魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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ウィッカーマン①

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「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 人になったユビワはアキセから逃げていた。
「このくだりをいつまでする気だ!」
「解約するまで続けますうううううううううう!」
「だったら諦めるまでやってやる!」
「その執念を別にぶつけてくださいいいいいいいいいいいいいいい」
「てか。前回よくも裸にしたなあ!」
「ギャグキャラは体を張るものですううううううううううううううう」
「俺は一流のイケメンだ!」
「もうその時点で気持ち悪いです~」
 バーンと轟音が響く。
 背後から大爆発が起きた。
「うわ!」
 ユビワは爆風で吹き飛ばされる。
 何かに引っ張られ、何かに乗った。
「大丈夫?」
 声をかけられたのは、ホウキに乗り、大きく黒い三角帽子。黒いローブを着ている魔術師のカトリナ・エリゴールだった。
「はい・・・」
 アキセの被害者で、以前純情を奪われたらしい。
「あの男は女の敵だから」
「そうですね・・・」
 かなり恨みがある。
 あの爆発もカトリナが攻撃したようだ。
「送ろうか?」
 契約でどこにいてもアキセは追いかける。しかもまだ生きている。コルンの工房も分からない。だったら行く宛は一つだけ。
「あの・・・聖女のジャンヌさんのところまで・・・」
「知り合いなの?」
「はい・・・」
「私も世話にはなったから送ってもいいけど、聖女だから魔術で見つかるの。大変なのよね」
 聖女の『光』で魔術は浄化されて使えない。
「ちょっと待ってください」
 ユビワは召喚したコルンの発明品の『捜しモノ地図』で探す。
「何それ?」
「これは知らない方が身のためと言いますか・・・」
「そうなの?」
 『探しモノ地図』を覗けば、森の絵の中に人の姿が描いた。触れば、ジャンヌだった。
「近くにいますね。え~と北に1キロですね」
 やはり展開上ジャンヌとアキセは近くにいるようだ。
「分かった」
 その方向にホウキは進んでいく。
 以前もカトリナの魔術を見て、アキセの魔術とはまた違った。
 いつもアキセの行動を見て、見よう見まねで魔術を使えた。それに自身も道具であるため、術をかけた道具の仕組みも分かる。けど、それ以上のことは詳しくは知らない。
「あの・・・」
「何?」
 カトリナは振り向く。
「魔術って流派とかあるんですか?」
「何興味ある?」
「え~と。詳しく知らなくて・・・」
「そうね。例えば、火を出すためには一つだけじゃないでしょ。いくつかの方法があって火を生み出すような感じかな。簡単方法があれば複雑な方法で生み出すこともあるの。しかもそれはすべて正解がないし、公式もないから、いろんな流派が生まれるの」
「そうなのですか」
「私の場合は学校で学んだけどね」
 やはり考え方もアキセと違う。
「もし、魔術を知りたいなら学校が手っ取り早いよ。紹介しようか」
「え・・・」
 その発想はなかった。学校に行って魔術を学ぶことを。
 魔術はまだ知らないことが多い。話だけでも訊きたい。でも、人になれる指輪がそこまでしていいものか。
「ごめんね。急に!さすがに学校までは早かったかな」
「そうではなくて・・・」
 なぜこの発言をしたのか。分からない。
「見つけたよ」
小さく見えるジャンヌがいた。
「下がるよ」
 ホウキは徐々に下がっていく。
 ジャンヌと目が合う。
「ユビワちゃんって!なんでカトリナも一緒にいるの」
「クズから助けたんです」
「なるほどね」
 察してくれた。
「ユビワが名前ですか。珍しい名前ですね」
「えへへへ」
 軽く笑って返す。
 ユビワはホウキから降りる。
「ありがとうございます」と軽く頭を下げる。
「私からもありがとうね」
「いえいえ。これからどちらに?」
「そうね。町に着きたいところだけど、近くにある?」
 ジャンヌはカトリナに訊く。
「近くでしたら、魔術の街になりますね。大きな町ではないので、宿で休めるくらいなら・・・そうだ。ユビワちゃん!」
「はい!」と返す。
「魔術の街ならいろいろとあるから、教えることはできるけど、どうする?」
 カトリナが提案する。
「え~と・・・」
「何?」
「ちょっと魔術のことで話していたもので」
「そう」
 ジャンヌが見つめる。
「あ!いや!その・・・」
「じゃあ行こうかな」
「え!」
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