魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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第2章

第3話 蜂害の魔女②

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 一方、アキセも森の中をさ迷っていた。
 ジャンヌを探していたら、見失ってしまった。そこで工作の魔女コルン・コボルドの発明品を使うことにした。魔術でも捜索の術があるが、聖女であるジャンヌには効かないが、コルンの発明品は、『呪い』を使うことなく聖女にも効く。コルンの技術は、『呪い』で作っているわけではなく、別の世界の技術も頭に入っているようで、この世界で解明できないほどの発明品を作っている。
 指輪に召喚したい発明品を念じ、空中から大きく巻いた古紙が出現する。
 『探しモノ地図』というコルンの発明品の一つで、探したいモノ、相手を探す代物である。
「どれどれ」
 広げた地図には、真っ白だったが、次第に描き始める。木がいくつも描いていく。森の中にいるようだ。その森の中の地図に人型が描かれる。
「見つけた。ん、もう一人いるな」
二つも描いた。誰かと一緒にいるようだ。
 この地図に描いた生き物の絵に触れれば、相手の情報を読み取れる。
相手の正体を探ろうとした時だった。
 茂みから何かが音がした。
 振り返れば、黄金に輝く目をした白い狼が牙を向いていた。
「え?」
 白い狼は口を開き、アキセを襲い掛かる。『探しモノ地図』は手放た瞬間に空中に消える。
アキセは咄嗟に白い狼の鼻と顎を手で押さえ、そのまま地面へ倒され、食われないように必死に耐えている。よく見れば、普通の狼より2倍大きかった。魔獣(モンスター)でも異獣(エヴォル)でもない。考えようにも白い狼はさらに押し出す。涎を垂らしながら、牙を向いてくる。手が塞がっては、魔術も使えない。打開策を考えようとした時だった。
「ストップ!」
 少女の声が響いた。一瞬白い狼は動きを止めたような気がする。
「ダメだよ!人を襲っちゃ!」
 少女の声が近づいた。おそらくこの狼の飼い主だろうか。
しかし、白い狼は少女の声を無視して、アキセに牙を向く。
――こいつ。これだから獣が嫌いなんだ。
「ダメだって!」
 白い狼がやっと離れた。
「大丈夫ですか?」
アキセの前に少女が心配そうに声をかける。
 長い茶髪をポニーテールに縛る。青い目。左腕に青い宝石が等間隔に埋め込まれている銀色の腕輪。狩人のような恰好をした若い少女だった。
「ごめんね。この子ね。勝手に襲う子じゃないんだけど」
 少女が白い狼を抑える。
「どうしたの?スピカ」
 スピカと呼ばれる狼は、アキセに歯を立て、威嚇する。
「いやいや、大丈夫だよ。お嬢さん」
 飼い主なら見張ってろ。死ぬところだった。
「あの~もしかしてこの先にある村に行く予定ですか?」
周辺に村はこの1か所しかない。おそらくジャンヌはこの先にある村に着くだろう。だか、威嚇する狼と一緒にいるのは、これ以上我慢ができない。
「いや、俺は・・・」
 アキセが立ち去ろうとするが、スピカが飛び掛かる。
――なんでー
 アキセは必死にスピカから逃げる。
「スピカ―」
 少女の声はスピカに届かなかった。



 魔女の誘導により村の手前まで誘導されてしまった。
 方向を変えようにも、行く先々に魔女が木を倒し、行き先を塞ぎ、誘導される。
「ちゃんと縦に振れば、こんな荒いことしなくてすんだのよ」
 白い炎をぶつけるが、風で払われる。
「今すぐに地面に叩きつけてやる!」
「もうそんな殺意を向けるならあっちにしてよね」
 魔女は指を指す。
「何に・・・」
 その先には森がざわめいていた。
「おお、きたきた」
 魔女は、手を額に当て遠く眺める。
 森の抜けた先に小さな家々があった。その上に黒い影が浮かんでいた。その動きは、鳥の動きではなかった。さらに木が軋める音、悲鳴が聞こえた。
 村は何者かに襲撃されている。
「あれって・・・」
ジャンヌが振り返ると魔女が消えていた。
 舌打ちをしたジャンヌは、村の中へと向かう。


村に着けば、人が襲われていた。
上半身は人の姿。手は虫のように6本はえている。目が虫の目。下半身はだか、針が大きい。背中に蜂のような虫の羽。
『呪い』が微小に漏れている。使い魔だろう。
使い魔は、魔女の従者である。魔女の一部のため、『呪い』が微小に出る。
蜂の使い魔は人を襲い、攫う者もいた。
ジャンヌは、蛇のように白い炎を放つ。白い炎は、蛇のような動きで蜂の使い魔を浄化させる。
蜂の使い魔は人を襲うのをやめ、ジャンヌに集中させるのが狙いだった。
狙った通り、蜂の使い魔は、ジャンヌに向かって襲ってくる。
光の刃を作ったロザリオで切ったり、白い炎を放ったりと蜂の使い魔を攻撃しても減った様子がない。
「たく、霧がない!」
 蜂の使い魔を切っても、数が減らない。
 いつの間にか蜂の使い魔に囲まれていた。一斉に蜂の使い魔が針を向け、襲いかかる時だった。
 襲いかかる蜂の使い魔に青白い光の矢が刺さった。
 この矢に見覚えがあった。
「この矢は・・・」
 空から雨のように光の矢が降ってきた。
 光の矢は、ジャンヌや人に当たることなく、蜂の使い魔だけに刺さっていく。光の矢が止んだ時には、蜂の使い魔は浄化され、消える。
 ジャンヌは安堵の溜息を吐き、ロザリオを懐にしまう。
 後でモノ音がした。
「久しぶりね。アタランテ」
 振り返れば、スピカに乗ったアタランテがいた。
「先輩も元気そうで何よりです」
 アタランテは笑って返す。

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