120 / 539
利佳 編
私の方が幸せだもん
しおりを挟む
「ありがと。でも私は気にしてないから大丈夫!」
グッとサムズアップしてみせると、二人の表情がフッと和らぐ。
「だって私、彼女よりずっと幸せだもん。彼女より性格がいいと思うし、素敵な彼氏がいて満たされてる。通りすがりの人に喧嘩売ったりしないしね!」
そう言うと、二人は「ぶはっ!」と爆笑しだした。
「確かに!」
「優美ちゃんは性格いいし、あいつよりずっと幸せだわ」
二人はタン、タンと階段を下りて、ケラケラ笑いながら私と一緒に外に向かう。
誰かに嫌な事を言われても、大体は「私のほうが幸せだしな」と思えば、大して気にならなくなる。
自分が幸せだと思うのは自分の価値観からだから、口にしない限り失礼な事じゃない。
幸せの基準は、お金を持っているとか結婚しているしてないじゃない。恋人の有無、家庭、生活環境も関係ない。
自分が満たされているかどうかだ。
毎日の生活の中で不満やストレスは生まれるけど、それを上手に自己処理できる力を持っていれば、他人に不満をぶつける人間にはならない。
毎日の生活の中で、いかに幸せを見つけるのがうまいか、それが鍵だ。
そして自己肯定感を上げるのが上手な人は、〝幸せな人〟だ。
私はそういう自分になれた事を誇っている。
だから大体の事は「ふーん」と思って終わらせられる。
「今日の私、百点満点じゃない?」と思えば、誰かに「バーカ、ブース」って言われても、「は? 私の仕上がり舐めんなよ?」と思える鋼鉄の心ができる。
誰かを下げて自分を上げるんじゃなくて、自分で自分を上げている訳だから、誰にも迷惑を掛けていない最強メンタル術だ。
そう思えるように、日頃から自分をおざなりにせず、「どうせ私なんて……」というマインドは捨て、自分を褒め、ご褒美をあげて大切に育てていく。
こうやって、外見の美醜や年齢なんて関係ない〝幸せな人〟ができあがる。
言ってしまえば、トレーニング万歳。筋肉万歳である。
「もっと〝今〟を見なよ。私と慎也は結婚目前で、正樹との楽しい生活も待ってる。久賀城家の皆さんにも受け入れてもらえた。傷ついた過去があるのは皆同じだけど、振り返っていても時間が勿体ないよ。仕事に、恋に、家庭に、これからの楽しい事に、全力で取り組まないといけないから、私たち忙しいんだから!」
人目を気にせず二人の腕を組み、私は「イケメン独り占め!」と笑う。
「……そうだな。……僕はずっと、離婚したあとも利佳に囚われ続けてきた気がする」
正樹が気が抜けたように呟き、小さく笑う。
「こんなにいい女が目の前にいるんだから、他の女性の事を考えたら駄目だからね!」
冗談めかして言うと、正樹が「あはは! 確かに!」と笑った。
「はー。俺、優美に何か買ってあげたくなった。このままどっかショッピング行こうか」
「賛成! それいいね!」
「良くない! 何でそうなるの!」
またとんでもない買い物をされそうで、私は二人から腕を放して逃亡しようとした。
けれど腕をしっかり組まれて連行されてしまう。
その後、私は銀座にあるお高い宝飾店に連れて行かれ、マリッジリングの相談をし、〝ついで〟でピアスを買ってもらったのだった……。
**
夕方には家に帰り、夕食は焼き肉をして、テイクアウトしたシーザーサラダ(大)をたっぷり食べた。
落ち着いてからマンション内にあるジムでトレーニングをして、お風呂に入ったあと入念にストレッチをする。
さて寝よう……という事になったんだけれど。
「すっかり、三人で寝るのが普通になったな」
「なんか、ごめんね。もともと兄弟で大きいベッドをそれぞれ独り占めしてたのに」
といってもキングサイズのベッドなので、大人三人で寝ても問題ないけれど。
「んーん。僕は人肌寂しかったから、嬉しい」
正樹はそう言って、私の頬を撫でてきた。
それから少し、喋るのか寝るのか決めあぐねての沈黙が訪れる。
「……ねぇ」
「「ん?」」
私の問いかけに、二人が返事をした。
正樹への言葉なので、慎也がいじけてしまわないように彼の手を握る。
「私、正樹の事も好き」
「うん、ありがとう。僕も優美ちゃんが好きだよ」
彼がモソリと動き、私の頬にキスをしてくる。
反対側からは、妬いた慎也が私の太腿に触っていた。
「……だから、気になっちゃうの。利佳さんとどういう結婚生活を送ってたか、聞いていい?」
私がそんな事を気にしていたとは思わなかったのか、正樹がハッとして黙る。
「……ごめんね。私、重たい女だ」
自嘲した私を、正樹がギュッと抱き締めてきた。
「ううん。嬉しいよ」
いつもの明るいトーンではなく、真剣な声音で言い、正樹は私に気持ちを込めてキスをする。
グッとサムズアップしてみせると、二人の表情がフッと和らぐ。
