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お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ? その1
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十月三十一日。
この日、賑やかな声が響き渡る国は、世界中にたくさん存在するだろう。
目の前にある菓子に目を輝かせる子供。幻想世界の服に身を包み、ひと時だけ現実から逃れ笑う大人。
時に勝負をし、時に語り合い、時には酒を酌み交わす。
そんなハロウィーンという祭りを謳歌しようとする国が、ここ最近また一つ増えた。
これは、とある恋人達が紡ぐ菓子より甘美なひと時の記録。
休日の昼間、千優は自宅で何気なく雑誌に目を通していた。
「やーなーぎーちゃん」
不意に聞こえるのは上機嫌な声。反射的に顔をあげると、先程まで近くに座り、スマートフォンを弄っていたはずの國枝が目の前にたたずんでいる。
「……?」
そのまま小首を傾げれば、ニコニコと楽しげな笑みを浮かべる彼がその場にしゃがみ込んだ。
どうやら、床に座りこんでいる千優に視線を合わせようとしているらしい。
何気なく気遣ってくれる彼の優しさには、未だ慣れる気配すら無い。
「トリックオアトリート!」
己が恋愛初心者だという現実を突きつけられ、思わず落ち込みそうになるも、そんな千優の心は唐突に放たれた國枝の言葉に救い上げられる。
「……へっ?」
間抜けな声を発し見つめる先には、相変わらず満面の笑みを浮かべ、何故かこちらに両手を差し出す彼氏の姿。
「……?」
國枝が自分に対し、何かを求めている。それだけは理解した千優だったが、詳細について思い当たる節はない。
(トリック……オア、トリート?)
記憶を手繰り思い出すのは、つい先程耳にしたばかりの言葉だった。
トリック・オア・トリート――それは、ハロウィーンの日、子供達がよく口にするワードだ。
テレビ画面を通し、何度か海外で行われるイベントの様子を目にしたことがある。
最近では、日本にも浸透し始めていると聞くが、正直あまり興味は無い。
「……あ」
子供でもない國枝が、何故そんな言葉を口にしたのか。頭の中に疑問符を浮かべながら、千優はふと顔を上げ、壁に掛けてあったカレンダーへ視線を向ける。
十月三十一日。今日の日付を目にすれば、次第に彼女の中で途切れていた糸が次々と繋がっていく。
そのまま大きく目を見開き向けた視線の先では、ニコニコと笑っていたはずの笑顔が徐々に引きつったものへ変わっていた。
「あはは……。まぁ、柳ちゃんらしい、けど……」
「……っ!」
ぎこちなく笑う彼の言葉に呼応し、体温が一気に上昇する。そして、心臓を鷲掴みにされたかのような痛みを胸に感じた。
一瞬か、数秒か、呼吸を忘れそうになりながら、千優は激しい後悔に襲われる。
恋人にとってイベント事は重要な日だと、以前テレビで見た記憶がわずかながら彼女の中に残っていたからだ。
(國枝さんも……きっと、楽しみにしてたんだ)
思い出すのは、先程の笑みと無邪気に手を差し出す恋人の姿。
あの笑顔とイベント特有のセリフは、今日という日を楽しみにしていた証に違いない。
そんな彼に応えられなかった自分がひどく情けなかった。
初めて出来た恋人との時間は、常に胸を高鳴らせながらも、羞恥と驚きの連続だ。
慣れない事ばかりで困惑するしかない千優を、國枝はいつも優しく見守り、導いてくれる。
彼に甘えっぱなしな自分に、今はひどく腹が立つ。
(わ、私も、何かしなきゃ……!)
負の思考がループする悪い癖を発動しかけた瞬間、勢いよく頭を左右に振り思考の鎖を断ち切った。
「す、すみません! い、今から何か買ってきま……」
「だーめっ!」
「うわっ!」
近くにある店で菓子の一つや二つ買ってこれるだろうか。
頭を過るのは、自分なりに考えた精一杯の対処法。
無邪気にお菓子を強請る國枝を思い出しながら、千優は体の向きを変え、片膝を立て立ち上がろうと力を入れる。
しかし、軽く前かがみになり前方へ移動させた体重は、間髪入れず後方へ引き戻される。
耳元で聞こえる囁きと太い腕が邪魔をし、そのまま後ろへ倒れこむように彼女は尻もちをついた。
襲ってくるであろう衝撃や痛みに、覚悟を決め目を瞑るも、いつまで経ってもそれらを感じることは無い。
変わりに脳が認識するのは全身を包むぬくもり。それは、これまでに何度も感じてきたよく知る温度。
「それをしたら……は、ん、そ、く。クスッ」
「……っ!」
畳みかけるように、國枝の低い声と、どこか楽しそうな笑い声が続く。
千優はいまだこの低音に弱く、無意識に肩は上下し、身体が一瞬強張ってしまうのだ。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、國枝は度々この攻撃を繰り出してくる。
(反則って……それじゃあ一体、どうすれば……)
不意打ちの出来事に驚き、せっかく見つけた解決への糸口も閉ざされてしまった。
不慣れな状況に、頭の中は軽いパニック状態に陥ろうとしている。
「ちゅ……ん、……ふふっ」
あたふたと困惑する彼女を尻目に、國枝は一人楽しそうに、目の前にある柔らかな頬へ唇を落とした。
混乱する思考の切れ間、その感触に気づいた千優は、慌てて背後にいる彼の方をふり向く。
「國枝さん、からかわな……んんっ!」
そして勢いよく唇を開くも、怒りを滲ませた声は、重なり合った唇から彼の口内へ消えていった。
國枝の口づけは一瞬で終わることなく、じわじわと千優から様々なものを吸い取っていく。
首だけで後ろを向く体勢がだんだんと辛くなり、どうにか腕の拘束を解き逃げようとしたものの、彼女は未だ同じ場所に居る。
変わったことと言えば、背後からではなく、正面からキスされていること。そして、千優の抵抗が止んだことくらいだろう。
「ん……は、ぁ……っ、ふ」
「ちゅ、ん……はぁ」
一際熱い頬の熱を感じながら、口内を蠢く舌を受け入れようと必死になる。すると、口端から二人の間に雫が零れ落ちた。
互いを擦り合わせ、舐め取り、突く。徐々に白く染まる思考は、目の前にぶら下げられた快感を求め始める。
なんて厭らしいと心の片隅で思いながらも、止められそうにないと、どこか諦めにも似た想いを抱く。
(國枝さんは、狡い)
いつも一歩先を行き、一枚も二枚も上手な言動をする彼に、時折抱く感情。
國枝と過ごすすべての時は、千優にとって居心地の良すぎるぬるま湯に浸かっているようなものだ。
そんなことではいけないと、何度自らの意思で這い上がろうとしても、先程のように背後から伸びた腕に引き戻される。
「お菓子が無いなら……悪戯、な?」
ようやく離れた唇が、目の前で何やら言葉を紡ぐ。
その意味をぼんやりと理解しながら、千優は抱き寄せられるまま熱く硬い胸板に頬を寄せ目を閉じた。
(……あ、そうだ。昨日の夜、この前コンビニで買ったお菓子食べちゃったんだ)
ドクンドクンと力強い心音を聞きながら、ふと思い出した記憶。
何故今日まで食べずに我慢しなかったのかと、怒りを露わにする天使。
昨日のうちに食べておいてよかったなと、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる悪魔。
不意に頭の中で聞こえた二つの幻聴を気にしながら、千優は再び重なり合う唇の熱にその身を焦がす。
この日、賑やかな声が響き渡る国は、世界中にたくさん存在するだろう。
目の前にある菓子に目を輝かせる子供。幻想世界の服に身を包み、ひと時だけ現実から逃れ笑う大人。
時に勝負をし、時に語り合い、時には酒を酌み交わす。
そんなハロウィーンという祭りを謳歌しようとする国が、ここ最近また一つ増えた。
これは、とある恋人達が紡ぐ菓子より甘美なひと時の記録。
休日の昼間、千優は自宅で何気なく雑誌に目を通していた。
「やーなーぎーちゃん」
不意に聞こえるのは上機嫌な声。反射的に顔をあげると、先程まで近くに座り、スマートフォンを弄っていたはずの國枝が目の前にたたずんでいる。
「……?」
そのまま小首を傾げれば、ニコニコと楽しげな笑みを浮かべる彼がその場にしゃがみ込んだ。
どうやら、床に座りこんでいる千優に視線を合わせようとしているらしい。
何気なく気遣ってくれる彼の優しさには、未だ慣れる気配すら無い。
「トリックオアトリート!」
己が恋愛初心者だという現実を突きつけられ、思わず落ち込みそうになるも、そんな千優の心は唐突に放たれた國枝の言葉に救い上げられる。
「……へっ?」
間抜けな声を発し見つめる先には、相変わらず満面の笑みを浮かべ、何故かこちらに両手を差し出す彼氏の姿。
「……?」
國枝が自分に対し、何かを求めている。それだけは理解した千優だったが、詳細について思い当たる節はない。
(トリック……オア、トリート?)
記憶を手繰り思い出すのは、つい先程耳にしたばかりの言葉だった。
トリック・オア・トリート――それは、ハロウィーンの日、子供達がよく口にするワードだ。
テレビ画面を通し、何度か海外で行われるイベントの様子を目にしたことがある。
最近では、日本にも浸透し始めていると聞くが、正直あまり興味は無い。
「……あ」
子供でもない國枝が、何故そんな言葉を口にしたのか。頭の中に疑問符を浮かべながら、千優はふと顔を上げ、壁に掛けてあったカレンダーへ視線を向ける。
十月三十一日。今日の日付を目にすれば、次第に彼女の中で途切れていた糸が次々と繋がっていく。
そのまま大きく目を見開き向けた視線の先では、ニコニコと笑っていたはずの笑顔が徐々に引きつったものへ変わっていた。
「あはは……。まぁ、柳ちゃんらしい、けど……」
「……っ!」
ぎこちなく笑う彼の言葉に呼応し、体温が一気に上昇する。そして、心臓を鷲掴みにされたかのような痛みを胸に感じた。
一瞬か、数秒か、呼吸を忘れそうになりながら、千優は激しい後悔に襲われる。
恋人にとってイベント事は重要な日だと、以前テレビで見た記憶がわずかながら彼女の中に残っていたからだ。
(國枝さんも……きっと、楽しみにしてたんだ)
思い出すのは、先程の笑みと無邪気に手を差し出す恋人の姿。
あの笑顔とイベント特有のセリフは、今日という日を楽しみにしていた証に違いない。
そんな彼に応えられなかった自分がひどく情けなかった。
初めて出来た恋人との時間は、常に胸を高鳴らせながらも、羞恥と驚きの連続だ。
慣れない事ばかりで困惑するしかない千優を、國枝はいつも優しく見守り、導いてくれる。
彼に甘えっぱなしな自分に、今はひどく腹が立つ。
(わ、私も、何かしなきゃ……!)
負の思考がループする悪い癖を発動しかけた瞬間、勢いよく頭を左右に振り思考の鎖を断ち切った。
「す、すみません! い、今から何か買ってきま……」
「だーめっ!」
「うわっ!」
近くにある店で菓子の一つや二つ買ってこれるだろうか。
頭を過るのは、自分なりに考えた精一杯の対処法。
無邪気にお菓子を強請る國枝を思い出しながら、千優は体の向きを変え、片膝を立て立ち上がろうと力を入れる。
しかし、軽く前かがみになり前方へ移動させた体重は、間髪入れず後方へ引き戻される。
耳元で聞こえる囁きと太い腕が邪魔をし、そのまま後ろへ倒れこむように彼女は尻もちをついた。
襲ってくるであろう衝撃や痛みに、覚悟を決め目を瞑るも、いつまで経ってもそれらを感じることは無い。
変わりに脳が認識するのは全身を包むぬくもり。それは、これまでに何度も感じてきたよく知る温度。
「それをしたら……は、ん、そ、く。クスッ」
「……っ!」
畳みかけるように、國枝の低い声と、どこか楽しそうな笑い声が続く。
千優はいまだこの低音に弱く、無意識に肩は上下し、身体が一瞬強張ってしまうのだ。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、國枝は度々この攻撃を繰り出してくる。
(反則って……それじゃあ一体、どうすれば……)
不意打ちの出来事に驚き、せっかく見つけた解決への糸口も閉ざされてしまった。
不慣れな状況に、頭の中は軽いパニック状態に陥ろうとしている。
「ちゅ……ん、……ふふっ」
あたふたと困惑する彼女を尻目に、國枝は一人楽しそうに、目の前にある柔らかな頬へ唇を落とした。
混乱する思考の切れ間、その感触に気づいた千優は、慌てて背後にいる彼の方をふり向く。
「國枝さん、からかわな……んんっ!」
そして勢いよく唇を開くも、怒りを滲ませた声は、重なり合った唇から彼の口内へ消えていった。
國枝の口づけは一瞬で終わることなく、じわじわと千優から様々なものを吸い取っていく。
首だけで後ろを向く体勢がだんだんと辛くなり、どうにか腕の拘束を解き逃げようとしたものの、彼女は未だ同じ場所に居る。
変わったことと言えば、背後からではなく、正面からキスされていること。そして、千優の抵抗が止んだことくらいだろう。
「ん……は、ぁ……っ、ふ」
「ちゅ、ん……はぁ」
一際熱い頬の熱を感じながら、口内を蠢く舌を受け入れようと必死になる。すると、口端から二人の間に雫が零れ落ちた。
互いを擦り合わせ、舐め取り、突く。徐々に白く染まる思考は、目の前にぶら下げられた快感を求め始める。
なんて厭らしいと心の片隅で思いながらも、止められそうにないと、どこか諦めにも似た想いを抱く。
(國枝さんは、狡い)
いつも一歩先を行き、一枚も二枚も上手な言動をする彼に、時折抱く感情。
國枝と過ごすすべての時は、千優にとって居心地の良すぎるぬるま湯に浸かっているようなものだ。
そんなことではいけないと、何度自らの意思で這い上がろうとしても、先程のように背後から伸びた腕に引き戻される。
「お菓子が無いなら……悪戯、な?」
ようやく離れた唇が、目の前で何やら言葉を紡ぐ。
その意味をぼんやりと理解しながら、千優は抱き寄せられるまま熱く硬い胸板に頬を寄せ目を閉じた。
(……あ、そうだ。昨日の夜、この前コンビニで買ったお菓子食べちゃったんだ)
ドクンドクンと力強い心音を聞きながら、ふと思い出した記憶。
何故今日まで食べずに我慢しなかったのかと、怒りを露わにする天使。
昨日のうちに食べておいてよかったなと、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる悪魔。
不意に頭の中で聞こえた二つの幻聴を気にしながら、千優は再び重なり合う唇の熱にその身を焦がす。
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