164 / 252
163話 分かっていても
しおりを挟む
「おかえり。デートは楽しかったかい? おふたりさん」
「デートって……」
帰宅した私とレナードさんにレオンが発した第一声がこれである。王宮に戻ると自室ではなく、レオンの部屋に直行することになった。もちろん着替える余裕などなくて、雑貨屋さんで購入した品も手に抱えたままだ。
近過ぎて外出と言えるのかも分からないし、ましてデートなんてとんでもない。しかし、レオンは怒っている……というよりは拗ねたような口調で、私達を揶揄してくるのだった。そんなレオンに対してレナードさんもノリノリで乗っかるものだから始末に負えない。
「ええ、とても素敵でした。願わくば、この時間が永遠に続けば良いのにと……。このまま誰にも邪魔されない場所に連れ去ってしまおうかなんて、いけない考えが頭をよぎってしまうくらいに」
レナードさんの流し目が……心臓に悪いです。そんな色っぽい目で見ないで欲しい。おふざけなのは分かっているけど、こんなの私に……子供に向けてしていい顔じゃないと思います。レナードさんのやんちゃ時代の片鱗を見た気がする。お店では聞き流してしまったけれど、ギルさんが思わず忠告してしまうのもやむなしといった感じだ。
「クレハ!!」
強い声で名前を呼ばれた。レオンは大股で私の元まで移動すると、向かい合わせで立つ。そして両肩をおもいきり掴まれた。
「俺はレナードに君の側から離れるなと命じた。クレハの要望には極力応え、退屈させないように気を配ってやれとも……」
「はい。とても親切にして頂いております」
「レナードとルイス……彼らとの仲が良好なのは、俺にとっても喜ばしいことだ。ふたりは護衛として、これから先も君と共にいる時間は多いだろうしね。俺はクレハの側に常にいてあげることは出来ないし、君が王宮で気を許せる人間が増えるのは良いことだと思うよ」
「お心遣いありがとうございます。レオンや皆のおかげで、ここでの生活にもずいぶん馴染めたのではないかと……」
「君たちが更に強い信頼関係を築けるよう、俺の方からお膳立てしたところもある。だからこんな事を言うのは筋違いだと分かっている。でも無理だ……どうしても我慢できない。だから、言わせて欲しい」
「レオン?」
彼は意を決したように大きく息を吸い込んだ。私の肩を掴む手に更に力が籠る。
「いくらなんでも仲良くし過ぎじゃない!? クレハもさ……何でそんな粧し込んだ可愛い格好してるの? 島の商店に行くだけだって聞いてたのにっ……!!」
「えぇ……」
さっき仲が良いのはいいことだって言ったのに……。そもそも私の面倒を見ろとレナードさんに命じたのはレオンである。私にも彼らと積極的に交流しろと進言したではないか。それなのに私達の外出をデートと呼んで皮肉ったり、仲が良過ぎると文句を言う。ついでに服装も気に入らないらしい。色々と支離滅裂だ。本人もそれを理解しているので、あんなにも前置きが長くなった模様。
「こら、クソハゲ。お前がデートとかイキるから、ボスがおかしな事になったじゃん。やり過ぎだよ」
「デートって言ったのは私じゃないんだけどね。ヤキモチ焼いちゃって……殿下も大概可愛いんだから。可愛いもの達に囲まれて私は幸せだよ、ルイス」
「そもそもさぁ……俺とボスが退屈なお勉強してる間にズリぃんだよ」
「勉強してたのは殿下だけでしょ」
「俺もその場にいたから同じなの」
レナードさんに苦言を呈しているのはルイスさんだ。当たり前だけど、レナードさんと私はデートなんてしているつもりはなかった。そんな風に形容したのはレオンで、彼だって本当は違うのだと分かっている癖に。ルイスさんが言うように、お勉強をしている間の外出だったから不貞腐れているだけだろう。
「この格好ダメでしたか? 外に出ると言ったら王妃様が用意して下さったのですよ」
「また母上の仕業か……。ダメじゃないよ、可愛いって言った。凄く良く似合ってる」
「良かった。レオンにそう言って貰えて嬉しいです。レナードさんのお友達がやっている雑貨屋さんに連れて行って貰ったんですよ。そこでこの便箋とお香を買いました」
「レナードの……ああ、ギル・ファーカーのところだね」
ギルさんのお店で買った品をレオンに見せた。彼は私の話を聞いているうちに感情の昂りが収まってきたようで、表情も落ち着きを取り戻した。お香の効用を説明すると、うんうんと相槌を打ちながら聞いてくれる。
「あと、びっくりする出来事があったのです。そうですよね、レナードさん」
レオンの機嫌が直ってきたところで、レナードさんに話を振った。釣り堀の事件についての詳細……私に話すのをレオンは許してくれるだろうか。
「はい。殿下、ギルの店でユリウスに会いました。彼もこちらに召集されていたのですね」
「えっ、はっぱ君来てたの? 知らなかった。ボス、何で教えてくれなかったの」
『はっぱ君』……これはユリウスさんのことだよね。ルイスさんが付けたあだ名かな。多分だけど薬草……葉っぱからきてるんだろうな。ユリウスさんは薬の専門家って言ってたし。
「あいつ……ユリウスにも島で起きた事件の捜査に加わって欲しくて呼んだんだけど……あまり乗り気じゃなくてな。協力自体はしてくれたが、王宮に来るのは嫌だってごねられた。他の隊員と関わるのも最低限にして欲しいってことで、俺とクライヴだけでやり取りをしていたんだ」
「相変わらずだね……はっぱ君は。協調性無し!!」
「クレハもユリウスに会ったんだね。びっくりしたんじゃない? あいつはうちの隊の中でも一際個性的だから……」
「はい、突然のことでしたのでちゃんとご挨拶も出来なくて……」
お店の床でお昼寝していたり、ユニークな方という印象を受けた。お医者様というのにも驚いたけど。
「レオン殿下、実は……ユリウスが会話の流れでクレハ様に捜査内容の一部を伝えてしまいました。しかし、クレハ様もご自分なりに、事件について考えを巡らせていらっしゃったそうです。気になっている事もお有りのようですので、差し障りのない範囲でクレハ様の疑問にお答えしてもよろしいでしょうか?」
「それは……管理人の死についてか」
「はい」
きっとレオンもレナードさんと同じ考えなのだろう。可能な限り私を事件から遠ざけ、きっちりと情報の裏付けが取れてから報告をする。全てが明らかになるまで待つようにと言われるかもしれない。私もルーイ様やリズのように、お手伝いが出来ればいいのに……。レオンはレナードさんの言葉にどんな答えを返すのだろうか。
「デートって……」
帰宅した私とレナードさんにレオンが発した第一声がこれである。王宮に戻ると自室ではなく、レオンの部屋に直行することになった。もちろん着替える余裕などなくて、雑貨屋さんで購入した品も手に抱えたままだ。
近過ぎて外出と言えるのかも分からないし、ましてデートなんてとんでもない。しかし、レオンは怒っている……というよりは拗ねたような口調で、私達を揶揄してくるのだった。そんなレオンに対してレナードさんもノリノリで乗っかるものだから始末に負えない。
「ええ、とても素敵でした。願わくば、この時間が永遠に続けば良いのにと……。このまま誰にも邪魔されない場所に連れ去ってしまおうかなんて、いけない考えが頭をよぎってしまうくらいに」
レナードさんの流し目が……心臓に悪いです。そんな色っぽい目で見ないで欲しい。おふざけなのは分かっているけど、こんなの私に……子供に向けてしていい顔じゃないと思います。レナードさんのやんちゃ時代の片鱗を見た気がする。お店では聞き流してしまったけれど、ギルさんが思わず忠告してしまうのもやむなしといった感じだ。
「クレハ!!」
強い声で名前を呼ばれた。レオンは大股で私の元まで移動すると、向かい合わせで立つ。そして両肩をおもいきり掴まれた。
「俺はレナードに君の側から離れるなと命じた。クレハの要望には極力応え、退屈させないように気を配ってやれとも……」
「はい。とても親切にして頂いております」
「レナードとルイス……彼らとの仲が良好なのは、俺にとっても喜ばしいことだ。ふたりは護衛として、これから先も君と共にいる時間は多いだろうしね。俺はクレハの側に常にいてあげることは出来ないし、君が王宮で気を許せる人間が増えるのは良いことだと思うよ」
「お心遣いありがとうございます。レオンや皆のおかげで、ここでの生活にもずいぶん馴染めたのではないかと……」
「君たちが更に強い信頼関係を築けるよう、俺の方からお膳立てしたところもある。だからこんな事を言うのは筋違いだと分かっている。でも無理だ……どうしても我慢できない。だから、言わせて欲しい」
「レオン?」
彼は意を決したように大きく息を吸い込んだ。私の肩を掴む手に更に力が籠る。
「いくらなんでも仲良くし過ぎじゃない!? クレハもさ……何でそんな粧し込んだ可愛い格好してるの? 島の商店に行くだけだって聞いてたのにっ……!!」
「えぇ……」
さっき仲が良いのはいいことだって言ったのに……。そもそも私の面倒を見ろとレナードさんに命じたのはレオンである。私にも彼らと積極的に交流しろと進言したではないか。それなのに私達の外出をデートと呼んで皮肉ったり、仲が良過ぎると文句を言う。ついでに服装も気に入らないらしい。色々と支離滅裂だ。本人もそれを理解しているので、あんなにも前置きが長くなった模様。
「こら、クソハゲ。お前がデートとかイキるから、ボスがおかしな事になったじゃん。やり過ぎだよ」
「デートって言ったのは私じゃないんだけどね。ヤキモチ焼いちゃって……殿下も大概可愛いんだから。可愛いもの達に囲まれて私は幸せだよ、ルイス」
「そもそもさぁ……俺とボスが退屈なお勉強してる間にズリぃんだよ」
「勉強してたのは殿下だけでしょ」
「俺もその場にいたから同じなの」
レナードさんに苦言を呈しているのはルイスさんだ。当たり前だけど、レナードさんと私はデートなんてしているつもりはなかった。そんな風に形容したのはレオンで、彼だって本当は違うのだと分かっている癖に。ルイスさんが言うように、お勉強をしている間の外出だったから不貞腐れているだけだろう。
「この格好ダメでしたか? 外に出ると言ったら王妃様が用意して下さったのですよ」
「また母上の仕業か……。ダメじゃないよ、可愛いって言った。凄く良く似合ってる」
「良かった。レオンにそう言って貰えて嬉しいです。レナードさんのお友達がやっている雑貨屋さんに連れて行って貰ったんですよ。そこでこの便箋とお香を買いました」
「レナードの……ああ、ギル・ファーカーのところだね」
ギルさんのお店で買った品をレオンに見せた。彼は私の話を聞いているうちに感情の昂りが収まってきたようで、表情も落ち着きを取り戻した。お香の効用を説明すると、うんうんと相槌を打ちながら聞いてくれる。
「あと、びっくりする出来事があったのです。そうですよね、レナードさん」
レオンの機嫌が直ってきたところで、レナードさんに話を振った。釣り堀の事件についての詳細……私に話すのをレオンは許してくれるだろうか。
「はい。殿下、ギルの店でユリウスに会いました。彼もこちらに召集されていたのですね」
「えっ、はっぱ君来てたの? 知らなかった。ボス、何で教えてくれなかったの」
『はっぱ君』……これはユリウスさんのことだよね。ルイスさんが付けたあだ名かな。多分だけど薬草……葉っぱからきてるんだろうな。ユリウスさんは薬の専門家って言ってたし。
「あいつ……ユリウスにも島で起きた事件の捜査に加わって欲しくて呼んだんだけど……あまり乗り気じゃなくてな。協力自体はしてくれたが、王宮に来るのは嫌だってごねられた。他の隊員と関わるのも最低限にして欲しいってことで、俺とクライヴだけでやり取りをしていたんだ」
「相変わらずだね……はっぱ君は。協調性無し!!」
「クレハもユリウスに会ったんだね。びっくりしたんじゃない? あいつはうちの隊の中でも一際個性的だから……」
「はい、突然のことでしたのでちゃんとご挨拶も出来なくて……」
お店の床でお昼寝していたり、ユニークな方という印象を受けた。お医者様というのにも驚いたけど。
「レオン殿下、実は……ユリウスが会話の流れでクレハ様に捜査内容の一部を伝えてしまいました。しかし、クレハ様もご自分なりに、事件について考えを巡らせていらっしゃったそうです。気になっている事もお有りのようですので、差し障りのない範囲でクレハ様の疑問にお答えしてもよろしいでしょうか?」
「それは……管理人の死についてか」
「はい」
きっとレオンもレナードさんと同じ考えなのだろう。可能な限り私を事件から遠ざけ、きっちりと情報の裏付けが取れてから報告をする。全てが明らかになるまで待つようにと言われるかもしれない。私もルーイ様やリズのように、お手伝いが出来ればいいのに……。レオンはレナードさんの言葉にどんな答えを返すのだろうか。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。

王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
訳ありな家庭教師と公爵の執着
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝名門ブライアン公爵家の美貌の当主ギルバートに雇われることになった一人の家庭教師(ガヴァネス)リディア。きっちりと衣装を着こなし、隙のない身形の家庭教師リディアは素顔を隠し、秘密にしたい過去をも隠す。おまけに美貌の公爵ギルバートには目もくれず、五歳になる公爵令嬢エヴリンの家庭教師としての態度を崩さない。過去に悲惨なめに遭った今の家庭教師リディアは、愛など求めない。そんなリディアに公爵ギルバートの方が興味を抱き……。
※設定などは独自の世界観でご都合主義。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日(2025.1.26)からHOTランキングに入れて頂き、ありがとうございます🙂 最高で26位(2025.2.4)。
※断罪回に残酷な描写がある為、苦手な方はご注意下さい。
※只今、不定期更新中📝

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、142話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(11/21更新)
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!

悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。

むにゃむにゃしてたら私にだけ冷たい幼馴染と結婚してました~お飾り妻のはずですが溺愛しすぎじゃないですか⁉~
景華
恋愛
「シリウス・カルバン……むにゃむにゃ……私と結婚、してぇ……むにゃむにゃ」
「……は?」
そんな寝言のせいで、すれ違っていた二人が結婚することに!?
精霊が作りし国ローザニア王国。
セレンシア・ピエラ伯爵令嬢には、国家機密扱いとなるほどの秘密があった。
【寝言の強制実行】。
彼女の寝言で発せられた言葉は絶対だ。
精霊の加護を持つ王太子ですらパシリに使ってしまうほどの強制力。
そしてそんな【寝言の強制実行】のせいで結婚してしまった相手は、彼女の幼馴染で公爵令息にして副騎士団長のシリウス・カルバン。
セレンシアを元々愛してしまったがゆえに彼女の前でだけクールに装ってしまうようになっていたシリウスは、この結婚を機に自分の本当の思いを素直に出していくことを決意し自分の思うがままに溺愛しはじめるが、セレンシアはそれを寝言のせいでおかしくなっているのだと勘違いをしたまま。
それどころか、自分の寝言のせいで結婚してしまっては申し訳ないからと、3年間白い結婚をして離縁しようとまで言い出す始末。
自分の思いを信じてもらえないシリウスは、彼女の【寝言の強制実行】の力を消し去るため、どこかにいるであろう魔法使いを探し出す──!!
大人になるにつれて離れてしまった心と身体の距離が少しずつ縮まって、絡まった糸が解けていく。
すれ違っていた二人の両片思い勘違い恋愛ファンタジー!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる