魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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狼の取り替え⑦

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 銃が青白い矢に貫通する。
「はあ?」
 アキセの顔が殴られる。殴ったのはイルだった。
倒れていくアキセの背中に乗り、右腕を肘で抑え、左腕を掴み、頭を地面に押さえつける。
「ジャンヌ!大丈夫か!」
「私は平気!」
「よかった・・・」
「顔を地面につけるな!」
 イルがアキセの顔をさらに抑える。
「先輩!」
 アタランテも来た。
「アタランテも無事ね」
「スピカ!」
 アタランテがスピカに駆け付けようとするが、「アタランテ」と声をかけられる。ジャンヌでもイルでもない。地面に伏せているアーノルドだった。
「え・・・」
 アーノルドがアタランテを呼んだ。知らないはずなのに。
「俺がスピカなんだ・・・その3人で入れ替わっていたんだ」
 アキセに一斉に向ける。
「「戻せ!」」
「分かったから!許して!」


 アキセが煙玉を出し、スピカとアーノルドに投げた。煙に包まれ、スピカが飛び出し、アタランテの前に出る。
「スピカ?」
 スピカが大きく頷く。
「スピカ!」
 アタランテが抱きつく。
 元に戻ったようだ。
 あれ。
最初にスピカと会った時、いやらしく触っていた。アーノルドとは考えにくい。あの時、スピカの中にいたのは。もしかして。
「アキセ!」
 アキセに向けるが、イルの下から消えていた。
「あ!」
 イルも気づけなかったようだ。
 逃げるのが早い。
「逃げやがって・・・魔女たちだ!」
 イルが気づいた。
 遠くにエントが見えた。
 また魔女と戦闘になるのか。
 アキセに魔力で体力も『光』も奪われたから、戦えない。早くこの場から逃げないと。
「早くいけ」と言ったのはアーノルドだった。
「世話になった。早くいけ」
 アニアの従者であるアーノルドは見逃してくれる。
 アキセから助けたからだろうか。だか、今は理由を考えるよりも、魔女から逃げることに先決する。
「行きましょ!」
 その場から逃げる。


 まさか、聖女に助けられるとは思わなかった。
 アキセに巻き込まれたことに同情したのだろう。だから借りを返した。
 アニアとピルク。エントも来た。
「アーノルド。こんなところにいたのね」とアニアが言う。
「申し訳ございません。ご迷惑をおかけしました」
 頭を下げる。
「いいよ。邪魔聖女見なかった?」
「いいえ。見失いました」
「そう。まあいいか。もうすぐリリス様がいらっしゃるから戻りましょ」
 ピルクは大きくうなずく。
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