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ハプバー~同居開始 編
後輩からの電話
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「ごめんね。変な情報教えて」
まさか私が突撃すると思っていなかったのか、責任を感じただろう文香が謝る。
「いや、いいって。社会勉強して、セカンドヴァージンも捨てられて良かったっていう事にしておく」
「それならいいんだけどさ。二回目がハプバーってなかなか……」
文香は溜め息をつき、ソファの背もたれに身を任せて脚を組む。
「何なら、和人に頼んで良さそうな男と合コンする? 男の事は男で忘れたほうがいい気がする。和人なら、まともなのを集めてくれそうだし」
「いや、それはありがたいけど、いいよ」
和人くんは、文香の彼氏だ。
彼は本当にハイスペックエリートで、その友人ともなればどえらい人が出てきそうだ。
自分を卑下する訳ではないけれど、私の恋人になってくれるなら、そんな凄いスペックはいらない。
休日にゲームをやったり、一緒にランニングや筋トレを付き合ってくれる、普通の人でいい。
多分立派過ぎる人と私の価値観は合わない。そういう人を求める女性は数多くいると思うので、私は遠慮したい。
「明日その後輩クンと顔を合わせて、普通に仕事できる?」
「やるしかないよ」
後悔すべくは、浜崎くんの結婚報告を聞いてムカーッときて、すぐさまハプバーに突撃すると決めた私の猪突猛進さだ。
「……正直、岬くんとのエッチは凄く気持ち良かったから、それ自体については後悔してない。むしろ、ピチピチのいい体でいい体験させてもらいましたって感じで……」
「ちょ、ピチピチとか」
文香がすかさず突っ込んでくる。
「『やらせてやった』ぐらい思いなって。もっと自信持ちなよ」
「私、子供の頃はすっごい太ってたんだもん。そりゃあ卑屈になるよ」
中学、高校と体育の時間が憂鬱で、誰かと手を握ろうものなら手汗を気にしていた。
大学は周囲の環境が変わるからと、高校卒業と同時に奮起して集中してダイエットをした。
現在でもトレーニングの毎日を送っているのは、気を抜くとまた太ってしまいそうだからと恐れているからだ。
何せ食べる事が大好きなので、少し気を緩めると体重が増えてしまう。
その関係で、うっかりすると自己肯定感が低めになるのだ。
「その後輩クンから連絡は来てないの?」
文香に言われ、私はくらーい気持ちになる。
テーブルの上に置いてあるスマホを開くと、岬くんからの着信履歴が鬼のようにある。
真顔になってそれを文香に見せた。
「わぁお。熱烈」
「こっ……怖くて出られない……っ」
私は震え声で言い、いっそのこと着信拒否してしまいたくなる気持ちを必死に抑える。
「んまー、これ。ある程度電話したら諦めてるっぽいから、一応良識人ではあるみたいだね」
「そっ、そう? 私、逃げたから怒ってるんだと思う」
「どーだかね。意外と優美の体に惚れたかもよ?」
「まさか……」
私は首を横に振り、あり得ないと示す。
何せ相手は営業部の王子様だ。
彼の周囲には常に可愛いどころの女性社員がいて、虎視眈々と彼女の座を狙っている。
噂では他の会社に超美人の恋人がいるとか、婚約者がいるとか言われているけれど、真実は定かではない。
とにかく女性社員とは付き合っていないようで、プライベートはまったくの謎。
仕事ができるのはありがたいので、私はあくまで後輩として接し続けていた。
見つめられていると自覚しても、異性として見るもんかと思っていたんだけど……。
「ひっ!」
その時、持っていたスマホが着信を告げた。
勿論、岬くんからだ。
とっさにテーブルにスマホを置くと、ブーッ、ブーッと震え続けていて、私は物凄い顔をする。
「出てやんなって」
「やだよ」
「どれ」
「あっ!」
なんと、文香はいきなり私の電話を手に取ると、「もしもーし」と気軽に応対した!
まさか私が突撃すると思っていなかったのか、責任を感じただろう文香が謝る。
「いや、いいって。社会勉強して、セカンドヴァージンも捨てられて良かったっていう事にしておく」
「それならいいんだけどさ。二回目がハプバーってなかなか……」
文香は溜め息をつき、ソファの背もたれに身を任せて脚を組む。
「何なら、和人に頼んで良さそうな男と合コンする? 男の事は男で忘れたほうがいい気がする。和人なら、まともなのを集めてくれそうだし」
「いや、それはありがたいけど、いいよ」
和人くんは、文香の彼氏だ。
彼は本当にハイスペックエリートで、その友人ともなればどえらい人が出てきそうだ。
自分を卑下する訳ではないけれど、私の恋人になってくれるなら、そんな凄いスペックはいらない。
休日にゲームをやったり、一緒にランニングや筋トレを付き合ってくれる、普通の人でいい。
多分立派過ぎる人と私の価値観は合わない。そういう人を求める女性は数多くいると思うので、私は遠慮したい。
「明日その後輩クンと顔を合わせて、普通に仕事できる?」
「やるしかないよ」
後悔すべくは、浜崎くんの結婚報告を聞いてムカーッときて、すぐさまハプバーに突撃すると決めた私の猪突猛進さだ。
「……正直、岬くんとのエッチは凄く気持ち良かったから、それ自体については後悔してない。むしろ、ピチピチのいい体でいい体験させてもらいましたって感じで……」
「ちょ、ピチピチとか」
文香がすかさず突っ込んでくる。
「『やらせてやった』ぐらい思いなって。もっと自信持ちなよ」
「私、子供の頃はすっごい太ってたんだもん。そりゃあ卑屈になるよ」
中学、高校と体育の時間が憂鬱で、誰かと手を握ろうものなら手汗を気にしていた。
大学は周囲の環境が変わるからと、高校卒業と同時に奮起して集中してダイエットをした。
現在でもトレーニングの毎日を送っているのは、気を抜くとまた太ってしまいそうだからと恐れているからだ。
何せ食べる事が大好きなので、少し気を緩めると体重が増えてしまう。
その関係で、うっかりすると自己肯定感が低めになるのだ。
「その後輩クンから連絡は来てないの?」
文香に言われ、私はくらーい気持ちになる。
テーブルの上に置いてあるスマホを開くと、岬くんからの着信履歴が鬼のようにある。
真顔になってそれを文香に見せた。
「わぁお。熱烈」
「こっ……怖くて出られない……っ」
私は震え声で言い、いっそのこと着信拒否してしまいたくなる気持ちを必死に抑える。
「んまー、これ。ある程度電話したら諦めてるっぽいから、一応良識人ではあるみたいだね」
「そっ、そう? 私、逃げたから怒ってるんだと思う」
「どーだかね。意外と優美の体に惚れたかもよ?」
「まさか……」
私は首を横に振り、あり得ないと示す。
何せ相手は営業部の王子様だ。
彼の周囲には常に可愛いどころの女性社員がいて、虎視眈々と彼女の座を狙っている。
噂では他の会社に超美人の恋人がいるとか、婚約者がいるとか言われているけれど、真実は定かではない。
とにかく女性社員とは付き合っていないようで、プライベートはまったくの謎。
仕事ができるのはありがたいので、私はあくまで後輩として接し続けていた。
見つめられていると自覚しても、異性として見るもんかと思っていたんだけど……。
「ひっ!」
その時、持っていたスマホが着信を告げた。
勿論、岬くんからだ。
とっさにテーブルにスマホを置くと、ブーッ、ブーッと震え続けていて、私は物凄い顔をする。
「出てやんなって」
「やだよ」
「どれ」
「あっ!」
なんと、文香はいきなり私の電話を手に取ると、「もしもーし」と気軽に応対した!
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