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文香&和也とお茶 編
私の目指す人としてのあり方
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文香はすべて無料公開で、コスメを買って使用感などを投稿してる。
他にも投資家として、初心者にも分かりやすい知識を公開している。
高度な知識については、有料メルマガや記事を配信したり、出版社から依頼がきて文章を書いているので問題ないそうだ。
「関わったのはこれだけ?」
私は文香が心配になって、他にも何かないか尋ねる。
「そうだね、あとはない。というか『アホらし』って思ってガン無視してる」
気になって五十嵐さんのアカウントを自分のスマホで探してみたけれど、見つける事ができない。
もしかしてこれは……。
「うわぁ……。私、なんか彼女にはブロックされてるみたい」
「マジか。それで優美のSNSを逐一チェックしてんの? やばくない?」
ヤバすぎる。
私は表情を歪めてコクコク頷いた。
その時、和人くんが口を開いた。
「その人、一種の病気だと思うよ。他人をチェックしたくて仕方がない奴って、俺の周りにもいる。そういう奴は劣等感の塊だ。気になる相手をウォッチして、幸せそうなのは許せないくせに、少しでも不幸な面がないか、馬鹿にできるネタはないかって目を皿にして見張ってるんだ」
「はー。マジしんど。そんなの相手にするだけ無駄でしょ。話の通じないモンスターなんだから。ブロックしよーっと。私の投稿見せたくないし」
そう言って文香は、ポンポンと五十嵐さんのアカウントをブロックする。
「でも思うけど、この手の人って幾らでも捨てアカウント作ると思うよ。だから私は基本的に誰かをブロックしないんだけど」
冷静に言うと、文香は半眼になって「そりゃそーな」と納得する。
「まぁ、信じるしかないよ。私は自分の伝えたい事を彼女に言った。すぐに変わる事はできないと思うけど、彼女が変わるきっかけになったらいいなとは思う。変われなくても、それは私の責任じゃない。関わったからと言って、すべての人に責任を持たないといけない訳じゃないし」
きっぱり言い切ると、和人くんが頷く。
「同意。断罪したなら、もうこれ以上深追いして関わるべきじゃない。普通の理屈が通じない相手を、いつまでも気にしていても優美ちゃんが病むだけだ。まだ迷惑を掛けられるなら、今度こそ弁護士に相談すればいい。俺だって文香がそんな女に因縁つけられたのが、不愉快で堪らない。文香に何かあれば、俺が訴える」
いつもと変わらず静かに言いながらも、和人くんはかなり怒っているようだった。
「文香、巻き込んでごめんね。和人くんも不愉快にさせてごめん」
「なんで優美が謝るの? 意味不明なんだけど」
文香がキョトンとし、和人くんも首を傾げる。
「ホントに謝る意味が分からないよ。浜崎が原因で五十嵐に目を付けられたとしても、優美ちゃんが奴と付き合っていたのは四年前だ。〝普通〟に考えたら優美ちゃんには何も非がない。変な人間に巻き込まれた被害者なんだから、自分に責任があるなんて思わない事、いいね?」
頼れる親友たちに励まされ、私は「ありがとう」と微笑んだ。
「……まぁ、この話はこれでいっか。気にしてもどうにもならないもんね」
区切ったあと、私は久賀城家に挨拶に行った話をした。
今までの話よりもっと乗り気になった文香は、さすが私の友達だ。
グチグチと他人の悪口で盛り上がる気持ちは、ある程度理解できる。
不満をシェアする事は、どこの世界でも一番盛り上がる題材なんだろう。
特に知識も教養も必要なく、ネガティブな感情を駄々漏らせばいいだけなんだから。
一番簡単で、自分が正義だと思って気持ち良くなれる行為だ。
とてもよく理解できる。
私だって本当にやりきれない時は、文香に愚痴を聞いてもらって、相手を悪者にしてもらってスッキリしている時だってある。
――けれど、そうやって腐り合っていては、いい人間になれない。
それだけを喜びにしたら、絶対駄目だ。
私は文香に相応しい友達になりたいし、慎也と正樹が誇ってくれる女性でいたい。
私にも愚痴や不満はあるけど、本当に吐き出しが必要な時以外はしないと決めている。
そして〝悪口〟を広める真似もしない。
大切なのは自分のガス抜きをしてメンタルを整える事であって、誰かの悪評を広め貶める事ではない。
それをしてしまえば、私も誹謗中傷をする犯罪者になってしまう。
だから私は理想の自分でいるため、前向きで楽しい話題、生産的な事をどんどん周囲に提供していきたい。
疲れた時は休むけど、食べて寝て、パワーをつけたらまた前に進む。
それが私の目指す人としてのあり方だ。
**
それから一月下旬になり、私は慎也と一緒に都内の和食レストランに向かった。
結婚相手を連れて行くという事で、初めは私たちが埼玉の実家に向かう予定だった。
けれど相手が久賀城ホールディングスの息子だと知ると、両親は自分たちが都内に行くと言ってきた。
慎也と結婚する事になっているので、今回ばかりは正樹は連れて行けない。
けれど食事会が終わったあとに合流する事になっていた。
他にも投資家として、初心者にも分かりやすい知識を公開している。
高度な知識については、有料メルマガや記事を配信したり、出版社から依頼がきて文章を書いているので問題ないそうだ。
「関わったのはこれだけ?」
私は文香が心配になって、他にも何かないか尋ねる。
「そうだね、あとはない。というか『アホらし』って思ってガン無視してる」
気になって五十嵐さんのアカウントを自分のスマホで探してみたけれど、見つける事ができない。
もしかしてこれは……。
「うわぁ……。私、なんか彼女にはブロックされてるみたい」
「マジか。それで優美のSNSを逐一チェックしてんの? やばくない?」
ヤバすぎる。
私は表情を歪めてコクコク頷いた。
その時、和人くんが口を開いた。
「その人、一種の病気だと思うよ。他人をチェックしたくて仕方がない奴って、俺の周りにもいる。そういう奴は劣等感の塊だ。気になる相手をウォッチして、幸せそうなのは許せないくせに、少しでも不幸な面がないか、馬鹿にできるネタはないかって目を皿にして見張ってるんだ」
「はー。マジしんど。そんなの相手にするだけ無駄でしょ。話の通じないモンスターなんだから。ブロックしよーっと。私の投稿見せたくないし」
そう言って文香は、ポンポンと五十嵐さんのアカウントをブロックする。
「でも思うけど、この手の人って幾らでも捨てアカウント作ると思うよ。だから私は基本的に誰かをブロックしないんだけど」
冷静に言うと、文香は半眼になって「そりゃそーな」と納得する。
「まぁ、信じるしかないよ。私は自分の伝えたい事を彼女に言った。すぐに変わる事はできないと思うけど、彼女が変わるきっかけになったらいいなとは思う。変われなくても、それは私の責任じゃない。関わったからと言って、すべての人に責任を持たないといけない訳じゃないし」
きっぱり言い切ると、和人くんが頷く。
「同意。断罪したなら、もうこれ以上深追いして関わるべきじゃない。普通の理屈が通じない相手を、いつまでも気にしていても優美ちゃんが病むだけだ。まだ迷惑を掛けられるなら、今度こそ弁護士に相談すればいい。俺だって文香がそんな女に因縁つけられたのが、不愉快で堪らない。文香に何かあれば、俺が訴える」
いつもと変わらず静かに言いながらも、和人くんはかなり怒っているようだった。
「文香、巻き込んでごめんね。和人くんも不愉快にさせてごめん」
「なんで優美が謝るの? 意味不明なんだけど」
文香がキョトンとし、和人くんも首を傾げる。
「ホントに謝る意味が分からないよ。浜崎が原因で五十嵐に目を付けられたとしても、優美ちゃんが奴と付き合っていたのは四年前だ。〝普通〟に考えたら優美ちゃんには何も非がない。変な人間に巻き込まれた被害者なんだから、自分に責任があるなんて思わない事、いいね?」
頼れる親友たちに励まされ、私は「ありがとう」と微笑んだ。
「……まぁ、この話はこれでいっか。気にしてもどうにもならないもんね」
区切ったあと、私は久賀城家に挨拶に行った話をした。
今までの話よりもっと乗り気になった文香は、さすが私の友達だ。
グチグチと他人の悪口で盛り上がる気持ちは、ある程度理解できる。
不満をシェアする事は、どこの世界でも一番盛り上がる題材なんだろう。
特に知識も教養も必要なく、ネガティブな感情を駄々漏らせばいいだけなんだから。
一番簡単で、自分が正義だと思って気持ち良くなれる行為だ。
とてもよく理解できる。
私だって本当にやりきれない時は、文香に愚痴を聞いてもらって、相手を悪者にしてもらってスッキリしている時だってある。
――けれど、そうやって腐り合っていては、いい人間になれない。
それだけを喜びにしたら、絶対駄目だ。
私は文香に相応しい友達になりたいし、慎也と正樹が誇ってくれる女性でいたい。
私にも愚痴や不満はあるけど、本当に吐き出しが必要な時以外はしないと決めている。
そして〝悪口〟を広める真似もしない。
大切なのは自分のガス抜きをしてメンタルを整える事であって、誰かの悪評を広め貶める事ではない。
それをしてしまえば、私も誹謗中傷をする犯罪者になってしまう。
だから私は理想の自分でいるため、前向きで楽しい話題、生産的な事をどんどん周囲に提供していきたい。
疲れた時は休むけど、食べて寝て、パワーをつけたらまた前に進む。
それが私の目指す人としてのあり方だ。
**
それから一月下旬になり、私は慎也と一緒に都内の和食レストランに向かった。
結婚相手を連れて行くという事で、初めは私たちが埼玉の実家に向かう予定だった。
けれど相手が久賀城ホールディングスの息子だと知ると、両親は自分たちが都内に行くと言ってきた。
慎也と結婚する事になっているので、今回ばかりは正樹は連れて行けない。
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