21 / 252
20話 もう少し
しおりを挟む
扉を開けるとドアベルが軽快に鳴り響き、店の者に来客を伝える。間もなくして若い男性の店員がやって来た。相変わらずスマートな身のこなしだ……急いでいるのに全く慌ただしさを感じさせない。
「いらっしゃいませ! 何名さ……クレハ様!!」
「こんにちは。セドリックさん」
どれにしようかなぁ……あっ、これが例の新メニューか……わー!! 桃のゼリーだ。今日はこれにしようっと。やっぱり一度は食べておかないとね! メニュー表に書かれた新作の文字に心が踊る。ローレンスさんに聞いた時から楽しみにしていたのだ。
「すみませーん! 注文お願いしまーす」
右手を上げて店員を呼ぶ。すると、セドリックさんが近くで控えてくれていたのか、すぐに来てくれた。
「お待たせ致しました。クレハ様」
「今日はこちらの桃のゼリーと冷茶をお願いします。新メニュー楽しみにしてたんです」
「ありがとうございます! かしこまりました。すぐにお持ち致しますね」
注文を受けたのに、セドリックさんは私の顔をじっと見つめたまま動かない。どうしたんだろう……顔に何か付いてるのかな。軽く自身の頬に触れてみる。特に変わった所は無いと思うんだけど……
「あの、クレハ様……」
「はい?」
「王太子殿下とのご婚約、おめでとうございます!」
何故だかとても嬉しそうな顔で、セドリックさんは祝いの言葉を私に伝えてきた。
「セドリックさん……ご存知だったのですか?」
「えっ、ええ……主経由で」
やはりローレンスさんは、私の婚約のことを耳にしていたようだ。とはいえ、あれから4日経っているし屋敷の使用人も周知の事だから、ある程度広まっていても不思議ではないのだけど……
ローレンスさんからの手紙はまだ来ない。きっとお仕事が忙しいのだろうな。そう思ってはいても、今まで3日と空けずに送られていた手紙が来なくなると心配になってしまう。
「ローレンスさんは、お元気でいらっしゃいますか? お仕事が忙しいようで……体調などは崩しておられません?」
「ええ、主はとても元気ですよ! むしろ元気過ぎるくらいで。忙しいのは……まぁ……そうなんですけれど、それもじきに落ち着くかと」
セドリックさんは、先程の嬉しそうな表情はそのままに答えてくれた。本当に機嫌が良さそうだ。
「そうですか、良かった」
体調を悪くしておられるようではなかったので安心した。テーブルの上に置かれた冷水の入ったグラスを手に取り、口に運ぶ。冷たい液体が喉を潤していくのが心地良い。私は小さく息を吐いた。
「クレハ様……」
「何でしょうか」
「あの……クレハ様は、殿下との婚約をどう思っておられますか? このような事をお聞きするのは、不躾だと承知しておりますが……クレハ様は殿下と面識が無かったと伺いましたので……その、お嫌ではないのですか?」
さっきまでの様子とは打って変わり、セドリックさんは少し躊躇いがちに問いかけた。聞いてきたのはそっちなのに、私が答えを返す事に怯えているように見えた。
「嫌……とかはないです。私も姉もジェムラート家の娘です。貴族として生まれた以上、家の決めた相手と結婚するのは普通です。ただ、その相手が王太子殿下というのは驚きましたが……。私よりも殿下の方はどうなんでしょうかね……他にもっと素敵な方がいらっしゃっただろうに、私みたいなのと婚約なんて……」
同じジェムラート家の娘ならば、フィオナ姉様の方がはるかに望まれていただろうな……でも姉様はすでにルーカス様と婚約しているのだから仕方ない。そう言うと、セドリックさんが血相を変えて私の肩を両手で掴んだ。
「殿下は大丈夫です!! というより殿下に相応しいのはクレハ様しかいらっしゃいません! 殿下がクレハ様を気に入らないなんて事はありえませんのでっ……!」
「セ、セドリックさん……!?」
いつも穏やかで、落ち着いた印象を受ける彼とは思えない態度に面食らってしまった。
「あっ! も、申し訳ありません。ご無礼を……」
私の驚いた顔を見て我に返ったのか、セドリックさんは肩を掴んでいた手をゆっくりと離す。セドリックさんがおかしい……どうしちゃったんだろう。
「えーと……もしかしてセドリックさんは、殿下にお会いした事があるのですか?」
「えっ、いやその……まぁ何度か」
「そうなのですか! 父からとても優秀な方だと聞いております。歳も近いですし、仲良くなれれば良いのですが……」
「こりゃ主の頑張り次第だな。嫌がられていないだけ良かったと思うべきか……」
「え?」
セドリックさんが小声で何か言っているが、よく聞き取れなかった。
「すみません……何でもありません。ご注文の品をお持ち致しますね」
彼はそう言うと、一礼して店の奥に戻っていった。そして、ほどなくして注文したゼリーとお茶が運ばれてくる。セドリックさんのいつもと違う様子が少し引っ掛かったが、とりあえず今は目の前の美味しそうなゼリーに集中することにした。
『とまり木』でお茶をして屋敷に戻ると、時刻は午前11時を過ぎたところだった。自室に入りバルコニーの方を見る。ローレンスさんと手紙をやり取りし始めてから、窓を見るのが癖になりつつある。
(今日も来てないね……)
ガッカリした気持ちが、そのまま溜息になって口から溢れ出す。お仕事忙しいってセドリックさんも言っていたじゃないか……お元気でいらっしゃる事が分かっただけでも良かったのだ……そう自分自身に言い聞かせる。
そもそも、私とローレンスさんは改まって文通をしましょうなんて約束はしていない。何の前触れも無くこの関係が終わったとしても不思議ではないのだ。
こんな子供相手に忙しい時間を割いてまで、手紙を出し続ける義務は無い。ローレンスさんにとっては暇潰し程度のことだったのかもしれないのに、私が過剰に期待し過ぎてしまっただけ……
思考がどんどん悪い方へ傾いていき、やさぐれた感情が沸き出しそうになったその時――
クーックーッという鳴き声と共に、見慣れた美しい赤い鳥の姿が目に入った。
「エリス!!」
急いでバルコニーに出ると、エリスは私の周りをぐるぐると飛び回った。その足にはしっかりと金属製の筒が握られている。私が手のひらを前に差し出すと、エリスは筒をその上にぽとりと落とした。
「ありがとう、エリス」
何だかドキドキする……いつもより鼓動が早い。筒を開けると中には真っ白な封筒が入っていた。私は部屋に戻り、慌ただしく封筒を開け手紙を読み始める。
『あなたと王太子との婚約は存じ上げております。その件について、あなたに伝えなければならない事があります。明後日、王宮で開催される茶会にて、直接お話する機会を頂けないでしょうか?』
「えっ……」
書かれてある内容に驚愕した。殿下との事を知られているのは分かっていたが、ローレンスさんも明後日のお茶会に出席なさるの? もしかしてローレンスさんは、どこかの貴族なんだろうか……。明後日のお茶会に出席するのはディセンシア家に近しい親戚筋の家や、一部の貴族だけなはずだ。いや、そんな事はどうでもよくて……
ローレンスさんにお会いできる――
どうしよう……鼓動が先程よりも早くなる。
『目印はエリス。彼が私の所まで案内してくれます。……やっと、君に会える』
手紙を読み終えた私は、しばらく生気が抜けたような状態で、何もない壁をただ眺めていた。胸の高鳴りはいまだ治まらない。
「そうだ……お返事書かないと……」
しかし、散々悩んで出てきたのは、お会いできるのを楽しみにしていますという、ありきたりな言葉と、エリスってオスだったんですね、という事についてだけだった……
「いらっしゃいませ! 何名さ……クレハ様!!」
「こんにちは。セドリックさん」
どれにしようかなぁ……あっ、これが例の新メニューか……わー!! 桃のゼリーだ。今日はこれにしようっと。やっぱり一度は食べておかないとね! メニュー表に書かれた新作の文字に心が踊る。ローレンスさんに聞いた時から楽しみにしていたのだ。
「すみませーん! 注文お願いしまーす」
右手を上げて店員を呼ぶ。すると、セドリックさんが近くで控えてくれていたのか、すぐに来てくれた。
「お待たせ致しました。クレハ様」
「今日はこちらの桃のゼリーと冷茶をお願いします。新メニュー楽しみにしてたんです」
「ありがとうございます! かしこまりました。すぐにお持ち致しますね」
注文を受けたのに、セドリックさんは私の顔をじっと見つめたまま動かない。どうしたんだろう……顔に何か付いてるのかな。軽く自身の頬に触れてみる。特に変わった所は無いと思うんだけど……
「あの、クレハ様……」
「はい?」
「王太子殿下とのご婚約、おめでとうございます!」
何故だかとても嬉しそうな顔で、セドリックさんは祝いの言葉を私に伝えてきた。
「セドリックさん……ご存知だったのですか?」
「えっ、ええ……主経由で」
やはりローレンスさんは、私の婚約のことを耳にしていたようだ。とはいえ、あれから4日経っているし屋敷の使用人も周知の事だから、ある程度広まっていても不思議ではないのだけど……
ローレンスさんからの手紙はまだ来ない。きっとお仕事が忙しいのだろうな。そう思ってはいても、今まで3日と空けずに送られていた手紙が来なくなると心配になってしまう。
「ローレンスさんは、お元気でいらっしゃいますか? お仕事が忙しいようで……体調などは崩しておられません?」
「ええ、主はとても元気ですよ! むしろ元気過ぎるくらいで。忙しいのは……まぁ……そうなんですけれど、それもじきに落ち着くかと」
セドリックさんは、先程の嬉しそうな表情はそのままに答えてくれた。本当に機嫌が良さそうだ。
「そうですか、良かった」
体調を悪くしておられるようではなかったので安心した。テーブルの上に置かれた冷水の入ったグラスを手に取り、口に運ぶ。冷たい液体が喉を潤していくのが心地良い。私は小さく息を吐いた。
「クレハ様……」
「何でしょうか」
「あの……クレハ様は、殿下との婚約をどう思っておられますか? このような事をお聞きするのは、不躾だと承知しておりますが……クレハ様は殿下と面識が無かったと伺いましたので……その、お嫌ではないのですか?」
さっきまでの様子とは打って変わり、セドリックさんは少し躊躇いがちに問いかけた。聞いてきたのはそっちなのに、私が答えを返す事に怯えているように見えた。
「嫌……とかはないです。私も姉もジェムラート家の娘です。貴族として生まれた以上、家の決めた相手と結婚するのは普通です。ただ、その相手が王太子殿下というのは驚きましたが……。私よりも殿下の方はどうなんでしょうかね……他にもっと素敵な方がいらっしゃっただろうに、私みたいなのと婚約なんて……」
同じジェムラート家の娘ならば、フィオナ姉様の方がはるかに望まれていただろうな……でも姉様はすでにルーカス様と婚約しているのだから仕方ない。そう言うと、セドリックさんが血相を変えて私の肩を両手で掴んだ。
「殿下は大丈夫です!! というより殿下に相応しいのはクレハ様しかいらっしゃいません! 殿下がクレハ様を気に入らないなんて事はありえませんのでっ……!」
「セ、セドリックさん……!?」
いつも穏やかで、落ち着いた印象を受ける彼とは思えない態度に面食らってしまった。
「あっ! も、申し訳ありません。ご無礼を……」
私の驚いた顔を見て我に返ったのか、セドリックさんは肩を掴んでいた手をゆっくりと離す。セドリックさんがおかしい……どうしちゃったんだろう。
「えーと……もしかしてセドリックさんは、殿下にお会いした事があるのですか?」
「えっ、いやその……まぁ何度か」
「そうなのですか! 父からとても優秀な方だと聞いております。歳も近いですし、仲良くなれれば良いのですが……」
「こりゃ主の頑張り次第だな。嫌がられていないだけ良かったと思うべきか……」
「え?」
セドリックさんが小声で何か言っているが、よく聞き取れなかった。
「すみません……何でもありません。ご注文の品をお持ち致しますね」
彼はそう言うと、一礼して店の奥に戻っていった。そして、ほどなくして注文したゼリーとお茶が運ばれてくる。セドリックさんのいつもと違う様子が少し引っ掛かったが、とりあえず今は目の前の美味しそうなゼリーに集中することにした。
『とまり木』でお茶をして屋敷に戻ると、時刻は午前11時を過ぎたところだった。自室に入りバルコニーの方を見る。ローレンスさんと手紙をやり取りし始めてから、窓を見るのが癖になりつつある。
(今日も来てないね……)
ガッカリした気持ちが、そのまま溜息になって口から溢れ出す。お仕事忙しいってセドリックさんも言っていたじゃないか……お元気でいらっしゃる事が分かっただけでも良かったのだ……そう自分自身に言い聞かせる。
そもそも、私とローレンスさんは改まって文通をしましょうなんて約束はしていない。何の前触れも無くこの関係が終わったとしても不思議ではないのだ。
こんな子供相手に忙しい時間を割いてまで、手紙を出し続ける義務は無い。ローレンスさんにとっては暇潰し程度のことだったのかもしれないのに、私が過剰に期待し過ぎてしまっただけ……
思考がどんどん悪い方へ傾いていき、やさぐれた感情が沸き出しそうになったその時――
クーックーッという鳴き声と共に、見慣れた美しい赤い鳥の姿が目に入った。
「エリス!!」
急いでバルコニーに出ると、エリスは私の周りをぐるぐると飛び回った。その足にはしっかりと金属製の筒が握られている。私が手のひらを前に差し出すと、エリスは筒をその上にぽとりと落とした。
「ありがとう、エリス」
何だかドキドキする……いつもより鼓動が早い。筒を開けると中には真っ白な封筒が入っていた。私は部屋に戻り、慌ただしく封筒を開け手紙を読み始める。
『あなたと王太子との婚約は存じ上げております。その件について、あなたに伝えなければならない事があります。明後日、王宮で開催される茶会にて、直接お話する機会を頂けないでしょうか?』
「えっ……」
書かれてある内容に驚愕した。殿下との事を知られているのは分かっていたが、ローレンスさんも明後日のお茶会に出席なさるの? もしかしてローレンスさんは、どこかの貴族なんだろうか……。明後日のお茶会に出席するのはディセンシア家に近しい親戚筋の家や、一部の貴族だけなはずだ。いや、そんな事はどうでもよくて……
ローレンスさんにお会いできる――
どうしよう……鼓動が先程よりも早くなる。
『目印はエリス。彼が私の所まで案内してくれます。……やっと、君に会える』
手紙を読み終えた私は、しばらく生気が抜けたような状態で、何もない壁をただ眺めていた。胸の高鳴りはいまだ治まらない。
「そうだ……お返事書かないと……」
しかし、散々悩んで出てきたのは、お会いできるのを楽しみにしていますという、ありきたりな言葉と、エリスってオスだったんですね、という事についてだけだった……
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説

3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?
せいめ
恋愛
女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。
大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。
親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。
「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」
その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。
召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。
「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」
今回は無事に帰れるのか…?
ご都合主義です。
誤字脱字お許しください。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~
saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。
前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。
国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。
自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。
幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。
自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。
前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。
※小説家になろう様でも公開しています

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

異世界で婚活したら、とんでもないのが釣れちゃった?!
家具付
恋愛
五年前に、異世界に落っこちてしまった少女スナゴ。受け入れてくれた村にすっかりなじんだ頃、近隣の村の若い人々が集まる婚活に誘われる。一度は行ってみるべきという勧めを受けて行ってみたそこで出会ったのは……?
多種多様な獣人が暮らす異世界でおくる、のんびりほのぼのな求婚ライフ!の、はずだったのに。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる