魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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寂屋の魔女⑦

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「散々な目にあったが・・・どうする。ジャンヌ」
 イルが話しかける。
 子猫たちには散々な目にはあったが、まだ話が終わっていない。
「そうね」
 ジャンヌは白い炎を背後に投げる。
「アツ!」
 茂みからアキセが燃えて飛び出してきた。
 ジャンヌはすかさず、アキセの胸倉を掴む。
「あんたなら、場所分かるでしょ」
 指輪を取り戻していないから、契約者であるアキセなら分かる。
「分かるけど・・・」
「まだ指輪を取り戻していないから、私を使おうとしたでしょ」
「んまあ・・・」
「連れて行きなさい!」
「え!?」



 ジャンヌは、ロザリオでチェシャに絡めた根を切る。
「なぜ・・・」
「話は後!」
 ロザリオを構える。
「聖女がジャマすんな!」
 魔女が怒鳴る。
「こっちは仕事しにきただけだ!」
 ロザリオで振るうが、テーブルが両サイドから起き上がる。
 後ろに下がる。
 テーブルが挟む。飛び散った食器が砕け、そのままジャンヌに迫ってくる。
 白い炎の結晶を飛ばし、完全に砕けた食器を壊す。
 正面に魔女がいない。
 背後から殺気。前に飛び出す。魔女が地面に拳をぶつけていた。
 距離を取りながら、白い炎を放つ。
黄色のバラの花びらが生えた手首を合わせて、黄色のバラを放つ。
 白い炎は黄色のバラにぶつかり、消える。
「どいつもこいつも。寂屋(さびしや)の魔女アリス・ベイリィの邪魔をしないでよ!」
 アリスが迫る。



 まさか、ジャンヌがくるとは思わなかった。
「「おじさん!」」
 声を向けば、キティとスノードロップが黄色のバラに鎖を引っ張られ、黄色のバラの中へと引きずられる。
 向かおうとしたが、イルが黄色のバラを踏む。
 首輪につながる鎖が千切れた。
今度は草壁に咲いている黄色のバラから棘を飛ばす。
 イルは近くのテーブルを引っ張り、棘を防ぐ。
 咄嗟に倒れていたテーブルに隠れる。
 イルの隅にいたキティとスノードロップに黄色のバラが蛇のような動きで近づく。
「二人とも!」
 イルが気づいた瞬間、黄色のバラが鎖をくわえる。イルがスノードロップを掴むが、キティは引っ張られる。
「キティ!」
 スノードロップが必死に声を上げる。
「ヤダ!」
 黄色のバラが大きく上げ、キティを黄色のバラの口へと入るが、銃声がなり、黄色のバラが弾ける。
 キティが落ちそうになるも、受け取ったのが、アキセだった。
 アキセは、手にカースネロがついたグローブに瞬時に着け、手を伸ばす。
 その時、アリスの周りに風に包み、動きが止まる。
 ジャンヌが光る剣で振り下ろす。
 ジャンヌの背後に黄色のバラが迫るが、イルがテーブルを投げ、黄色のバラに当てる。
 剣はアリスの肩から切り払う。
「あ・・・」
 ジャンヌの元に棘が迫る。
 ジャンヌはアリスを蹴り、離れる。
「チェシャ・・・」
 苦しむアリスは白い炎に浸食されながらもチェシャと目が合う。
 とても寂しそうで、見捨ててほしくないような顔をしている。
「チェシャ!」
 アリスがチェシャの元へと走る。
「「おじさん!!」
 キティとスノードロップが叫ぶ。
 目の前にまでアリスの手が伸ばすが、頭に光の刃が貫通する。
 ジャンヌが止めを刺した。
「チェシャ・・・」
 一瞬、アリスの顔がとても懐かしい顔をした。
 けど、本人ではないことは分かる。
 アリスは白い炎に包まれる。
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