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仕返しした末路⑧
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残ったのは、チェシャとアリスだけだった。
チェシャは思い返す。
「今回のことは私にも責任がありますゆえ、どうか私だけでお許しください」
チェシャは頭を床につけ、カーミラに申し立てる。
「そうね。あなたが報告したおかげで気づいたから」
声が低い。怒っている。
「軽くはしてあげる」
カーミラが手を軽く振る。顔の内側から線を引かれるように裂かれる。
「あなたたちの事情も知っているから、その傷はアリスに気づかないようにしてあるから」
アリスの名を持つ魔女だけは傷が見えないようになっている。罰を与えるにしても、わざわざこのような仕掛けまでしてくれた。
「ありがとうございます」
これで許されるだけでよかった。
しゅらの魔女が変わりに罰を受け、場合によっては赤の従士から剝奪されてもおかしくなかった。
この傷だけでもご厚意を受け入れる。
「どうしてかばったの」
しゅらの魔女アリス・キテラはチェシャに話しかける。
「いや~今回ははしゃぎすぎました~」と頭を軽くかく。
「シロちゃんもあそこまでするとは思いませんからね」
「私たちは何度でも転生できる。けどあなたたちはできないのよ。スノードロップとキティを置いていかないで・・・」
いつも高貴なアリスであるしゅらの魔女が不安な顔になっていた。
「しゅらさんだって。赤の従士になって吸血鬼たちを管理しているじゃないですか。俺っちのでしゃばりでなくさせたくないですよ。それにあの時のことはあなたがしたわけではないですよ」
「同じアリスよ。したようなものよ」
「でもあなたじゃないですよ」
しゅらの魔女はあの時にいた数少ない当事者。本人がやったわけでもないが、今でも引きずってはいる。
「スノードロップとキティを寂しい思いにはさせないですよ。あの時も全くないわけではないですけど、アリスが望んでいたことを否定するつもりはないですよ」
「そう・・・」
苦しい。気持ち悪い。何も見えない。
イーグスはブラドに地下の牢屋へ連れてかれた。その後でカーミラも牢屋に来た。
カーミラに身ぐるみを脱がされ、血の縄で体を縛り、水に落とされた。
カーミラにより、魔力を封じられ、何もできなくなった。それに死なないようにタタリもかけられた。だから死ぬこともなく水の中にいるだけだった。
引き上げる。やっと息が吸える。
目の前にカーミラとブラドがいた。
「満足ですか・・・」
カーミラに髪を引っ張られる。
「私が怒っている理由を言いなさい」
「許可を取らずにカーミラ様の名を貸したからですか」
「そんな難しく言わなくていいわよ。分かりやすくいいなさい」
「カーミラの名を勝手に使いました」
顔を平手でたたかれた。
「勝手に使いやがって。あなたにそこまでの権利を与えていないけど」
カーミラがにらみつける。
「あなたはよく問題は起こしていたけど、バカじゃない。ここまでやった理由が知りたいわ」
本当につまらない理由だから言えない。
「あなたの指示には従いました。成果もあげました。ですから、謝礼としてあなたの名前を無断で使っても問題ないかと思いますけどね」
顔を殴られる。
「甘やかしすぎた」
ブラドも背後で飽きられたような顔をしていた。
「まだ処罰決まっていないの。だからそれまではここにいなさい」
「それはまた・・・」
期間が見えない中、水の中に入れられる。場合によっては忘れてしまうほどに放置されかねない。
「安心しなさい。死なないようにかけてあげてあるから」
「拷問されるかと思いましたが」
「あなたは苦痛を与えても懲りないのは分かっているから」
「いやなら、殺せばいいのでは」
イーグスの首を絞める。
「死んで終わると思うな」
カーミラは怒りをこもった声でにらみつける。
「は~」
急にカーミラがため息を吐き、首から手が離れる。
親指と小指を立て、魔女のおしゃべりを使う。
「何!今取り込んでいるだけど」
カーミラが切れ気味に返す。
誰と話している。
