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文香&和也とお茶 編
親友とお茶
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「っていうか、失礼でなかったら優美さん、いま何キロですか? すっごいスタイル良さそうに見えるんですけど! ああーっ、着物じゃなかったら、スタイルの良さを拝めたのに! 九十キロから今の体型って凄くないです? あとから話、聞かせてください!」
やっぱり女の子だからか、美望ちゃんが前のめりになって話を聞きたがる。
あったかい家族だなぁ。
この人たちとなら、うまくやっていけそうな気がする。
優しい彼らの家族もまた、暖かくて優しい人達だった。
彼らを育んでくれた家庭に感謝し、私はそのあとも久賀城のご家族と楽しいひとときを過ごした。
**
無事に年越しして、そのあと連絡先を交換した美望ちゃんとデートする予定もできた。
きっと文香の話をしたら、「会ってみたい」って言うと思うから、文香にも話をしないと。
文香は美人で苦労したタイプだけど、それなのに前向きだから自慢の友人だ。
美望ちゃんは「〝お姉ちゃん〟に憧れてる」って言ってたから、きっと文香の事も〝外のお姉ちゃん〟として気に入るんじゃないかな。
それで、気が合ったら女子会をするのもいいかもしれない。
文香は私よりずっと、お洒落なカフェとか、ファッションやコスメに詳しいから、きっと美望ちゃんも喜ぶだろう。
仕事始めになって私は変わらず過ごし、浜崎くんともあと一か月の仲なので普通に接した。
そして慎也たちと付き合うようになってから、随分久しぶりに文香と会う事になった。
「やっほー、久しぶり」
文香に指定されたのは、相変わらずハイセンスすぎる、ハイブランドファッションのカフェだ。
店内には金色の壁に木製の柱、モカブラウンのソファに照明を浴びてオレンジ色に光る光沢のあるテーブルがある。
客層も落ち着いていて、洗練された人ばかりだ。
店に着くと文香はもう席についていて、隣には和人くんもいた。
「どうも、和人くんも久しぶり」
「久しぶりだね、優美ちゃん。彼氏たちとうまくいってるって?」
文香の彼氏だけあって、すべて知っているようだ。
「あはは、どうも……」
私はなまぬるーい表情になり、メニューに目を落とす。
「今日は和人のオゴリだから、何でも安心して食べて」
女王然として言う文香さまは、今日もお美しい……。
「和人くん、何やらかした?」
コソッと尋ねると、彼もまた、なまぬるーい顔で笑うだけだ。
まぁ、深くは突っ込まないでおこう。
「……で、色々大変そうだったけど、解決したの?」
「うん。皆のお陰で」
「そう? ならいいけど……。本当に困ったらいつでも言ってね? 優美のスーパー彼氏には敵わないかもしれないけど、私はあんたの親友だからね」
「ありがとう」
本当に、こんなに素敵な友達がよく私の親友をしてくれているもんだな、と思う。
出会った時は、私は全然仕上がってなかった。
文香が友達を外見で選ぶとは思わないけど、まず声を掛けないタイプなんじゃないかなと思ってた。
だからこのご縁がちょっと不思議ではあるのだ。
「文香は優美ちゃんに依存してるよな~」
シャンパンを飲んだ和人くんが言い、私は「依存?」と目を丸くする。
「文香とは大学からの付き合いでしょ? こいつ、凄い尖ってたの知ってるだろ?」
「ん? うーん……」
文香とは同じ大学の、同じ学科で同じクラスだった。
新入生宿泊オリエンテーションで、私たちは都内のホテルに行ったけれど、文香はあまりに美人すぎて周囲から引かれていた。
だから声を掛けたっていうのもアレだけど、私も高校生時代のあれこれがあって、自分からグループに声を掛けるのはちょっと勇気が要った。
でも個人なら……と思って、文香に声を掛け、そのあと一緒に行動するようになったのだ。
「まーねー。ホラ、私って顔がいいでしょ? あと家がちょっと金持ちだし」
それは事実なので、私は「そうだな」としか思わない。
ただこう言ったのを聞いて、自慢していると感じる人がいたのは事実なんだろう。
文香がそういう家に生まれたのは、変えようのない事実だ。
謙遜した事もあったのだけれど、逆に嫌みと言われて最終的に開き直ったらしい。
文句を言う人は、どんな態度を取っても文句を言うものだ。
それにいちいち付き合っていられない、というのは当たり前の意見だ。
「こんなんだから、学生時代もずっと嫌われ者だったんだよね。その割に私が何か可愛いアイテムを持ったり、アクセとかつけたら真似する……。訳わかんない」
昔の事を思い出した文香は、苛ついて髪の毛をサラリと掻き上げ、シャンパンを飲む。
やっぱり女の子だからか、美望ちゃんが前のめりになって話を聞きたがる。
あったかい家族だなぁ。
この人たちとなら、うまくやっていけそうな気がする。
優しい彼らの家族もまた、暖かくて優しい人達だった。
彼らを育んでくれた家庭に感謝し、私はそのあとも久賀城のご家族と楽しいひとときを過ごした。
**
無事に年越しして、そのあと連絡先を交換した美望ちゃんとデートする予定もできた。
きっと文香の話をしたら、「会ってみたい」って言うと思うから、文香にも話をしないと。
文香は美人で苦労したタイプだけど、それなのに前向きだから自慢の友人だ。
美望ちゃんは「〝お姉ちゃん〟に憧れてる」って言ってたから、きっと文香の事も〝外のお姉ちゃん〟として気に入るんじゃないかな。
それで、気が合ったら女子会をするのもいいかもしれない。
文香は私よりずっと、お洒落なカフェとか、ファッションやコスメに詳しいから、きっと美望ちゃんも喜ぶだろう。
仕事始めになって私は変わらず過ごし、浜崎くんともあと一か月の仲なので普通に接した。
そして慎也たちと付き合うようになってから、随分久しぶりに文香と会う事になった。
「やっほー、久しぶり」
文香に指定されたのは、相変わらずハイセンスすぎる、ハイブランドファッションのカフェだ。
店内には金色の壁に木製の柱、モカブラウンのソファに照明を浴びてオレンジ色に光る光沢のあるテーブルがある。
客層も落ち着いていて、洗練された人ばかりだ。
店に着くと文香はもう席についていて、隣には和人くんもいた。
「どうも、和人くんも久しぶり」
「久しぶりだね、優美ちゃん。彼氏たちとうまくいってるって?」
文香の彼氏だけあって、すべて知っているようだ。
「あはは、どうも……」
私はなまぬるーい表情になり、メニューに目を落とす。
「今日は和人のオゴリだから、何でも安心して食べて」
女王然として言う文香さまは、今日もお美しい……。
「和人くん、何やらかした?」
コソッと尋ねると、彼もまた、なまぬるーい顔で笑うだけだ。
まぁ、深くは突っ込まないでおこう。
「……で、色々大変そうだったけど、解決したの?」
「うん。皆のお陰で」
「そう? ならいいけど……。本当に困ったらいつでも言ってね? 優美のスーパー彼氏には敵わないかもしれないけど、私はあんたの親友だからね」
「ありがとう」
本当に、こんなに素敵な友達がよく私の親友をしてくれているもんだな、と思う。
出会った時は、私は全然仕上がってなかった。
文香が友達を外見で選ぶとは思わないけど、まず声を掛けないタイプなんじゃないかなと思ってた。
だからこのご縁がちょっと不思議ではあるのだ。
「文香は優美ちゃんに依存してるよな~」
シャンパンを飲んだ和人くんが言い、私は「依存?」と目を丸くする。
「文香とは大学からの付き合いでしょ? こいつ、凄い尖ってたの知ってるだろ?」
「ん? うーん……」
文香とは同じ大学の、同じ学科で同じクラスだった。
新入生宿泊オリエンテーションで、私たちは都内のホテルに行ったけれど、文香はあまりに美人すぎて周囲から引かれていた。
だから声を掛けたっていうのもアレだけど、私も高校生時代のあれこれがあって、自分からグループに声を掛けるのはちょっと勇気が要った。
でも個人なら……と思って、文香に声を掛け、そのあと一緒に行動するようになったのだ。
「まーねー。ホラ、私って顔がいいでしょ? あと家がちょっと金持ちだし」
それは事実なので、私は「そうだな」としか思わない。
ただこう言ったのを聞いて、自慢していると感じる人がいたのは事実なんだろう。
文香がそういう家に生まれたのは、変えようのない事実だ。
謙遜した事もあったのだけれど、逆に嫌みと言われて最終的に開き直ったらしい。
文句を言う人は、どんな態度を取っても文句を言うものだ。
それにいちいち付き合っていられない、というのは当たり前の意見だ。
「こんなんだから、学生時代もずっと嫌われ者だったんだよね。その割に私が何か可愛いアイテムを持ったり、アクセとかつけたら真似する……。訳わかんない」
昔の事を思い出した文香は、苛ついて髪の毛をサラリと掻き上げ、シャンパンを飲む。
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