582 / 648
仕返しした末路⑧
しおりを挟む
残ったのは、チェシャとアリスだけだった。
チェシャは思い返す。
「今回のことは私にも責任がありますゆえ、どうか私だけでお許しください」
チェシャは頭を床につけ、カーミラに申し立てる。
「そうね。あなたが報告したおかげで気づいたから」
声が低い。怒っている。
「軽くはしてあげる」
カーミラが手を軽く振る。顔の内側から線を引かれるように裂かれる。
「あなたたちの事情も知っているから、その傷はアリスに気づかないようにしてあるから」
アリスの名を持つ魔女だけは傷が見えないようになっている。罰を与えるにしても、わざわざこのような仕掛けまでしてくれた。
「ありがとうございます」
これで許されるだけでよかった。
しゅらの魔女が変わりに罰を受け、場合によっては赤の従士から剝奪されてもおかしくなかった。
この傷だけでもご厚意を受け入れる。
「どうしてかばったの」
しゅらの魔女アリス・キテラはチェシャに話しかける。
「いや~今回ははしゃぎすぎました~」と頭を軽くかく。
「シロちゃんもあそこまでするとは思いませんからね」
「私たちは何度でも転生できる。けどあなたたちはできないのよ。スノードロップとキティを置いていかないで・・・」
いつも高貴なアリスであるしゅらの魔女が不安な顔になっていた。
「しゅらさんだって。赤の従士になって吸血鬼たちを管理しているじゃないですか。俺っちのでしゃばりでなくさせたくないですよ。それにあの時のことはあなたがしたわけではないですよ」
「同じアリスよ。したようなものよ」
「でもあなたじゃないですよ」
しゅらの魔女はあの時にいた数少ない当事者。本人がやったわけでもないが、今でも引きずってはいる。
「スノードロップとキティを寂しい思いにはさせないですよ。あの時も全くないわけではないですけど、アリスが望んでいたことを否定するつもりはないですよ」
「そう・・・」
苦しい。気持ち悪い。何も見えない。
イーグスはブラドに地下の牢屋へ連れてかれた。その後でカーミラも牢屋に来た。
カーミラに身ぐるみを脱がされ、血の縄で体を縛り、水に落とされた。
カーミラにより、魔力を封じられ、何もできなくなった。それに死なないようにタタリもかけられた。だから死ぬこともなく水の中にいるだけだった。
引き上げる。やっと息が吸える。
目の前にカーミラとブラドがいた。
「満足ですか・・・」
カーミラに髪を引っ張られる。
「私が怒っている理由を言いなさい」
「許可を取らずにカーミラ様の名を貸したからですか」
「そんな難しく言わなくていいわよ。分かりやすくいいなさい」
「カーミラの名を勝手に使いました」
顔を平手でたたかれた。
「勝手に使いやがって。あなたにそこまでの権利を与えていないけど」
カーミラがにらみつける。
「あなたはよく問題は起こしていたけど、バカじゃない。ここまでやった理由が知りたいわ」
本当につまらない理由だから言えない。
「あなたの指示には従いました。成果もあげました。ですから、謝礼としてあなたの名前を無断で使っても問題ないかと思いますけどね」
顔を殴られる。
「甘やかしすぎた」
ブラドも背後で飽きられたような顔をしていた。
「まだ処罰決まっていないの。だからそれまではここにいなさい」
「それはまた・・・」
期間が見えない中、水の中に入れられる。場合によっては忘れてしまうほどに放置されかねない。
「安心しなさい。死なないようにかけてあげてあるから」
「拷問されるかと思いましたが」
「あなたは苦痛を与えても懲りないのは分かっているから」
「いやなら、殺せばいいのでは」
イーグスの首を絞める。
「死んで終わると思うな」
カーミラは怒りをこもった声でにらみつける。
「は~」
急にカーミラがため息を吐き、首から手が離れる。
親指と小指を立て、魔女のおしゃべりを使う。
「何!今取り込んでいるだけど」
カーミラが切れ気味に返す。
誰と話している。
「ふ~ん。いいだろう。あとで送る」
耳元から手を離す。
いやな予感。
「決まったわ。あなたの処罰」
チェシャは思い返す。
「今回のことは私にも責任がありますゆえ、どうか私だけでお許しください」
チェシャは頭を床につけ、カーミラに申し立てる。
「そうね。あなたが報告したおかげで気づいたから」
声が低い。怒っている。
「軽くはしてあげる」
カーミラが手を軽く振る。顔の内側から線を引かれるように裂かれる。
「あなたたちの事情も知っているから、その傷はアリスに気づかないようにしてあるから」
アリスの名を持つ魔女だけは傷が見えないようになっている。罰を与えるにしても、わざわざこのような仕掛けまでしてくれた。
「ありがとうございます」
これで許されるだけでよかった。
しゅらの魔女が変わりに罰を受け、場合によっては赤の従士から剝奪されてもおかしくなかった。
この傷だけでもご厚意を受け入れる。
「どうしてかばったの」
しゅらの魔女アリス・キテラはチェシャに話しかける。
「いや~今回ははしゃぎすぎました~」と頭を軽くかく。
「シロちゃんもあそこまでするとは思いませんからね」
「私たちは何度でも転生できる。けどあなたたちはできないのよ。スノードロップとキティを置いていかないで・・・」
いつも高貴なアリスであるしゅらの魔女が不安な顔になっていた。
「しゅらさんだって。赤の従士になって吸血鬼たちを管理しているじゃないですか。俺っちのでしゃばりでなくさせたくないですよ。それにあの時のことはあなたがしたわけではないですよ」
「同じアリスよ。したようなものよ」
「でもあなたじゃないですよ」
しゅらの魔女はあの時にいた数少ない当事者。本人がやったわけでもないが、今でも引きずってはいる。
「スノードロップとキティを寂しい思いにはさせないですよ。あの時も全くないわけではないですけど、アリスが望んでいたことを否定するつもりはないですよ」
「そう・・・」
苦しい。気持ち悪い。何も見えない。
イーグスはブラドに地下の牢屋へ連れてかれた。その後でカーミラも牢屋に来た。
カーミラに身ぐるみを脱がされ、血の縄で体を縛り、水に落とされた。
カーミラにより、魔力を封じられ、何もできなくなった。それに死なないようにタタリもかけられた。だから死ぬこともなく水の中にいるだけだった。
引き上げる。やっと息が吸える。
目の前にカーミラとブラドがいた。
「満足ですか・・・」
カーミラに髪を引っ張られる。
「私が怒っている理由を言いなさい」
「許可を取らずにカーミラ様の名を貸したからですか」
「そんな難しく言わなくていいわよ。分かりやすくいいなさい」
「カーミラの名を勝手に使いました」
顔を平手でたたかれた。
「勝手に使いやがって。あなたにそこまでの権利を与えていないけど」
カーミラがにらみつける。
「あなたはよく問題は起こしていたけど、バカじゃない。ここまでやった理由が知りたいわ」
本当につまらない理由だから言えない。
「あなたの指示には従いました。成果もあげました。ですから、謝礼としてあなたの名前を無断で使っても問題ないかと思いますけどね」
顔を殴られる。
「甘やかしすぎた」
ブラドも背後で飽きられたような顔をしていた。
「まだ処罰決まっていないの。だからそれまではここにいなさい」
「それはまた・・・」
期間が見えない中、水の中に入れられる。場合によっては忘れてしまうほどに放置されかねない。
「安心しなさい。死なないようにかけてあげてあるから」
「拷問されるかと思いましたが」
「あなたは苦痛を与えても懲りないのは分かっているから」
「いやなら、殺せばいいのでは」
イーグスの首を絞める。
「死んで終わると思うな」
カーミラは怒りをこもった声でにらみつける。
「は~」
急にカーミラがため息を吐き、首から手が離れる。
親指と小指を立て、魔女のおしゃべりを使う。
「何!今取り込んでいるだけど」
カーミラが切れ気味に返す。
誰と話している。
「ふ~ん。いいだろう。あとで送る」
耳元から手を離す。
いやな予感。
「決まったわ。あなたの処罰」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる