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136話 鳥の囀り(1)
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「ルーイ先生、髪の毛短くされたんですね。とってもお似合いですよ」
「ありがとう、ミシェルちゃん。長い方に慣れ過ぎちゃって変な感じがするけどね。でも、管理は凄く楽になった」
先生も『とまり木』で働くのだっけ。髪は気合いを入れるために切ったのだと仰っていた。クラヴェルご兄弟が着てる制服を先生も着るんだろうか。見たい……絶対カッコいい。しかし、彼が店に立っている姿を拝見できるのは、いつになることやら。セドリックさんだって、王宮を騒がせた事件に解決の目処が立たなくては、殿下の側から離れられないだろう。
「さて、だいぶ場の空気も和んだ事だし……そろそろ本題に入らせて貰ってよろしいか?」
お喋りに花を咲かせていた私達は、殿下の声にハッとする。いけない、本来の目的を忘れそうになっていた。殿下は怒っているわけではないようで、口元は緩く弧を描いている。
「お仕事の話をしないとね。ごめんごめん」
「先生のことですので心配はしていませんでしたが、皆と打ち解けられたようで良かったです。癖の強い連中ですが、俺からもよろしくお願いします」
「気の良い子達ばかりだよ。お願いするのはこっちの方。フツツカモノですが、よろしくね」
先生ったら笑顔の大盤振る舞いだ。老若男女を虜にするであろう眩く美しいそれに、子虫がごとく引き寄せられそう。ミシェルさんもうっとりと感嘆のため息をもらしていた。
「今回の会合の目的は、先生とリズを皆に紹介する他に、状況の整理と隊員間で認識の擦り合わせするというのがある。ここ最近、不穏な出来事が数多く起こっているし、隊の連中が一箇所に集まるというのも久々だから良い機会だと思っている」
「レオン様はご不在でしたが、最後に皆が集まったのはレオン様とクレハ様の婚約が決まったのを通達した時ですね。場所は店で……ひと月以上前になります」
「それでは、ミシェル。お前の話から聞かせて貰おうか。気になる事があるんだろ? リズにジェムラート家の使用人について、聞き出そうとしていたそうだが……」
いきなり来た……あれからニコラさんについてお伝えできる事はないかと、記憶を辿ってみたけれど無理だった。ニコラさんはフィオナ様付きだったし、接点らしい接点は無い。それどころか、たまに顔を合わせれば疎ましがっているような素振りすらあった。一介の平民でしかない自分が、公爵家の姫君の側にいるのを良く思っていなかったのかもしれない。
「はい。殿下はクレハ様の一時帰宅を名分に、私をかの家へと派遣し、内情を探るよう命じられましたよね。ですが、釣り堀で起こった事件のせいで帰宅は中止……前日から滞在してはいましたが、ろくに調査することはできず、早々に引き上げることになってしまいました」
「そういや、何でボスは姫さんの家調べようとしてたんだっけ? あそこの家は長女……姫さんの姉が体調良くなくて神経質になってるから、あんまり突き回さない方が良いと思うんだけど」
「クレハ様が王宮に長期間滞在しておられるのも、姉君が理由でしたね。陛下は公爵と頻繁に文でのやり取りをなさっているようですが……聞くところによると姉君は心の病だとか。当初は伝染病だなど不確かな情報も飛び交っていて、不安になった公爵が、クレハ様を王宮に避難させる形になったと」
絶妙に真実と嘘が入り混じっている。フィオナ様のあの状態は心の病といえなくもないか。あの方は今、リブレールへ保養に行っている。だからこそクレハ様の帰宅許可が下りたのだ。根本的な問題が解決したわけではないけれど、穏やかな土地で過ごすことで、心に落ち着きを取り戻して下さるのではないかという期待はしている。
「フィオナ嬢の事は気掛かりだが、現時点で俺ができることはほぼ無いだろう。ジェムラート公が様々な策を講じているようだし、そちらに任せようと思う。俺はクレハの支えになるに徹するよ」
何だかクライヴさんの顔色が悪くなっている気がするけど、気のせいかな。ここにいる人達で、私がフィオナ様の乱心理由を伝えたのは、殿下とセドリックさんのみ……ジェムラート家は情報を遮断しているから、その他の人達は知らないはずだ。
「クレハに近しい人間達の身辺調査をすると決めたのは念押しだね。あの子が俺の婚約者になったことで、よからぬ事を画策する輩がいるかもしれないからな。自分の家だからといって安心はできない」
「当人同士が好き合っているなら良いじゃないかとならないのが、つくづく貴族というのは面倒くさい。クレハの姉さんか……俺はちらりとしか見たことないけど、金髪の可愛い子だったね」
「先生も知ってるんだね。そう、綺麗だから有名なんだよ、姫さんのお姉さん。とは言え、まだ子供だし……俺は姫さんの方が愛嬌があって可愛いと思うけどね」
殿下はクレハ様を守るため、不安要素を可能な限り取り除こうとしている。ジェムラート家に調査の手を伸ばしたのは、婚約に反対するフィオナ様の存在があったからだろう。そしてそれは、フィオナ様だけではなく、いずれジェムラート家全体に及ぶだろう。ますますジェフェリーさんが心配になってしまう。
「それで、そのニコラ・イーストンっていう侍女が、ミシェルちゃんの警戒に引っかかったってわけか。私達がリアン大聖堂で買ってきたバングルと類似した物を持っている事も気にしていたね」
「えっ……バングルってこれか?」
殿下が自身の左手を前に差し出した。そこには銀色のバングルが嵌められていた。クレハ様がしている物と同じだ。殿下とお揃いなのだと、照れくさそうに……そしてとても幸せそうに語るクレハ様が可愛いかったな。
「私もそのバングルを購入した場に立ち合いましたけれど、バングルが売っていた店は多種多様なアクセサリーを取り揃えていました。その中には材質が違うだけで同じ意匠の物も多く、その侍女が類似品を所持していたとしても、特段不思議ではないかと」
「俺もセドリックさんと同意見。一点物じゃないし、ニコラ・イーストンもリアン大聖堂で買ったってだけだろ」
「バングルは記憶に残ってたってだけで、それ自体は別におかしいと思ってないよ。ニコラさんで気になったのは、彼女の態度の方。私を怖がって避けるようなミョーな態度。こんなに可愛くて純粋そうな女の子に対して酷くない?」
「……突っ込まねーからな」
ルイスさんの冷めた言動にも、ミシェルさんは全く怯まない。
ニコラさんのバングルか……彼女が普段からそのような物を身に付けていたのかも分からない。やっぱり私じゃお役に立てそうもないな。それにしても、ニコラさんはどうしてミシェルさんにそんな態度を取ったのだろう。
「ねぇ、クライヴさんはどう思う?」
「はっ!? な、何で俺に振るんだ」
ミシェルさんは、クライヴさんに発言を促した。私ではなく。話を聞きたいというのは私だったはずでは? どうして? これには殿下を始め、他の隊員の方々も眉根を寄せて困惑していた。
「えー、だってクライヴさん……私がニコラさんの話を最初にした時、露骨に表情変わったじゃん。急にリズちゃんと会おうとしたりしてさ。何か知ってんでしょ?」
「いや……そういうのじゃなくて。俺はただ……」
「ただ、なに?」
ミシェルさんの問い詰めに、クライヴさんはたじたじだ。お仕事モードのミシェルさん怖いよね。菫の間で彼女を紹介して頂いた時の事を思い出す。
「ミシェル、落ち着け。クライヴはその侍女に対して思う所があるのか? 些細な事でも構わないから、俺たちに話してくれないか」
殿下が仲裁に入ったので、ミシェルさんは一旦退いた。ひょっとしてクライヴさんは、ニコラさんと知り合いだったりするのかな。そうだとしても、別に隠すような事でもないだろうに。何故こんなにも言葉を詰まらせているのだろう……
「ありがとう、ミシェルちゃん。長い方に慣れ過ぎちゃって変な感じがするけどね。でも、管理は凄く楽になった」
先生も『とまり木』で働くのだっけ。髪は気合いを入れるために切ったのだと仰っていた。クラヴェルご兄弟が着てる制服を先生も着るんだろうか。見たい……絶対カッコいい。しかし、彼が店に立っている姿を拝見できるのは、いつになることやら。セドリックさんだって、王宮を騒がせた事件に解決の目処が立たなくては、殿下の側から離れられないだろう。
「さて、だいぶ場の空気も和んだ事だし……そろそろ本題に入らせて貰ってよろしいか?」
お喋りに花を咲かせていた私達は、殿下の声にハッとする。いけない、本来の目的を忘れそうになっていた。殿下は怒っているわけではないようで、口元は緩く弧を描いている。
「お仕事の話をしないとね。ごめんごめん」
「先生のことですので心配はしていませんでしたが、皆と打ち解けられたようで良かったです。癖の強い連中ですが、俺からもよろしくお願いします」
「気の良い子達ばかりだよ。お願いするのはこっちの方。フツツカモノですが、よろしくね」
先生ったら笑顔の大盤振る舞いだ。老若男女を虜にするであろう眩く美しいそれに、子虫がごとく引き寄せられそう。ミシェルさんもうっとりと感嘆のため息をもらしていた。
「今回の会合の目的は、先生とリズを皆に紹介する他に、状況の整理と隊員間で認識の擦り合わせするというのがある。ここ最近、不穏な出来事が数多く起こっているし、隊の連中が一箇所に集まるというのも久々だから良い機会だと思っている」
「レオン様はご不在でしたが、最後に皆が集まったのはレオン様とクレハ様の婚約が決まったのを通達した時ですね。場所は店で……ひと月以上前になります」
「それでは、ミシェル。お前の話から聞かせて貰おうか。気になる事があるんだろ? リズにジェムラート家の使用人について、聞き出そうとしていたそうだが……」
いきなり来た……あれからニコラさんについてお伝えできる事はないかと、記憶を辿ってみたけれど無理だった。ニコラさんはフィオナ様付きだったし、接点らしい接点は無い。それどころか、たまに顔を合わせれば疎ましがっているような素振りすらあった。一介の平民でしかない自分が、公爵家の姫君の側にいるのを良く思っていなかったのかもしれない。
「はい。殿下はクレハ様の一時帰宅を名分に、私をかの家へと派遣し、内情を探るよう命じられましたよね。ですが、釣り堀で起こった事件のせいで帰宅は中止……前日から滞在してはいましたが、ろくに調査することはできず、早々に引き上げることになってしまいました」
「そういや、何でボスは姫さんの家調べようとしてたんだっけ? あそこの家は長女……姫さんの姉が体調良くなくて神経質になってるから、あんまり突き回さない方が良いと思うんだけど」
「クレハ様が王宮に長期間滞在しておられるのも、姉君が理由でしたね。陛下は公爵と頻繁に文でのやり取りをなさっているようですが……聞くところによると姉君は心の病だとか。当初は伝染病だなど不確かな情報も飛び交っていて、不安になった公爵が、クレハ様を王宮に避難させる形になったと」
絶妙に真実と嘘が入り混じっている。フィオナ様のあの状態は心の病といえなくもないか。あの方は今、リブレールへ保養に行っている。だからこそクレハ様の帰宅許可が下りたのだ。根本的な問題が解決したわけではないけれど、穏やかな土地で過ごすことで、心に落ち着きを取り戻して下さるのではないかという期待はしている。
「フィオナ嬢の事は気掛かりだが、現時点で俺ができることはほぼ無いだろう。ジェムラート公が様々な策を講じているようだし、そちらに任せようと思う。俺はクレハの支えになるに徹するよ」
何だかクライヴさんの顔色が悪くなっている気がするけど、気のせいかな。ここにいる人達で、私がフィオナ様の乱心理由を伝えたのは、殿下とセドリックさんのみ……ジェムラート家は情報を遮断しているから、その他の人達は知らないはずだ。
「クレハに近しい人間達の身辺調査をすると決めたのは念押しだね。あの子が俺の婚約者になったことで、よからぬ事を画策する輩がいるかもしれないからな。自分の家だからといって安心はできない」
「当人同士が好き合っているなら良いじゃないかとならないのが、つくづく貴族というのは面倒くさい。クレハの姉さんか……俺はちらりとしか見たことないけど、金髪の可愛い子だったね」
「先生も知ってるんだね。そう、綺麗だから有名なんだよ、姫さんのお姉さん。とは言え、まだ子供だし……俺は姫さんの方が愛嬌があって可愛いと思うけどね」
殿下はクレハ様を守るため、不安要素を可能な限り取り除こうとしている。ジェムラート家に調査の手を伸ばしたのは、婚約に反対するフィオナ様の存在があったからだろう。そしてそれは、フィオナ様だけではなく、いずれジェムラート家全体に及ぶだろう。ますますジェフェリーさんが心配になってしまう。
「それで、そのニコラ・イーストンっていう侍女が、ミシェルちゃんの警戒に引っかかったってわけか。私達がリアン大聖堂で買ってきたバングルと類似した物を持っている事も気にしていたね」
「えっ……バングルってこれか?」
殿下が自身の左手を前に差し出した。そこには銀色のバングルが嵌められていた。クレハ様がしている物と同じだ。殿下とお揃いなのだと、照れくさそうに……そしてとても幸せそうに語るクレハ様が可愛いかったな。
「私もそのバングルを購入した場に立ち合いましたけれど、バングルが売っていた店は多種多様なアクセサリーを取り揃えていました。その中には材質が違うだけで同じ意匠の物も多く、その侍女が類似品を所持していたとしても、特段不思議ではないかと」
「俺もセドリックさんと同意見。一点物じゃないし、ニコラ・イーストンもリアン大聖堂で買ったってだけだろ」
「バングルは記憶に残ってたってだけで、それ自体は別におかしいと思ってないよ。ニコラさんで気になったのは、彼女の態度の方。私を怖がって避けるようなミョーな態度。こんなに可愛くて純粋そうな女の子に対して酷くない?」
「……突っ込まねーからな」
ルイスさんの冷めた言動にも、ミシェルさんは全く怯まない。
ニコラさんのバングルか……彼女が普段からそのような物を身に付けていたのかも分からない。やっぱり私じゃお役に立てそうもないな。それにしても、ニコラさんはどうしてミシェルさんにそんな態度を取ったのだろう。
「ねぇ、クライヴさんはどう思う?」
「はっ!? な、何で俺に振るんだ」
ミシェルさんは、クライヴさんに発言を促した。私ではなく。話を聞きたいというのは私だったはずでは? どうして? これには殿下を始め、他の隊員の方々も眉根を寄せて困惑していた。
「えー、だってクライヴさん……私がニコラさんの話を最初にした時、露骨に表情変わったじゃん。急にリズちゃんと会おうとしたりしてさ。何か知ってんでしょ?」
「いや……そういうのじゃなくて。俺はただ……」
「ただ、なに?」
ミシェルさんの問い詰めに、クライヴさんはたじたじだ。お仕事モードのミシェルさん怖いよね。菫の間で彼女を紹介して頂いた時の事を思い出す。
「ミシェル、落ち着け。クライヴはその侍女に対して思う所があるのか? 些細な事でも構わないから、俺たちに話してくれないか」
殿下が仲裁に入ったので、ミシェルさんは一旦退いた。ひょっとしてクライヴさんは、ニコラさんと知り合いだったりするのかな。そうだとしても、別に隠すような事でもないだろうに。何故こんなにも言葉を詰まらせているのだろう……
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