愛を知らない新妻は極上の愛に戸惑い溺れる

雪宮凛

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第一章 噂の新妻は純粋無垢天使

07:お願いだから呼び捨てて★

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 嫁いできた日の夜、メリッサは初めて口づけを経験し、その心地よさとむず痒い胸の疼きを知った。
 初めてのそれは、唇を合わせるだけの幼いキス。
 だけどそれは、無意識に不安を表情に滲ませた新妻を気遣う夫の優しさだったと、最近わかってきた気がする。
 現に今となっては、もう唇を合わせるだけの子供じみたキスでは、満足出来ない身体に作り替えられてしまったのだから。



 相手の唇に吸いつくようなリップ音を立て、更なる熱を求めるように舌先がコンコンと固く閉じたそこをノックする。
 わずかに気が緩んで開いた隙を逃がさないと、ガヴェインの蠢く熱はメリッサの口内に易々と侵入していく。
 我が物顔で妻の口内を荒らすそれは、時に強引に、時に甘く、時にじれったくメリッサの快感と欲情を募らせていった。

「ガヴェ……ン、さまっ、今日は……はあ、今日は、いけません」

「んっ、ちゅ……どうしてだ?」

 ベッドの上で、夫ガヴェインの太ももに跨るメリッサは、新鮮な酸素を求めるように唇を離し、嫌々とささやかに首を左右に振る。
 妻の反応に小首を傾げたガヴェインの舌が、羞恥の熱でほんのり赤く染まった可愛らしい耳を標的に定めた。
 一度パクリと全体を口の中へおさめた後、軟骨に沿い舌を這わせていく。
 執拗な口づけですっかり欲情した身体には、耳への小さな刺激だけさえ効果的で、塞ぐものが消えたメリッサの口から嬌声が零れる。

「きょ、ぉは……お客さま、が……んっ」

 すっかりガヴェインに開発された身体が、まだ緩やかながら快楽の波に飲みこまれかけているのが分かる。
 そんな状況にも関わらず、メリッサの脳裏にちらつくのは、先程まで食事を共にしていたミカエルの顔だ。

「……っ、大丈夫だ。客室とここは離れている。メリッサがいくら声を出しても、俺以外、誰も聞きやしない」

 恥ずかしがってばかりな妻の言葉に、ガヴェインはクスリと笑い、おもむろに骨太な指をメリッサの秘部を覆う下着の中へ滑り込ませる。
 すると、少しカサついた指先は、すでに役目を果たしていない下着の中でモゾモゾと動き、愛液でぐっしょりと濡れた小さな芽を的確に擦った。

「ひゃあっ!」

 思ってもみなかった刺激に、メリッサは一際大きく身体を震わせる。
 新たな刺激は更なる快感へ変わって、彼女の蜜壺からコポッと、新しい蜜を溢れさせた。

「こんなに濡らして。もう我慢出来ないだろう? ミカエルのことなど気にせず、素直になればいい。いつもと同じだ――」

 そう言ってガヴェインは、愛液で湿った指で顔を出したばかりの芽を弾き、たたみかけるように、愛しいメリッサの白い首筋に甘く歯を立てた。





 仲睦まじい話し声に溢れていた寝室内が、いつの間にか激しい口付けが生み出す水音に侵食され、今ではそこに二人分の荒く熱い吐息まで混ざりだす。

「あああっ」

 荒々しく膣内を突き上げる夫の欲。メリッサの膣内の奥にある部屋――子宮を目指し突き進む昂りが生む快感に、我慢が利かず果てた。

「うっ、はあ」

 すかさず後を追うようにガヴェインも達し、ナカへ白い欲が勢いよく吐き出される。
 達する瞬間、互いに相手の背中に回した腕に無意識にこめた力が、絶頂後の解放感にも似た感覚と共に抜けていくのがわかった。

「…………」

 そのまま全身から力が抜けていくのを感じて、メリッサはポスっと目の前の胸板へ倒れ込む。
 じんわり汗ばむ胸板に、火照った頬を押し付けるように頭を預けながら、毎夜感じる恥ずかしくも幸福なひと時に、つい顔が緩んだ。

 しばらくすると、優しく髪を梳くように撫でる大きな手の感触に気付き、先程までとは打って変わって穏やかに流れる時間と、自分を抱き留めてくれる夫に身を任せる。

(……今日は、なんだか)

 そんな幸せな中で、メリッサはふと疑問を抱いた。
 不思議と、今日の求め方は激しかったな、と。

 ガツガツ求められることは、初めてではない。
 これまで、メリッサが体調を崩したり、月のモノが来ている間、無理にガヴェインから求められたことは一度も無かった。
 その間夫は、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたり、毎晩添い寝をしてくれる。いつもとはまた違った夜を二人は過ごしている。
 だけど、その禁欲期間の反動が、元気になったメリッサを毎回襲うのだ。

 月のモノはこの前終わったばかりだし、ここ数日体調を崩した記憶も無いのに、何故?

 なんて内心首を傾げながら、ここは直接聞いた方がいいのかとメリッサは思い悩む。
 その時、スッと頬に触れる指に気付いて顔を上げれば、クスリとほほ笑む夫と目が合った。

「ガヴェイン様」

 まだ力が戻りきらない上半身を動かし、自分にはない筋肉がついた胸板から、太く男らしい首元に顔を寄せる。
 甘えるメリッサの鼻をくすぐるのは、目の前にある首筋と耳元からほのかに香る、夫の一際濃い汗の匂いだ。
 甘えるついでに、こっそりその匂いを嗅ぐのを楽しみにしているメリッサが、うっとりしながらまた目を閉じようとする。

「ガヴェイン」

「……はい?」

 だけど、目を閉じかけた瞬間、夫の声に意識が引き戻された。
 どうしたのかと思って、ガヴェインの顔を見上げると、相変わらず彼は妻である自分を見つめていた。

「そろそろ、呼び捨てで呼んでくれないか? 俺たちは、もう立派な夫婦になれた……ガヴェイン様と慕われるように呼ばれるのも悪くないが。出来るなら……ガヴェインと、呼び捨てて欲しい」

 そう言った直後、彼の瞳に、一度果てたにも関わらず再び熱い炎が灯った気がした。





「あ、ああ、ガヴェ……さまっ」

「違うだろう? ほら、もう一回」

「あっあっ、あうっ!」

 一度達したことで余計敏感になった膣内を、ガヴェインは再び責め立てる。
 しかし、そこに一度目のような激しさは無く、じれったすぎる動きは、メリッサをやきもきさせた。
 ナカに残ったままの欲が、ガヴェインの動きに合わせグチョグチョと卑猥な音を奏でる。
 その音は一層メリッサの羞恥心を刺激し、彼女の顔を真っ赤に染めさせた。
 止めて欲しいと懇願しても止まらない律動に、メリッサは困惑しっぱなしだ。
 決定的な快感がいつまで経っても来ないじれったさに、心がどんどん急いていく。

「ガヴェイン。ほら、早く」

 わざとイイ所を外して腰を打ちつけながら、ガヴェインはメリッサに尚も呼び捨てを強請る。
 まるで、呼び捨てをしたら、イカせてやるとでも言うように。

 そんな声を聞きながら、メリッサは一人葛藤していた。
 はしたないとわかっているのに、早く彼が欲しいと、激しく自分を求めて欲しいと本能が叫んでいる。

「ガ、ガヴェ、イン」

 突然の呼び捨てはハードルが高すぎると、戸惑ってばかりだったメリッサが、ついに心の底から湧きだす欲望に負けた。
 しかしその声はか細く、所々つかえている。

「ん。もう一回」
 
 耳元で呟いたお陰なのか、一応聞こえていたらしい。
 それでも合格は貰えず、お仕置きとばかりにグンッとナカを突き上げられた。

「ああっ!」

 だけど、絶頂に達するまでの快楽は得られず、中途半端な快感は、メリッサの中で揺らぎ続ける欲を大きく刺激する。

「ガヴェイン、お願いします! 私、もう、もう……あああっ!」

 我慢が出来ない、と最後までは言えなかった。だが、精一杯声を張り上げる妻の必死な懇願はよく伝わったようで、すぐに強い快感と共に、激しく腰を打ちつけ肌と肌が勢いよくぶつかる音を耳が拾った。



「はあ……はぁ……」

 二度目の絶頂を迎え、本格的に疲れが出てきたメリッサが、ぐったりとガヴェインの胸に倒れ込む。
 もう、夫に甘え擦り寄る元気は無くなり、彼の胸の中で乱れた呼吸を整えるのが精いっぱいだ。
 そんな時、ふと小さく息を吸うガヴェインの呼吸が聞こえた気がする。
 そして次の瞬間――。

「いつまでも部屋の前に突っ立ってないで、入ってこい。二人共」

(……え?)

 いつも耳元で甘い言葉を囁く声と違う、命令口調な夫の声が聞こえた。
 しかし、その内容まで理解出来なかったメリッサは、背後から微かに聞こえたドアの開閉音に反応し、夫の身体にもたれたまま、だるさの残る身体に鞭を打って首を動かし後ろを向く。

 すると、視線の先に見知った顔を二つ見つけ、彼女は言葉を失い大きく目を見開く。
 家令のカインと、夫の友人ミカエルが、無言のまま室内へ入り、そっと部屋のドアを閉める姿が見えた。
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