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第十一話・陵辱
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「いやっ! いやっ! いやあぁああぁあぁぁっっ!」
裸の雅に大勢の男の手が這いまわる。
泣き叫び、許しを請うてもそれが止む事はない。
まるで体中を百足が這い回っている様な、体の芯から恐怖と嫌悪が渦巻いて、自然と生理的な涙が出てしまう。
それを知らない手が拭って更に怖気が走った。
なに、なんなの。
何の冗談なの。
白い肌を無数の手が這いまわり、乳房を揉み、乳首を転がす。
腕を撫で、太腿を撫で、尻を撫で回す。
腹を撫でて黒い茂みをなぞり、一番触られたくないと思っている場所に無遠慮な指が這い回る。
いや、やめて。
こんなのはもう体の交わりなんて言えない。陵辱とも言えない。獣が餌にありついて作法もなく食い散らかしている様なものだ。
これは夢。
だって目の前に宗一郎がいる。
いつもの様な涼しい笑顔を浮かべて私を見てくれている。
「どうだい? 雅」
その問いに答える事が出来ない。
気持ち悪くて涙が出る。吐き気がする。
「……手が……」
それ以上は言葉にならず、雅は固まったまま、ただぶるぶると震えていた。
肌が粟立ってまるで別人の肌に思える。唇もかさかさに乾いて、体も、指も、何もかも動かない。
「手がどうかした? 気持ちいいの?」
上等な布張りの一人掛けの椅子に座った宗一郎が、ゆったりと脚を組んで酒を飲みながら、猫の様に目を細める。
違う。
違うの。
気持ち悪いって言いたいの。
「あっ……、あ、……ぁ」
声が出ない。
「ふぅん、俺の前でそんな風に感じるんだ」
感じてなんかない!
必死になって歯を喰いしばり、ぶんぶんと首を振ると、下ろしたままの長い髪がゆさゆさと揺れる。
その髪にも手が這い回る。
「若奥様の髪はお美しい。こんなに艶やかで長い髪は見た事がない」
「若奥様の肌だって、雪の様に真っ白ですべすべで気持ちがいい。滑らかに掌を滑って吸い付いてくる」
「この乳房の弾力も手に馴染む様な柔らかさも、まるで宗一郎様から頂いた西洋の菓子の様だ」
ぞくぞくと怖気だけが体を突き抜けてゆく。
一体これは何なの?
「ゆめなら……さめて」
戦慄く唇がそう呟いて涙が一粒頬から落ちる。
「夢じゃないよ」
細い顎に溜まってまた滴りそうになっている涙を拭ったのは、宗一郎の指先だった。
見上げれば、琥珀色の目がこちらを見下ろしている。
「ちゃんと君は目を覚ましていた筈だ。朝に二人で少し遅く起きて、朝食を食べて……それから俺が命令したよね? 昨日の事のお仕置きをするから服を脱いで、って」
目の前がぐるぐるしてくる。
それでも宗一郎の声だけが、耳の中にハッキリと入って来て現実を突きつけた。
「今、君が使用人に触られているのは、俺が君を犯していいと命令したからだよ」
どくっ
心臓がいやな音をたてて一つ鳴り、全身にぶわっと冷や汗が湧き出た。
「う……そ」
やっとそれだけ呟くと、雅の耳元で宗一郎が「嘘じゃないよ」と囁き返す。
「いやや! 嘘や! 嘘!」
現実を突き付けられて雅が騒ぎ始め、縫い付けられていた様に動かなかった体を動かし、抵抗を始める。
「若奥様」
「若奥様」
裸になった使用人達の手が伸び、雅の腕や髪、体を掴む。
「いやぁっ! 離して! 私に触らんといて! 私は宗一郎の妻や!」
絢爛豪華な玄関ホールに雅の絶叫が響き渡り、美術品や芸術品が調度品として並べられているそこに不釣合いな裸体の男女が、やけに生々しく何処か滑稽だ。
「その俺が君を犯せと許可したんだ」
宗一郎の冷たい声が、冷たい現実を突きつけ、雅を絶望のどん底に叩き落す。
「……おねがい……今すぐやめさせて」
絹糸を震わせる様な弱々しい声が哀願するが、夫はそれに頷かない。
「どうだ? 濡れているか?」
宗一郎が酒を飲んで使用人に尋ねると、雅の秘所に指を滑らせていた男が微妙な顔をする。
「いえ……それがあまり」
その返答に宗一郎は手酌をしながら首を傾げる。
「おかしいな。雅は使用人に抱かれて感じる変態なのに」
「宗一郎! お願いやさかい、もぉやめて下さい! 昨日の事なら一生をかけて謝罪しますさかい、こんな事やめさせて下さい!」
ちら、と雅を見た宗一郎が口に酒を流し込み、またこちらへやって来る。
「ほんまにお願いします! 宗一郎になら何をされてもええ! けど、他の人に触れさせるなんてやめて!」
必死になって叫ぶ雅は今や押さえ付けられて床に四つん這いになり、屈辱と恐怖に震えた小さな顔は真っ赤になっていた。
雅の目の前に膝をついた宗一郎がその顎を掴み、上を向かせる。
「そう、ん」
唇が併され、もご、と宗一郎の頬が動いた後に雅の喉が嚥下した。
喉の奥を辛めの酒が通ってゆく。
口端から垂れた透明な雫を、宗一郎の舌が舐め取った。
「雅、君に俺の怒りを解くチャンスをあげようか」
「なに!? 何でも言うて!」
必死になって宗一郎を見上げる雅の頭を、宗一郎は大きな手で優しく撫でてやりながら提案した内容を、赤子をあやす様な優しい声で説明する。
「使用人に犯されて絶頂に達してご覧」
それを聞いて雅の大きな目が見開かれる。
「なに……? 何の冗談言うてはるの?」
ぽろぽろと涙が零れ、玄関ホールの床に水滴を作ってゆく。
信じられないと長い睫毛が震え、唇が媚びる様に僅かに笑ってそれも震えている。
「なぁ……嘘やて言うて……?」
四つん這いになって床についていた手が上げられ、そっと宗一郎の頬に添えられる。
その手に宗一郎の手が重ねられ、温かく包み込む。その温度に雅がほっと表情を和らげた時、宗一郎の琥珀色の目が細められた。
「嘘じゃないよ。俺の言う通りにしたら許してあげる」
「そんな……!」
ひゅっと雅の喉が鳴り、くしゃっと綺麗な顔が歪んでしまう。
その顔に張り付いたのは絶望。
その表情を宗一郎は満足そうに眺め、その場に相応しくない優しい手つきで雅の頭を撫でてやる。
「……お願いします……、後生ですさかい助けて下さい」
その間も使用人の手は雅の体を這いまわり、胎内には遠慮なく指が入っている。
「仕方がないな、じゃあ一つ条件を出そう」
「何どすか!?」
目の前で片膝を付いて座っている宗一郎にすがりつく目を向けると、夫が薄っすらと笑った。
「昨日のバナナの続きだ。口淫で俺をいかせたら、その時点で使用人には何もかもやめさせる」
「ほんまどすか?」
この際、使用人に抱かれる事から脱出出来るのなら何でも出来る。それが宗一郎に奉仕をする事で逃れられるのなら喜んでやろうと雅は思った。
「お前達、雅が濡れていなくても構わない。挿れていい。ただし、中で出したら承知しない。出すときはこの体を汚してやれ。どうせ片付けるのはお前達だ」
無慈悲な声が残酷な遊戯の開始を宣言し、それまで雅の秘部を指で愛撫していた男が、反り返ったものを手にして獣の様な目を雅の割れ目に向け、我慢ならないと言った勢いで挿入すると、雅の細腰を掴んで腰を動かし始めた。
「ひぃっ、いやっ、いやぁああぁぁっっ」
夫のものではないものが胎内をかきまわす感覚に雅が震え、泣き喚く。
咄嗟に必死になって目の前の宗一郎の腰にすがりつき、着物の帯を焦った手つきで解き始めた。
「おや、雅はそんなに俺に奉仕をしたいんだ。そんなに慌ててやっぱり淫乱なんだね」
もう何と言われても構わない。
帯を解き、先を急ぐ手が着物のあわせに入り込んで掻き分け、襦袢を留めている紐をもどかしいという手つきで解き始める。
体の奥を知らない男の肉が突いてくる。
自分の中が知らない形を招き入れている事実が悲しく、涙が止まらない。
「ああ……、若奥様、好いです」
ぬぷぬぷと接合部からは淫靡な音が聞こえてきていた。
「何だ雅。しっかり感じているんじゃないか。いやらしい音が聞こえるよ」
雅は必死になって宗一郎を脱がそうとしているのに、夫は悠然と座り込んだまま愉快そうに意地悪な事しか言わない。
やっと腰紐が解け、雅は啜り泣きながら白い襦袢のあわせに手を差し込んで宗一郎の胸板を晒した。
はやくしないと。
使用人は周囲を囲んで仲間が女主人を犯している様子を眺めている。仲間が終わったら次は自分の番が来る。変わった主人の趣向でこんな高貴な女性を抱く事が出来るという事に、皆興奮で目の色が変わっていた。
なのに、いつもならこんな事になる時は宗一郎は着物の下に下着をつけていないのに、この時に限ってその股間を忌々しい布が守っていた。
雅は褌の締め方や外し方など知らない。
顔を赤くしながらあれこれ手で探ってみるが、構造がどうなっているのか分からない。
そんな間にも彼女を犯している使用人は、容赦なく腰を打ちつけて奥をえぐってくる。
「あぁああぁぁあんっっっ!」
とうとう雅が癇癪を起こして泣き始めた。
自由な片手でバシバシと宗一郎の腿を叩き、「いけず!」と泣き叫ぶ。
その表情に宗一郎はぞくぞくとした喜びを感じていた。
堕とす所まで堕としてやる。
これが俺の復讐だ。
内心そう思い、自分の願望が目の前で果たされようとしているのに満足している筈なのに、何故かその表情は不機嫌そうに曇っている。
「若奥様! いきます! 俺、いきます!」
雅を犯している一人目の使用人がそう叫んで腰の動きを速めてから肉棒を引き抜き、雅の丸い尻に向けて発射した。
「うぇえええぇぇん……っっ」
雅は泣きながら指先で腰周りを捻ってある褌を探り、懸命になって突破口を探している。
「次! 次は俺だ!」
別の男の声がし、肉棒の先を宛がうのももどかしいと言わんばかりの性急さで、次の男がすぐに挿入してきた。
「うおぉっ、こりゃ堪んねぇ! きつきつのとろとろだ」
その言葉が雅を更に情けない気分にさせ、彼女は綺麗な顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしている。
「そっ、いちろぉ、お願いします! これ、何とかしてぇな! そうしたら満足させますさかい!」
自分ではどうにもならずに涙声でそう哀願すると、宗一郎が「仕方がないな」と膝立ちになって褌を解き始めた。
こうなる事も予測して、いつもは西洋式の猿股を穿いていたが、今日だけはわざと褌を締めていたのだ。
「やぁあぁあん! 宗一郎、はよ! はよぉ!」
奥をごつごつと突いてくる感覚が気持ち悪くて吐きそうだ。どうして自分の中に宗一郎以外のものが入っているのか、先程説明されたばかりなのにまだ理解出来ていない。
「雅は欲しがってばかりだね、ほら、君の大好きなバナナだよ。歯を立てない様に美味しくしゃぶって白い果汁を出してご覧」
白い褌の下から現れた宗一郎の肉棒は既に固くなっていた。
昨日の事を思い出し、それを指で包んでこすり、先端を口に含んでみる。既に苦いものが滲み出ていたが、恐らくそれはまだ宗一郎が精液を出したという事とは違うものなのだろう。
ちゅうっ ちゅううっ
射精を誘う様に雅は必死になって先端を吸い込み、舌で鈴口をくじる。
「あっ……、ん、いいよ、みや。何も教えてないのにする事を分かっているだなんて、流石淫乱だね」
使用人から吐いてしまいそうに酷い事をされ、夫からも酷い言葉をかけられているのに、頭を撫でる夫の手だけが酷く優しい。
気持ち悪さと恐怖と、快楽と心の痛みと、そして地獄の中に差し込む救いの光が雅の涙を光らせていた。
「若奥様っ、俺もういきます! あぁ」
腰を打ちつけていた使用人がそう声を出して雅の腰を掴んで最奥を突こうとするが、その瞬間宗一郎に頬を殴られて主人からの命令を思い出し、すんでの所で肉棒を引き抜いて射精した。
「ふぅぅぅぅうぅうっっ」
肌に温かな液体が掛けられるのが気持ち悪い。今度は太腿に掛けられた。
「みや、まだいかないのかい? いったら許してあげると言っているんだ。それとも、まだまだ違う男が欲しくてもっと咥え込みたいのかい?」
宗一郎の言葉が心を刺す。
どんなに複数の男性に挿入されても、感じるのは体だけで心は拒絶している。愛液は出てしまっても、それは絶頂へ導くものではなかった。
「若奥様、次は俺が好くして差し上げます。俺のはちぃと大きいですよ?」
三人目の男が下卑た声でそう言うと、逸物の先をどろどろになった雅の蜜壷に宛がって埋めてゆく。
「っっ……!」
入って来たものの大きさに、雅は思わずぎゅっと目を瞑って息を止めた。
きつい。
なんなのこれ。
「おぉ……すげぇ具合がいい。流石若奥様は一昨日の晩が初夜だっただけにきつきつだ。裂けちまうんじゃねぇかな」
男が腰を前後させ始めると、雅の膣がぎゅうぎゅうと締まって悲鳴を上げ、雅は思わず口淫の手を一時やめて使用人に泣きついた。
「動かんといて下さい!」
「若奥様、こんなに美味そうに俺の逸物咥え込んでおいて無理言わないで下さい」
「きつ……っ、ぃ」
野太いものがぞりぞりと内壁をこすり、容易く奥を突いてくる。
「みや、そんなにいいのかい?」
床に置いた徳利から猪口に酒を注ぐと、宗一郎がそれを煽って妻の頭を撫でた。
それに雅はぶんぶんと頭を振り、早くこの悪い夢を終わらせようと再び宗一郎の股座に顔を埋める。
