584 / 648
物換の魔女②
しおりを挟む
「あ・・・」
しまった。思わず投げてしまった。アキセが胸を触るから。
湖が光り、女が浮き上がる。なぜか背中が光っている。
もしかして、アキセが言っていた魔女かもしれない。
「あなたが落としたのは」
バンと白い炎を飛ばすが、湖から伸びた水の盾で防がれる。
「人の話を聞いてからにしてくれませんか」と攻撃したのに魔女は冷静に返す。
「訊かないとだめなの・・・」
「あなたが落としたのは・・・」
勝手に話進めるし。
「この心が清らかな良心なアキセでしょうか」
湖から浮き上がったのは、アキセと思われる人だった。
――またなの。
以前にもコルンの発明品『良心卵』で良心のアキセが生まれた。
思わず黙り込む。
「どちらでしょうか」
「・・・」
「答えないのですか」
「答えないとダメなの」
「訊かれたことは答えるものでは」
「そもそもなんで私が落としたっていうのよ。勝手に落ちていったのよ!」
正確には投げた。
「でも目の前にいたのはあなたですよ。たとえ事故だろうと殺害だろうと私の目の前にいる方は答える義務があり、所持者でもあるのですよ」
「押しつけがましいにもほどがあるんだけど!てか、殺害とか事故って決めつけないで!」
「大半この湖に人を落とすのが、犯罪目的です。それに良心として帰ってきたんですよ。喜ぶべきでは」
「落とした本人が戸惑うわ!」
思わず突っ込む。
「あんた。もしかして一枚の葉が湖に落ちたとしてもこのやり取りをするわけ」
「たった一枚の葉としてもその人にとっては大切なものかもしれません。落としてしまったものを倍に返すものなんですよ」
――それって、大事なものだって言っても、手元に戻してないじゃないか。
「正直なあなたにはこの清らかな良心なアキセを渡します」
良心のアキセが横に置かされる。
「あ!話が終わっていない」
「今度から人に聞かれたことは答えるように」と少し切れ気味に言いながら魔女は湖に沈んでいく。
「あんたも人の話を聞けよ!」
「では」と人の話を訊かずに帰っていった。
「訊けや!」
怒鳴りつけても声だけが響く。
ここまで人の話を訊かない魔女がいるとは。イラつかせる。
「たく・・・」
勝手に良心と言われるアキセが置かされ、指輪もまだ湖の中。どうすればいいのか。
「お久しぶりです」
「何が・・・え?」
なぜ、お久しぶりというんだ。
「僕ですよ。以前『良心卵』で生まれたもう一人の僕ですよ」
「え“・・えええええええええええええええええ!」
しまった。思わず投げてしまった。アキセが胸を触るから。
湖が光り、女が浮き上がる。なぜか背中が光っている。
もしかして、アキセが言っていた魔女かもしれない。
「あなたが落としたのは」
バンと白い炎を飛ばすが、湖から伸びた水の盾で防がれる。
「人の話を聞いてからにしてくれませんか」と攻撃したのに魔女は冷静に返す。
「訊かないとだめなの・・・」
「あなたが落としたのは・・・」
勝手に話進めるし。
「この心が清らかな良心なアキセでしょうか」
湖から浮き上がったのは、アキセと思われる人だった。
――またなの。
以前にもコルンの発明品『良心卵』で良心のアキセが生まれた。
思わず黙り込む。
「どちらでしょうか」
「・・・」
「答えないのですか」
「答えないとダメなの」
「訊かれたことは答えるものでは」
「そもそもなんで私が落としたっていうのよ。勝手に落ちていったのよ!」
正確には投げた。
「でも目の前にいたのはあなたですよ。たとえ事故だろうと殺害だろうと私の目の前にいる方は答える義務があり、所持者でもあるのですよ」
「押しつけがましいにもほどがあるんだけど!てか、殺害とか事故って決めつけないで!」
「大半この湖に人を落とすのが、犯罪目的です。それに良心として帰ってきたんですよ。喜ぶべきでは」
「落とした本人が戸惑うわ!」
思わず突っ込む。
「あんた。もしかして一枚の葉が湖に落ちたとしてもこのやり取りをするわけ」
「たった一枚の葉としてもその人にとっては大切なものかもしれません。落としてしまったものを倍に返すものなんですよ」
――それって、大事なものだって言っても、手元に戻してないじゃないか。
「正直なあなたにはこの清らかな良心なアキセを渡します」
良心のアキセが横に置かされる。
「あ!話が終わっていない」
「今度から人に聞かれたことは答えるように」と少し切れ気味に言いながら魔女は湖に沈んでいく。
「あんたも人の話を聞けよ!」
「では」と人の話を訊かずに帰っていった。
「訊けや!」
怒鳴りつけても声だけが響く。
ここまで人の話を訊かない魔女がいるとは。イラつかせる。
「たく・・・」
勝手に良心と言われるアキセが置かされ、指輪もまだ湖の中。どうすればいいのか。
「お久しぶりです」
「何が・・・え?」
なぜ、お久しぶりというんだ。
「僕ですよ。以前『良心卵』で生まれたもう一人の僕ですよ」
「え“・・えええええええええええええええええ!」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる