魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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ウィッカーマン 前日弾

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「さっすが。レクマだね!」
 アキセから奪った術式弾が人になった。
 まさか、人になるとは。
驚きが隠せない。
 リキナ以外にレクマとソニアもいた。
 リキナには警戒するべきだが、アキセのように下心なく、下品ではないと考えれば、魔女の元についた方がいいかもしれない。
 あのクズよりはマシ。それに行く宛もないから、リキナの元にいようと思った。
「どうして人にしようとしたの?」
 レクマが訊く。
「ん~人になったらどうなるかなって。単純に」
 あまり深く考えていないようだ。
「だったら名前つけないと」
 レクマが提案する。
「そうか。名前ないもんね」
 名前。人にさせて名前までつけさせてくれるとは。
 少し期待してしまう。
「あたい。いっぱい名前つけてるから。名前を決めてもいいよ」
「にゃら~タマちゃんで」
 絶望した。
「弾だからタマちゃん」
「安直すぎない?」
「よくある名前だよ」
 ネコにつける名前ならよくある。
「じゃあ。キンタマちゃん」
「それも別の意味に聞こえるよ」
 リキナが突っ込む。
「ん~やっぱり名前だから、かぶらない方がいいよね」
 考えるべきは他にあると思うが。
「弾って、ブレッドと呼ぶ場合もあるよ」
 レクマからまともな名前。ここで止めなくてはまたふざけた名前になる。
「それで・・・」
「「だめ!」」
 リキナとソニアに阻止される。
「ありきたりすぎるよ」
「あと少しイタイ」
 変な名前をつけるよりはマシ。
「そうだな~すぐに消えそうだから。こう、一般に紛れても目立つかつ忘れないような。名前だけでも個性的な・・・」
 嫌な予感。
「じゃあ。タマチンデラックス」
 どうして下ネタから離れない。
「にゃら。チンタラタマ」
「じゃあ。あたいは、ゴールデンタママックスで」
 レクマも入ってきた。
「あの・・・自分で名乗るので」
「「「だめ!」」」
 3人一斉に声を上げる。
「そういえば、元の持ち主の名前も混じろうか。アキセっていうんだ」
 元主人の名前を入れてほしくない。
「これは、アキセノタマ」
「チンアキセ」
「僕だったら、インダラタマアキセ」
 段々とふざけた名前になっていく。
 普通につける気がない。期待あった気持ちがなくなった。少しでもまともな名前になることを祈るしかない。


 30分後


「じゃあ。アキセタマキンで決定!」
「「おめでとう」」
 ぱちぱちとリキナとレクマは拍手する。
 結局、変な名前をつけられてしまった。
 急に体が重くなった。
「よかったね」
「それ。ハラスメントに分類しますよ」
「僕はそんなのに屈しないよ。だったら使わせる前に対処するけど」
――怖い
「だとしてもセンスが悪いって言われても知りませんよ」
「違うよ。名前っていうのは想いを込めて決めるものなんだよ。たとえ、下ネタが入っても、ネタになろうとももらった名前は大事にするものだよ」
「狙って付けましたね」
 そうだ。あだ名で呼ばせればいいので。
「では名前が長いので、アキで」
「だめ。略さない!」
 さっそく阻止される。
「つけた名前を略すなんて許さないよ。すぐに消えても忘れられない名前にしたんだから」
「変なフラグ言わないでくれますか・・・」
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