魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
615 / 654

ウィッカーマン 前日弾

しおりを挟む
「さっすが。レクマだね!」
 アキセから奪った術式弾が人になった。
 まさか、人になるとは。
驚きが隠せない。
 リキナ以外にレクマとソニアもいた。
 リキナには警戒するべきだが、アキセのように下心なく、下品ではないと考えれば、魔女の元についた方がいいかもしれない。
 あのクズよりはマシ。それに行く宛もないから、リキナの元にいようと思った。
「どうして人にしようとしたの?」
 レクマが訊く。
「ん~人になったらどうなるかなって。単純に」
 あまり深く考えていないようだ。
「だったら名前つけないと」
 レクマが提案する。
「そうか。名前ないもんね」
 名前。人にさせて名前までつけさせてくれるとは。
 少し期待してしまう。
「あたい。いっぱい名前つけてるから。名前を決めてもいいよ」
「にゃら~タマちゃんで」
 絶望した。
「弾だからタマちゃん」
「安直すぎない?」
「よくある名前だよ」
 ネコにつける名前ならよくある。
「じゃあ。キンタマちゃん」
「それも別の意味に聞こえるよ」
 リキナが突っ込む。
「ん~やっぱり名前だから、かぶらない方がいいよね」
 考えるべきは他にあると思うが。
「弾って、ブレッドと呼ぶ場合もあるよ」
 レクマからまともな名前。ここで止めなくてはまたふざけた名前になる。
「それで・・・」
「「だめ!」」
 リキナとソニアに阻止される。
「ありきたりすぎるよ」
「あと少しイタイ」
 変な名前をつけるよりはマシ。
「そうだな~すぐに消えそうだから。こう、一般に紛れても目立つかつ忘れないような。名前だけでも個性的な・・・」
 嫌な予感。
「じゃあ。タマチンデラックス」
 どうして下ネタから離れない。
「にゃら。チンタラタマ」
「じゃあ。あたいは、ゴールデンタママックスで」
 レクマも入ってきた。
「あの・・・自分で名乗るので」
「「「だめ!」」」
 3人一斉に声を上げる。
「そういえば、元の持ち主の名前も混じろうか。アキセっていうんだ」
 元主人の名前を入れてほしくない。
「これは、アキセノタマ」
「チンアキセ」
「僕だったら、インダラタマアキセ」
 段々とふざけた名前になっていく。
 普通につける気がない。期待あった気持ちがなくなった。少しでもまともな名前になることを祈るしかない。


 30分後


「じゃあ。アキセタマキンで決定!」
「「おめでとう」」
 ぱちぱちとリキナとレクマは拍手する。
 結局、変な名前をつけられてしまった。
 急に体が重くなった。
「よかったね」
「それ。ハラスメントに分類しますよ」
「僕はそんなのに屈しないよ。だったら使わせる前に対処するけど」
――怖い
「だとしてもセンスが悪いって言われても知りませんよ」
「違うよ。名前っていうのは想いを込めて決めるものなんだよ。たとえ、下ネタが入っても、ネタになろうとももらった名前は大事にするものだよ」
「狙って付けましたね」
 そうだ。あだ名で呼ばせればいいので。
「では名前が長いので、アキで」
「だめ。略さない!」
 さっそく阻止される。
「つけた名前を略すなんて許さないよ。すぐに消えても忘れられない名前にしたんだから」
「変なフラグ言わないでくれますか・・・」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~

月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。 大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう! 忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。 で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。 酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。 異世界にて、タケノコになっちゃった! 「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」 いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。 でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。 というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。 竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。 めざせ! 快適生活と世界征服? 竹林王に、私はなる!

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

R. I. P. 【6 feet under】

ギイル
ファンタジー
仮想世界『R. I. P.』 ――当社のサービスは理想の永眠を提供致します。  死ぬまで眠り続けることを代償として仮想世界へと移住する事を可能としたサービス『R. I. P.』。現実を捨て新天地を目指した者達が集う近未来的な仮想世界では、ギャングやマフィアなどのあらゆる組織が勢力争いを繰り広げていた。  メイムこと■■ ■■もまた数年前に先立った友人を追い、全てを捨てて仮想世界『R. I. P.』へと足を踏み入れる。  しかしメイムを待ち受けていたのは仮想世界内での友人の失踪と、仮想世界『R. I. P.』から脱出できるという謎のドラック『6FU』の存在だった。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。 「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」 そして、目的地まで運ばれて着いてみると……… 「はて?修道院がありませんわ?」 why!? えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって? どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!! ※ジャンルをファンタジーに変更しました。

素直になる魔法薬を飲まされて

青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。 王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。 「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」 「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」 わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。 婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。 小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...