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33話 帰れない事情(1)
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午前中は『とまり木』の方へ顔を出して、昼から王宮に上がった俺は、レオン様とクレハ様の様子を見るために中庭へ向かっていた。おふたりはそこでエリスと遊ぶ予定なのだそうだ。中庭の方にもクレハ様の好きそうな花がたくさん植えてあるので、そちらも楽しんで貰えるといいな。
「あっ! エリス」
庭でおふたりの姿を発見したのと同時に、エリスを呼ぶクレハ様の声が聞こえた。彼女に倣って空を見上げると、赤い美しい鳥がレオン様の方へ降りてくる所だった。その足には手紙の入った筒が握られている。
レオン様の飼い鳥であるエリスは非常に頭が良い。人の顔を識別し言葉も多少理解しているので、時折だがこうしてレオン様専用の伝達係として働いているのだ。クレハ様との文通でも大活躍していた。
「クーッ! クーッ!」
「わっ!? エリス……ひゃっ! ちょっ、待って……」
レオン様へ筒を渡すと、エリスはすぐさまクレハ様の肩へ飛び乗った。体を擦り寄せて喉を鳴らし、甘えた声を出している。やはりクレハ様には懐いてるんだな……
エリスはその頭の良さ故か警戒心が強く、主であるレオン様以外には懐かない……はずだった。怪我をしている所をクレハ様に助けて貰ったということもあるのだろうが、それにしてもべったりだ。ペットは飼い主に似るとはよく言ったものだと思う。
エリスから受け取った手紙に目を通すと、レオン様はそれを懐に入れた。どうやら手紙は緊急の物ではなかったようだ。エリスを使っての手紙のやり取りはレオン様の個人的な用向きの場合が多いので、あまり干渉するべきではないのだが、念のため確認はしておいた方がいいか……
「セドリック、いつまで黙って見てるつもりだ?」
「おふたりのお邪魔になるやもと思いまして」
そうこうしているうちに、レオン様の方から俺に声をかけてこられた。
「レオン様、先程の手紙は……」
「あの方から茶会のお誘いだよ。俺が驚くような話もあるから、できるだけ早く都合を付けて欲しいという事だ」
「左様ですか……」
あの方とは……我が国の守り神メーアレクト様の事だ。レオン様のお側でお仕えしている自分は、かの女神とディセンシア家の関係を知らされている。これを知っているのはディセンシアの本家と一部の側近のみ。最初は王家の威厳や神秘性を高める為の逸話か何かだと、話半分で本気にはしていなかった。けれど、そんな俺に対し『百聞は一見にしかず』とレオン様は言い放ち、俺を水の神殿に連れて行くと、メーアレクト様と実際に対面させたのだった。あの時は……情けなくも衝撃で腰を抜かした。今でも夢ではなかったのかと思うほどだ。
「エリス! おやつがあるからこっちにおいで」
おやつという言葉に反応したエリスは、クレハ様の肩から離れてレオン様の元へ向かって行った。レオン様はエリスのおやつ用にと常に木の実を数個持ち歩いている。エリスは差し出された実を受け取ると、足と嘴で器用にカラを剥いて中の柔らかい部分を食べ始めた。
「ずいぶんと懐かれたね」
エリスにじゃれつかれたせいで乱れてしまったクレハ様の髪の毛。レオン様はそれを手櫛で整える。ほんと自然に触るんだよなぁ。クレハ様もここ数日の間でレオン様のスキンシップに慣れたのか、されるがままになっている。
「それで、何が心配なのかな?」
「え?」
「さっき母上の部屋で言ってただろ。心配だって。気になる事があるならちゃんと教えて」
髪を整えていた手はそのまま彼女の頭を優しく撫でている。クレハ様は視線を地面に落とすと、少し俯きながらゆっくりと話し始めた。
「家から迎えが来ないんです。連絡も全く無くて……だから何かあったんじゃないかって」
「ああ、その事か……。ごめん、それ俺のせい」
「レオンの? どういう意味ですか」
「迎えが来ないのは俺がクレハの滞在を延ばして欲しいって言ったからだよ」
「どうしてそんなことを……」
「どうしてって……分からない?」
レオン様はクレハ様の頭を自分の方へ引き寄せ、耳元で囁いた。
「俺が君と離れたくないから……それ以外にあるかな」
「なっ!?」
「クレハにも都合があるだろうけど、もう少しだけ俺の我儘に付き合って側にいて?」
「はっ……はい」
あーあ……クレハ様ったら、またそんな反応して……レオン様が喜ぶだけなのに。もうレオン様も脈アリ判定してるからか、言動と態度に遠慮が一切無くなっている。それに関しては、俺ですらそう思うから仕方ないんだけど。クレハ様全く嫌がってないもんな。耳まで真っ赤にして、あんな可愛い表情されたら堪らないだろうよ。
「せっかく一緒にいられる期間が延びたんだから、それを存分に有効に使おうか。クレハのやりたがってた武芸の稽古も今日から始めようと思うけど、どうかな?」
「本当ですか!?」
さっきまでのおどおどしていた態度が嘘のように、クレハ様は期待に目を輝かせて嬉しそうにレオン様を見つめている。その顔も可愛いなと、主の思っている事が手に取るように分かる。
「是非! お願いします」
「うん。それじゃクレハの準備が出来次第、始めようか。その格好は運動するには不向きだからね。当面は俺の服でいいとしても……ドレスだけじゃなくてもっと動きやすい服も用意しないといけないな」
クレハ様はベルナデット様から贈られたドレスをお召しになったままだった。クレハ様がレオン様と婚約した事で、王妃殿下はまるで娘ができたかのようにはしゃいでおられる。実際におふたりが婚儀を交わすのはまだまだ先の話だが、世間でよくある嫁姑問題とは無縁そうなのは良かったと思う。
まぁ、それはそれとして……
「よくあんな流れるようにさらっと嘘言えますよね。レオン様は……」
クレハ様が着替えのためこの場から席を外しているので、先程の主の会話について揶揄した。
「何とでも言え。クレハに側にいて欲しいという点については嘘偽り無い本心だ」
「しかし、クレハ様が不安に思うのも当然です。ジェムラート家からその後連絡は無いのですか?」
「ああ。クレハをもうしばらく王宮で預かって欲しいってそれっきりだな」
クレハ様の迎えが来ないのはレオン様が我儘を言って引き止めているのではない。本来クレハ様がお帰りになる予定だった日……ジェムラート家の使者が公爵からの書簡を持ってやってきたのだ。それにはクレハ様をしばらくの間、王宮で預かって欲しいと記されてあったらしい。クレハ様はレオン様の婚約者であるので、王宮に滞在して貰う事に問題は無いのだが……公爵がなぜ急にそんな事を言い出したのか理由が分からなかった。
「黙っていたのが逆に良くなかったな。これ以上クレハを誤魔化すのは無理がある。こちらとしても理由を聞かせて貰わないと……何も言わずに大事な娘を預けたままなんてあり得ないだろ」
「クレハ様のおっしゃるように、なにかあったんでしょうかねぇ……」
「……セドリック。ミシェルにジェムラート邸の調査を命じる。今あの家で何が起きているか突き止めてこ……」
「待て」
背後からよく通る凛とした声が響き渡り、レオン様の言葉を遮り制止した。そんな事ができるのはおひとりしかいない。
「お前は相変わらず性急だな。迅速な判断力と行動力は褒めてやるが、この件については下手に事を荒立てず、静観するのをお勧めするぞ」
「父上……」
声の主は、金色の髪に青い瞳をした美丈夫。レオン様のお父上でありコスタビューテ王国、国王『ジェラール・メーアレクト・ディセンシア』その人だった。
「なんだ、婚約者と一緒にいられて喜んでいると思っていたのだが案外そうでもないようだな」
「ろくに理由も告げられないまま王宮に留まる事になり、クレハは不安に思っていますからね。それを無視して浮かれられるほど無神経ではありません」
「お前ほんとにクレハ嬢にベタ惚れなんだな。でも、気持ちは分かる。あの子可愛いもんな。アルティナ伯母様にそっくりだし、将来が楽しみだ」
「…………」
「おい……なんて目で親のこと見てんだよ」
「いえ、まさか父上に少女愛好の気があるなんて存じ上げませんでした。これは母上に報告した方がよろしいでしょうかね」
「はぁ? ちょっ……可愛いって言っただけだろ。とんでもない事言い出すんじゃない! ある事ない事ベルナデットに吹き込んだら許さないぞ」
レオン様の言いがかりにも甚だしい物言いに、陛下は一気に激昂する。この親子はほんとにもう……
「陛下……落ち着いて下さい。レオン様にペースを乱されておいでですよ」
「冗談に決まってるじゃないですか。俺だって自分の両親が仲違いする所なんて見たくありません。せっかく母上とクレハの関係も良好なのに、わざわざ波風立てるような真似するわけない」
「このやろう……」
「父上はジェムラート家の事情をご存知なんですか?」
「まあな。お前たちが知ってどうこう出来る問題じゃないから手ぇ出すな……っつっても、お前がそれで納得するわけないよなぁ」
陛下は後頭部をがしがしと掻きむしりながら、深く息を吐いた。おふたりのこういった細かい仕草や表情がそっくりなのはやはり親子だ。
「仕方ない……教えてやるから付いて来い。但し、他言無用だぞ」
「あっ! エリス」
庭でおふたりの姿を発見したのと同時に、エリスを呼ぶクレハ様の声が聞こえた。彼女に倣って空を見上げると、赤い美しい鳥がレオン様の方へ降りてくる所だった。その足には手紙の入った筒が握られている。
レオン様の飼い鳥であるエリスは非常に頭が良い。人の顔を識別し言葉も多少理解しているので、時折だがこうしてレオン様専用の伝達係として働いているのだ。クレハ様との文通でも大活躍していた。
「クーッ! クーッ!」
「わっ!? エリス……ひゃっ! ちょっ、待って……」
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エリスはその頭の良さ故か警戒心が強く、主であるレオン様以外には懐かない……はずだった。怪我をしている所をクレハ様に助けて貰ったということもあるのだろうが、それにしてもべったりだ。ペットは飼い主に似るとはよく言ったものだと思う。
エリスから受け取った手紙に目を通すと、レオン様はそれを懐に入れた。どうやら手紙は緊急の物ではなかったようだ。エリスを使っての手紙のやり取りはレオン様の個人的な用向きの場合が多いので、あまり干渉するべきではないのだが、念のため確認はしておいた方がいいか……
「セドリック、いつまで黙って見てるつもりだ?」
「おふたりのお邪魔になるやもと思いまして」
そうこうしているうちに、レオン様の方から俺に声をかけてこられた。
「レオン様、先程の手紙は……」
「あの方から茶会のお誘いだよ。俺が驚くような話もあるから、できるだけ早く都合を付けて欲しいという事だ」
「左様ですか……」
あの方とは……我が国の守り神メーアレクト様の事だ。レオン様のお側でお仕えしている自分は、かの女神とディセンシア家の関係を知らされている。これを知っているのはディセンシアの本家と一部の側近のみ。最初は王家の威厳や神秘性を高める為の逸話か何かだと、話半分で本気にはしていなかった。けれど、そんな俺に対し『百聞は一見にしかず』とレオン様は言い放ち、俺を水の神殿に連れて行くと、メーアレクト様と実際に対面させたのだった。あの時は……情けなくも衝撃で腰を抜かした。今でも夢ではなかったのかと思うほどだ。
「エリス! おやつがあるからこっちにおいで」
おやつという言葉に反応したエリスは、クレハ様の肩から離れてレオン様の元へ向かって行った。レオン様はエリスのおやつ用にと常に木の実を数個持ち歩いている。エリスは差し出された実を受け取ると、足と嘴で器用にカラを剥いて中の柔らかい部分を食べ始めた。
「ずいぶんと懐かれたね」
エリスにじゃれつかれたせいで乱れてしまったクレハ様の髪の毛。レオン様はそれを手櫛で整える。ほんと自然に触るんだよなぁ。クレハ様もここ数日の間でレオン様のスキンシップに慣れたのか、されるがままになっている。
「それで、何が心配なのかな?」
「え?」
「さっき母上の部屋で言ってただろ。心配だって。気になる事があるならちゃんと教えて」
髪を整えていた手はそのまま彼女の頭を優しく撫でている。クレハ様は視線を地面に落とすと、少し俯きながらゆっくりと話し始めた。
「家から迎えが来ないんです。連絡も全く無くて……だから何かあったんじゃないかって」
「ああ、その事か……。ごめん、それ俺のせい」
「レオンの? どういう意味ですか」
「迎えが来ないのは俺がクレハの滞在を延ばして欲しいって言ったからだよ」
「どうしてそんなことを……」
「どうしてって……分からない?」
レオン様はクレハ様の頭を自分の方へ引き寄せ、耳元で囁いた。
「俺が君と離れたくないから……それ以外にあるかな」
「なっ!?」
「クレハにも都合があるだろうけど、もう少しだけ俺の我儘に付き合って側にいて?」
「はっ……はい」
あーあ……クレハ様ったら、またそんな反応して……レオン様が喜ぶだけなのに。もうレオン様も脈アリ判定してるからか、言動と態度に遠慮が一切無くなっている。それに関しては、俺ですらそう思うから仕方ないんだけど。クレハ様全く嫌がってないもんな。耳まで真っ赤にして、あんな可愛い表情されたら堪らないだろうよ。
「せっかく一緒にいられる期間が延びたんだから、それを存分に有効に使おうか。クレハのやりたがってた武芸の稽古も今日から始めようと思うけど、どうかな?」
「本当ですか!?」
さっきまでのおどおどしていた態度が嘘のように、クレハ様は期待に目を輝かせて嬉しそうにレオン様を見つめている。その顔も可愛いなと、主の思っている事が手に取るように分かる。
「是非! お願いします」
「うん。それじゃクレハの準備が出来次第、始めようか。その格好は運動するには不向きだからね。当面は俺の服でいいとしても……ドレスだけじゃなくてもっと動きやすい服も用意しないといけないな」
クレハ様はベルナデット様から贈られたドレスをお召しになったままだった。クレハ様がレオン様と婚約した事で、王妃殿下はまるで娘ができたかのようにはしゃいでおられる。実際におふたりが婚儀を交わすのはまだまだ先の話だが、世間でよくある嫁姑問題とは無縁そうなのは良かったと思う。
まぁ、それはそれとして……
「よくあんな流れるようにさらっと嘘言えますよね。レオン様は……」
クレハ様が着替えのためこの場から席を外しているので、先程の主の会話について揶揄した。
「何とでも言え。クレハに側にいて欲しいという点については嘘偽り無い本心だ」
「しかし、クレハ様が不安に思うのも当然です。ジェムラート家からその後連絡は無いのですか?」
「ああ。クレハをもうしばらく王宮で預かって欲しいってそれっきりだな」
クレハ様の迎えが来ないのはレオン様が我儘を言って引き止めているのではない。本来クレハ様がお帰りになる予定だった日……ジェムラート家の使者が公爵からの書簡を持ってやってきたのだ。それにはクレハ様をしばらくの間、王宮で預かって欲しいと記されてあったらしい。クレハ様はレオン様の婚約者であるので、王宮に滞在して貰う事に問題は無いのだが……公爵がなぜ急にそんな事を言い出したのか理由が分からなかった。
「黙っていたのが逆に良くなかったな。これ以上クレハを誤魔化すのは無理がある。こちらとしても理由を聞かせて貰わないと……何も言わずに大事な娘を預けたままなんてあり得ないだろ」
「クレハ様のおっしゃるように、なにかあったんでしょうかねぇ……」
「……セドリック。ミシェルにジェムラート邸の調査を命じる。今あの家で何が起きているか突き止めてこ……」
「待て」
背後からよく通る凛とした声が響き渡り、レオン様の言葉を遮り制止した。そんな事ができるのはおひとりしかいない。
「お前は相変わらず性急だな。迅速な判断力と行動力は褒めてやるが、この件については下手に事を荒立てず、静観するのをお勧めするぞ」
「父上……」
声の主は、金色の髪に青い瞳をした美丈夫。レオン様のお父上でありコスタビューテ王国、国王『ジェラール・メーアレクト・ディセンシア』その人だった。
「なんだ、婚約者と一緒にいられて喜んでいると思っていたのだが案外そうでもないようだな」
「ろくに理由も告げられないまま王宮に留まる事になり、クレハは不安に思っていますからね。それを無視して浮かれられるほど無神経ではありません」
「お前ほんとにクレハ嬢にベタ惚れなんだな。でも、気持ちは分かる。あの子可愛いもんな。アルティナ伯母様にそっくりだし、将来が楽しみだ」
「…………」
「おい……なんて目で親のこと見てんだよ」
「いえ、まさか父上に少女愛好の気があるなんて存じ上げませんでした。これは母上に報告した方がよろしいでしょうかね」
「はぁ? ちょっ……可愛いって言っただけだろ。とんでもない事言い出すんじゃない! ある事ない事ベルナデットに吹き込んだら許さないぞ」
レオン様の言いがかりにも甚だしい物言いに、陛下は一気に激昂する。この親子はほんとにもう……
「陛下……落ち着いて下さい。レオン様にペースを乱されておいでですよ」
「冗談に決まってるじゃないですか。俺だって自分の両親が仲違いする所なんて見たくありません。せっかく母上とクレハの関係も良好なのに、わざわざ波風立てるような真似するわけない」
「このやろう……」
「父上はジェムラート家の事情をご存知なんですか?」
「まあな。お前たちが知ってどうこう出来る問題じゃないから手ぇ出すな……っつっても、お前がそれで納得するわけないよなぁ」
陛下は後頭部をがしがしと掻きむしりながら、深く息を吐いた。おふたりのこういった細かい仕草や表情がそっくりなのはやはり親子だ。
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