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第2章

第10話 記憶の魔女たち④

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 見つけた。
 アキセは角から二人の魔女を見ている。
 相手の視界、『光』や『呪い』などすべてを遮断するマント『なんでも遮断マント』を召喚し、姿を消して、魔女に近づける。
「そういえば、あのウィムってどこに行ったんだろう?ナナエ」
「知らなーい。いつの間にかいなくなったね。ノノエ」
 短い白髪に赤い目。頭に長いリボンをつけ、短いワンピースを着ているがノノエで、短い黒髪に青い目。頭に長いリボンをつけ、体を覆いかぶるほどの被りを着ているのがナナエのようだ。
「どうする?」
「帰ろっか」
「帰ろ帰ろ。もう飽きた」
 魔女が帰ろうとしている。
 そうはさせない。
 銃を召喚し、マントの隙間から狙いを定め、引き金を引く。
 ナナエに当たった。体内から伸びる糸が壁にへばりつかせる。
「ナナエ!」
「何これ!きもーい!」
 拘束結界の一種の魔術。体内から拘束するための糸が伸び、壁などに貼り付け身動きを防ぐ。その糸には神経も繋げており、激痛を与え続ける。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!」
さらに相手の魔力、『呪い』で発動する術式弾を使っているため、自身の『呪い』を尽きるまで苦しませる。
「ナナエ!」
 ノノエが周囲を確認している。
 見えるはずがない。『なんでも遮断マント』のおかげで周囲の視界を消しているからだ。
 その隙にエンジェライトの弾を銃の中に召喚し、引き金を引く。弾は、ノノエの肩に当てる。さらに身動きを防ぐためにエンジェライトの槍を召喚し、ノノエの肩に刺す。
「イタイイタイイタイイタイイタイ!」
 ノノエは涙目になりながら、もがき苦しんでいる。それほど強くない魔女のようだ。やりやすい。
 『なんでも遮断マント』を指輪の中に仕舞い、姿を見せる。
「魔女名を言え」
「イタイイタイイタイイタイ」
 アキセの声が聞こえない。
「言えって言っているだろうか!」
 怒鳴りながら、エンジェライトの槍をさらに刺す。
「離してよ離してよ離してよ離してよ離してよ」
 もう叫ぶだけで答えられないようだ。
「もういい」
 古ぼけた本を召喚する。
 本は勝手に開き、開いたページに文字が浮かび出る。
「形見?」
ノノエは形見の魔女のようで、意味も載っていた。
形見は、思い出つまり記憶を呼び覚ます。
「記憶系の魔女か」
 ブチ切れる。
 ウィムに連行された理由が分かった。
 本を仕舞う。銃を構える。
「プライバシーの侵害だ」
形見の魔女の頭に引き金を連打する。
「ノノエ!」
 ナナエが叫ぶ。
 エンジェライト弾に光が入っている。だから魔女に効いている。
指輪の中にあるエンジェライト弾を銃の中に召喚し、弾が切れるまで打ち続ける。ノノエの頭がなくなっても、体に撃ち続ける。
「殺してやる!」
ナナエが魔術を破り、突っ込んでくる。
 もう一丁の銃を召喚し、ナナエに撃とうとしたが、打てなかった。
それはジャンヌがナナエの腹に蹴りを与え、部屋に飛ばしたからだった。


 魔族(アビス)を退治し、アキセと魔女を探してみれば、アキセがノノエに銃を撃っているところだった。
 アキセは今まで見たことのない顔だった。怒っている時もあるが、あれは本気で怒っている。
 それほどまでに魔女に何かされた。考えられるとしたら、アキセはあの魔女にタタリにかかったのだろう。
 その時、ナナエがアキセに襲いかかる。
 別に襲っても構わないが、話がある。そのためにジャンヌは飛び出し、ナナエの腹に蹴りを与え、向こうの部屋へ飛ばす。
「ジャンヌか・・・」
アキセは、感情もなく言う。
「そこの魔女。あんたがやったの。らしくないわね」
 いつもならジャンヌに押し付けるのに。
「今回は俺がやっているから楽だろう。後処理も俺にやらせろ」とアキセは、ノノエだった体に銃を撃つ。
 もうノノエは頭がなく、人形のようにカタカタと手足を動かすだけになった。ほぼ息を絶えているにもかかわらず、ノノエを打ち続ける。
 やはり、いつものアキセではない。
 これでは話が聞けない。とりあえず、話を訊くために顔に平手打ちする。
 まともに受けた。アキセは目が点になっている。
「何済んだ!」
 アキセが怒鳴る。
「これで話せるでしょ」
 やっと話を訊けるようだ。
「あんたもウィムに連れてこられたでしょ。それにそこの魔女のタタリにも」
 顎で頭のないノノエを差す。
「何か見たのか」
 アキセは返答した。
 魔女が見せた幻は、アキセと関係がある。アキセが怒るほど、触れたくないものがあった。アキセの過去と考えられても、アキセの姿は見れなかった。別の人間だとしても、その姿なんていない。
「じゃあ、あれは・・・」
 その時だった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ジャンヌの言葉を遮ったのは、幼い女の叫び声だった。
 部屋の奥が光っている。
 ジャンヌは、すかさず部屋に向かう。

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