魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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物換の魔女⑤

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 気がついた時にはヘルメスの姿がいなかった。
 まだ森の中にいるようだ。
 その時、肩に何かが刺された。体がしびれる。
 顔を上げた途端に、アキセが銃を構えていた。よく見れば、肩に針が刺さっている。
 またしても。
 奥に2号がグローブを大きく振ろうとしている。アキセが銃を撃ち、ダークネロを砕く。
 アキセが指飾りを振り、光の紐が伸びる。2号の体を絡める。足までも絡めたため倒れそうになるが、アキセが胸蔵を掴み、足元に陣が光り、陣と共に消える。
 アキセは以前も2号に対して嫌っていた。また殺しかねない。
 けど、一番にイラついているのは。
 しびれる体を動かし、立ち上がる。



 アキセが何度も2号を蹴る。
 魔術のおかげで対抗できない。
 さらに銃声。左肩に衝撃。左肩を撃たれた。
「う!」
 頭を踏みつけられる。
「おまえ。『良心卵』の時のでいいんだよな」
 見下ろすアキセが銃を構える。
「あの魔女め。嫌なものを出しやがって。これっきりにしたいものだか」
 アキセが銃に引き金に指をかける。
 事前にユビワからもらった魔術アイテム『霧玉』を使う。
 球に霧が発生する術を刻んでいる。使えと思えば、霧が発生できる。
 霧を発生させる。
「この!」
さらに袖からエンジェライトを取り出し、光の紐に触れる。光の紐が消え、拘束が解けた。
 霧の中でアキセは銃を撃っていく。
その隙に走り出す。
 弾が右の腹に当たるが、それでも走る。



 逃げられた。
 2号は木に手をつけ、息を整える。
 早くジャンヌと合流しなければ。
 その時、背後から抱きしめられる。
「ん?」
「くたばれえええええええええええええええええええええええええええええ」
 後ろに反られる。
 怒った声ではっきりした。相手がジャンヌだということを。
「2号ですうううううううううううううううう!」
 必死に声を上げた。
「間違えたあ!」
 ジャンヌが気づいた時には遅く、ジャーマンスープレックスを受けてしまう。
 ドン。


 ジャンヌはアキセにまた薬でやられたことにイラつき、アキセを見つけたので、反射的にジャーマンスープレックスをする。『2号ですー』と叫んで、2号だと気づいたが、止めることができず、2号の頭を地面に直接ぶつけてしまった。
 よく見れば、グローブをつけていなかったからアキセと見分けできなかった。2号と仮に名前をつけている。アキセには知られていない。
「しまった!間違えた!」
 2号がびくともしない。気を失っている。
「それはどういうことだ!」
 別の声をしたと思えば、本物のアキセだった。
「ヤバ・・・」
 すかさずアキセに胸蔵を掴む。
「よくも痺れさせたな!」
「回復はや」
「根性で治したわ!」
 アキセを投げる。
「殺した?」
 呑気に来たヘルメスにぶつかる。
「うわ!」
 抱きしめていたユビワが離れる。
――よし、アキセもろども殺す。
 ロザリオに白い炎に纏い、飛び掛かる。
「どきなさい!」
 ヘルメスがアキセをどかす。
「魔女もろども死ね!」
 ジャンヌは白い炎を纏って下ろす。ヘルメスが水を放出し、白い炎とぶつかる。だか、今は日中。『光』が溢れている。相性が悪くても勝てる。
 水が白い炎に撃ち負け、そのままヘルメスの体を燃やす。
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