魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
609 / 648

ウィッカーマン⑤

しおりを挟む
 もうすぐ日が暮れていく。
「どう?」
「近くにいません」
 ジャンヌとカトリナはユビワを探したが、見つからない。
 指輪に戻ったのか。それともアキセに誘拐されたか。
「魔術で探します」
 カトリナは袖から水晶球を取り出す。
 よく見れば水晶球の中に陣が描き、中央に矢印が描いている。矢印が回転し、その方向に止まる。
「あっちです」
 その先には塔が立っていた。
 あの塔の中にいる。アキセが連れ込んだにしてもなぜあの塔にいる。アキセ以外にユビワを誘拐できるとしたら。
「カトリナ。もしかしたら事件に巻き込まれるかもしれない。場合によっては魔女が関わっているかもしれない。ここからは私が・・・・」
「私は魔術師です」
 言い切る前にカトリナが言う。
「戦えることもできます。私もユビワちゃんが心配です。事件に巻き込まれたのであれば私も助けたいです」
 巻き込ませたくないが、これ以上言っても引き下がらないようだ。
「分かった。無理はしないで。特に魔女とは相手にしないで」
「はい」
 カトリナが周囲を見回す。
「そういえば、人がいない・・・」
 広場にいるのに、人が全くいない。
「人避けを使っている・・・」
 その時、炎の球。氷の刃。黒い光の弾が迫ってくる。
 大きく手を振り、白い炎の壁を作る。
 白い炎の壁にぶつかり、白い炎とともに消えていく。
 その先には、少年少女たちが立っていた。
「何あいつら」
 体に文字や記号が虫のように動いている。普通の人間ではないのは明らかだった。
「嘘・・・ホムンクルス・・・」
 カトリナが驚いている。
「何?」
「人型魔法陣の一種となります」
「人型?」
「体に陣を刻む方法がありますが、魔法陣を体内に取り込むことはできないんです。『呪い』を放出できずに蓄積し、魔族化が進行してしまう・・過去に人造人間のホムンクルスで試みたのもありますが、それも失敗しています」
「またどんでもないことを考えるわね。けど、魔術相手なら」
 ジャンヌが一気に白い炎を放つ時だった。
 何かが飛んでくる。
 背後に飛ぶ。飛んできたものが地面にめり込んだ。正体は白い箱だった。
――白い箱を使うのは。
 白い箱が開き、無数の刃を飛ばす。
 この距離では避けきれない。その時、水晶玉が目の前に現れ、光の壁を広げる。刃が弾かれていく。
「ジャンヌさん!」
「助かった」
 水晶玉はカトリナのモノ。そして、あの白い箱は。
「また会えた~」
 声の主は、白い箱を操るきばこの魔女ソニア・シュレディンガーだった。
「やろうぜ!」
 両手に白い箱を生み出す。
「ここは私が相手するから、ユビワをお願い!」
「分かりました」
 カトリナはホウキに乗って、塔へ向かう。
 ホムンクルスの何人かが飛んで、カトリナを追いかける。魔術ならカトリナが対応できると思うが、魔女相手は聖女しか対応できない。
「開けてびっくりドッキリサプラ~イズ!」
 ソニアは白い箱を投げる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

聖女召喚

胸の轟
ファンタジー
召喚は不幸しか生まないので止めましょう。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

処理中です...