49 / 250
48話 王宮へ……(2)
しおりを挟む
セドリックさんが馬車で迎えに来てくれるらしいので、私は家から少し歩いた場所にある大通りで彼を待っていた。約束の時刻まであと数分というところになる……忘れ物は無いな。
暇潰しに周囲にあるお店や、人の行き交う様子を眺める。道を挟んだ向かい側に花屋さんがいた。ワゴンの中には色とりどりの綺麗な花が積まれている。あの黄色の花はひまわりかな……。お屋敷のお庭にも大輪のひまわりが植えてある。自分も手伝って植えたのだと、クレハ様が楽しそうに話してたっけ……
これを渡したら、クレハ様喜ぶだろうなぁ……
私は鞄の上から大切にしまってあるそれを優しく撫でた。この中にはジェフェリーさんから預かった、クレハ様への贈り物が入っている。
ジェフェリーさんは私が今日王宮へ行く事を知ると、わざわざ家まで訪ねて来て、これをクレハ様に渡して欲しいとお願いしてきたのだ。勿論快く引き受けた。ジェフェリーさんも私達と同じで、クレハ様をとても心配していたのだから、このくらいお安い御用である。そして、ジェフェリーさんの贈り物に合わせて、私もクレハ様へお土産を持参することにした。
クレハ様がどんな反応をなさるか楽しみでニヤニヤしてしまう。きっと、最高に可愛い笑顔を見せて下さるだろう。また私の悪い癖が出始めようとしたその時……馬の蹄と車輪の音が、私を現実へと引き戻した。
うわぁ……通行人がめっちゃこっち見てる。もの凄い注目されてる。
そこに現れたのは、ディセンシア家の家紋が刻印された黒い豪華な馬車。王家のその目立つ馬車は、私の目の前で停止する。扉が開いて中から眼鏡の男性……セドリックさんが出てきた。約束した時間ぴったりだ。
「こんにちは、リズさん」
「こんにちは……セドリックさん」
「申し訳ありません。お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、私も今来たばかりですので……」
今日のセドリックさんは、軍服のような服を着ている。よく見ると帯刀しているようだ。私の視線に気付いた彼は『ああ』と納得したように頷くと、腰の剣に触れた。
「コレが気になりますか? 本日は、リズさんを王宮まで無事にお連れするという任務ですので。心配しなくても念のためですから」
カフェの店員さんをしている彼しか知らなかったから、今更ながらにセドリックさんの本当の姿を見たようで心が騒ついた。そうだ……彼は王太子殿下の側近なのだった。
「さあ、それでは参りましょうか。お手をどうぞ」
照れ臭くて少し躊躇したけれど、セドリックさんにエスコートされ馬車に乗り込む。相変わらずの紳士っぷりだ。これで見た目もいいんだから、女性が騒ぐのも当然だよなぁ。兄さんもこんな感じになってくれないかな。
馬車の中はとても広い……こんな豪華な馬車に乗るのは初めてなので、そわそわしてしまう。私1人を迎えにいくだけに大袈裟過ぎるんじゃない? 椅子もふかふかだよ……
私が席に座ったのを確かめると、セドリックさんも続いて馬車に乗り込んだ。向かい側の席に腰を下ろすと、連絡窓をコンコンと軽く叩いて御者に指示を出す。すると、ゆっくりと馬車が動き出した。王宮までは大体1時間程度だそうだ。
「あっ! そうだ。忘れないうちに、リズさんにこれを渡しておきますね」
差し出されたのは大きめの封筒。何だろうと首を傾げていると、セドリックさんが中身を取り出した。封はされていなかったようだ。中から出てきたのは綺麗な厚手の一枚の紙。
「これはリザベット橋の通行許可証です。本来なら発行するのに結構面倒臭い手続きが必要なんですけど、レオン様がすっ飛ばしてさっさと作成してしまいましたので……」
そういえば、殿下が許可証を出してくれると言っていたのを思い出した。通常の手順だと、何日も前から役所に届出を出して準備しておかないと手に入らないのだという。それでも必ず許可が降りるとは限らないらしい。リザベット橋は王宮へ直接繋がっている唯一の道なのだから、厳しくて当然か。書類に書いてある内容は難しくてよく分からないけど、文の最後に書かれている殿下のサインの重みだけは分かる。
「えっ!?」
「どうかしましたか?」
「あ、あの……これって国王陛下のお名前ですよね……」
殿下のサインの下についでのように書かれているから見逃すところだった……。『ジェラール・メーアレクト・ディセンシア』何度見ても間違いない。
「ああ、それはですね……レオン様が自分のサインだけだと文句を言う奴がいないとも限らないから、陛下に念押して貰ったそうです。国王と王太子ふたりのお墨付きを頂いた許可証を持っているのは、リズさんだけじゃないですかね。とりあえず紛失にだけは気を付けて下さいね」
セドリックさんはからからと笑っている……何笑ってるんだ。こんな大それた物を、簡単に子供に渡さないで下さいよ。逆に変な疑いかけられそうなんですけど。
「橋の警備兵にもリズさんの顔は覚えさせますが、一応規則ですので通行する際は必ず持参して下さい。身分証明書も兼ねてますからね」
「はい……」
「場所が場所ですので、どうしても物々しくなってしまいますが、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
受け取った許可証を大切に鞄にしまい、それを両手で抱え直す。今日はセドリックさんが一緒にいるので、必要無いとのこと。ひとつ大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
その後、セドリックさんは私の緊張を解すためか、色んなお話をしてくれた。そのおかげで道中退屈することもなく、時間が過ぎるのをあっという間に感じた。もっと聞きたいくらいだったのだけど、リザベット橋が見えて来たので、雑談は一旦お開きになる。
「これがストラ湖……初めて見ました。凄く綺麗な湖なんですね」
透き通る様な青い湖面……怪物がいるなんて噂があるのが信じられない。
「メーアレクト様の神殿もありますからね。この湖は女神に守られているのです。ディセンシア家は女神と共に有る一族……とても結び付きが強いのです。国王は神官の役割も担っているのですよ」
ジェラール陛下と後継ぎであるレオン殿下の名前に女神の名が入っているのは、そういった理由からだそうだ。稀に海の様な青い瞳を持って生まれるのも、王族の特徴らしい。殿下のような、ほぼ紫に近い瞳は更に希少なんだとか……
「クレハ様も綺麗な青い瞳をなさっています。あれは王家の血筋でいらっしゃるからだったんですね」
「ええ。あの方は特に、お婆様であるアルティナ様によく似ていらっしゃいますから……」
アルティナ様……直接お会いしたことは無いけれど、お屋敷でお若い時の肖像画を見たことがある。クレハ様と同じ青い瞳に銀色の髪をした、とても美しい方だった。セドリックさんも言うように、クレハ様はご両親よりもお婆様の面影の方が強い。その肖像画を見ていると、まるで成長なされたクレハ様を見ているようでドキドキした。
リザベット橋の手前まで行くと検問所がある。本来なら、まずはここで許可証を提示しなくてはならない。馬車が速度を落とすと、数人の兵士が駆け寄ってきた。
「リズさん、ちょっと待ってて下さいね」
セドリックさんはそう言うと、停止した馬車から降りてしまう。そして、検問所の兵士とお話を始めた。窓からこっそりとその様子を伺う。兵士はセドリックさんに向かってビシッと敬礼をしている。新人さんだろうか……何だか少し緊張しているように見えた。時間にしてほんの2、3分……話を終えたセドリックさんが小走りで馬車に戻って来た。
「お待たせしました。警備兵にリズさんを紹介しますので、一緒に来て頂けますか?」
「は、はい」
乗る時と同様に差し出されたセドリックさんの手を取り、私は彼と共に検問所へ向かった。
暇潰しに周囲にあるお店や、人の行き交う様子を眺める。道を挟んだ向かい側に花屋さんがいた。ワゴンの中には色とりどりの綺麗な花が積まれている。あの黄色の花はひまわりかな……。お屋敷のお庭にも大輪のひまわりが植えてある。自分も手伝って植えたのだと、クレハ様が楽しそうに話してたっけ……
これを渡したら、クレハ様喜ぶだろうなぁ……
私は鞄の上から大切にしまってあるそれを優しく撫でた。この中にはジェフェリーさんから預かった、クレハ様への贈り物が入っている。
ジェフェリーさんは私が今日王宮へ行く事を知ると、わざわざ家まで訪ねて来て、これをクレハ様に渡して欲しいとお願いしてきたのだ。勿論快く引き受けた。ジェフェリーさんも私達と同じで、クレハ様をとても心配していたのだから、このくらいお安い御用である。そして、ジェフェリーさんの贈り物に合わせて、私もクレハ様へお土産を持参することにした。
クレハ様がどんな反応をなさるか楽しみでニヤニヤしてしまう。きっと、最高に可愛い笑顔を見せて下さるだろう。また私の悪い癖が出始めようとしたその時……馬の蹄と車輪の音が、私を現実へと引き戻した。
うわぁ……通行人がめっちゃこっち見てる。もの凄い注目されてる。
そこに現れたのは、ディセンシア家の家紋が刻印された黒い豪華な馬車。王家のその目立つ馬車は、私の目の前で停止する。扉が開いて中から眼鏡の男性……セドリックさんが出てきた。約束した時間ぴったりだ。
「こんにちは、リズさん」
「こんにちは……セドリックさん」
「申し訳ありません。お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、私も今来たばかりですので……」
今日のセドリックさんは、軍服のような服を着ている。よく見ると帯刀しているようだ。私の視線に気付いた彼は『ああ』と納得したように頷くと、腰の剣に触れた。
「コレが気になりますか? 本日は、リズさんを王宮まで無事にお連れするという任務ですので。心配しなくても念のためですから」
カフェの店員さんをしている彼しか知らなかったから、今更ながらにセドリックさんの本当の姿を見たようで心が騒ついた。そうだ……彼は王太子殿下の側近なのだった。
「さあ、それでは参りましょうか。お手をどうぞ」
照れ臭くて少し躊躇したけれど、セドリックさんにエスコートされ馬車に乗り込む。相変わらずの紳士っぷりだ。これで見た目もいいんだから、女性が騒ぐのも当然だよなぁ。兄さんもこんな感じになってくれないかな。
馬車の中はとても広い……こんな豪華な馬車に乗るのは初めてなので、そわそわしてしまう。私1人を迎えにいくだけに大袈裟過ぎるんじゃない? 椅子もふかふかだよ……
私が席に座ったのを確かめると、セドリックさんも続いて馬車に乗り込んだ。向かい側の席に腰を下ろすと、連絡窓をコンコンと軽く叩いて御者に指示を出す。すると、ゆっくりと馬車が動き出した。王宮までは大体1時間程度だそうだ。
「あっ! そうだ。忘れないうちに、リズさんにこれを渡しておきますね」
差し出されたのは大きめの封筒。何だろうと首を傾げていると、セドリックさんが中身を取り出した。封はされていなかったようだ。中から出てきたのは綺麗な厚手の一枚の紙。
「これはリザベット橋の通行許可証です。本来なら発行するのに結構面倒臭い手続きが必要なんですけど、レオン様がすっ飛ばしてさっさと作成してしまいましたので……」
そういえば、殿下が許可証を出してくれると言っていたのを思い出した。通常の手順だと、何日も前から役所に届出を出して準備しておかないと手に入らないのだという。それでも必ず許可が降りるとは限らないらしい。リザベット橋は王宮へ直接繋がっている唯一の道なのだから、厳しくて当然か。書類に書いてある内容は難しくてよく分からないけど、文の最後に書かれている殿下のサインの重みだけは分かる。
「えっ!?」
「どうかしましたか?」
「あ、あの……これって国王陛下のお名前ですよね……」
殿下のサインの下についでのように書かれているから見逃すところだった……。『ジェラール・メーアレクト・ディセンシア』何度見ても間違いない。
「ああ、それはですね……レオン様が自分のサインだけだと文句を言う奴がいないとも限らないから、陛下に念押して貰ったそうです。国王と王太子ふたりのお墨付きを頂いた許可証を持っているのは、リズさんだけじゃないですかね。とりあえず紛失にだけは気を付けて下さいね」
セドリックさんはからからと笑っている……何笑ってるんだ。こんな大それた物を、簡単に子供に渡さないで下さいよ。逆に変な疑いかけられそうなんですけど。
「橋の警備兵にもリズさんの顔は覚えさせますが、一応規則ですので通行する際は必ず持参して下さい。身分証明書も兼ねてますからね」
「はい……」
「場所が場所ですので、どうしても物々しくなってしまいますが、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
受け取った許可証を大切に鞄にしまい、それを両手で抱え直す。今日はセドリックさんが一緒にいるので、必要無いとのこと。ひとつ大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
その後、セドリックさんは私の緊張を解すためか、色んなお話をしてくれた。そのおかげで道中退屈することもなく、時間が過ぎるのをあっという間に感じた。もっと聞きたいくらいだったのだけど、リザベット橋が見えて来たので、雑談は一旦お開きになる。
「これがストラ湖……初めて見ました。凄く綺麗な湖なんですね」
透き通る様な青い湖面……怪物がいるなんて噂があるのが信じられない。
「メーアレクト様の神殿もありますからね。この湖は女神に守られているのです。ディセンシア家は女神と共に有る一族……とても結び付きが強いのです。国王は神官の役割も担っているのですよ」
ジェラール陛下と後継ぎであるレオン殿下の名前に女神の名が入っているのは、そういった理由からだそうだ。稀に海の様な青い瞳を持って生まれるのも、王族の特徴らしい。殿下のような、ほぼ紫に近い瞳は更に希少なんだとか……
「クレハ様も綺麗な青い瞳をなさっています。あれは王家の血筋でいらっしゃるからだったんですね」
「ええ。あの方は特に、お婆様であるアルティナ様によく似ていらっしゃいますから……」
アルティナ様……直接お会いしたことは無いけれど、お屋敷でお若い時の肖像画を見たことがある。クレハ様と同じ青い瞳に銀色の髪をした、とても美しい方だった。セドリックさんも言うように、クレハ様はご両親よりもお婆様の面影の方が強い。その肖像画を見ていると、まるで成長なされたクレハ様を見ているようでドキドキした。
リザベット橋の手前まで行くと検問所がある。本来なら、まずはここで許可証を提示しなくてはならない。馬車が速度を落とすと、数人の兵士が駆け寄ってきた。
「リズさん、ちょっと待ってて下さいね」
セドリックさんはそう言うと、停止した馬車から降りてしまう。そして、検問所の兵士とお話を始めた。窓からこっそりとその様子を伺う。兵士はセドリックさんに向かってビシッと敬礼をしている。新人さんだろうか……何だか少し緊張しているように見えた。時間にしてほんの2、3分……話を終えたセドリックさんが小走りで馬車に戻って来た。
「お待たせしました。警備兵にリズさんを紹介しますので、一緒に来て頂けますか?」
「は、はい」
乗る時と同様に差し出されたセドリックさんの手を取り、私は彼と共に検問所へ向かった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる