない別れ方をしたからといって、相手の良いところまでなかった事にしてすべて憎むのは間違えている。
最後ぐらいは気持ちよく送り出し、別れようと思った。
「頑張ってね」
退社時間、エレベーターホールで立っていた彼に声を掛ける。
「……お、おう」
彼はまさか私に声を掛けられるとは思っていなかったみたいで、驚いた顔をしている。
その表情が微妙なのは、私にへたに関われば久賀城ホールディングスが黙っていないと知っているからだろう。
「色々あったけど、浜崎くんの全部を否定したい訳じゃない。あなたにはいい所もあったから」
「ん……」
そう言うと、彼は少し表情を緩めて頷いた。
「今までありがとう。お互い、それぞれの場所で頑張ろう」
「ん、サンキュ」
握手はしなかったけど、私たちはそれで納得しあって別れる事にした。
丁度いいタイミングでエレベーターがフロアに着き、彼は少し迷ってからゴンドラに乗り込む。
「じゃあな!」
私はニコッと笑い、手を振る。
彼も仕方なさそうに笑い、軽く手を挙げてくれた。
**
バレンタインは文香と未望ちゃんと女子ショッピングをして、百貨店のバレンタイン催事場や、街中の個人パティスリーで売っているチョコレートを買いあさった。
チョコレートと言ったらバレンタイン催事に売っている国内海外のブランドチョコがすべてと思っていた。
けれど文香が「ここは超美味しいケーキ屋さんだけど、チョコレートも申し分ないので食べてみて」と紹介してくれた物を食べたら、めちゃくちゃ美味しかった。
聞けばフランスまで行って修行した人で、海外からも注目されているんだとか。
何となく、フレンチならフランスが本場、チョコレートならフランスやベルギーとかが本場……と思っていた。
でも世界各国修行して高い技術を得た人は大勢いる。
日本は食べ物が和洋中、イタリアンにフレンチとか、もうとにかく雑多な飲食店で溢れている。
しかも安くて美味しい。
そういう意味で、食べ物事情的にも海外から注目されているんだと思う。
それは、ケーキやチョコレート、フレンチやイタリアンとかも同じで。
文香の話を聞いて、「そういえばテレビで見た、ピザの世界大会で優勝した人が日本人だったな」とか思いだして納得してしまった。
そんな訳で、私たちはグルメな文香と未望ちゃんのオススメを聞きつつ、両手一杯に紙袋を下げてチョコレートを買いまくったのだった。
一度家に帰ったあと、私はリビングに行かないで自分の部屋に直行した。
……女には自分一人で食べたいチョコがあるんです。
心の中で言い訳して、部屋にある冷蔵庫にギュムギュムとチョコレートを詰めていく。
それから慌てて、出かける準備を始めた。
あの二人はイベント事が大好きで、私がバレンタインについて何か言う前に、すでに「二月十四日のディナーは、レストラン予約しているから食べに行こうね」と言われていた。
言われたのが一月の初め頃で、私は慌ててまた文香に相談して下着を買いに行った。
……エッチする前提で構えるのは恥ずかしいけど、二人と改まったデートをして健全に終わるはずがない。
赤い下着はクリスマスの時に着けたしなぁ……と悩んでいたら、文香が「ワインレッドとかにしたら?」と助言をくれたのでそうした。
文香が「ここのも可愛いよ」と推してくれたのは、海外のインポートブランドだ。
お店に行った時、目が飛び出るかと思った。
勿論普通のブラやパンティもあるんだけど、いわゆるセクシーランジェリーもふんだんにあって……。
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