25 / 539
ハプバー~同居開始 編
もう二度としたくない? してもいい?
しおりを挟む
「そんで、優美ちゃんから見たら、僕らも〝ギラギラした男〟の一人でしょ? ごめんね」
「い、いえ……」
ぶっちゃけ図星だ。
けれど、こうして彼らの事を深く知ると、別の感情が生まれるので、一概に〝同じ〟とは言えない。
「それに、浜崎ってパッとしない、それでいてクズと付き合ってたんでしょ?」
凄く思いきり良く言うな。
「あー……、そう、ですね。自分としては黒歴史ですが」
「だね。黒歴史だと思うよ。慎也から聞かされて僕も思ってた」
小さく笑ったあと、正樹は「トリートメント馴染むまで、お風呂浸かってな」と私を立たせた。
髪の毛を纏めるのに、ブランド物のロゴがついたヘアクリップを渡された。
そんな高価な物をお風呂で使うのは恐れ多いけれど、トリートメントのついた髪をお湯につける訳にいかないので使わせてもらう。
正樹は手早く自分の髪と体を洗い始めた。
それを見ている訳にいかず、私は彼に背中を向けてお湯に浸かる。
月曜の朝なのに、会社を休んでこんな事をしてるなんて罪悪感が半端ない。
やがて正樹がバスタブに入ってきた。
「さっきは凄く怒ってたけど、ちょっとは見方を変えてくれた?」
「……確かに、ただの遊び人でない事は分かりました。家庭環境を理由に、愛されないと思い込むトラウマ、ストレス、それを何とかしたいと思う兄弟愛からの慎也の行動も理解しました」
「ありがと」
正樹は濡れた手で前髪を掻き上げ、にっこり笑う。
私は溜め息をつき、自分の吐息でできた波紋を何とはなしに見る。
「結局、お二人は私に何を求めていますか?」
「んー、そうだね。慎也はまじめに優美ちゃんの事が好きだから、本気で付き合ってほしいんだと思う。僕はそれを応援したい」
慎也の望みについては理解した。
彼からはもともと会社で熱い視線をもらっていて、さらにハプバーでなし崩しに致してしまった。
そのあとに告白されたので「責任を取るため?」と思ったし、正直どこまで本気なのか分からなかった。
けれど正樹から説明をしてもらい、慎也の気持ちの本気具合は理解した。
「……あなたは?」
お互い全裸なので、彼の顔だけを見る。
すると正樹は穏やかな、けれどどこか達観して諦めた表情で笑う。
「僕は、僕の歪みを理解してくれた人でないと、付き合えないかな。もし優美ちゃんが僕の歪みを受け入れてくれるっていうなら、本気で君を好きになりそう……だけど」
静かな微笑みの奥に、微かな狂気が見える。
彼の事情を分かっているからこそ、私は何とも言えず曖昧に微笑む。
「慎也と付き合うつもりはある?」
「……彼が真剣に私を好きなら、付き合いたいと思います」
「そこに僕が混じるのをどう思う?」
思わず、溜め息をつく。
「じゃあ、シンプルに聞こう。もう二度と三人でしたくない? してもいい?」
イエスかノーかを問われ、私は赤面しつつ答える。
「……気持ち良かったです。びっくりして羞恥が二倍以上で、精神的にキツかったですけど、背徳感もあって悦んでいる自分がいました」
彼の顔を見ないで答える私を、正樹は目を細めて見つめていた。
心の底から愉悦を得た彼の表情を知っていたら、私はこのあとに迫る未来を回避できただろうか。
「……嫌ではないんです。でも、非常識だと思う自分もいて、いけない事だと思うと、恥ずかしさとか怖さとかも感じます」
「うん、分かるよ」
バスタブの底についていた手を、正樹が握ってくる。
「正樹さんの事は素敵だと思います。第一印象では、とても格好いい人だと思いました。社会的地位も申し分ないと思います」
「ありがと」
褒め言葉自体は興味ないけれど、一応お礼を言うという体で彼は頷いた。
「だから、正樹さん本人に対しても生理的な嫌悪はありません。今も話しやすい人だと思っていますし、〝もしも〟慎也がいなければ惹かれていたかもしれません」
「素直な感想をありがとう。あと〝さん〟はいらないからね」
「はい」
「できれば、慎也にしているみたいに接してほしいな」
「いや……、それはまだちょっとハードルが高いです」
「そっか。なら少しずつ」
「はい、努力します」
しばし、私は黙ったまま正樹に手を握られていた。
