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ウィッカーマン⑤
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もうすぐ日が暮れていく。
「どう?」
「近くにいません」
ジャンヌとカトリナはユビワを探したが、見つからない。
指輪に戻ったのか。それともアキセに誘拐されたか。
「魔術で探します」
カトリナは袖から水晶球を取り出す。
よく見れば水晶球の中に陣が描き、中央に矢印が描いている。矢印が回転し、その方向に止まる。
「あっちです」
その先には塔が立っていた。
あの塔の中にいる。アキセが連れ込んだにしてもなぜあの塔にいる。アキセ以外にユビワを誘拐できるとしたら。
「カトリナ。もしかしたら事件に巻き込まれるかもしれない。場合によっては魔女が関わっているかもしれない。ここからは私が・・・・」
「私は魔術師です」
言い切る前にカトリナが言う。
「戦えることもできます。私もユビワちゃんが心配です。事件に巻き込まれたのであれば私も助けたいです」
巻き込ませたくないが、これ以上言っても引き下がらないようだ。
「分かった。無理はしないで。特に魔女とは相手にしないで」
「はい」
カトリナが周囲を見回す。
「そういえば、人がいない・・・」
広場にいるのに、人が全くいない。
「人避けを使っている・・・」
その時、炎の球。氷の刃。黒い光の弾が迫ってくる。
大きく手を振り、白い炎の壁を作る。
白い炎の壁にぶつかり、白い炎とともに消えていく。
その先には、少年少女たちが立っていた。
「何あいつら」
体に文字や記号が虫のように動いている。普通の人間ではないのは明らかだった。
「嘘・・・ホムンクルス・・・」
カトリナが驚いている。
「何?」
「人型魔法陣の一種となります」
「人型?」
「体に陣を刻む方法がありますが、魔法陣を体内に取り込むことはできないんです。『呪い』を放出できずに蓄積し、魔族化が進行してしまう・・過去に人造人間のホムンクルスで試みたのもありますが、それも失敗しています」
「またどんでもないことを考えるわね。けど、魔術相手なら」
ジャンヌが一気に白い炎を放つ時だった。
何かが飛んでくる。
背後に飛ぶ。飛んできたものが地面にめり込んだ。正体は白い箱だった。
――白い箱を使うのは。
白い箱が開き、無数の刃を飛ばす。
この距離では避けきれない。その時、水晶玉が目の前に現れ、光の壁を広げる。刃が弾かれていく。
「ジャンヌさん!」
「助かった」
水晶玉はカトリナのモノ。そして、あの白い箱は。
「また会えた~」
声の主は、白い箱を操るきばこの魔女ソニア・シュレディンガーだった。
「やろうぜ!」
両手に白い箱を生み出す。
「ここは私が相手するから、ユビワをお願い!」
「分かりました」
カトリナはホウキに乗って、塔へ向かう。
ホムンクルスの何人かが飛んで、カトリナを追いかける。魔術ならカトリナが対応できると思うが、魔女相手は聖女しか対応できない。
「開けてびっくりドッキリサプラ~イズ!」
ソニアは白い箱を投げる。
「どう?」
「近くにいません」
ジャンヌとカトリナはユビワを探したが、見つからない。
指輪に戻ったのか。それともアキセに誘拐されたか。
「魔術で探します」
カトリナは袖から水晶球を取り出す。
よく見れば水晶球の中に陣が描き、中央に矢印が描いている。矢印が回転し、その方向に止まる。
「あっちです」
その先には塔が立っていた。
あの塔の中にいる。アキセが連れ込んだにしてもなぜあの塔にいる。アキセ以外にユビワを誘拐できるとしたら。
「カトリナ。もしかしたら事件に巻き込まれるかもしれない。場合によっては魔女が関わっているかもしれない。ここからは私が・・・・」
「私は魔術師です」
言い切る前にカトリナが言う。
「戦えることもできます。私もユビワちゃんが心配です。事件に巻き込まれたのであれば私も助けたいです」
巻き込ませたくないが、これ以上言っても引き下がらないようだ。
「分かった。無理はしないで。特に魔女とは相手にしないで」
「はい」
カトリナが周囲を見回す。
「そういえば、人がいない・・・」
広場にいるのに、人が全くいない。
「人避けを使っている・・・」
その時、炎の球。氷の刃。黒い光の弾が迫ってくる。
大きく手を振り、白い炎の壁を作る。
白い炎の壁にぶつかり、白い炎とともに消えていく。
その先には、少年少女たちが立っていた。
「何あいつら」
体に文字や記号が虫のように動いている。普通の人間ではないのは明らかだった。
「嘘・・・ホムンクルス・・・」
カトリナが驚いている。
「何?」
「人型魔法陣の一種となります」
「人型?」
「体に陣を刻む方法がありますが、魔法陣を体内に取り込むことはできないんです。『呪い』を放出できずに蓄積し、魔族化が進行してしまう・・過去に人造人間のホムンクルスで試みたのもありますが、それも失敗しています」
「またどんでもないことを考えるわね。けど、魔術相手なら」
ジャンヌが一気に白い炎を放つ時だった。
何かが飛んでくる。
背後に飛ぶ。飛んできたものが地面にめり込んだ。正体は白い箱だった。
――白い箱を使うのは。
白い箱が開き、無数の刃を飛ばす。
この距離では避けきれない。その時、水晶玉が目の前に現れ、光の壁を広げる。刃が弾かれていく。
「ジャンヌさん!」
「助かった」
水晶玉はカトリナのモノ。そして、あの白い箱は。
「また会えた~」
声の主は、白い箱を操るきばこの魔女ソニア・シュレディンガーだった。
「やろうぜ!」
両手に白い箱を生み出す。
「ここは私が相手するから、ユビワをお願い!」
「分かりました」
カトリナはホウキに乗って、塔へ向かう。
ホムンクルスの何人かが飛んで、カトリナを追いかける。魔術ならカトリナが対応できると思うが、魔女相手は聖女しか対応できない。
「開けてびっくりドッキリサプラ~イズ!」
ソニアは白い箱を投げる。
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