体は既に悲鳴を上げていた。
心は既に血の涙を流している。
必死になって宗一郎の亀頭を吸い込み、女性にはない変な形のそれを確認する様に舌を這わせ、どういう構造で硬くなっているのか分からないそれを懸命にしごいた。
艶やかな黒髪が自分の下で動いているのを、宗一郎は満足そうに見遣る。
後はゆっくり菊座でも開発してやろう。
へその下にぞわぞわとした快楽が蠢き、そろそろ出てしまいそうになる。
この狂乱の饗宴の結末は二つ用意したが、正直どちらでもいい。
雅を辱める事、雅に口淫をさせて自分が満足する事、それが成し遂げらればそれでいいのだ。
「雅、いきそうかい?」
宗一郎の質問に、雅は口淫を続けたまま頑なに首を振る。
二日前に処女を失ったばかりの女性が、すぐに膣だけで性的快楽を得て果てるなど土台無理な話なのだ。
使用人達は皆所帯持ちで、妻や吉原の遊女など、性行為に慣れた女性相手に性欲を吐き出している。そのやり方と雅に対するやり方が同じでは、到底雅はいかない。
だが、だからこそそういう男の使用人を、宗一郎が選んだとも言えた。
中には決まった相手もいない年若い者もいるが、そういう者では慣れていないあまりにはずみで膣内で射精してしまう恐れがある。
(そろそろ……出るな)
宗一郎がはぁっ、と色めいた吐息を吐き、興奮を押さえ込んだ声で雅に命令する。
「雅、俺の子種を今度は口から飲み込むんだ。吐いてはいけない。吐いたらまた一から全部やり直しにさせるよ」
やっと宗一郎が射精してくれると雅は歓喜し、口淫を続けたままくぐもった声で返事をし、こくこくと頷く。
その頭を押さえて柔らかい喉の奥に肉棒の先端を押し込み、宗一郎が吐精した。
びゅくっ びゅーっ
「んぐっ、ぉええぇっっ」
無防備な喉を突かれた挙句、苦くて生臭いものがそのまま喉を直撃してくる。
思わず口を離して吐き出しそうになってしまったが、雅の頭には宗一郎の言葉がしっかりと染み付いている。
すぐに覚悟を決め、むしろ自分から包み込む様に肉棒を受け入れると、喉の奥に溜まったものを思い切って飲み込んだ。
「おぇっ」
嘔吐いて生理的な涙が込み上げ、涙で視界がかすんで宗一郎の肌色しか見えない。
喉がべたべたする。
息がつまりそうになって必死になって鼻で呼吸をする雅の頭を、宗一郎はずっと優しくなで続けていた。
「へっ、若奥様は若旦那様の精液を飲んで感じてらっしゃる。物凄い締め付けだ」
挿入している使用人が興奮した声で言い、雅の白い尻をぴしゃんと叩く。
「おい、俺はもう出した。約束通りお前達はここまでだ」
「そんな、若旦那様殺生な! 出させて下さいよぉ」
使用人が不満気な声を出すと、宗一郎が着物の袂から落ちて床に転がっていた懐中時計を開く。
「あと十秒」
「うおおおおぉぉ!」
カウントダウンをされて男が焦り、懸命になって雅の細腰を掴んで遠慮なしに激しく腰を前後させた。
宗一郎のものよりもずっと大きな肉棒で無理矢理こすられ、奥を突かれ、雅が目を見開き息を吸い込んだ。
「ぃっ……、ぎっ」
「……六、五、四」
「もう……ちょっとおおお!」
「三、二、一」
「出るっ」
時間になって男が雅の中から逸物を引き抜き、自分の手で強くしごくと白濁した液が勢いよく出て雅の体を汚す。量が多かったので一部は背中の上部まで届いてしまった。
「ぁ……」
やっと解放された雅は、そのまま床に倒れ込んだ。
赤い絨毯の上にぐったりと白い裸身を横たえ、長い黒髪が広がる。胸部を大きく息づかせて酸素を求めた。
終わった。
一日が終わって床について目を閉じた時の様な安堵感が全身を心地良く支配し、意識が薄れて眠る様に暗転した。
「若旦那様ぁ、俺達は?」
まだ雅に挿入していない二人がそう不満を漏らし、宗一郎は彼らを一瞥すると「我慢しろ」とだけ言って着物を着付け始める。
「風呂の用意を」
むわっと充満した精液の臭い少しだけ顔をしかめ、それだけを言うと気絶した裸の雅を抱き上げる。
「片付けをしておけ。俺の褌は洗濯に」
「若旦那様、そんなぁ」
まだも未練たらたらに文句を言う使用人を睨むと、宗一郎が冷たい声を出す。
「今回の事は特別だ。もし己の欲を律せずに勝手に雅に手を出したら……分かっているだろうな?」
宗一郎の低い声に使用人達が頷く。
「真田さんみたいにはなりたくありませんからねぇ」
「そうだそうだ」
使用人の答えを聞いて満足すると、「ならいい」と頷いて宗一郎は雅を抱いたまま風呂のある和館の方へゆっくり歩いて行った。
裸の雅に大勢の男の手が這いまわる。
泣き叫び、許しを請うてもそれが止む事はない。
まるで体中を百足が這い回っている様な、体の芯から恐怖と嫌悪が渦巻いて、自然と生理的な涙が出てしまう。
それを知らない手が拭って更に怖気が走った。
なに、なんなの。
何の冗談なの。
白い肌を無数の手が這いまわり、乳房を揉み、乳首を転がす。
腕を撫で、太腿を撫で、尻を撫で回す。
腹を撫でて黒い茂みをなぞり、一番触られたくないと思っている場所に無遠慮な指が這い回る。
いや、やめて。
こんなのはもう体の交わりなんて言えない。陵辱とも言えない。獣が餌にありついて作法もなく食い散らかしている様なものだ。
これは夢。
だって目の前に宗一郎がいる。
いつもの様な涼しい笑顔を浮かべて私を見てくれている。
「どうだい? 雅」
その問いに答える事が出来ない。
気持ち悪くて涙が出る。吐き気がする。
「……手が……」
それ以上は言葉にならず、雅は固まったまま、ただぶるぶると震えていた。
肌が粟立ってまるで別人の肌に思える。唇もかさかさに乾いて、体も、指も、何もかも動かない。
「手がどうかした? 気持ちいいの?」
上等な布張りの一人掛けの椅子に座った宗一郎が、ゆったりと脚を組んで酒を飲みながら、猫の様に目を細める。
違う。
違うの。
気持ち悪いって言いたいの。
「あっ……、あ、……ぁ」
声が出ない。
「ふぅん、俺の前でそんな風に感じるんだ」
感じてなんかない!
必死になって歯を喰いしばり、ぶんぶんと首を振ると、下ろしたままの長い髪がゆさゆさと揺れる。
その髪にも手が這い回る。
「若奥様の髪はお美しい。こんなに艶やかで長い髪は見た事がない」
「若奥様の肌だって、雪の様に真っ白ですべすべで気持ちがいい。滑らかに掌を滑って吸い付いてくる」
「この乳房の弾力も手に馴染む様な柔らかさも、まるで宗一郎様から頂いた西洋の菓子の様だ」
ぞくぞくと怖気だけが体を突き抜けてゆく。
一体これは何なの?
「ゆめなら……さめて」
戦慄く唇がそう呟いて涙が一粒頬から落ちる。
「夢じゃないよ」
細い顎に溜まってまた滴りそうになっている涙を拭ったのは、宗一郎の指先だった。
見上げれば、琥珀色の目がこちらを見下ろしている。
「ちゃんと君は目を覚ましていた筈だ。朝に二人で少し遅く起きて、朝食を食べて……それから俺が命令したよね? 昨日の事のお仕置きをするから服を脱いで、って」
目の前がぐるぐるしてくる。
それでも宗一郎の声だけが、耳の中にハッキリと入って来て現実を突きつけた。
「今、君が使用人に触られているのは、俺が君を犯していいと命令したからだよ」
どくっ
心臓がいやな音をたてて一つ鳴り、全身にぶわっと冷や汗が湧き出た。
「う……そ」
やっとそれだけ呟くと、雅の耳元で宗一郎が「嘘じゃないよ」と囁き返す。
「いやや! 嘘や! 嘘!」
現実を突き付けられて雅が騒ぎ始め、縫い付けられていた様に動かなかった体を動かし、抵抗を始める。
「若奥様」
「若奥様」
裸になった使用人達の手が伸び、雅の腕や髪、体を掴む。
「いやぁっ! 離して! 私に触らんといて! 私は宗一郎の妻や!」
絢爛豪華な玄関ホールに雅の絶叫が響き渡り、美術品や芸術品が調度品として並べられているそこに不釣合いな裸体の男女が、やけに生々しく何処か滑稽だ。
「その俺が君を犯せと許可したんだ」
宗一郎の冷たい声が、冷たい現実を突きつけ、雅を絶望のどん底に叩き落す。
「……おねがい……今すぐやめさせて」
絹糸を震わせる様な弱々しい声が哀願するが、夫はそれに頷かない。
「どうだ? 濡れているか?」
宗一郎が酒を飲んで使用人に尋ねると、雅の秘所に指を滑らせていた男が微妙な顔をする。
「いえ……それがあまり」
その返答に宗一郎は手酌をしながら首を傾げる。
「おかしいな。雅は使用人に抱かれて感じる変態なのに」
「宗一郎! お願いやさかい、もぉやめて下さい! 昨日の事なら一生をかけて謝罪しますさかい、こんな事やめさせて下さい!」
ちら、と雅を見た宗一郎が口に酒を流し込み、またこちらへやって来る。
「ほんまにお願いします! 宗一郎になら何をされてもええ! けど、他の人に触れさせるなんてやめて!」
必死になって叫ぶ雅は今や押さえ付けられて床に四つん這いになり、屈辱と恐怖に震えた小さな顔は真っ赤になっていた。
雅の目の前に膝をついた宗一郎がその顎を掴み、上を向かせる。
「そう、ん」
唇が併され、もご、と宗一郎の頬が動いた後に雅の喉が嚥下した。
喉の奥を辛めの酒が通ってゆく。
口端から垂れた透明な雫を、宗一郎の舌が舐め取った。
「雅、君に俺の怒りを解くチャンスをあげようか」
「なに!? 何でも言うて!」
必死になって宗一郎を見上げる雅の頭を、宗一郎は大きな手で優しく撫でてやりながら提案した内容を、赤子をあやす様な優しい声で説明する。
「使用人に犯されて絶頂に達してご覧」
それを聞いて雅の大きな目が見開かれる。
「なに……? 何の冗談言うてはるの?」
ぽろぽろと涙が零れ、玄関ホールの床に水滴を作ってゆく。
信じられないと長い睫毛が震え、唇が媚びる様に僅かに笑ってそれも震えている。
「なぁ……嘘やて言うて……?」
四つん這いになって床についていた手が上げられ、そっと宗一郎の頬に添えられる。
その手に宗一郎の手が重ねられ、温かく包み込む。その温度に雅がほっと表情を和らげた時、宗一郎の琥珀色の目が細められた。
「嘘じゃないよ。俺の言う通りにしたら許してあげる」
「そんな……!」
ひゅっと雅の喉が鳴り、くしゃっと綺麗な顔が歪んでしまう。
その顔に張り付いたのは絶望。
その表情を宗一郎は満足そうに眺め、その場に相応しくない優しい手つきで雅の頭を撫でてやる。
「……お願いします……、後生ですさかい助けて下さい」
その間も使用人の手は雅の体を這いまわり、胎内には遠慮なく指が入っている。
「仕方がないな、じゃあ一つ条件を出そう」
「何どすか!?」
目の前で片膝を付いて座っている宗一郎にすがりつく目を向けると、夫が薄っすらと笑った。
「昨日のバナナの続きだ。口淫で俺をいかせたら、その時点で使用人には何もかもやめさせる」
「ほんまどすか?」
この際、使用人に抱かれる事から脱出出来るのなら何でも出来る。それが宗一郎に奉仕をする事で逃れられるのなら喜んでやろうと雅は思った。
「お前達、雅が濡れていなくても構わない。挿れていい。ただし、中で出したら承知しない。出すときはこの体を汚してやれ。どうせ片付けるのはお前達だ」
無慈悲な声が残酷な遊戯の開始を宣言し、それまで雅の秘部を指で愛撫していた男が、反り返ったものを手にして獣の様な目を雅の割れ目に向け、我慢ならないと言った勢いで挿入すると、雅の細腰を掴んで腰を動かし始めた。
「ひぃっ、いやっ、いやぁああぁぁっっ」
夫のものではないものが胎内をかきまわす感覚に雅が震え、泣き喚く。
咄嗟に必死になって目の前の宗一郎の腰にすがりつき、着物の帯を焦った手つきで解き始めた。
「おや、雅はそんなに俺に奉仕をしたいんだ。そんなに慌ててやっぱり淫乱なんだね」
もう何と言われても構わない。
帯を解き、先を急ぐ手が着物のあわせに入り込んで掻き分け、襦袢を留めている紐をもどかしいという手つきで解き始める。
体の奥を知らない男の肉が突いてくる。
自分の中が知らない形を招き入れている事実が悲しく、涙が止まらない。
「ああ……、若奥様、好いです」
ぬぷぬぷと接合部からは淫靡な音が聞こえてきていた。
「何だ雅。しっかり感じているんじゃないか。いやらしい音が聞こえるよ」
雅は必死になって宗一郎を脱がそうとしているのに、夫は悠然と座り込んだまま愉快そうに意地悪な事しか言わない。
やっと腰紐が解け、雅は啜り泣きながら白い襦袢のあわせに手を差し込んで宗一郎の胸板を晒した。
はやくしないと。
使用人は周囲を囲んで仲間が女主人を犯している様子を眺めている。仲間が終わったら次は自分の番が来る。変わった主人の趣向でこんな高貴な女性を抱く事が出来るという事に、皆興奮で目の色が変わっていた。
なのに、いつもならこんな事になる時は宗一郎は着物の下に下着をつけていないのに、この時に限ってその股間を忌々しい布が守っていた。
雅は褌の締め方や外し方など知らない。
顔を赤くしながらあれこれ手で探ってみるが、構造がどうなっているのか分からない。
そんな間にも彼女を犯している使用人は、容赦なく腰を打ちつけて奥をえぐってくる。
「あぁああぁぁあんっっっ!」
とうとう雅が癇癪を起こして泣き始めた。
自由な片手でバシバシと宗一郎の腿を叩き、「いけず!」と泣き叫ぶ。
その表情に宗一郎はぞくぞくとした喜びを感じていた。
堕とす所まで堕としてやる。
これが俺の復讐だ。
内心そう思い、自分の願望が目の前で果たされようとしているのに満足している筈なのに、何故かその表情は不機嫌そうに曇っている。
「若奥様! いきます! 俺、いきます!」
雅を犯している一人目の使用人がそう叫んで腰の動きを速めてから肉棒を引き抜き、雅の丸い尻に向けて発射した。
「うぇえええぇぇん……っっ」
雅は泣きながら指先で腰周りを捻ってある褌を探り、懸命になって突破口を探している。
「次! 次は俺だ!」
別の男の声がし、肉棒の先を宛がうのももどかしいと言わんばかりの性急さで、次の男がすぐに挿入してきた。
「うおぉっ、こりゃ堪んねぇ! きつきつのとろとろだ」
その言葉が雅を更に情けない気分にさせ、彼女は綺麗な顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしている。
「そっ、いちろぉ、お願いします! これ、何とかしてぇな! そうしたら満足させますさかい!」
自分ではどうにもならずに涙声でそう哀願すると、宗一郎が「仕方がないな」と膝立ちになって褌を解き始めた。
こうなる事も予測して、いつもは西洋式の猿股を穿いていたが、今日だけはわざと褌を締めていたのだ。
「やぁあぁあん! 宗一郎、はよ! はよぉ!」
奥をごつごつと突いてくる感覚が気持ち悪くて吐きそうだ。どうして自分の中に宗一郎以外のものが入っているのか、先程説明されたばかりなのにまだ理解出来ていない。
「雅は欲しがってばかりだね、ほら、君の大好きなバナナだよ。歯を立てない様に美味しくしゃぶって白い果汁を出してご覧」
白い褌の下から現れた宗一郎の肉棒は既に固くなっていた。
昨日の事を思い出し、それを指で包んでこすり、先端を口に含んでみる。既に苦いものが滲み出ていたが、恐らくそれはまだ宗一郎が精液を出したという事とは違うものなのだろう。
ちゅうっ ちゅううっ
射精を誘う様に雅は必死になって先端を吸い込み、舌で鈴口をくじる。
「あっ……、ん、いいよ、みや。何も教えてないのにする事を分かっているだなんて、流石淫乱だね」
使用人から吐いてしまいそうに酷い事をされ、夫からも酷い言葉をかけられているのに、頭を撫でる夫の手だけが酷く優しい。
気持ち悪さと恐怖と、快楽と心の痛みと、そして地獄の中に差し込む救いの光が雅の涙を光らせていた。
「若奥様っ、俺もういきます! あぁ」
腰を打ちつけていた使用人がそう声を出して雅の腰を掴んで最奥を突こうとするが、その瞬間宗一郎に頬を殴られて主人からの命令を思い出し、すんでの所で肉棒を引き抜いて射精した。
「ふぅぅぅぅうぅうっっ」
肌に温かな液体が掛けられるのが気持ち悪い。今度は太腿に掛けられた。
「みや、まだいかないのかい? いったら許してあげると言っているんだ。それとも、まだまだ違う男が欲しくてもっと咥え込みたいのかい?」
宗一郎の言葉が心を刺す。
どんなに複数の男性に挿入されても、感じるのは体だけで心は拒絶している。愛液は出てしまっても、それは絶頂へ導くものではなかった。
「若奥様、次は俺が好くして差し上げます。俺のはちぃと大きいですよ?」
三人目の男が下卑た声でそう言うと、逸物の先をどろどろになった雅の蜜壷に宛がって埋めてゆく。
「っっ……!」
入って来たものの大きさに、雅は思わずぎゅっと目を瞑って息を止めた。
きつい。
なんなのこれ。
「おぉ……すげぇ具合がいい。流石若奥様は一昨日の晩が初夜だっただけにきつきつだ。裂けちまうんじゃねぇかな」
男が腰を前後させ始めると、雅の膣がぎゅうぎゅうと締まって悲鳴を上げ、雅は思わず口淫の手を一時やめて使用人に泣きついた。
「動かんといて下さい!」
「若奥様、こんなに美味そうに俺の逸物咥え込んでおいて無理言わないで下さい」
「きつ……っ、ぃ」
野太いものがぞりぞりと内壁をこすり、容易く奥を突いてくる。
「みや、そんなにいいのかい?」
床に置いた徳利から猪口に酒を注ぐと、宗一郎がそれを煽って妻の頭を撫でた。
それに雅はぶんぶんと頭を振り、早くこの悪い夢を終わらせようと再び宗一郎の股座に顔を埋める。
体は既に悲鳴を上げていた。
心は既に血の涙を流している。
必死になって宗一郎の亀頭を吸い込み、女性にはない変な形のそれを確認する様に舌を這わせ、どういう構造で硬くなっているのか分からないそれを懸命にしごいた。
