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久賀城家挨拶 編
〝最後〟の挨拶
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浜崎と一緒に近くにあるコーヒーショップに入り、ホットコーヒーを二つ頼む。
「もう、何もないと思うんだけど。まだ禊が必要な訳?」
「これ以上、謝罪等は求めません。ただ誓ってほしいんです」
「え?」
怪訝な顔をする浜崎の前に、俺は弁護士に作成してもらった書類を出す。
「今後、俺や折原さん、そして兄をどこかで見ても、誰にも何も言わず、いっさい関わらないでください」
「そんな事、言われなくても……」
「万が一があったら困るんです」
淡々と言い、態度を変えず訴えると、浜崎は「分かったよ」と言って書類に書かれた簡単な文面を読み、ペンを取りだして名前を書く。
「お前もお前の兄貴も、怒らせたらやべーってのは思い知ったから、もうこれ以上は頼まれても関わらねーよ。俺だって再就職してからの自分の人生のほうが大切なんだ」
「それなら何よりです」
浜崎が捺印する姿を見て、俺は満足気に微笑む。
五十嵐も久賀城ホールディングスを辞める事になっているはずだが、あの女にも、その友人二人にも、弁護士が書類に捺印させた。
浜崎は最後の一人だ。
これでもし、今後どこかで俺たちの姿を見ても、優美や俺たちの悪い噂が立つ事はない……と思っている。
先日の〝話し合い〟の席では、優美と正樹が結婚する事になっていた。
けど現実は俺と彼女が結婚する。
それをどこかで知られてまた変な噂が立っては困る。
業者に頼んで定期的にネットの検索をさせ、ほんの少しでも〝片鱗〟が見えたら今度こそ訴えて完膚なきまでに叩きのめす。
先日は優美の優しさに免じた形になったが、〝次〟はない。
「俺の話はこれだけです」
「そーかよ」
他にもまだあるのかと思っていたのか、浜崎は大きな溜め息をつく。
「俺も命は惜しい。もう二度と関わらない。それだけは安心してくれ」
そう言って、浜崎は黙ってコーヒーを一気飲みしたあと、伝票を掴んだ。
「最後の最後ぐらい、元先輩として奢ってやるよ。じゃあな」
浜崎は会計を済ませ、店を出ていく。
スマホを取りだして正樹に『終わった』と報告しようとすると、優美からメッセージが入っているのに気付いた。
「もう、何もないと思うんだけど。まだ禊が必要な訳?」
「これ以上、謝罪等は求めません。ただ誓ってほしいんです」
「え?」
怪訝な顔をする浜崎の前に、俺は弁護士に作成してもらった書類を出す。
「今後、俺や折原さん、そして兄をどこかで見ても、誰にも何も言わず、いっさい関わらないでください」
「そんな事、言われなくても……」
「万が一があったら困るんです」
淡々と言い、態度を変えず訴えると、浜崎は「分かったよ」と言って書類に書かれた簡単な文面を読み、ペンを取りだして名前を書く。
「お前もお前の兄貴も、怒らせたらやべーってのは思い知ったから、もうこれ以上は頼まれても関わらねーよ。俺だって再就職してからの自分の人生のほうが大切なんだ」
「それなら何よりです」
浜崎が捺印する姿を見て、俺は満足気に微笑む。
五十嵐も久賀城ホールディングスを辞める事になっているはずだが、あの女にも、その友人二人にも、弁護士が書類に捺印させた。
浜崎は最後の一人だ。
これでもし、今後どこかで俺たちの姿を見ても、優美や俺たちの悪い噂が立つ事はない……と思っている。
先日の〝話し合い〟の席では、優美と正樹が結婚する事になっていた。
けど現実は俺と彼女が結婚する。
それをどこかで知られてまた変な噂が立っては困る。
業者に頼んで定期的にネットの検索をさせ、ほんの少しでも〝片鱗〟が見えたら今度こそ訴えて完膚なきまでに叩きのめす。
先日は優美の優しさに免じた形になったが、〝次〟はない。
「俺の話はこれだけです」
「そーかよ」
他にもまだあるのかと思っていたのか、浜崎は大きな溜め息をつく。
「俺も命は惜しい。もう二度と関わらない。それだけは安心してくれ」
そう言って、浜崎は黙ってコーヒーを一気飲みしたあと、伝票を掴んだ。
「最後の最後ぐらい、元先輩として奢ってやるよ。じゃあな」
浜崎は会計を済ませ、店を出ていく。
スマホを取りだして正樹に『終わった』と報告しようとすると、優美からメッセージが入っているのに気付いた。
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