魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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省かれた一族 後半④

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 場所が変わった。
 廊下から部屋に転送された。イーグスはまだ転送できるコルンの発明品を持っていたようだ。
 少し埃がかぶっている空き部屋だった。
「ここならすぐには来ないでしょ。今すぐ毒を抜け」
 イーグスが肩に赤い剣をさらに刺す。
「分かったから刺すな」
 アキセは悪態をつけながら、毒に刺さった肩を触る。
 抜かれていく感覚がする。アキセが魔力で毒を奪っている。
 止まった。毒を抜けたのか。少し体が軽くなった。
「終わりましたか?」
 アキセが後に向いた瞬間に円柱の容器が現れた。容器が爆発し、目が開けないほどの発光をする。
 すぐに目をつぶる。強く抱きしめられるのを感じた。
 マズイ。眩んだ隙に逃げるつもりか。イルを置いて。
 ジャンヌはアキセを突き飛ばす。
「バ!」
 アキセと離した途端だった。
「うわ!」
 アキセの声。
 光が止めば、イーグスが持っていた小瓶の中にアキセがいた。
 どうやら小瓶の中に吸い取られたようだ。以前見た小瓶と少し形が違うが、あれもコルンの発明品だろう。
「な!」
「聖女様を助けていただきありがとうございます」
 イーグスはイタズラな笑みを見せる。
「念のため用意してよかったですよ」
 イーグスは窓を開ける。
「ちょ!待って!」
「では」
 イーグスはアキセを窓の外へと遠くに投げる。
 これでアキセが来ることがない。
 ジャンヌは毒の影響で体力を大部奪われた。まだ体が少し重い。
「元気で何よりです。さあ早く倒しに行きましょう。ご友人も心配でしょ」
 その発言にいらつく。
「あんたが・・・言うな・・・」
 睨み返す。
「まだ『光』は残っていますよね。あなたの友人もお守りしますし、あなたをフォローします。約束は守ります。さあ。立ちなさい」
 重い体が勝手に動く。
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