【本編完結】【R-18】逃れられない淫らな三角関係～美形兄弟に溺愛されています～

箱根クリスマス旅行 編

メリークリスマス

「ありがとう！　優美ちゃん！」

　慎也のは黒、正樹のは茶色だ。

　正直、男性へのプレゼントって何を選んだらいいか分からなくて、文香に相談した。
　そしたら文香も商和人くんに聞いてくれた。

　彼いわく「好きな人からもらえるなら、何でもいいんだけどね」と前置きした上で、実用性のある、いつも身につけられて恋人を感じられる物がいいんじゃ……という事になった。

「一応、紳士物では有名なブランドらしいけど、もし持ってたりとか、もっと凄いのをいつも使ってるとかなら……わっ！」

　ガバッ！　と二人に抱き締められ、私はまた後ろに倒れかかる。
　すんでの所で支えられ、チュッチュッと左右の頬にキスをされた。

「ありがとう！　すっごいありがとう！　僕、このベルトしかつけない！」

「いや……、それは……」

「俺も明日からこれだな……」

「慎也は年明けまで自宅警備員じゃん。家ではいつもスウェットのくせに」

「ジーンズはきますぅ～」

　ムキになって言い返してくる慎也がおかしくて、私はケラケラ笑う。

「とりあえず、気に入ってくれて良かった。んーと……、それで……。もう一つのプレゼント……なんだけど」

　私は歯切れ悪く言い、二人をゆっくり引き剥がす。

「まだあるの？」

「そんなに気を遣わなくていいのに」

　そういいつつも、二人は目をキラキラさせている。
　まるで純粋な子供のように思えて、可愛い。

　可愛い――――んだけれど。

「んごっ…………、ご、…………めん」

　そんな健全ムードをぶち壊す覚悟を持ち、私は自分の浴衣の帯を引っ張った。

　一動作だけで二人が大人の男の目つきになるのを感じながら、羞恥にまみれて立ち上がり、二人の前でゆっくり浴衣を左右に開く。

「その…………。メ、メリー……、クリスマス……」

　十二月二十四日、クリスマスイブ。

　……のお泊まりデートと言えば、赤い下着を着るのはお決まりな訳であって……。

　先日のゴタゴタが起こる前、私は今日の予定を聞いた時点で文香に相談し、彼女イチオシのランジェリーショップに買い物に行った。
　文香も和人くんとお泊まりらしいから、お互い新しい下着を買おうという事になったんだけど……。

　何を見ても「綺麗だな、凄いな」しか感想を述べない私に、文香が下着を決めてくれた。
　代わりに私は文香に似合うのを選んであげた。

　数万円出して勝負下着を買ったなんて初めてだ。

　初めてだからこそ、成功してほしい！

　顔を真っ赤にしている私の前で、二人は目をまん丸にして私を凝視している。

「……どっ、どうっ…………でしょう」

　赤い下着は、赤いレースがついているのはさることながら、赤い立体的な刺繍でポインセチアを象り、白いレースではヒイラギを象っている。
　お揃いのＴバックにもワンポイントでポインセチアとヒイラギの刺繍とレースがあり、バックスタイルはお尻の割れ目の始まりに同様の飾りがあり、あとは紐というきわどいデザインだ。

　本当はボーイレッグや普通のパンティもあったけれど、二人ならまずこういうのを喜びそうだな……と思った。
　お揃いのガーターベルトやスリップは予算の関係もあってやめ、上下セットのみにしておいた。

「すごい！！　綺麗！！」

　正樹が弾かれたように拍手し、慎也もつられて拍手をする。

　……いや、拍手が正解？

　思わずつっこみを入れたが、慎也にリクエストをもらう。

「優美、浴衣を全部脱いでその場で一回転して」

「ウ……、ハイ」

　自分から勝負下着をつけて、抱いてほしいとアピールしているのに、今さら恥ずかしがるなど許されない。

　正直なところを言えば、「クリスマスなので勝負下着を準備しました！」って自らバラすのも公開処刑みたいなもんだ。

　でも、二人は私のために色んな事をしてくれた。
　愛してくれ、私をコケにする存在を許さず、様々な贅沢を味わわせてくれて、本当に……、考えれば考えるほど頭が上がらない。

　さっきのベルトだって、彼らにとっては特に問題なく変える物だろう。
　それでも〝私からのプレゼント〟だから喜んでくれるっていうのは、グッとくる。

　けれど〝物〟としては「珍しい物ではない」だろう。
　勿論、二人はそんな事を言わないけれど。

　だから本当に彼らが喜んでくれるもの――「私をプレゼント」が一番の正解なのだ。

　……すんっごい恥ずかしいんだけどね……。

　リクエストに応えるべく、私は浴衣をパサリと畳の上に落とす。

　そして軽く両腕を上げ、その場でトト、トト……とゆっくり回り始める。