「い、いえ……」
ぶっちゃけ図星だ。
けれど、こうして彼らの事を深く知ると、別の感情が生まれるので、一概に〝同じ〟とは言えない。
「それに、浜崎ってパッとしない、それでいてクズと付き合ってたんでしょ?」
凄く思いきり良く言うな。
「あー……、そう、ですね。自分としては黒歴史ですが」
「だね。黒歴史だと思うよ。慎也から聞かされて僕も思ってた」
小さく笑ったあと、正樹は「トリートメント馴染むまで、お風呂浸かってな」と私を立たせた。
髪の毛を纏めるのに、ブランド物のロゴがついたヘアクリップを渡された。
そんな高価な物をお風呂で使うのは恐れ多いけれど、トリートメントのついた髪をお湯につける訳にいかないので使わせてもらう。
正樹は手早く自分の髪と体を洗い始めた。
それを見ている訳にいかず、私は彼に背中を向けてお湯に浸かる。
月曜の朝なのに、会社を休んでこんな事をしてるなんて罪悪感が半端ない。
やがて正樹がバスタブに入ってきた。
「さっきは凄く怒ってたけど、ちょっとは見方を変えてくれた?」
「……確かに、ただの遊び人でない事は分かりました。家庭環境を理由に、愛されないと思い込むトラウマ、ストレス、それを何とかしたいと思う兄弟愛からの慎也の行動も理解しました」
「ありがと」
正樹は濡れた手で前髪を掻き上げ、にっこり笑う。
私は溜め息をつき、自分の吐息でできた波紋を何とはなしに見る。
「結局、お二人は私に何を求めていますか?」
「んー、そうだね。慎也はまじめに優美ちゃんの事が好きだから、本気で付き合ってほしいんだと思う。僕はそれを応援したい」
慎也の望みについては理解した。
彼からはもともと会社で熱い視線をもらっていて、さらにハプバーでなし崩しに致してしまった。
そのあとに告白されたので「責任を取るため?」と思ったし、正直どこまで本気なのか分からなかった。
けれど正樹から説明をしてもらい、慎也の気持ちの本気具合は理解した。
「……あなたは?」
お互い全裸なので、彼の顔だけを見る。
すると正樹は穏やかな、けれどどこか達観して諦めた表情で笑う。
「僕は、僕の歪みを理解してくれた人でないと、付き合えないかな。もし優美ちゃんが僕の歪みを受け入れてくれるっていうなら、本気で君を好きになりそう……だけど」
静かな微笑みの奥に、微かな狂気が見える。
彼の事情を分かっているからこそ、私は何とも言えず曖昧に微笑む。
「慎也と付き合うつもりはある?」
「……彼が真剣に私を好きなら、付き合いたいと思います」
「そこに僕が混じるのをどう思う?」
思わず、溜め息をつく。
「じゃあ、シンプルに聞こう。もう二度と三人でしたくない? してもいい?」
イエスかノーかを問われ、私は赤面しつつ答える。
「……気持ち良かったです。びっくりして羞恥が二倍以上で、精神的にキツかったですけど、背徳感もあって悦んでいる自分がいました」
彼の顔を見ないで答える私を、正樹は目を細めて見つめていた。
心の底から愉悦を得た彼の表情を知っていたら、私はこのあとに迫る未来を回避できただろうか。
「……嫌ではないんです。でも、非常識だと思う自分もいて、いけない事だと思うと、恥ずかしさとか怖さとかも感じます」
「うん、分かるよ」
バスタブの底についていた手を、正樹が握ってくる。
「正樹さんの事は素敵だと思います。第一印象では、とても格好いい人だと思いました。社会的地位も申し分ないと思います」
「ありがと」
褒め言葉自体は興味ないけれど、一応お礼を言うという体で彼は頷いた。
「だから、正樹さん本人に対しても生理的な嫌悪はありません。今も話しやすい人だと思っていますし、〝もしも〟慎也がいなければ惹かれていたかもしれません」
「素直な感想をありがとう。あと〝さん〟はいらないからね」
「はい」
「できれば、慎也にしているみたいに接してほしいな」
「いや……、それはまだちょっとハードルが高いです」
「そっか。なら少しずつ」
「はい、努力します」
しばし、私は黙ったまま正樹に手を握られていた。
23
お気に入りに追加
1,829
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる