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文香&和也とお茶 編
Famと自撮り女
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「友達になるって、そういう事だと思う。ギブアンドテイクができる関係。それに優美と一緒にいて、私は随分性格がまるくなったと思う。優美はいつも、『もらってばっかりで申し訳ない』って言ってたけど、私は優美にお金で買えないものを沢山もらってた。それに相応の物をプレゼントをしていただけ。むしろ、お金と物しか出せなくて自分が情けないぐらい」
「私は何かあげられていたと思っていなかったから、文香がそう思ってくれたなら幸いだけど」
大学生時代、文香には本当に沢山のコスメやアクセをもらった。
大学三年頃に無事ダイエットに成功して普通サイズになった時は、「古着でごめんね!」と言って、ブランド物の服を沢山くれた。
あれで私は大分垢抜けて、三年生、四年生の時は痩せられたのが嬉しいっていうのもあって、人生で一番楽しい時だったかもしれない。
「私だって文香のお陰でとっても楽しいし、お互い様だよ」
笑いかけると、彼女は嬉しそうにクシャッと破顔した。
その時、黙ってコーヒーを飲んでいた和人くんが笑った。
「そんなこんなで、文香は優美ちゃんの事が依存気味に大好きな訳。優美ちゃんが彼氏たちと仲良くしてると、嫉妬するかもしれないから適度に遊んであげて」
「ちょっともう、和人ったらさっきから何様のつもり?」
文香が赤面して和人くんを睨む。
「年上幼馴染みです」
けれど和人くんがしたり顔で答えると、ぐぬぬ……という感じで黙ってしまった。
ふふふ。私は知っている。
文香は電子書籍で恋愛漫画を読んでるけど、そのジャンルにも偏りがあって、幼馴染みもの、エリート上司、年上がとっても好きという事を……。
結局、何だかんだで自分の一番の理解者で、初恋の人である和人くんをずっと好きとか、もう、可愛い意外の何ものでもない!
普段はクールビューティーっていう感じだけど、ギャップがあるから私の親友は可愛くて堪らない。
学生時代に和人くんに彼女ができて、やきもきした時があった。
それもあって、文香は中学高校と誰に対してもツンツンしていたらしい。
けれどこのままでは和人くんを他の女に取られてしまう! という事で、意地っ張り、ツンデレ属性をできるだけ直し、文香から告白した……という、ドラマチックな馴れそめがある。
そうしたら和人くんも、文香は芸能人やモデルの男友達もいるから、てっきりそっちがいいのかと思った……と、両想いが発覚した訳で。
こんな素敵すぎる恋人同士なので、私は二人についてはほぼ心配していない。
ときどき喧嘩するけれど、和人くんは引き際をわきまえていて、バランスの取れたカップルだ。
「ところで、優美に言いがかりつけてきた女は、もう大丈夫なの?」
話題が変わり、私は五十嵐さんを思いだす。
「彼女、私の親友がFamだって分かってたみたいでゾッとしたな……。まー、今後はもう何もしない……んじゃないかな」
Famというのは文香のハンドルネームだ。
特に深い意味はないけど、文香の「ふ」から適当に思いついたらしい。
「げ、マジ? 気持ち悪い! ……っていうか、これかな?」
文香はケーキをつついていたフォークを置き、スマホを弄る。
そしてアプリを見せてきた。
「この自撮り女なんだけど……」
「あ、彼女だわ」
目元にはスタンプがついているけど、間違いなく五十嵐さんだ。
髪型とか雰囲気で分かる。
「っていうか、下着とか水着とか結構きわどい写真をアップしてるんだけど、自己愛の強いタイプだな……と思って、そっ閉じしてた」
サラッと見せられた限り、五十嵐さんのアカウントは圧倒的に自撮りが多かった。
ブランドバッグやコスメ、スイーツの写真もあったけど、それは添え物でメインは自分……という感じだ。
いや、SNSの投稿スタイルは自由なんだけどね。
「彼女が突然メッセージ送ってきて、私のファンだとか、コスメ情報をよく見てるとか言ってきたんだ。それはありがたいけど、いきなり『プレゼント贈りたいので、連絡先を教えてくれませんか?』って言ってきて。さすがにそれは気持ち悪いから、『事務所のほうにお願いします。ただし個別にお礼はしませんし、これによる特別扱いもしません』とは断っておいた。そしたら返事がなくなって……。この匂わせ投稿」
文香に見せられた五十嵐さんの投稿は、日付が私に突撃してきた日より前だ。
相当前から私のSNSをチェックしてたんだな、と思ってゾッとする。
そして彼女の投稿には、チェリーレッドの唇をぷくんと出して、ぬいぐるみを抱えた写真にこうコメントしてある。
『ミナはいつまでも皆のミナだからね。優しくしてくれたら優しくするし、プレゼントをくれたオーディエンスには、絶対にご褒美があるよ。好意を向けてくれた人に冷たくするような、某インフルエンサーさんみたいな事は絶対しないから安心して!』
「あー……」
その当てつけとしか言いようのない表現に、私は乾いた笑いを浮かべる。
