魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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仕返しした末路③

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「な・・・」
 イーグスが一番に驚いている。
 この部屋は見つからないと言っていた。だとしたらなぜビクトリアが音もなく、この部屋にいる。
 それにビクトリアは黒い狼に腕を失い、顔も炎で焼かれた。かなりの重傷のはずが、何事もなかったように治っている。
 でも、様子がおかしい。ビクトリアの目の焦点が合わない。生きている気配も感じない。
「その女の何がいいんですか・・・私よりかわいくない。私より美しくない。私より気品もない。下品!お下劣!野蛮!野人!」
――てめえ。動けないからって調子乗るな
「私より私より私より!その女より私を見てください!」
 ビクトリアの体から淀んだ緑色の液体が溢れる。
「私はあなたと結ばれるためならなんでもする」
 溢れた緑色の液体が蛇のように襲う。
 イーグスに抱かれ、ベッドから離れる。
「離れろ!泥棒猫!」
 イーグスが扉を開け、部屋の外に出る。
 日中の森の中だった。
扉の方へ向けば、扉の形にして、部屋の中が見える。これもコルンの発明品だろう。
 木に背中を預けるようにイーグスが下ろす。
「では、部屋の中では狭いので、ここなら充分戦えます」
「おま!」
 一人で戦えと。
「あの女を退治してください」とイーグスの手からロザリオを見せる。
 『権利独占玉』がまだ発動する。ロザリオを握った途端にイーグスは消えた。
――あのやろ~絶対に殴ってやる。
 貧血で不調で体が思ったより動けない。体が勝手に動く。気持ち悪い。
 空いた扉から緑色の液体が蛇のように襲ってくる。
 ロザリオで振るい、白い炎を飛ばす。緑色の液体と白い炎がぶつかり、消えていく。だか、また緑色の液体の蛇が襲う。必死に飛び出し、緑色の液体から避ける。
「あ~逃げていく~逃げていく~」
 先ほどの口調が違う。
「滑稽しすぎて笑っちゃう!あはははは!」
 扉からビクトリアが飛び出した。
「ひゃは!」
 ビクトリアの左目が落ち、腕の間接からも緑色の液体が零れ落ちている。黒いモヤが漏れている。
「魔女か・・・」
「はい。私!狂(くるい)願(ねがい)の魔女ムーレン・ジャクリスクパと申します~」
 にやっと笑う。
 ビクトリアは魔女に憑りつかれたか。
「本当に聖女もムカッ~テ~」
 挑発する言い方をする。
「何・・・」
「あの小さな可愛い狼の獣人(デミ・ビースト)の願いを叶えさせようとしたのに。どうしてあの子を殺したの~」
あの狼の獣人(デミ・ビースト)も。
「その隙を狙うも魔女だろうが」
「違うわよ。その隙を埋めるために叶えてあげるのよ。何。その想いも叶えさせないわけ」
 ム―レンは見下ろす。
「どんなに叶えるかはなんて人の価値しだいよ。あなたが勝手に判断しないでくれる~そういうのって傲慢なのよ。だからこの子の願いを叶うためにおまえを殺す。さあ。狂って願いましょうッ!」
 ガチ―ン!
 突然、ムーレンの頭にアキセが上空から直撃する。
「え・・・」
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