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第一話・初夜②
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「あ……っ」
宗一郎の顔が優しいキスを繰り返しながら段々と体の下におりてゆき、胸や腰、太腿に執拗に吸い付いて赤い跡を残してから、先ほどから暴かれたままになっている雅の秘部に近付いてゆく。
「少し……濡れてきているね」
柔らかな肉の裂け目の奥に透明なぬるつきを見て宗一郎が満足そうに呟き、黒い茂みをしょりしょりと撫でた。
「あのっ……、はずかしい……」
「君は『恥ずかしい』ばかりだね。これから気持ちよくしてあげるから、次から口を開く時は『気持ちいい』って言ってご覧?」
「やけど……はずかしいし……こわい……」
震える声で答える雅の細い脚は内股気味になっている。それでも、宗一郎に対して身も心も捧げようという気持ちになってからは、自分の意思で脚を開こうとしているものの、やはり恥ずかしくて膝頭がくっついてしまいそうになっていた。
「大丈夫。噛み付いたりしないから」
宗一郎の指先が花びらを守るふっくらとした肉を撫でると、きゅっと雅の体が緊張して締まってしまう。
「体の力を抜いて」
そう囁いて宗一郎の手が雅の太腿を優しく撫で、時折指先で先ほどつけたキスマークの跡をなぞってゆく。
「あの……あの、舐め、る、……の?」
「そうだよ。気持ちよくなって」
その言葉の後に、柔らかい唇が雅の一番敏感な場所を優しくついばんできた。
「ひんっ」
情けない声が出て、羞恥でじわぁっと顔が熱くなってくる。ちらっと真田を見れば、変わらずにドアの前で銅像の様に立っていた。それでも見られていると思うと恥ずかしくて堪らず、雅は顔を壁側に背けてしまう。
ぴちゃ……
宗一郎の肉厚な舌が雅の秘部を這い回り、たっぷりと唾液をまとわりつかせたそれが雅の体の内側に火をつけ、快楽を呼び覚ましてゆく。
「んっ……、ん、ぅ」
舌がぬるぬると花びらを上下し、雅が一番触れられたくないと思っている窄まった孔までも舐め尽くす。
「いやぁ、いやや……っ、そないな所、舐めんといてぇ」
宗一郎の舌が動く度にぴちゃぴちゃと淫靡な音がし、雅の体がむずむずしてしまう。思わず腰が浮きかけると、宗一郎の大きな手がぐっと脚の付け根を押さえつけた。
「美味しいよ、みや」
じゅっ じゅるるっ
「いやあああっっ!」
自分の恥部からたてられる恥ずかしい音に雅が両手で顔を覆ってしまい、羞恥の為に耳まで真っ赤になってしまっている。挙句、首や胸元までが薄く薔薇色に染まっていた。
宗一郎がわざと唇を震わせて愛液を啜ると、その振動が敏感な場所に伝わってしまい、結果次々ととめどなく愛液が漏れてくる。おまけに宗一郎の鼻先がさやに隠された肉色の真珠を刺激し、雅の下半身はきゅんきゅんとした切なさに襲われて泣き出したくなっていた。
「あのっ……、あのっ……、おねがっ、ぃ、やぁぁぁぁっっ」
仕上げとばかりに宗一郎が唇で柔らかく雅の肉芽を包み込むと、前歯で優しく包皮を剥いて中の真珠を軽く噛み、舌先をちろちろと動かして刺激すると雅が「ひぃっ」と大きく息を吸い込んでから悲鳴をあげ、二十年の人生で初めて絶頂に達した。
「いやあああぁあぁああああぁぁああああぁああぁああっっっ!!」
それまで下腹部をじわじわと侵略していた妙な間隔が、一気に爆発した様な錯覚に陥り雅は未知の快楽に押し流されて泣き叫んだ。体の底からぶわっと何かが押し寄せ、気泡が抜けてゆく様に体を心地良い脱力感が支配してゆく。
ぐったりとベッドに身を横たえる雅の秘部との間に、宗一郎は舌先から淫靡な糸を引きながら顔を離すと、妖艶に笑って雅を見下ろす。
「気持ちよかった?」
「んっ……、ん、……ぅ、ふ……」
女性の快楽は男性の射精ほどにすぐには収まらない。
じんと体を包み込む心地良い間隔に浸されて、涙の溜まった目でぼんやりと宗一郎を見上げれば、雅のフィルターの中では彼はとても優しい微笑を浮かべていた。
「じゃあ、次は指を入れるよ。……と言いたいが、君の中に入れる初めてのものは俺のものにしたい。少々痛いかもしれないが、我慢出来るかい?」
うっとりとした表情のままの雅の体から余計な力が抜けているのを感じて満足そうに微笑み、宗一郎がそっと指先で雅の薔薇色に染まった頬を撫でる。
「……宗一郎と……一つになれるん?」
「そうだよ、一つになる事で俺達はちゃんと夫婦になれる」
優しい手が雅の頬をスルスルと撫で、親指がふっくらとした形のいい唇をなぞると、雅がとろんとした目で小さく頷いた。
「はい、ほんなら……多少は痛くても……」
この人は私を愛してくれる。
この人は私を幸せにしてくれる。
初めの下りは兎も角、宗一郎が自分に優しくしてくれると分かってからは雅は夫になる年下の少年を信頼しようとしていた。
「なら……俺を受け入れてくれるね?」
宗一郎がゆっくりと浴衣の帯を解いてあわせを開くと、そこには十八歳にしては鍛え抜かれた胸板と腹筋があり、下着はつけていなかった。
「入浴の後に晩酌をしながら君を待っている時間はわくわくしたよ。やっと待ち望んだ俺の妻が来ると思っていたんだから」
「……優しゅうして……」
かすれてしまいそうな雅の声に、宗一郎は艶然と微笑んでみせる。
「妻を悦ばせるのが夫の役目だよ。けれど、先ほども言った様に少し痛いかもしれない。十分濡らしたつもりだけれど、それは覚悟しておいて」
「はい」
宗一郎の髪と同じ色素の薄い毛の下、ぎんぎんにいきり立ったものは年齢不相応に立派だ。汁が滲み出てしまっている先端を雅の柔らかな肉にぬるぬるとこすりつけると、雅が鼻にかかった甘い声を出す。
さっきのは初めて味わう感覚だったけれど、とても気持ちよかった。
宗一郎は少し痛いと言っているけれど、これからもたらされるものもきっと甘美な痛みに違いない。
いつの間にか、真田が同じ部屋にいる事への羞恥心は薄れていた。何よりも目の前の宗一郎が自分の体に呼び覚ましてくれる、味わった事のない快楽に夢中になっていて、内心はしたないと思いながらもこれは夫婦になる為の大切な儀式なのだと雅は自分に言い聞かせていた。
くぷ……
とろとろに濡れた雅の秘所を何度か往復した宗一郎のこわばりが小さな孔に宛がわれ、小さな音がすると雅の胸は期待と不安と少しの恐怖で早鐘を打つ。
「入れるよ」
宗一郎が雅の体の側に手をつき、肉棒に手を添えて角度を調整してからゆっくりと押し込んでいった。
肉棒が小さな入り口から侵入して愛液が纏わりついてぬるぬるした隘路を前後しながら侵入していくと、雅が大きな声を上げる。
「んぃっ」
それまでうっとりとした表情をしていた雅がびっくりした様に大きな目を見開き、体を浮かしかける。が、その細い肩を宗一郎の手に押さえつけられ、腰が更に進んでゆくと耐え切れずに悲鳴を上げる。
「痛い! 痛い! ほんまに痛い! やめて!」
「みや、堪えて」
雅の顔中に宗一郎が優しく唇を降らせ、手は少しでも彼女の負担が減るように優しく髪を撫でたり体を愛撫したり優しく胸をさすり、肉棒が根本まで埋まってしまってからはじっと動かずに雅への奉仕を続けていた。
下腹部を襲う鈍い激痛に暫く雅は苦悶の表情を浮かべて目尻に涙を浮かべていたが、宗一郎の愛情を感じてその表情は少しずつ和らいでいく。
「まだ痛い?」
宗一郎が優しい。
雅の大きな目に浮かんだ涙を宗一郎がちゅっと舐め取り、優しくキスをしながらまろい乳房を揉み、空いた片手は細身の体をさわさわと愛撫し続ける。
「……痛い。……けど、宗一郎が優しゅうしてくれはるさかい……」
「本当は動いて君の中に子種を植えつけたいけれど、君が痛そうにするのは見たくないから自重するよ」
宗一郎の優しさに思わず胸がきゅうんとしてしまう。
「ええよ。……動いてええよ。もぉ痛いの慣れてきたし、男の人はこうして動いたらきっと気持ちええんやろ?」
「いいのかい?」
宗一郎の手が優しく雅の頬を包み込み、琥珀色の目が雅の黒い眼を覗き込んでくる。
「ええよ。宗一郎は私の旦那様やもん。その……ゆくゆくは子作りもせなあかんし、宗一郎の好きにしてええよ」
雅が健気に微笑んでみせると宗一郎が「分かった」と返事をし、甘く微笑んで雅の目蓋に唇を落としてからゆっくりと腰を動かし始めた。
「んんっ……、んっ、……ぅっ」
摩擦が起こるとやはり刺激に慣れていない雅の膣は酷く痛む。
「痛い?」
「んぅっ、うっ、……ぁっ、……そ、宗一郎は、き、気持ちええの?」
「気持ちいいよ、凄く。狭くてぎゅうぎゅう締め付けてきて……、ぁ」
宗一郎が腰を動かして膣が摩擦される度に雅の下半身はずぐずぐと酷い痛みに襲われるが、それでも自分の上になっている宗一郎が気持ち良さそうな声を出してくれるのが嬉しいという気持ちになり、額に小さな汗の玉を浮かべながら雅は小さく微笑んでみせる。
「宗一郎が……っ、ん、ぁ、ぃ、気持ちええんなら、私はええよ」
宗一郎の背中に両手をまわし、ぎゅうっと力を込めると薄い浴衣越しに宗一郎の背中が感じられる。そんな雅が健気に思えたのだろうか、宗一郎が覆い被さってきて甘く唇を併せながらゆっくり動き、雅は下半身の痛みに耐えながらも気持ちだけはうっとりとしたまま、宗一郎を受け入れ続けた。
「そろそろ……、出す、よ」
宗一郎が雅の体の両側に手をつき、難しい顔をしながら腰の動きを速める。
痛い。
「んっ、ぁ、あ、……ぁっ、……っ」
「……っ、ぁ」
ぐっと宗一郎の肉棒が雅の最奥をついて腰の動きがとまり、宗一郎が精を吐き出した。
「ん……」
腹の奥で何かがどくん、どくん、と脈打っているのを感じて雅の体に悦びが走ると、ぎゅうっと宗一郎を抱き締める。この初夜で宗一郎の子を儲けられたらどれだけいいだろう。はじめてを捧げた日に授かった子供だと思えば、こんなに喜ばしい事はない。
はぁっ、と宗一郎が雅の耳元で止めていた息を吐き出し、暫く熱い吐息を耳元で繰り返していた。
「中で沢山出したよ」
そのまま宗一郎が涼やかな声で雅の耳元で囁くと、その言葉に雅が恥らって顔を赤くして汗の浮いた顔でほにゃりと微笑んでみせた。
「こ……こども、元気な、子供出来たらええなぁ」
「そうだね」
挿入したまま宗一郎が雅を抱き締めてベッドに転がり、ふーっと長い息を吐いてから思い出した様に口を開く。
「君のご両親やご家族、家や一族については安心して。こちらの家が望んで君を差し出すように言ったんだからね、それぐらいの保証はする」
「はい」
急に現実的な話を持ち出され、雅の顔に少々の緊張が戻った。
「真田、見守ったのなら和館での宴が終わった後に父に報告を」
「かしこまりました。それでは失礼致します」
終始姿勢を崩さずに二人の初夜を見守っていた真田は、そこで初めて慇懃に頭を下げると静かに宗一郎の部屋を出て行った。
やっと二人きりになって雅の気がかりがなくなり、ふっと体の力が抜けると宗一郎が身動きして高ぶりの収まったものをずるりと雅の中から引き抜いた。白い糸が淫靡に橋をつくり、中で沢山出されたのか少し拡がった雅の孔から白いものが一緒にはみ出てくる。精液や雅が尻をついていたシーツには、僅かに体液に混じって破瓜の血が混じっていた。
浴衣を羽織ったままの宗一郎が起き上がって壁にもたれかかると、真田がいなくなってホッとした雅も、もそもそと起き上がってベッドの上に正座をし、宗一郎に向かって丁寧に三つ指をつく。
「あの……不束者どすが、どうぞよろしゅうおたの申します。良妻賢母を目指しますさかい」
「俺こそ宜しくね。君の事は俺なりに可愛がるよ。ただ――君の事を好きにはならない」
「え?」
宗一郎が言っている事を理解するのが一瞬遅れた。
何を言っているのだろう?
今までと変わらない優しそうな笑みを浮かべたままで。
「あの……もっぺん……言うてはる事がよく……」
「ハッキリ言おうか? 俺は君を憎んでいる」
どうしてそんな事を言うの?
今までと変わらない綺麗な笑顔のままで。
雅の背中に氷が入れられた様なひやりとしたものがはしり、何か言おうとしたが言葉は何も上手い形をとって口から出てこようとはしなかった。
のろのろと思考を巡らせようとしても、散々優しくされた後に言われた言葉がガンと頭を殴られた様なショックをもたらし、何も上手く考えられない。
そうして、雅が京都からはるばる東京まで嫁いでの初日が終わろうとし、彼女の九条西家での生活が始まる。
宗一郎の顔が優しいキスを繰り返しながら段々と体の下におりてゆき、胸や腰、太腿に執拗に吸い付いて赤い跡を残してから、先ほどから暴かれたままになっている雅の秘部に近付いてゆく。
「少し……濡れてきているね」
柔らかな肉の裂け目の奥に透明なぬるつきを見て宗一郎が満足そうに呟き、黒い茂みをしょりしょりと撫でた。
「あのっ……、はずかしい……」
「君は『恥ずかしい』ばかりだね。これから気持ちよくしてあげるから、次から口を開く時は『気持ちいい』って言ってご覧?」
「やけど……はずかしいし……こわい……」
震える声で答える雅の細い脚は内股気味になっている。それでも、宗一郎に対して身も心も捧げようという気持ちになってからは、自分の意思で脚を開こうとしているものの、やはり恥ずかしくて膝頭がくっついてしまいそうになっていた。
「大丈夫。噛み付いたりしないから」
宗一郎の指先が花びらを守るふっくらとした肉を撫でると、きゅっと雅の体が緊張して締まってしまう。
「体の力を抜いて」
そう囁いて宗一郎の手が雅の太腿を優しく撫で、時折指先で先ほどつけたキスマークの跡をなぞってゆく。
「あの……あの、舐め、る、……の?」
「そうだよ。気持ちよくなって」
その言葉の後に、柔らかい唇が雅の一番敏感な場所を優しくついばんできた。
「ひんっ」
情けない声が出て、羞恥でじわぁっと顔が熱くなってくる。ちらっと真田を見れば、変わらずにドアの前で銅像の様に立っていた。それでも見られていると思うと恥ずかしくて堪らず、雅は顔を壁側に背けてしまう。
ぴちゃ……
宗一郎の肉厚な舌が雅の秘部を這い回り、たっぷりと唾液をまとわりつかせたそれが雅の体の内側に火をつけ、快楽を呼び覚ましてゆく。
「んっ……、ん、ぅ」
舌がぬるぬると花びらを上下し、雅が一番触れられたくないと思っている窄まった孔までも舐め尽くす。
「いやぁ、いやや……っ、そないな所、舐めんといてぇ」
宗一郎の舌が動く度にぴちゃぴちゃと淫靡な音がし、雅の体がむずむずしてしまう。思わず腰が浮きかけると、宗一郎の大きな手がぐっと脚の付け根を押さえつけた。
「美味しいよ、みや」
じゅっ じゅるるっ
「いやあああっっ!」
自分の恥部からたてられる恥ずかしい音に雅が両手で顔を覆ってしまい、羞恥の為に耳まで真っ赤になってしまっている。挙句、首や胸元までが薄く薔薇色に染まっていた。
宗一郎がわざと唇を震わせて愛液を啜ると、その振動が敏感な場所に伝わってしまい、結果次々ととめどなく愛液が漏れてくる。おまけに宗一郎の鼻先がさやに隠された肉色の真珠を刺激し、雅の下半身はきゅんきゅんとした切なさに襲われて泣き出したくなっていた。
「あのっ……、あのっ……、おねがっ、ぃ、やぁぁぁぁっっ」
仕上げとばかりに宗一郎が唇で柔らかく雅の肉芽を包み込むと、前歯で優しく包皮を剥いて中の真珠を軽く噛み、舌先をちろちろと動かして刺激すると雅が「ひぃっ」と大きく息を吸い込んでから悲鳴をあげ、二十年の人生で初めて絶頂に達した。
「いやあああぁあぁああああぁぁああああぁああぁああっっっ!!」
それまで下腹部をじわじわと侵略していた妙な間隔が、一気に爆発した様な錯覚に陥り雅は未知の快楽に押し流されて泣き叫んだ。体の底からぶわっと何かが押し寄せ、気泡が抜けてゆく様に体を心地良い脱力感が支配してゆく。
ぐったりとベッドに身を横たえる雅の秘部との間に、宗一郎は舌先から淫靡な糸を引きながら顔を離すと、妖艶に笑って雅を見下ろす。
「気持ちよかった?」
「んっ……、ん、……ぅ、ふ……」
女性の快楽は男性の射精ほどにすぐには収まらない。
じんと体を包み込む心地良い間隔に浸されて、涙の溜まった目でぼんやりと宗一郎を見上げれば、雅のフィルターの中では彼はとても優しい微笑を浮かべていた。
「じゃあ、次は指を入れるよ。……と言いたいが、君の中に入れる初めてのものは俺のものにしたい。少々痛いかもしれないが、我慢出来るかい?」
うっとりとした表情のままの雅の体から余計な力が抜けているのを感じて満足そうに微笑み、宗一郎がそっと指先で雅の薔薇色に染まった頬を撫でる。
「……宗一郎と……一つになれるん?」
「そうだよ、一つになる事で俺達はちゃんと夫婦になれる」
優しい手が雅の頬をスルスルと撫で、親指がふっくらとした形のいい唇をなぞると、雅がとろんとした目で小さく頷いた。
「はい、ほんなら……多少は痛くても……」
この人は私を愛してくれる。
この人は私を幸せにしてくれる。
初めの下りは兎も角、宗一郎が自分に優しくしてくれると分かってからは雅は夫になる年下の少年を信頼しようとしていた。
「なら……俺を受け入れてくれるね?」
宗一郎がゆっくりと浴衣の帯を解いてあわせを開くと、そこには十八歳にしては鍛え抜かれた胸板と腹筋があり、下着はつけていなかった。
「入浴の後に晩酌をしながら君を待っている時間はわくわくしたよ。やっと待ち望んだ俺の妻が来ると思っていたんだから」
「……優しゅうして……」
かすれてしまいそうな雅の声に、宗一郎は艶然と微笑んでみせる。
「妻を悦ばせるのが夫の役目だよ。けれど、先ほども言った様に少し痛いかもしれない。十分濡らしたつもりだけれど、それは覚悟しておいて」
「はい」
宗一郎の髪と同じ色素の薄い毛の下、ぎんぎんにいきり立ったものは年齢不相応に立派だ。汁が滲み出てしまっている先端を雅の柔らかな肉にぬるぬるとこすりつけると、雅が鼻にかかった甘い声を出す。
さっきのは初めて味わう感覚だったけれど、とても気持ちよかった。
宗一郎は少し痛いと言っているけれど、これからもたらされるものもきっと甘美な痛みに違いない。
いつの間にか、真田が同じ部屋にいる事への羞恥心は薄れていた。何よりも目の前の宗一郎が自分の体に呼び覚ましてくれる、味わった事のない快楽に夢中になっていて、内心はしたないと思いながらもこれは夫婦になる為の大切な儀式なのだと雅は自分に言い聞かせていた。
くぷ……
とろとろに濡れた雅の秘所を何度か往復した宗一郎のこわばりが小さな孔に宛がわれ、小さな音がすると雅の胸は期待と不安と少しの恐怖で早鐘を打つ。
「入れるよ」
宗一郎が雅の体の側に手をつき、肉棒に手を添えて角度を調整してからゆっくりと押し込んでいった。
肉棒が小さな入り口から侵入して愛液が纏わりついてぬるぬるした隘路を前後しながら侵入していくと、雅が大きな声を上げる。
「んぃっ」
それまでうっとりとした表情をしていた雅がびっくりした様に大きな目を見開き、体を浮かしかける。が、その細い肩を宗一郎の手に押さえつけられ、腰が更に進んでゆくと耐え切れずに悲鳴を上げる。
「痛い! 痛い! ほんまに痛い! やめて!」
「みや、堪えて」
雅の顔中に宗一郎が優しく唇を降らせ、手は少しでも彼女の負担が減るように優しく髪を撫でたり体を愛撫したり優しく胸をさすり、肉棒が根本まで埋まってしまってからはじっと動かずに雅への奉仕を続けていた。
下腹部を襲う鈍い激痛に暫く雅は苦悶の表情を浮かべて目尻に涙を浮かべていたが、宗一郎の愛情を感じてその表情は少しずつ和らいでいく。
「まだ痛い?」
宗一郎が優しい。
雅の大きな目に浮かんだ涙を宗一郎がちゅっと舐め取り、優しくキスをしながらまろい乳房を揉み、空いた片手は細身の体をさわさわと愛撫し続ける。
「……痛い。……けど、宗一郎が優しゅうしてくれはるさかい……」
「本当は動いて君の中に子種を植えつけたいけれど、君が痛そうにするのは見たくないから自重するよ」
宗一郎の優しさに思わず胸がきゅうんとしてしまう。
「ええよ。……動いてええよ。もぉ痛いの慣れてきたし、男の人はこうして動いたらきっと気持ちええんやろ?」
「いいのかい?」
宗一郎の手が優しく雅の頬を包み込み、琥珀色の目が雅の黒い眼を覗き込んでくる。
「ええよ。宗一郎は私の旦那様やもん。その……ゆくゆくは子作りもせなあかんし、宗一郎の好きにしてええよ」
雅が健気に微笑んでみせると宗一郎が「分かった」と返事をし、甘く微笑んで雅の目蓋に唇を落としてからゆっくりと腰を動かし始めた。
「んんっ……、んっ、……ぅっ」
摩擦が起こるとやはり刺激に慣れていない雅の膣は酷く痛む。
「痛い?」
「んぅっ、うっ、……ぁっ、……そ、宗一郎は、き、気持ちええの?」
「気持ちいいよ、凄く。狭くてぎゅうぎゅう締め付けてきて……、ぁ」
宗一郎が腰を動かして膣が摩擦される度に雅の下半身はずぐずぐと酷い痛みに襲われるが、それでも自分の上になっている宗一郎が気持ち良さそうな声を出してくれるのが嬉しいという気持ちになり、額に小さな汗の玉を浮かべながら雅は小さく微笑んでみせる。
「宗一郎が……っ、ん、ぁ、ぃ、気持ちええんなら、私はええよ」
宗一郎の背中に両手をまわし、ぎゅうっと力を込めると薄い浴衣越しに宗一郎の背中が感じられる。そんな雅が健気に思えたのだろうか、宗一郎が覆い被さってきて甘く唇を併せながらゆっくり動き、雅は下半身の痛みに耐えながらも気持ちだけはうっとりとしたまま、宗一郎を受け入れ続けた。
「そろそろ……、出す、よ」
宗一郎が雅の体の両側に手をつき、難しい顔をしながら腰の動きを速める。
痛い。
「んっ、ぁ、あ、……ぁっ、……っ」
「……っ、ぁ」
ぐっと宗一郎の肉棒が雅の最奥をついて腰の動きがとまり、宗一郎が精を吐き出した。
「ん……」
腹の奥で何かがどくん、どくん、と脈打っているのを感じて雅の体に悦びが走ると、ぎゅうっと宗一郎を抱き締める。この初夜で宗一郎の子を儲けられたらどれだけいいだろう。はじめてを捧げた日に授かった子供だと思えば、こんなに喜ばしい事はない。
はぁっ、と宗一郎が雅の耳元で止めていた息を吐き出し、暫く熱い吐息を耳元で繰り返していた。
「中で沢山出したよ」
そのまま宗一郎が涼やかな声で雅の耳元で囁くと、その言葉に雅が恥らって顔を赤くして汗の浮いた顔でほにゃりと微笑んでみせた。
「こ……こども、元気な、子供出来たらええなぁ」
「そうだね」
挿入したまま宗一郎が雅を抱き締めてベッドに転がり、ふーっと長い息を吐いてから思い出した様に口を開く。
「君のご両親やご家族、家や一族については安心して。こちらの家が望んで君を差し出すように言ったんだからね、それぐらいの保証はする」
「はい」
急に現実的な話を持ち出され、雅の顔に少々の緊張が戻った。
「真田、見守ったのなら和館での宴が終わった後に父に報告を」
「かしこまりました。それでは失礼致します」
終始姿勢を崩さずに二人の初夜を見守っていた真田は、そこで初めて慇懃に頭を下げると静かに宗一郎の部屋を出て行った。
やっと二人きりになって雅の気がかりがなくなり、ふっと体の力が抜けると宗一郎が身動きして高ぶりの収まったものをずるりと雅の中から引き抜いた。白い糸が淫靡に橋をつくり、中で沢山出されたのか少し拡がった雅の孔から白いものが一緒にはみ出てくる。精液や雅が尻をついていたシーツには、僅かに体液に混じって破瓜の血が混じっていた。
浴衣を羽織ったままの宗一郎が起き上がって壁にもたれかかると、真田がいなくなってホッとした雅も、もそもそと起き上がってベッドの上に正座をし、宗一郎に向かって丁寧に三つ指をつく。
「あの……不束者どすが、どうぞよろしゅうおたの申します。良妻賢母を目指しますさかい」
「俺こそ宜しくね。君の事は俺なりに可愛がるよ。ただ――君の事を好きにはならない」
「え?」
宗一郎が言っている事を理解するのが一瞬遅れた。
何を言っているのだろう?
今までと変わらない優しそうな笑みを浮かべたままで。
「あの……もっぺん……言うてはる事がよく……」
「ハッキリ言おうか? 俺は君を憎んでいる」
どうしてそんな事を言うの?
今までと変わらない綺麗な笑顔のままで。
雅の背中に氷が入れられた様なひやりとしたものがはしり、何か言おうとしたが言葉は何も上手い形をとって口から出てこようとはしなかった。
のろのろと思考を巡らせようとしても、散々優しくされた後に言われた言葉がガンと頭を殴られた様なショックをもたらし、何も上手く考えられない。
そうして、雅が京都からはるばる東京まで嫁いでの初日が終わろうとし、彼女の九条西家での生活が始まる。
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