50 / 155
第2章
第3話 蜂害の魔女④
しおりを挟む
着いた先は、森が広がり、広がった地表に無数の穴が広がっていた。穴から『呪い』が立ち昇り、蜂の羽音が轟いていた。ここが魔女の住処で間違いない。
ジャンヌとアキセは、木の陰から様子を伺っていた。
「なんで俺まで巻き込ませるんだ」
「何よ。あんただって私を散々巻き込ませようとしているくせに。お互い様。手伝ってもらいますからね」
「へ~い」
アキセのやる気のない返事がした。
「さて、どうしようかな」
今は晴れている。洞窟に向かって白い炎をぶつけてもいいが、中の把握や魔女の所在が分からないまま打つのも無謀な感じをする。
考え込んだ時だった。
「何?手伝おうか」
ごく最近聞き覚えがある女の声だった。振り返れば、何食わぬ顔で風の魔女がにやっと笑う。
「あんた・・・なんでここに・・・・」
ジャンヌは眉を吊り上げる。やな予感がしてたまらない。
「おい、ジャンヌ。そいつ?魔女だよな」
アキセが指していう。
「おお~君だね。聖女とセックスしたいリリムってさ」
「そうだけど」
ゴツ!
ジャンヌはアキセを殴る。
「否定しなさいよ!」
「事実だろ!」
「どこが!」
怒りを手に込めながら力強く握る。
「いいね~漫才できるほどの仲良しさんだ」
風の魔女がからかって言う。
「魔女が何用だ?」
アキセが訊く。
「この中にいる魔女と戦いんでしょ。手伝うよ」
風の魔女は穴に手を向ける。その行動に察した。
「ちょ!待って!」
魔女の手から白い塊が集まり、穴の中へと跳んでいった。爆発のような音が響き、風が吹き荒れる。風が止んだ時には、更に穴が広がっていた。その穴の中の羽の音がさらに響く。完全に威嚇している。
「おま!」
ジャンヌが視線を向けたときには風の魔女は消えていった。
「あの魔女め・・・」
怒りの手の中に握りしめる。
「おまえも魔女に好かれるよな」
「あんたに言われたくない!」
アキセに怒鳴った時だった。
穴から蜂の使い魔たちが大量に飛び出し、真っすぐに近づいてくる。
咄嗟に木の陰で隠れる。
羽音が耳の中で響き、耳を塞ぎたくなるほどの騒音だった。騒音の中、「あー」と情けない声が混じっていたが、気にしなかった。
蜂の使い魔たちは、森の奥へ飛んでいった。
木陰から出れば、横にいたはずのアキセがいなくなっていた。
あの情けない声はアキセが蜂の使い魔と共に流れていったのだろう。
「まあ、どうせ平気だろ」と呟いたら、「平気じゃねえ~」と聞こえたような気がするが、無視する。せっかくアキセを手伝わせようとしたが、結局一人でやる羽目になった。
その時、地面が大きく揺れる。
穴だらけだった地面を崩れ、現れたのは、巨大な複数の頭を持った塊だった。
黄色の複数の顔が球体状に固まり、口から『呪い』が漏れていた。
あれが今回のターゲットであるほうがいの魔女ストリカ・ビークリアだろう。
今までも姿が醜悪な魔女を見てきたが、今回の魔女もそれなりに気持ち悪かった。
ストリカは、徐々に空へ浮いていく。
逃げるつもりだ。
これ以上高く飛んでは、戦いづらくなる。早く地面に下ろさなければ。
その時だった。
突然、空から光の雨がストリカに集中に降り、地面に落ちる。
この技は、アタランテのものだった。アタランテが近づいている。
無限と思える光の雨が本体を露わにする。
黄色の人の形をしていたが、モドキと言った方が正しい。体から粘液でまとっている。
ストリカは、光に浴び、溶けたような音を鳴らす。
「そういうことか」
複数の頭に囲まれていたのは、『光』から守っていた。『光』の抗体が低いだろう。
姿を露わに『光』を含まれた日を浴びた瞬間、体が溶けだし、叫んだ。
弱点を見抜けば、倒すだけ。
盾にした顔が形成している。顔に囲まれる前に、白い炎をぶつける。
その時、ストリカと目が合った。
バレた。
ストリカは叫ぶ。
「何?」
背後から蜂の使い魔が迫ってくる。使い魔を呼ぶために叫んだのだろう。
しかし、蜂の使い魔が光の矢に刺さ、塵となって消える。
「先輩!」
スピカに乗ったアタランテが近寄ってくる。
「あれが今回の・・・」
ストリカは『光』からガードをするため、頭を形成していく。
「見ての通り、あの頭のおかげで『光』をガードしている」
「じゃあ、あの頭を壊して」
「一気にしかける」
意見が一致した。
ストリカを直接浄化させるにも骨が折れる。遠距離で強力な攻撃を与えるしかない。
「あの技ってどのくらいできる?」
「日差しあるので、1分でいけます」
今日は快晴。『光』が最も満ちている。最大限に『光』が使える。
「分かった時間を稼ぐ。もう一度あの頭を壊し、魔女が見えたら、放ちな」
「はい!」
アタランテは、腕輪から身長と同じ大きさの光の弓を形成する。腕輪に手をかざし、手の中で『光』を貯めている。
アタランテの言う通り、放つまでおよそ1分。それまでにストリカの頭を潰す。
ストリカは察したのか、蜂の使い魔の群れが襲ってくる。
蜂の使い魔がアタランテに向かうが、スピカが噛みつく。蜂の使い魔の群れに向かって吐き出す。スピカは、口から光の咆哮を吐く。一直線に光が伸び、蜂の使い魔は浄化され、道が開く。
距離は、およそ500メートル。走っていける距離。
この瞬間にジャンヌは走り出す。
ジャンヌに迫ってくる蜂の使い魔は、スピカが援護する。
ストリカとの距離を縮めた。
ジャンヌはロザリオに白い炎をまとう。
「燃え尽きろ!」
白い炎をストリカに放つ。
白い炎は、蜂の使い魔を巻き沿いながら、ストリカの頭の一つを包みこむ。
全部浄化する必要がない。隙間ができれば、いいだけ。
白い炎で浄化された頭が溶け、ストリカの姿を露わにした瞬間。
青白い光の矢が一直線にストリカの脳天を突き刺す。
黄色の体が徐々に青白くに侵食し、体中に包まれている粘液が、固まっていく。
そして、体に亀裂が入ったストリカは叫び、爆発する。
ジャンヌは安堵の溜息を吐く。
「やりました!先輩!」
スピカに乗ったアタランテが歓喜の声を上げる。
「アタランテ。助かった」
「はい」
アタランテは嬉しい笑顔で返した。
ジャンヌとアキセは、木の陰から様子を伺っていた。
「なんで俺まで巻き込ませるんだ」
「何よ。あんただって私を散々巻き込ませようとしているくせに。お互い様。手伝ってもらいますからね」
「へ~い」
アキセのやる気のない返事がした。
「さて、どうしようかな」
今は晴れている。洞窟に向かって白い炎をぶつけてもいいが、中の把握や魔女の所在が分からないまま打つのも無謀な感じをする。
考え込んだ時だった。
「何?手伝おうか」
ごく最近聞き覚えがある女の声だった。振り返れば、何食わぬ顔で風の魔女がにやっと笑う。
「あんた・・・なんでここに・・・・」
ジャンヌは眉を吊り上げる。やな予感がしてたまらない。
「おい、ジャンヌ。そいつ?魔女だよな」
アキセが指していう。
「おお~君だね。聖女とセックスしたいリリムってさ」
「そうだけど」
ゴツ!
ジャンヌはアキセを殴る。
「否定しなさいよ!」
「事実だろ!」
「どこが!」
怒りを手に込めながら力強く握る。
「いいね~漫才できるほどの仲良しさんだ」
風の魔女がからかって言う。
「魔女が何用だ?」
アキセが訊く。
「この中にいる魔女と戦いんでしょ。手伝うよ」
風の魔女は穴に手を向ける。その行動に察した。
「ちょ!待って!」
魔女の手から白い塊が集まり、穴の中へと跳んでいった。爆発のような音が響き、風が吹き荒れる。風が止んだ時には、更に穴が広がっていた。その穴の中の羽の音がさらに響く。完全に威嚇している。
「おま!」
ジャンヌが視線を向けたときには風の魔女は消えていった。
「あの魔女め・・・」
怒りの手の中に握りしめる。
「おまえも魔女に好かれるよな」
「あんたに言われたくない!」
アキセに怒鳴った時だった。
穴から蜂の使い魔たちが大量に飛び出し、真っすぐに近づいてくる。
咄嗟に木の陰で隠れる。
羽音が耳の中で響き、耳を塞ぎたくなるほどの騒音だった。騒音の中、「あー」と情けない声が混じっていたが、気にしなかった。
蜂の使い魔たちは、森の奥へ飛んでいった。
木陰から出れば、横にいたはずのアキセがいなくなっていた。
あの情けない声はアキセが蜂の使い魔と共に流れていったのだろう。
「まあ、どうせ平気だろ」と呟いたら、「平気じゃねえ~」と聞こえたような気がするが、無視する。せっかくアキセを手伝わせようとしたが、結局一人でやる羽目になった。
その時、地面が大きく揺れる。
穴だらけだった地面を崩れ、現れたのは、巨大な複数の頭を持った塊だった。
黄色の複数の顔が球体状に固まり、口から『呪い』が漏れていた。
あれが今回のターゲットであるほうがいの魔女ストリカ・ビークリアだろう。
今までも姿が醜悪な魔女を見てきたが、今回の魔女もそれなりに気持ち悪かった。
ストリカは、徐々に空へ浮いていく。
逃げるつもりだ。
これ以上高く飛んでは、戦いづらくなる。早く地面に下ろさなければ。
その時だった。
突然、空から光の雨がストリカに集中に降り、地面に落ちる。
この技は、アタランテのものだった。アタランテが近づいている。
無限と思える光の雨が本体を露わにする。
黄色の人の形をしていたが、モドキと言った方が正しい。体から粘液でまとっている。
ストリカは、光に浴び、溶けたような音を鳴らす。
「そういうことか」
複数の頭に囲まれていたのは、『光』から守っていた。『光』の抗体が低いだろう。
姿を露わに『光』を含まれた日を浴びた瞬間、体が溶けだし、叫んだ。
弱点を見抜けば、倒すだけ。
盾にした顔が形成している。顔に囲まれる前に、白い炎をぶつける。
その時、ストリカと目が合った。
バレた。
ストリカは叫ぶ。
「何?」
背後から蜂の使い魔が迫ってくる。使い魔を呼ぶために叫んだのだろう。
しかし、蜂の使い魔が光の矢に刺さ、塵となって消える。
「先輩!」
スピカに乗ったアタランテが近寄ってくる。
「あれが今回の・・・」
ストリカは『光』からガードをするため、頭を形成していく。
「見ての通り、あの頭のおかげで『光』をガードしている」
「じゃあ、あの頭を壊して」
「一気にしかける」
意見が一致した。
ストリカを直接浄化させるにも骨が折れる。遠距離で強力な攻撃を与えるしかない。
「あの技ってどのくらいできる?」
「日差しあるので、1分でいけます」
今日は快晴。『光』が最も満ちている。最大限に『光』が使える。
「分かった時間を稼ぐ。もう一度あの頭を壊し、魔女が見えたら、放ちな」
「はい!」
アタランテは、腕輪から身長と同じ大きさの光の弓を形成する。腕輪に手をかざし、手の中で『光』を貯めている。
アタランテの言う通り、放つまでおよそ1分。それまでにストリカの頭を潰す。
ストリカは察したのか、蜂の使い魔の群れが襲ってくる。
蜂の使い魔がアタランテに向かうが、スピカが噛みつく。蜂の使い魔の群れに向かって吐き出す。スピカは、口から光の咆哮を吐く。一直線に光が伸び、蜂の使い魔は浄化され、道が開く。
距離は、およそ500メートル。走っていける距離。
この瞬間にジャンヌは走り出す。
ジャンヌに迫ってくる蜂の使い魔は、スピカが援護する。
ストリカとの距離を縮めた。
ジャンヌはロザリオに白い炎をまとう。
「燃え尽きろ!」
白い炎をストリカに放つ。
白い炎は、蜂の使い魔を巻き沿いながら、ストリカの頭の一つを包みこむ。
全部浄化する必要がない。隙間ができれば、いいだけ。
白い炎で浄化された頭が溶け、ストリカの姿を露わにした瞬間。
青白い光の矢が一直線にストリカの脳天を突き刺す。
黄色の体が徐々に青白くに侵食し、体中に包まれている粘液が、固まっていく。
そして、体に亀裂が入ったストリカは叫び、爆発する。
ジャンヌは安堵の溜息を吐く。
「やりました!先輩!」
スピカに乗ったアタランテが歓喜の声を上げる。
「アタランテ。助かった」
「はい」
アタランテは嬉しい笑顔で返した。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる