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ウィッカーマン⑨

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――早く行きたいのに、箱ネコが邪魔をする。
 ソニアの対応は分かる。結晶を飛ばし、白い箱を開かないように結晶を広げるだけ。
 それでもソニアは箱を無数に作りだす。
 切りがない。
 そんな中、奥から大きい火の人が見える。
「何あれ・・・」
 驚く暇もなく、開けた白い箱から水柱が迫ってくる。
 横に避ける。
「おお。できたんだ」
 腕を額の前に手を上げ、山でも眺めるように見るソニア。
「でも、私たちにぃは関係にゃいよ!」
 ソニアが白い箱を二つ投げるが、白い箱が赤い光線に貫通する。
 飛んできた先を向けば、ライフルに乗ったカトリナとユビワが迫ってくる。
「邪魔するにゃ」
 鋭い目つきをするソニアが白い箱を生み出す。
 ユビワが手にレンズをついた箱を顔の前につける。
 見たことのない道具。あれもコルンの発明品だろうか。
 その時ソニアが一瞬動かなくなった瞬間、足元に陣が光り、陣とともにソニアが消える。
「は~」と銃を構えたアキセがいた。
「何をしたの?」
「幻覚を見せて、別の場所に移した」
 やはりユビワが持っていた道具は幻覚を起こす道具で、アキセが魔術で転送した。倒すことよりも、飛ばし、少しでも時間を稼ぐために幻覚を見せたということか。
「ジャンヌさん。無事で」
 ライフルに乗ったカトリナとユビワが来た。
「二人とも無事ね」
「はい」
「ええ」
「俺も心配かけてほしいが」
 アキセが言っているが、無視する。
「で。あの火の巨人何?」



「あれ?聖女は?」
 ソニアは気がつけば、森の中にいた。あちこちに木が倒れ、傷ができていた。聖女の姿はなかった。
「正気に戻ったようだね」
 ソニアが向けば、リキナがいた。
「あ!幻覚を見ていたにょか」
「効果は長く続かなかったみたいだけど、それでもけっこう暴れるんだもん。隠れるの大変だったよ」
「ごめんねぇ~」
「そろそろ引き時だよ」
 リキナは遠くにいるウィッカーマンを見て言う。
「あれ。いいにぃょ。レクマにぃ黙って」
「僕たちにはどうにもならないよ。計画した時点で分かり切ったことだし」
 リキナは振り返って言う。
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