愛を知らない新妻は極上の愛に戸惑い溺れる

雪宮凛

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第二章

29:互いを求める熱情★

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 いつもなら滅多にしない甘え方が、無自覚の嫉妬からくるものと知ったメリッサは、一転して元通りの恥ずかしがり屋に戻ってしまう。
 一方のガヴェインは、初めて妻から嫉妬されたことが嬉しくてたまらない様だ。
 チュッチュと、絶え間なくメリッサの顔へ降り注ぐキスの雨が止む気配は一切無い。

「っ、は……ん、ぁ……ガ、ガヴェイン、さま……すこし……少しだけ、お待ちに、なって」

 キスの合間に、途切れ途切れながら声を出すメリッサの願いをガヴェインは聞き入れ、ようやく二人の唇が離れていく。
 物足りなさそうなガヴェインの表情を気に掛ける余裕は無く、メリッサは乱れた呼吸を整えようと、夫の腕の中で深呼吸を繰り返した。

「さっきのようには、呼んでくれないのか?」

「……んっ!」

 キスを中断されたこと以外にもまだ不満はあったのか、メリッサを見つめるガヴェインの指先がヌッと唾液でテカった小さな唇へのびる。
 そのまま唇を上下から摘ままれたメリッサは、突然のことに驚きを隠せず戸惑うばかりだ。
 何をするんだと言いたげに「ん! ん!」と声を上げると、あっさり唇は解放される。
 ガヴェインはそのまま、メリッサの唇を摘まんでいた指を自らの口元へ持って行き、ぺろりとそれを舐めた。
 まるでこちらを煽るような夫の行動に、思わず目を見開き、みるみる顔が熱くなっていく。
 ガヴェインはそんな妻を見て何を思ったのか、一度離した顔を再び急接近させていく。
 そのまま、ガヴェインの唇はメリッサの口元を通り過ぎ、彼女の耳元へ向かった。

「もう一度呼んでくれ、ガヴェインと」

 耳元で聞こえる極上の甘い囁きに、メリッサの身体は無意識に震える。
 身体の奥、丁度子宮のあたりに響く声を聞き、蜜壺からコポリと愛液が零れていく。
 未だ恥ずかしがり屋なメリッサの戸惑いとは正反対に、毎夜の性活ですっかり淫らにつくり変えられた彼女の身体は、夫の甘い囁き一つで蜜を零し、胸の先端にある赤い蕾をぷっくり膨らませせ始めた。





 キスの合間に、夜着も下着も脱がされてしまったメリッサは、ベッドの上で素肌を晒す。
 薄暗い部屋の中、ランプに照らされる妻の裸体を前に、ガヴェインはゴクリと喉を鳴らし、自分もいそいそと服を脱ぎ捨てていった。

「メリッサをこれ以上疲れさせるわけにはいかないからな。今日は、挿入れずに気持ちよくなるか」

「……?」

 メリッサは最初、ガヴェインが何を言っているのか、よくわからなかった。
 だが、質問を投げかけるより先にまた唇を塞がれてしまったせいで、声を出すことすら叶わなくなっていった。



 色ごとに関して無知すぎるメリッサが、ガヴェインが呟いた言葉の意味を知ったのは、それからしばらく経った後だ。
 薄暗い部屋の中に、ヌチヌチと粘着質な音と、パンパンと肌と肌がぶつかる音が響く。

「あっ、あっ、ああっ! ガヴェイン、さま……」

「はあ、はあ、メリッサ……もう少し、我慢してくれ。うぅっ!」

 ベッドの上に半分崩れ落ちるようにうつ伏せになったメリッサ。
 わずかに隙間のあいた太ももの間に擦りつけられるのは、血管が浮き出る程に興奮しきったガヴェインの陰茎。
 プルプルと震えるメリッサのへそ辺りを突き上げる勢いで、太ももの間から亀頭が何度も顔を覗かせる。

 あれからメリッサは、ガヴェインに言われるまま、胸の下に敷いた枕に上半身を半分押し付けるように預け、ベッドの上に四つん這いになった。
 それはまるで四足歩行をする獣を思い起こさせる。
 愛する夫の目の前に、無防備にお尻を突き出すという恥ずかしさしかない体勢に困惑するメリッサを他所に、ガヴェインは即彼女の華奢な背中を自分の身体で隠し、覆いかぶさる。
 勃起し始めた陰茎を妻の脚の間に半ばねじ込むように挿入れてからのガヴェインは、自分の中で暴れる欲望と闘いながら、快感を求めメリッサの柔肌に腰を打ちつけていた。

 ガヴェインが思いついたのは、いわゆる素股。
 一度メリッサの膣内を味わってしまえば、抑えが利かなくなると思っての選択だった。
 あまり妻に負担をかけないように、手早く終わらせようと、ガヴェインの腰使いはだんだん大胆に、そして激しくなっていく。
 しかし、妻を気遣う夫の気持ちとは裏腹に、メリッサはこれまで味わったことのない感覚に襲われていた。

「ひゃああっ!」

 ガヴェインが昂った欲を太ももに擦りつけるたび、メリッサは断続的に小さく喘ぎ続けた。
 そして時折、一際大きな嬌声をあげながら、彼女は沸騰しそうな程熱くなった顔を、胸元に敷いた枕の縁に押し付け熱を逃がす。
 無防備に晒された蜜口から止めどなく零れていく愛液と、夫の亀頭を濡らす先走りが混ざり合い、今日もベッドシーツに染みを作っていく。
 パンパンとガヴェインが腰を打ちつけると、時折その先端がメリッサの秘部に擦っていく。
 正確に言えば、すっかり興奮しきってぷっくりと膨らんだ秘豆だ。
 亀頭と秘豆が擦れ合うたび、何とも言い難い快感がうまれ、二人をより一層興奮させる。

「はあ、はあ……さまっ、ガヴェイン、様」

「……っ、あ……なん、だ?」

「ぁ、う……お腹が、お腹が、熱いのですっ」

 更なる快感を無意識に求めるメリッサの口から、懇願の声が漏れた。
 お腹の奥、丁度子宮のあたりが疼く感覚を、彼女はよく知っていた。
 連日ガヴェインと身体を重ね、彼の昂った欲を受け入れた後に発生するモノだ。
 絶頂間近に起きるこの感覚を鎮めてくれるものを、彼女は一つしか知らない。

「いつもの、ように……してくださいませ。私の、ナカに、挿入れてください……ガヴェイン」

 息も絶え絶えになりながら、メリッサは真っ赤に染まった顔を半分枕に押し付けるようにしてあげ、自分の背後にいる夫を見上げた。
 そしてガヴェインを誘うように、白く張りのあるお尻を振り、張りつめた剛直を挟む太ももにキュッと力を込めていく。

「……っ!」

 気だるさと色気を無意識にまき散らす妻の行動を直視したガヴェインは、思わぬ衝撃に一瞬呼吸を忘れ見入ってしまった。
 その瞬間、これまで必死に留めてきた理性は呆気なく消え去り、ガシっと淫らに揺れる妻の腰を掴む。

「後で泣いても知らないからな……っ!」

 まるでそれは、芳醇な香りを漂わせる蜜に誘われ、美しい花にとまる蝶のよう。
 ガヴェインは興奮しきった声色を隠さず叫び、本能のままに濡れそぼったナカへ男根をねじ込んだ。

「あ、あああっ!」

 待ちわびた激しい熱が、口寂しそうに蜜をダラダラ垂らしていたそこを塞いでいく。
 不意を突いて襲い掛かる衝撃に、メリッサは一瞬身体を強張らせた。
 しかし、衝撃をはるかに上回る快感が全身に巡っていけば、あっという間に快楽の鎖に囚われていく。



 その晩、二人は揃って快楽の波に溺れ、いつも以上に激しく熱い夜を過ごした。
 可愛い新妻の嫉妬が引き金となった一夜の代償は、朝早くからのカインによるお説教。
 カインから大目玉を喰らうガヴェインの姿に、メリッサは戸惑うしかなかった。
 すっかり枯れ果てた声で、二人の名をボソボソ呟く姿を目にし、カインのお説教がヒートアップすることなど、彼女は知らない。
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