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231話 調査(4)
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ルーイ先生から飛び出した問題発言のせいで雰囲気は最悪だ。俺たちの……レオン様の側近の中に危険人物がいるかもしれないだなんて。いくら先生でも看過できない発言だった。当然、レオン様がすぐに反論なさると思っていた。思っていたのに……
主は無言を貫いている。先生の言葉を肯定しているとも取れる態度。背中に嫌な汗が滲んだ。
「レオンさま……」
縋り付くような俺の声が届いたのだろうか。腕を組んで天井を見上げていたレオン様が大きく息を吐いた。張り詰めていた空気が僅かだが和らいだ。
「……どうやって切り出そうとかと迷っていたのに。さすが先生です」
ようやく発せられた主の言葉は、俺にとって受け入れ難いものだった。先生から指摘された内容が事実であると認めているようなものだったから。
信じられない。我々『とまり木』は王太子殿下に忠誠を誓った近衛部隊だぞ。主君を危険に晒すなんて……そんな真似するわけがない。
「この予想はあんまり当たって欲しくなかったなぁ」
先生はバツが悪そうに頬を掻いた。平然とレオン様の胸の内を暴いた風に見えたが、彼もまた自分の考えが否定されるのを期待していたのだ。
「レオン様……発言の許可を頂けますか?」
「ああ」
椅子に座っている主の側まで移動すると、俺は片膝を付いた。
「我々の隊は個の主張が強く、お世辞にも協調性に長けているとは言えません。それでも貴方様へ対する忠義だけは揺るぎないものであると自負しております。レオン様の御身を護ることを第一に掲げ、命尽きるまでお側でお仕えすると誓ったのです」
「うん。お前たちにはいつも助けられているな。感謝しているよ」
それならどうして……。やはり納得できないが、レオン様がなんの根拠もなくあのようなことを仰るはずがない。
「主を不安にさせ、猜疑心を抱かせてしまったのならそれは我々の不徳の致すところ。ですが、恐れながら私には思い当たる事由がないのです。何か……きっかけのようなものがあるのでしょうか。どうかお聞かせ下さい」
「…………」
レオン様がまた口を閉ざしてしまった。答え難い内容なのは分かっている。さっきもどうやって話を切り出そうかと迷っていたと仰ったのだ。レオン様らしくない歯切れの悪さは、隊の長である俺の反応を気にしているからだろう。もし本当に隊の中から主に害をなす者が出てきたとあれば、俺の監督不行き届きでもある。
「この部屋に来るまでに整理してきたはずなのに……いざ話し出すと上手くいかない」
「ここには俺とセディしかいないよ。体裁を繕う必要もないでしょ? ゆっくりでいいから、お前の抱えてる悩みを打ち明けてごらん」
「……ありがとうございます、ルーイ先生。
先生の言葉に後押しされたのか、レオン様の表情が緩んだ気がする。空気を読まないことも多々あれど、今この場に先生がいることがとても頼もしかった。先生は俺たちとは異なる目線で物事を判断してくれる。忖度のない意見やアドバイスをくださることを期待してしまう。それはきっとレオン様も――
「きっかけはユリウスが見つけたあるものからでした」
「ユリウスって誰だっけ? なんか聞いたことあるような無いような……」
「先生にはまだ直接紹介ができていませんでしたね。ユリウスは『とまり木』の隊員のひとりです。普段は市街地で生活をしていて王宮には滅多に訪れないのですが、事件の捜査に協力してもらうために呼び寄せたのです」
『ユリウス・アーネット』……自分勝手なヤツが多いうちの隊のなかでも抜きん出た個人主義者。医師としての腕は優秀であり、レオン様の命令には従っているので大目に見ていたが、まさかコイツが問題を起こしたのか。
「あぁ、思い出した。前に名前だけは教えて貰ってたね。お前の隊は全部で7人でまだ会えてないのが2人いたんだ」
「はい。島に滞在中に機会を見て挨拶をさせようと思っていましたが、ユリウスもクセが強い変わり者で……。優秀な医師ではあるんですけどね」
「ユリウスさんってお医者さんなんだね。俺に対してそこまで配慮する必要はないよ。挨拶なんて気が向いた時でいいから。お仕事優先で」
「恐れ入ります。ユリウスにはスコット・ブロウの死因について詳しく調べて貰ったのですが……その際に彼を殺めた犯人に繋がるかもしれない重要な手がかりを発見したのです」
釣り堀の管理人が変死した事件。犯人については様々な憶測が立っているが、現時点ではニュアージュの魔法使いが寄越したサークスの手にかけられたという線が濃厚だ。釣り堀で運悪くサークスと鉢合わせてしまい、巻き込まれたのではないかと……
レオン様は犯人に繋がる重要な手がかりが見つかったと仰った。想定されていた通り、サークスの仕業であるならこのような言い方はなさらないだろう。
サークスが犯人ではない。ユリウスは何を発見したというのだ。心臓が早鐘を打つ。話の続きを聞くのが怖い。
「現物は王宮で保管していますのでお見せできませんが……それは、被害者のスコットが手の中に握りしめていたのです」
ユリウスが検案の最中に見つけたのは、千切られた白い紙だという。白い紙と聞いて頭を過ったのはフラウムの葉だが、見つかった紙は厚みのあるしっかりとしたものでフラウムの葉とは全くの別物らしい。素手で破ろうと思えばそれなりに力がいるだろうが、普通の紙。
「無理やり引きちぎったような痕跡はあれど、紙自体には不審なところはありませんでした。ただの厚手の白い紙です」
「その紙切れが重要な手がかりなの? レオンはそれで何が分かったっていうのよ」
先生が俺の思っていることをすぐさま口にしてくれるので出番がない。俺は完全に聴き手に回り、おふたりのやり取りを眺めるだけになっていた。
「重要なのは、この紙と一緒に見つかったものなんです。紙にはバラの花弁が付着していました」
「バラの花弁……?」
「はい。そのバラのおかげで紙の正体はすぐに判明しました。花弁からは僅かに魔力の気配が漂っていたのです。それはとても身近で、俺がよく知っている方のものでした」
「……メーアレクトだな」
「ご明察。バラが纏っていたのはメーアレクト様の魔力……当然普通のバラではありません。王宮の温室で栽培されたもので間違いないでしょう」
温室のバラはメーアレクト様の力で管理されている。バラから女神の力を感じるのはそれが理由だろう。問題はなぜ持ち出し厳禁のバラをスコットが持っていたのかだ。
「紙切れは生簀の中からも複数発見されました。その全てに引き千切った跡があり、紙の素材も同じ。これらの紙片が元は1枚の紙であったと推測されます。花弁が付着していたのはスコットが握っていたものだけでしたが、中には文字が記されているものがあったのです。その文字も紙の正体を決定付ける重要な要因になりました」
女神のバラ、文字が記された厚手の紙……それらから導き出されるもの。俺の頭の中に浮かんでいるそれが正しいのならば紙の正体は――――
「スコットが握りしめていたのは、クレハが作ったメッセージカードです」
主は無言を貫いている。先生の言葉を肯定しているとも取れる態度。背中に嫌な汗が滲んだ。
「レオンさま……」
縋り付くような俺の声が届いたのだろうか。腕を組んで天井を見上げていたレオン様が大きく息を吐いた。張り詰めていた空気が僅かだが和らいだ。
「……どうやって切り出そうとかと迷っていたのに。さすが先生です」
ようやく発せられた主の言葉は、俺にとって受け入れ難いものだった。先生から指摘された内容が事実であると認めているようなものだったから。
信じられない。我々『とまり木』は王太子殿下に忠誠を誓った近衛部隊だぞ。主君を危険に晒すなんて……そんな真似するわけがない。
「この予想はあんまり当たって欲しくなかったなぁ」
先生はバツが悪そうに頬を掻いた。平然とレオン様の胸の内を暴いた風に見えたが、彼もまた自分の考えが否定されるのを期待していたのだ。
「レオン様……発言の許可を頂けますか?」
「ああ」
椅子に座っている主の側まで移動すると、俺は片膝を付いた。
「我々の隊は個の主張が強く、お世辞にも協調性に長けているとは言えません。それでも貴方様へ対する忠義だけは揺るぎないものであると自負しております。レオン様の御身を護ることを第一に掲げ、命尽きるまでお側でお仕えすると誓ったのです」
「うん。お前たちにはいつも助けられているな。感謝しているよ」
それならどうして……。やはり納得できないが、レオン様がなんの根拠もなくあのようなことを仰るはずがない。
「主を不安にさせ、猜疑心を抱かせてしまったのならそれは我々の不徳の致すところ。ですが、恐れながら私には思い当たる事由がないのです。何か……きっかけのようなものがあるのでしょうか。どうかお聞かせ下さい」
「…………」
レオン様がまた口を閉ざしてしまった。答え難い内容なのは分かっている。さっきもどうやって話を切り出そうかと迷っていたと仰ったのだ。レオン様らしくない歯切れの悪さは、隊の長である俺の反応を気にしているからだろう。もし本当に隊の中から主に害をなす者が出てきたとあれば、俺の監督不行き届きでもある。
「この部屋に来るまでに整理してきたはずなのに……いざ話し出すと上手くいかない」
「ここには俺とセディしかいないよ。体裁を繕う必要もないでしょ? ゆっくりでいいから、お前の抱えてる悩みを打ち明けてごらん」
「……ありがとうございます、ルーイ先生。
先生の言葉に後押しされたのか、レオン様の表情が緩んだ気がする。空気を読まないことも多々あれど、今この場に先生がいることがとても頼もしかった。先生は俺たちとは異なる目線で物事を判断してくれる。忖度のない意見やアドバイスをくださることを期待してしまう。それはきっとレオン様も――
「きっかけはユリウスが見つけたあるものからでした」
「ユリウスって誰だっけ? なんか聞いたことあるような無いような……」
「先生にはまだ直接紹介ができていませんでしたね。ユリウスは『とまり木』の隊員のひとりです。普段は市街地で生活をしていて王宮には滅多に訪れないのですが、事件の捜査に協力してもらうために呼び寄せたのです」
『ユリウス・アーネット』……自分勝手なヤツが多いうちの隊のなかでも抜きん出た個人主義者。医師としての腕は優秀であり、レオン様の命令には従っているので大目に見ていたが、まさかコイツが問題を起こしたのか。
「あぁ、思い出した。前に名前だけは教えて貰ってたね。お前の隊は全部で7人でまだ会えてないのが2人いたんだ」
「はい。島に滞在中に機会を見て挨拶をさせようと思っていましたが、ユリウスもクセが強い変わり者で……。優秀な医師ではあるんですけどね」
「ユリウスさんってお医者さんなんだね。俺に対してそこまで配慮する必要はないよ。挨拶なんて気が向いた時でいいから。お仕事優先で」
「恐れ入ります。ユリウスにはスコット・ブロウの死因について詳しく調べて貰ったのですが……その際に彼を殺めた犯人に繋がるかもしれない重要な手がかりを発見したのです」
釣り堀の管理人が変死した事件。犯人については様々な憶測が立っているが、現時点ではニュアージュの魔法使いが寄越したサークスの手にかけられたという線が濃厚だ。釣り堀で運悪くサークスと鉢合わせてしまい、巻き込まれたのではないかと……
レオン様は犯人に繋がる重要な手がかりが見つかったと仰った。想定されていた通り、サークスの仕業であるならこのような言い方はなさらないだろう。
サークスが犯人ではない。ユリウスは何を発見したというのだ。心臓が早鐘を打つ。話の続きを聞くのが怖い。
「現物は王宮で保管していますのでお見せできませんが……それは、被害者のスコットが手の中に握りしめていたのです」
ユリウスが検案の最中に見つけたのは、千切られた白い紙だという。白い紙と聞いて頭を過ったのはフラウムの葉だが、見つかった紙は厚みのあるしっかりとしたものでフラウムの葉とは全くの別物らしい。素手で破ろうと思えばそれなりに力がいるだろうが、普通の紙。
「無理やり引きちぎったような痕跡はあれど、紙自体には不審なところはありませんでした。ただの厚手の白い紙です」
「その紙切れが重要な手がかりなの? レオンはそれで何が分かったっていうのよ」
先生が俺の思っていることをすぐさま口にしてくれるので出番がない。俺は完全に聴き手に回り、おふたりのやり取りを眺めるだけになっていた。
「重要なのは、この紙と一緒に見つかったものなんです。紙にはバラの花弁が付着していました」
「バラの花弁……?」
「はい。そのバラのおかげで紙の正体はすぐに判明しました。花弁からは僅かに魔力の気配が漂っていたのです。それはとても身近で、俺がよく知っている方のものでした」
「……メーアレクトだな」
「ご明察。バラが纏っていたのはメーアレクト様の魔力……当然普通のバラではありません。王宮の温室で栽培されたもので間違いないでしょう」
温室のバラはメーアレクト様の力で管理されている。バラから女神の力を感じるのはそれが理由だろう。問題はなぜ持ち出し厳禁のバラをスコットが持っていたのかだ。
「紙切れは生簀の中からも複数発見されました。その全てに引き千切った跡があり、紙の素材も同じ。これらの紙片が元は1枚の紙であったと推測されます。花弁が付着していたのはスコットが握っていたものだけでしたが、中には文字が記されているものがあったのです。その文字も紙の正体を決定付ける重要な要因になりました」
女神のバラ、文字が記された厚手の紙……それらから導き出されるもの。俺の頭の中に浮かんでいるそれが正しいのならば紙の正体は――――
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