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文香&和也とお茶 編
守ります
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「初めまして。久賀城慎也と申します。このたびは遠路はるばるお運び頂き、ありがとうございます」
「まぁ……! ご丁寧にありがとうございます! これ、埼玉のお菓子なんですけど、もしお口に合えば……」
お母さんは想像以上の慎也のイケメンぶりにニコニコし、お菓子を手渡している。
慎也もとっておきのお菓子を用意して、お母さんに渡していた。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、元気そうで良かった。
お祖母ちゃんは来年喜寿のお祝いがある年齢で、私と弟がお金を出して皆で温泉旅行に行く予定を立てている。
日本庭園が望める個室のテーブル席に、私たちは向かい合って座る。
掘りごたつの個室もあったけれど、慎也が祖父母の脚を気遣ってくれた。
二十五歳の弟は、慎也と年齢が近い事もあって気が合いそうで安心した。
最初は皆、慎也が私より年下という事で、不安を抱いていたようだった。
けれど実際に慎也と会って、心配する必要のないしっかりした人だと、すぐに分かったようだ。
だが流石に、慎也が両親に向かって結婚の許可を得る時は、ピリッとまじめな空気になった。
「優美さんを一生幸せにすると誓います。どうか結婚の許可を頂けないでしょうか?」
真剣な表情で言った慎也の隣で、私は少し緊張して両親を見つめる。
父はあまり口数が多いほうではなく、代わりに返事をしたのは母だ。
「慎也さんについては、何も心配ないと思っています。とても女性からおモテになりそうだなという雰囲気を感じました。その上で優美を選んでくれたのですから、この先ずっと優美だけを見てくれると信じています」
「はい」
お母さんがチクリと牽制する。
そりゃあ、久賀城ホールディングスの御曹司が自分の娘と結婚したいだなんて、まず思わないだろう。
加えて会ってみたら規格外のイケメンだから、「遊びじゃないの?」と疑いたくなる気持ちも分かる。
そこは一応、念を押したんだろう。
「一つだけ不安があるとすれば、優美のこれからの生活です。久賀城ホールディングスの御曹司の妻になるのなら、今後自然と生活環境が変わっていくでしょう。優美は今の会社で勤め続けたいと言っているか分かりませんが、もしかしたら出産のあと、慎也さんの多忙具合によって身を置く場所が変化していくかもしれません」
私も考えていないではなく、コクンと頷く。
「ご存知の通り、優美は一般家庭の生まれです。大学生の時、とても変わって前向きになりました。今では見た目から周りに〝強い女〟に見られているかもしれません。ですがこの子の本質は、家族や友達想いの優しい子です。その他の金銭感覚や価値観なども、ごく普通の女性のものだと思っています。娘の話を聞いていると、遊んでいる女性だと勘違いされたという話を頻繁に聞きます。そういう勘違いも含め、この子はガツガツとした性格ではないという事を、留め置いてほしいのです。セレブの世界がどういうものかは分かりませんが、そこでこの子が傷付くかもしれない事が不安です」
母の言いたい事を、私は理解する。
今後、社交界的な場所に行って、恥を掻かないかな? という不安は勿論ある。
結婚式の予定を立てていて、玲奈さんがざっくりと考えてくれた招待客のリストを見て、目が飛び出るかと思った。
名だたる政財界の大物たちに、著名人たち……。
そんな人達の目の前で結婚式、披露宴をするのだと思うと気が遠くなる。
いずれ奥様たちと交流するとして、独特の世界でいじめられないかとか、心配する気持ちもある。
だから、母が心配するのはもっともだ。
「守ります」
慎也は第一声にそう返事をした。
「僕の母は優美さんと結婚する事に賛成してくれています。優美さんが求めてくれるなら、様々な知識を得ている母が色々教えると言ってくれています。勿論、望むなら講師なども紹介すると言っています。久賀城家を挙げて、優美さんをバックアップする体制は整っています。何より僕が一番の理解者となって、何か不安があれば、逐一相談を受けていきたいと思います。その辺りの報告、連絡、相談は、会社の先輩後輩として培って参りましたので」
最後に少し場を和ませる冗談も交え、それでうちの両親や他の家族たちもすっかり安心したようだった。
「……じゃあ、どうぞうちの娘をよろしくお願いします」
「はい!」
そのあと、店員さんを呼んで料理を運んでもらう事にした。
先付から出てくる美味しい和食のフルコースを、私たちは和気藹々と話しながら食べ、慎也との出会い、これからの事などを家族たちに伝えた。
勿論、ハプバーで……なんて口が裂けても言えないので、会社の先輩と後輩として出会い、惹かれ合ったという事にしている。
「まぁ……! ご丁寧にありがとうございます! これ、埼玉のお菓子なんですけど、もしお口に合えば……」
お母さんは想像以上の慎也のイケメンぶりにニコニコし、お菓子を手渡している。
慎也もとっておきのお菓子を用意して、お母さんに渡していた。
お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも、元気そうで良かった。
お祖母ちゃんは来年喜寿のお祝いがある年齢で、私と弟がお金を出して皆で温泉旅行に行く予定を立てている。
日本庭園が望める個室のテーブル席に、私たちは向かい合って座る。
掘りごたつの個室もあったけれど、慎也が祖父母の脚を気遣ってくれた。
二十五歳の弟は、慎也と年齢が近い事もあって気が合いそうで安心した。
最初は皆、慎也が私より年下という事で、不安を抱いていたようだった。
けれど実際に慎也と会って、心配する必要のないしっかりした人だと、すぐに分かったようだ。
だが流石に、慎也が両親に向かって結婚の許可を得る時は、ピリッとまじめな空気になった。
「優美さんを一生幸せにすると誓います。どうか結婚の許可を頂けないでしょうか?」
真剣な表情で言った慎也の隣で、私は少し緊張して両親を見つめる。
父はあまり口数が多いほうではなく、代わりに返事をしたのは母だ。
「慎也さんについては、何も心配ないと思っています。とても女性からおモテになりそうだなという雰囲気を感じました。その上で優美を選んでくれたのですから、この先ずっと優美だけを見てくれると信じています」
「はい」
お母さんがチクリと牽制する。
そりゃあ、久賀城ホールディングスの御曹司が自分の娘と結婚したいだなんて、まず思わないだろう。
加えて会ってみたら規格外のイケメンだから、「遊びじゃないの?」と疑いたくなる気持ちも分かる。
そこは一応、念を押したんだろう。
「一つだけ不安があるとすれば、優美のこれからの生活です。久賀城ホールディングスの御曹司の妻になるのなら、今後自然と生活環境が変わっていくでしょう。優美は今の会社で勤め続けたいと言っているか分かりませんが、もしかしたら出産のあと、慎也さんの多忙具合によって身を置く場所が変化していくかもしれません」
私も考えていないではなく、コクンと頷く。
「ご存知の通り、優美は一般家庭の生まれです。大学生の時、とても変わって前向きになりました。今では見た目から周りに〝強い女〟に見られているかもしれません。ですがこの子の本質は、家族や友達想いの優しい子です。その他の金銭感覚や価値観なども、ごく普通の女性のものだと思っています。娘の話を聞いていると、遊んでいる女性だと勘違いされたという話を頻繁に聞きます。そういう勘違いも含め、この子はガツガツとした性格ではないという事を、留め置いてほしいのです。セレブの世界がどういうものかは分かりませんが、そこでこの子が傷付くかもしれない事が不安です」
母の言いたい事を、私は理解する。
今後、社交界的な場所に行って、恥を掻かないかな? という不安は勿論ある。
結婚式の予定を立てていて、玲奈さんがざっくりと考えてくれた招待客のリストを見て、目が飛び出るかと思った。
名だたる政財界の大物たちに、著名人たち……。
そんな人達の目の前で結婚式、披露宴をするのだと思うと気が遠くなる。
いずれ奥様たちと交流するとして、独特の世界でいじめられないかとか、心配する気持ちもある。
だから、母が心配するのはもっともだ。
「守ります」
慎也は第一声にそう返事をした。
「僕の母は優美さんと結婚する事に賛成してくれています。優美さんが求めてくれるなら、様々な知識を得ている母が色々教えると言ってくれています。勿論、望むなら講師なども紹介すると言っています。久賀城家を挙げて、優美さんをバックアップする体制は整っています。何より僕が一番の理解者となって、何か不安があれば、逐一相談を受けていきたいと思います。その辺りの報告、連絡、相談は、会社の先輩後輩として培って参りましたので」
最後に少し場を和ませる冗談も交え、それでうちの両親や他の家族たちもすっかり安心したようだった。
「……じゃあ、どうぞうちの娘をよろしくお願いします」
「はい!」
そのあと、店員さんを呼んで料理を運んでもらう事にした。
先付から出てくる美味しい和食のフルコースを、私たちは和気藹々と話しながら食べ、慎也との出会い、これからの事などを家族たちに伝えた。
勿論、ハプバーで……なんて口が裂けても言えないので、会社の先輩と後輩として出会い、惹かれ合ったという事にしている。
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