艶やかな黒髪が自分の下で動いているのを、宗一郎は満足そうに見遣る。
後はゆっくり菊座でも開発してやろう。
へその下にぞわぞわとした快楽が蠢き、そろそろ出てしまいそうになる。
この狂乱の饗宴の結末は二つ用意したが、正直どちらでもいい。
雅を辱める事、雅に口淫をさせて自分が満足する事、それが成し遂げらればそれでいいのだ。
「雅、いきそうかい?」
宗一郎の質問に、雅は口淫を続けたまま頑なに首を振る。
二日前に処女を失ったばかりの女性が、すぐに膣だけで性的快楽を得て果てるなど土台無理な話なのだ。
使用人達は皆所帯持ちで、妻や吉原の遊女など、性行為に慣れた女性相手に性欲を吐き出している。そのやり方と雅に対するやり方が同じでは、到底雅はいかない。
だが、だからこそそういう男の使用人を、宗一郎が選んだとも言えた。
中には決まった相手もいない年若い者もいるが、そういう者では慣れていないあまりにはずみで膣内で射精してしまう恐れがある。
(そろそろ……出るな)
宗一郎がはぁっ、と色めいた吐息を吐き、興奮を押さえ込んだ声で雅に命令する。
「雅、俺の子種を今度は口から飲み込むんだ。吐いてはいけない。吐いたらまた一から全部やり直しにさせるよ」
やっと宗一郎が射精してくれると雅は歓喜し、口淫を続けたままくぐもった声で返事をし、こくこくと頷く。
その頭を押さえて柔らかい喉の奥に肉棒の先端を押し込み、宗一郎が吐精した。
びゅくっ びゅーっ
「んぐっ、ぉええぇっっ」
無防備な喉を突かれた挙句、苦くて生臭いものがそのまま喉を直撃してくる。
思わず口を離して吐き出しそうになってしまったが、雅の頭には宗一郎の言葉がしっかりと染み付いている。
すぐに覚悟を決め、むしろ自分から包み込む様に肉棒を受け入れると、喉の奥に溜まったものを思い切って飲み込んだ。
「おぇっ」
嘔吐いて生理的な涙が込み上げ、涙で視界がかすんで宗一郎の肌色しか見えない。
喉がべたべたする。
息がつまりそうになって必死になって鼻で呼吸をする雅の頭を、宗一郎はずっと優しくなで続けていた。
「へっ、若奥様は若旦那様の精液を飲んで感じてらっしゃる。物凄い締め付けだ」
挿入している使用人が興奮した声で言い、雅の白い尻をぴしゃんと叩く。
「おい、俺はもう出した。約束通りお前達はここまでだ」
「そんな、若旦那様殺生な! 出させて下さいよぉ」
使用人が不満気な声を出すと、宗一郎が着物の袂から落ちて床に転がっていた懐中時計を開く。
「あと十秒」
「うおおおおぉぉ!」
カウントダウンをされて男が焦り、懸命になって雅の細腰を掴んで遠慮なしに激しく腰を前後させた。
宗一郎のものよりもずっと大きな肉棒で無理矢理こすられ、奥を突かれ、雅が目を見開き息を吸い込んだ。
「ぃっ……、ぎっ」
「……六、五、四」
「もう……ちょっとおおお!」
「三、二、一」
「出るっ」
時間になって男が雅の中から逸物を引き抜き、自分の手で強くしごくと白濁した液が勢いよく出て雅の体を汚す。量が多かったので一部は背中の上部まで届いてしまった。
「ぁ……」
やっと解放された雅は、そのまま床に倒れ込んだ。
赤い絨毯の上にぐったりと白い裸身を横たえ、長い黒髪が広がる。胸部を大きく息づかせて酸素を求めた。
終わった。
一日が終わって床について目を閉じた時の様な安堵感が全身を心地良く支配し、意識が薄れて眠る様に暗転した。
「若旦那様ぁ、俺達は?」
まだ雅に挿入していない二人がそう不満を漏らし、宗一郎は彼らを一瞥すると「我慢しろ」とだけ言って着物を着付け始める。
「風呂の用意を」
むわっと充満した精液の臭い少しだけ顔をしかめ、それだけを言うと気絶した裸の雅を抱き上げる。
「片付けをしておけ。俺の褌は洗濯に」
「若旦那様、そんなぁ」
まだも未練たらたらに文句を言う使用人を睨むと、宗一郎が冷たい声を出す。
「今回の事は特別だ。もし己の欲を律せずに勝手に雅に手を出したら……分かっているだろうな?」
宗一郎の低い声に使用人達が頷く。
「真田さんみたいにはなりたくありませんからねぇ」
「そうだそうだ」
使用人の答えを聞いて満足すると、「ならいい」と頷いて宗一郎は雅を抱いたまま風呂のある和館の方へゆっくり歩いて行った。
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