ちなみにこのSNSは、無料で使える他、オーディエンスによる課金制度があり、それ用のシークレット投稿などもある。
アプリの性質上アダルトな投稿はできないけれど、リンクを貼る事はできるので、それで稼いでいる投稿者もいるようだ。
「私は何かあげられていたと思っていなかったから、文香がそう思ってくれたなら幸いだけど」
大学生時代、文香には本当に沢山のコスメやアクセをもらった。
大学三年頃に無事ダイエットに成功して普通サイズになった時は、「古着でごめんね!」と言って、ブランド物の服を沢山くれた。
あれで私は大分垢抜けて、三年生、四年生の時は痩せられたのが嬉しいっていうのもあって、人生で一番楽しい時だったかもしれない。
「私だって文香のお陰でとっても楽しいし、お互い様だよ」
笑いかけると、彼女は嬉しそうにクシャッと破顔した。
その時、黙ってコーヒーを飲んでいた和人くんが笑った。
「そんなこんなで、文香は優美ちゃんの事が依存気味に大好きな訳。優美ちゃんが彼氏たちと仲良くしてると、嫉妬するかもしれないから適度に遊んであげて」
「ちょっともう、和人ったらさっきから何様のつもり?」
文香が赤面して和人くんを睨む。
「年上幼馴染みです」
けれど和人くんがしたり顔で答えると、ぐぬぬ……という感じで黙ってしまった。
ふふふ。私は知っている。
文香は電子書籍で恋愛漫画を読んでるけど、そのジャンルにも偏りがあって、幼馴染みもの、エリート上司、年上がとっても好きという事を……。
結局、何だかんだで自分の一番の理解者で、初恋の人である和人くんをずっと好きとか、もう、可愛い意外の何ものでもない!
普段はクールビューティーっていう感じだけど、ギャップがあるから私の親友は可愛くて堪らない。
学生時代に和人くんに彼女ができて、やきもきした時があった。
それもあって、文香は中学高校と誰に対してもツンツンしていたらしい。
けれどこのままでは和人くんを他の女に取られてしまう! という事で、意地っ張り、ツンデレ属性をできるだけ直し、文香から告白した……という、ドラマチックな馴れそめがある。
そうしたら和人くんも、文香は芸能人やモデルの男友達もいるから、てっきりそっちがいいのかと思った……と、両想いが発覚した訳で。
こんな素敵すぎる恋人同士なので、私は二人についてはほぼ心配していない。
ときどき喧嘩するけれど、和人くんは引き際をわきまえていて、バランスの取れたカップルだ。
「ところで、優美に言いがかりつけてきた女は、もう大丈夫なの?」
話題が変わり、私は五十嵐さんを思いだす。
「彼女、私の親友がFamだって分かってたみたいでゾッとしたな……。まー、今後はもう何もしない……んじゃないかな」
Famというのは文香のハンドルネームだ。
特に深い意味はないけど、文香の「ふ」から適当に思いついたらしい。
「げ、マジ? 気持ち悪い! ……っていうか、これかな?」
文香はケーキをつついていたフォークを置き、スマホを弄る。
そしてアプリを見せてきた。
「この自撮り女なんだけど……」
「あ、彼女だわ」
目元にはスタンプがついているけど、間違いなく五十嵐さんだ。
髪型とか雰囲気で分かる。
「っていうか、下着とか水着とか結構きわどい写真をアップしてるんだけど、自己愛の強いタイプだな……と思って、そっ閉じしてた」
サラッと見せられた限り、五十嵐さんのアカウントは圧倒的に自撮りが多かった。
ブランドバッグやコスメ、スイーツの写真もあったけど、それは添え物でメインは自分……という感じだ。
いや、SNSの投稿スタイルは自由なんだけどね。
「彼女が突然メッセージ送ってきて、私のファンだとか、コスメ情報をよく見てるとか言ってきたんだ。それはありがたいけど、いきなり『プレゼント贈りたいので、連絡先を教えてくれませんか?』って言ってきて。さすがにそれは気持ち悪いから、『事務所のほうにお願いします。ただし個別にお礼はしませんし、これによる特別扱いもしません』とは断っておいた。そしたら返事がなくなって……。この匂わせ投稿」
文香に見せられた五十嵐さんの投稿は、日付が私に突撃してきた日より前だ。
相当前から私のSNSをチェックしてたんだな、と思ってゾッとする。
そして彼女の投稿には、チェリーレッドの唇をぷくんと出して、ぬいぐるみを抱えた写真にこうコメントしてある。
『ミナはいつまでも皆のミナだからね。優しくしてくれたら優しくするし、プレゼントをくれたオーディエンスには、絶対にご褒美があるよ。好意を向けてくれた人に冷たくするような、某インフルエンサーさんみたいな事は絶対しないから安心して!』
「あー……」
その当てつけとしか言いようのない表現に、私は乾いた笑いを浮かべる。
ちなみにこのSNSは、無料で使える他、オーディエンスによる課金制度があり、それ用のシークレット投稿などもある。
アプリの性質上アダルトな投稿はできないけれど、リンクを貼る事はできるので、それで稼いでいる投稿者もいるようだ。
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