「ふ~ん。いいだろう。あとで送る」
耳元から手を離す。
いやな予感。
「決まったわ。あなたの処罰」
チェシャは思い返す。
「今回のことは私にも責任がありますゆえ、どうか私だけでお許しください」
チェシャは頭を床につけ、カーミラに申し立てる。
「そうね。あなたが報告したおかげで気づいたから」
声が低い。怒っている。
「軽くはしてあげる」
カーミラが手を軽く振る。顔の内側から線を引かれるように裂かれる。
「あなたたちの事情も知っているから、その傷はアリスに気づかないようにしてあるから」
アリスの名を持つ魔女だけは傷が見えないようになっている。罰を与えるにしても、わざわざこのような仕掛けまでしてくれた。
「ありがとうございます」
これで許されるだけでよかった。
しゅらの魔女が変わりに罰を受け、場合によっては赤の従士から剝奪されてもおかしくなかった。
この傷だけでもご厚意を受け入れる。
「どうしてかばったの」
しゅらの魔女アリス・キテラはチェシャに話しかける。
「いや~今回ははしゃぎすぎました~」と頭を軽くかく。
「シロちゃんもあそこまでするとは思いませんからね」
「私たちは何度でも転生できる。けどあなたたちはできないのよ。スノードロップとキティを置いていかないで・・・」
いつも高貴なアリスであるしゅらの魔女が不安な顔になっていた。
「しゅらさんだって。赤の従士になって吸血鬼たちを管理しているじゃないですか。俺っちのでしゃばりでなくさせたくないですよ。それにあの時のことはあなたがしたわけではないですよ」
「同じアリスよ。したようなものよ」
「でもあなたじゃないですよ」
しゅらの魔女はあの時にいた数少ない当事者。本人がやったわけでもないが、今でも引きずってはいる。
「スノードロップとキティを寂しい思いにはさせないですよ。あの時も全くないわけではないですけど、アリスが望んでいたことを否定するつもりはないですよ」
「そう・・・」
苦しい。気持ち悪い。何も見えない。
イーグスはブラドに地下の牢屋へ連れてかれた。その後でカーミラも牢屋に来た。
カーミラに身ぐるみを脱がされ、血の縄で体を縛り、水に落とされた。
カーミラにより、魔力を封じられ、何もできなくなった。それに死なないようにタタリもかけられた。だから死ぬこともなく水の中にいるだけだった。
引き上げる。やっと息が吸える。
目の前にカーミラとブラドがいた。
「満足ですか・・・」
カーミラに髪を引っ張られる。
「私が怒っている理由を言いなさい」
「許可を取らずにカーミラ様の名を貸したからですか」
「そんな難しく言わなくていいわよ。分かりやすくいいなさい」
「カーミラの名を勝手に使いました」
顔を平手でたたかれた。
「勝手に使いやがって。あなたにそこまでの権利を与えていないけど」
カーミラがにらみつける。
「あなたはよく問題は起こしていたけど、バカじゃない。ここまでやった理由が知りたいわ」
本当につまらない理由だから言えない。
「あなたの指示には従いました。成果もあげました。ですから、謝礼としてあなたの名前を無断で使っても問題ないかと思いますけどね」
顔を殴られる。
「甘やかしすぎた」
ブラドも背後で飽きられたような顔をしていた。
「まだ処罰決まっていないの。だからそれまではここにいなさい」
「それはまた・・・」
期間が見えない中、水の中に入れられる。場合によっては忘れてしまうほどに放置されかねない。
「安心しなさい。死なないようにかけてあげてあるから」
「拷問されるかと思いましたが」
「あなたは苦痛を与えても懲りないのは分かっているから」
「いやなら、殺せばいいのでは」
イーグスの首を絞める。
「死んで終わると思うな」
カーミラは怒りをこもった声でにらみつける。
「は~」
急にカーミラがため息を吐き、首から手が離れる。
親指と小指を立て、魔女のおしゃべりを使う。
「何!今取り込んでいるだけど」
カーミラが切れ気味に返す。
誰と話している。
「ふ~ん。いいだろう。あとで送る」
耳元から手を離す。
いやな予感。
「決まったわ。あなたの処罰」
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