「だって私、彼女よりずっと幸せだもん。彼女より性格がいいと思うし、素敵な彼氏がいて満たされてる。通りすがりの人に喧嘩売ったりしないしね!」
そう言うと、二人は「ぶはっ!」と爆笑しだした。
「確かに!」
「優美ちゃんは性格いいし、あいつよりずっと幸せだわ」
二人はタン、タンと階段を下りて、ケラケラ笑いながら私と一緒に外に向かう。
誰かに嫌な事を言われても、大体は「私のほうが幸せだしな」と思えば、大して気にならなくなる。
自分が幸せだと思うのは自分の価値観からだから、口にしない限り失礼な事じゃない。
幸せの基準は、お金を持っているとか結婚しているしてないじゃない。恋人の有無、家庭、生活環境も関係ない。
自分が満たされているかどうかだ。
毎日の生活の中で不満やストレスは生まれるけど、それを上手に自己処理できる力を持っていれば、他人に不満をぶつける人間にはならない。
毎日の生活の中で、いかに幸せを見つけるのがうまいか、それが鍵だ。
そして自己肯定感を上げるのが上手な人は、〝幸せな人〟だ。
私はそういう自分になれた事を誇っている。
だから大体の事は「ふーん」と思って終わらせられる。
「今日の私、百点満点じゃない?」と思えば、誰かに「バーカ、ブース」って言われても、「は? 私の仕上がり舐めんなよ?」と思える鋼鉄の心ができる。
誰かを下げて自分を上げるんじゃなくて、自分で自分を上げている訳だから、誰にも迷惑を掛けていない最強メンタル術だ。
そう思えるように、日頃から自分をおざなりにせず、「どうせ私なんて……」というマインドは捨て、自分を褒め、ご褒美をあげて大切に育てていく。
こうやって、外見の美醜や年齢なんて関係ない〝幸せな人〟ができあがる。
言ってしまえば、トレーニング万歳。筋肉万歳である。
「もっと〝今〟を見なよ。私と慎也は結婚目前で、正樹との楽しい生活も待ってる。久賀城家の皆さんにも受け入れてもらえた。傷ついた過去があるのは皆同じだけど、振り返っていても時間が勿体ないよ。仕事に、恋に、家庭に、これからの楽しい事に、全力で取り組まないといけないから、私たち忙しいんだから!」
人目を気にせず二人の腕を組み、私は「イケメン独り占め!」と笑う。
「……そうだな。……僕はずっと、離婚したあとも利佳に囚われ続けてきた気がする」
正樹が気が抜けたように呟き、小さく笑う。
「こんなにいい女が目の前にいるんだから、他の女性の事を考えたら駄目だからね!」
冗談めかして言うと、正樹が「あはは! 確かに!」と笑った。
「はー。俺、優美に何か買ってあげたくなった。このままどっかショッピング行こうか」
「賛成! それいいね!」
「良くない! 何でそうなるの!」
またとんでもない買い物をされそうで、私は二人から腕を放して逃亡しようとした。
けれど腕をしっかり組まれて連行されてしまう。
その後、私は銀座にあるお高い宝飾店に連れて行かれ、マリッジリングの相談をし、〝ついで〟でピアスを買ってもらったのだった……。
**
夕方には家に帰り、夕食は焼き肉をして、テイクアウトしたシーザーサラダ(大)をたっぷり食べた。
落ち着いてからマンション内にあるジムでトレーニングをして、お風呂に入ったあと入念にストレッチをする。
さて寝よう……という事になったんだけれど。
「すっかり、三人で寝るのが普通になったな」
「なんか、ごめんね。もともと兄弟で大きいベッドをそれぞれ独り占めしてたのに」
といってもキングサイズのベッドなので、大人三人で寝ても問題ないけれど。
「んーん。僕は人肌寂しかったから、嬉しい」
正樹はそう言って、私の頬を撫でてきた。
それから少し、喋るのか寝るのか決めあぐねての沈黙が訪れる。
「……ねぇ」
「「ん?」」
私の問いかけに、二人が返事をした。
正樹への言葉なので、慎也がいじけてしまわないように彼の手を握る。
「私、正樹の事も好き」
「うん、ありがとう。僕も優美ちゃんが好きだよ」
彼がモソリと動き、私の頬にキスをしてくる。
反対側からは、妬いた慎也が私の太腿に触っていた。
「……だから、気になっちゃうの。利佳さんとどういう結婚生活を送ってたか、聞いていい?」
私がそんな事を気にしていたとは思わなかったのか、正樹がハッとして黙る。
「……ごめんね。私、重たい女だ」
自嘲した私を、正樹がギュッと抱き締めてきた。
「ううん。嬉しいよ」
いつもの明るいトーンではなく、真剣な声音で言い、正樹は私に気持ちを込めてキスをする。
12
お気に入りに追加
1,819
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡
雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる