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第2章
第9話 手探の魔女④
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舞台の裏方の倉庫。
『魔女の手』が破壊され、職員たちが慌てていた。
「今すぐ、商品の安全確保をしろ」
オーナーのパウロが職員に指示を出している。
よし。いい頃合いにその場に職員の頭を打つ。
「なんだ!?」
声を上げたパウロの足に撃つ。
「うわああああああああああああああああ」
銃に撃たれ、倒れたパウロは足を抑えながら叫ぶ。
「喚くなよ」
「誰だ!」
パウロは怒声を上げる。
アキセは銃を構えながら前に出る。
「おまえが犯人か!」
鋭い目つきをするパオロ。
――やっぱ、分からないか
「質問に答えなければ、体に穴を空ける」
パウロの横に脅しで撃つ。
「本物はどこだ?」
「なんのことだ」
「とぼけるのもいい加減にしろ。あの手はニセモノだろう」
パウロが黙り込む。
「いや、ニセモノのニセモノだ。ただの死体の手だし、『魔女の手』すらない」
「『魔女の手』じゃないけど・・・あの力は本物だ」
「へ~今までの商品だって、その手で作ったものだろう。いや作ったというより奪ったものを具現化しているだけ」
「おまえ、そこまでし・・・」
「なぜ、今回商品として出した?」
パウロの言葉を遮り、アキセは質問を続ける。
「・・・」
パウロが沈黙したので、弾を腕に撃つ。
「うわあああああああああああああ」
「何黙っているんだ。言えって言ってるんだ」
恐喝に言う。
「最近、魔女が現れるようになったんだ・・・」
観念したようでパウロは話す。
「怖くなって、売った先に魔女が去ればいいってことか」
「そうだ・・・」
パウロは返す。
「ウソつくな」
アキセは断言した。
「魔女が退治させるために、聖女に分かりやすくわざわざオークションに出したんだろう。けど、それもニセモノ。聖女に燃やされては困るからな。魔女を退治させた後も商売続けるために」
パウロを見下ろす。
「あーそうだよ!これでもう十分だろう!さっさと・・・」
パウロの足の横に撃つ。
「勝手に終わらせるなよ」
口調を強めに言う。
「あの手はどこから手に入れた?」
「それは・・・」
パウロが言葉を詰まる。
引き金を引こうとしたが、
「分かったから!」
パウロは察したようで、止める。
「研究所にいたバケモノから取ったんだ」
眉を吊り上げる。
「その施設は?」
「今はない」
「なぜ」
「知らん。火事があった」
――火事ねぇ~
「そのバケモノは?」
「そいつも知らん。実験体にされてたからな。死んだんじゃねえのか」
「あっそ」
パウロの向こうに布が被っている円柱の容器が見えた。
「そこか」
鋭い目つきをしたアキセは、銃でその容器に爆発する術を込めた刻印弾を撃ちこむ。
容器は爆発して破裂する。
「このガキ!商売道具を!いや・・・なんで場所が分かった?」
パウロの顔が青ざめる。
「さっさと死ね。ブルーノ」
「なぜ、その名を!」
アキセは無視して銃を構えた時だった。
「許さない」
女の声が響いた。
その直後に壁から無数の『手』が伸びる。
「ひいいい、きやがった・・・」
パウロが青ざめる。
――タイミング悪い時に魔女が現れやがって。
『手』が真っ直ぐにアキセに伸びてくる。
アキセは銃で『手』を打つが、消えても『手』が次々に伸びてくる。
その隙にパウロは、足を引きずられながら逃げる。
「逃げるな!」
『手』はパウロを追わず、アキセに向かってくる
「俺を狙ってくるなって!」
アキセは走る。
走っても逃げ場がない。おそらく魔女は壁からしか『手』が出せないようだ。だったら外に出るしかない。どこかに大穴あけて今すぐに外に出たいところだ。
その時だった。
アキセの腕に『手』が捕まる。
「げ!」
吸い取られるように『手』に引っ張られ、壁に張り付く。
逃げられないように足と首にもいくつもの『手』が掴む。しかもかなりの怪力だった。体が動かせない。
「捕まえた・・・」
床から巨人のような大きく握った『手』が伸びる。握った『手』が花のように開く。その中から『呪い』をまき散らす魔女が姿を見せる。
「手探(てさぐり)の魔女サヴァンナ・ハンド・・・」
所々に敗れた黒いワンピース。
足が手。目から手。舌も手。腕がなく、そこから『呪い』が漏れている。足までつく長い黒髪だと思えば、黒い小さな手が集まっている。
かなり気色悪い。
「よくも燃やしたな・・・燃やしたな・・・気に入っていたのに・・・あ~でも、その手も同じ・・・」
色気のあるような女の声。
「欲しい・・・」
腕にサヴァンナの『手』が強く摑まれた。
ゴキ!
激痛が襲う。
「うわ!」
骨がずれた。
このままでは腕が千切れてしまう。
『手』が腕を千切ろうとした時だった。
白い炎がサヴァンナに覆いかぶす。
「ああああああああああああああああああ」
サヴァンナはアキセから離れる。
アキセは『手』から離れ、尻餅をつく。
白い炎。使える聖女は一人しかいない。
苦しんでいるサヴァンナに何かが飛んでくるが、サヴァンナは察知したのか、床から『手』が伸び、壁にする。
その壁をロザリオで横に払う。
「ち、逃げやがって」
ワンピース風の黒いドレスを着たジャンヌが鋭い目つきで言う。
『魔女の手』が破壊され、職員たちが慌てていた。
「今すぐ、商品の安全確保をしろ」
オーナーのパウロが職員に指示を出している。
よし。いい頃合いにその場に職員の頭を打つ。
「なんだ!?」
声を上げたパウロの足に撃つ。
「うわああああああああああああああああ」
銃に撃たれ、倒れたパウロは足を抑えながら叫ぶ。
「喚くなよ」
「誰だ!」
パウロは怒声を上げる。
アキセは銃を構えながら前に出る。
「おまえが犯人か!」
鋭い目つきをするパオロ。
――やっぱ、分からないか
「質問に答えなければ、体に穴を空ける」
パウロの横に脅しで撃つ。
「本物はどこだ?」
「なんのことだ」
「とぼけるのもいい加減にしろ。あの手はニセモノだろう」
パウロが黙り込む。
「いや、ニセモノのニセモノだ。ただの死体の手だし、『魔女の手』すらない」
「『魔女の手』じゃないけど・・・あの力は本物だ」
「へ~今までの商品だって、その手で作ったものだろう。いや作ったというより奪ったものを具現化しているだけ」
「おまえ、そこまでし・・・」
「なぜ、今回商品として出した?」
パウロの言葉を遮り、アキセは質問を続ける。
「・・・」
パウロが沈黙したので、弾を腕に撃つ。
「うわあああああああああああああ」
「何黙っているんだ。言えって言ってるんだ」
恐喝に言う。
「最近、魔女が現れるようになったんだ・・・」
観念したようでパウロは話す。
「怖くなって、売った先に魔女が去ればいいってことか」
「そうだ・・・」
パウロは返す。
「ウソつくな」
アキセは断言した。
「魔女が退治させるために、聖女に分かりやすくわざわざオークションに出したんだろう。けど、それもニセモノ。聖女に燃やされては困るからな。魔女を退治させた後も商売続けるために」
パウロを見下ろす。
「あーそうだよ!これでもう十分だろう!さっさと・・・」
パウロの足の横に撃つ。
「勝手に終わらせるなよ」
口調を強めに言う。
「あの手はどこから手に入れた?」
「それは・・・」
パウロが言葉を詰まる。
引き金を引こうとしたが、
「分かったから!」
パウロは察したようで、止める。
「研究所にいたバケモノから取ったんだ」
眉を吊り上げる。
「その施設は?」
「今はない」
「なぜ」
「知らん。火事があった」
――火事ねぇ~
「そのバケモノは?」
「そいつも知らん。実験体にされてたからな。死んだんじゃねえのか」
「あっそ」
パウロの向こうに布が被っている円柱の容器が見えた。
「そこか」
鋭い目つきをしたアキセは、銃でその容器に爆発する術を込めた刻印弾を撃ちこむ。
容器は爆発して破裂する。
「このガキ!商売道具を!いや・・・なんで場所が分かった?」
パウロの顔が青ざめる。
「さっさと死ね。ブルーノ」
「なぜ、その名を!」
アキセは無視して銃を構えた時だった。
「許さない」
女の声が響いた。
その直後に壁から無数の『手』が伸びる。
「ひいいい、きやがった・・・」
パウロが青ざめる。
――タイミング悪い時に魔女が現れやがって。
『手』が真っ直ぐにアキセに伸びてくる。
アキセは銃で『手』を打つが、消えても『手』が次々に伸びてくる。
その隙にパウロは、足を引きずられながら逃げる。
「逃げるな!」
『手』はパウロを追わず、アキセに向かってくる
「俺を狙ってくるなって!」
アキセは走る。
走っても逃げ場がない。おそらく魔女は壁からしか『手』が出せないようだ。だったら外に出るしかない。どこかに大穴あけて今すぐに外に出たいところだ。
その時だった。
アキセの腕に『手』が捕まる。
「げ!」
吸い取られるように『手』に引っ張られ、壁に張り付く。
逃げられないように足と首にもいくつもの『手』が掴む。しかもかなりの怪力だった。体が動かせない。
「捕まえた・・・」
床から巨人のような大きく握った『手』が伸びる。握った『手』が花のように開く。その中から『呪い』をまき散らす魔女が姿を見せる。
「手探(てさぐり)の魔女サヴァンナ・ハンド・・・」
所々に敗れた黒いワンピース。
足が手。目から手。舌も手。腕がなく、そこから『呪い』が漏れている。足までつく長い黒髪だと思えば、黒い小さな手が集まっている。
かなり気色悪い。
「よくも燃やしたな・・・燃やしたな・・・気に入っていたのに・・・あ~でも、その手も同じ・・・」
色気のあるような女の声。
「欲しい・・・」
腕にサヴァンナの『手』が強く摑まれた。
ゴキ!
激痛が襲う。
「うわ!」
骨がずれた。
このままでは腕が千切れてしまう。
『手』が腕を千切ろうとした時だった。
白い炎がサヴァンナに覆いかぶす。
「ああああああああああああああああああ」
サヴァンナはアキセから離れる。
アキセは『手』から離れ、尻餅をつく。
白い炎。使える聖女は一人しかいない。
苦しんでいるサヴァンナに何かが飛んでくるが、サヴァンナは察知したのか、床から『手』が伸び、壁にする。
その壁をロザリオで横に払う。
「ち、逃げやがって」
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