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興行の魔女①

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 ジャンヌが森の中にいた時だった。
 ゴーン。
 遠くで轟音がした。
 さらに黒い星が飛んでいた。見たことのある『光』だった。
 マズイ。あの人がいる。急いで遠くに逃げなければ。
 ジャンヌは急いでその場から走る。


 大部距離を稼いだ。
 必死に走ったので、木に手をついて乱れた息を整える。
 ここまで来ればいいだろ。
 追いかけてはこないが、見つかったら面倒くさい。
「よう!」と声がしたので振り向き、「ジャンヌ!」とアキセが肩を触った瞬間に気を失った。


 と目を覚ましたジャンヌは、手に鎖で拘束され、檻の中にいるまでの経緯を思い出したのであった。
 ぶっ殺す。
 アキセを見つけたらぶっ殺す。殴り殺す。絞め殺す。切り殺す。刺し殺す。殺す殺す殺すうううううううううううううううううううううううう。
 ジャンヌはアキセへの殺害に決意する。
 だか、アキセに魔力で大部『光』を奪われている。これ以上使えば、『呪い』への抗体がなくなり、呪病にかかってしまう。
毎回引っかかることに自身でも腹が立つ。いつも。
「助かったわ~」
 声がした。
 赤い服を着た熟女がいた。
「これで間に合える」
「偶然耳に入ったから助けしようと思って」
 熟女と話していたのは、かざなりの魔女ウィム・シルフだった。それにアキセも一緒にいる。檻の向こうで。
 見て理解した。
 アキセはウィムと組んでいたことに。
「最近。客が減って困っていたのよ」
「だって、面白味がないもの」
「はっきりいうわね。けど、今回は盛り上がるわよ~聖女を使うから」
「こら!」
 その発言で怒鳴った。
「あ。起きてる」
「元気~」とウィムが呑気に言う。
「活きがあるわね」と熟女は言う。
 3人とも腹が立つ。
 まさか見世物にするために売るとは。腹の虫が治まらない。
「じゃあ。客席に座るね」
 ウィムは飛んでいき、アキセは悪意のある顔で手を振っていく。
 百倍に殴り返す。
「準備といくか」
 熟女は体を伸ばす。
「ジョーカー!」
 熟女が叫ぶ。
 天井から落ちてきたのは、半分仮面、半分白化粧。赤と黒を基調とし、派手な格好をした男だった。
「はい。メアリ様」
 ジョーカーは軽く頭を下げ、手を大きく振る。
「私は準備に取り掛かるから、その聖女を見張ってな」
「かしこまりました」
 メアリは奥へと行く。
「お忙しい方だ」
 ジョーカーと目が合う。
「初めまして聖女様。共演ができ、恐縮です」
「あっそ!」
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