魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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仮面騒動②

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 アキセは『見える聞こえるスコープ』で覗いていた。
 コルンの発明品の一つ。耳までかぶせる望遠鏡。覗いた範囲で相手の話を訊けるというもの。
 映っていたのはイーグスが木に向かって落ち込んでいるところだった。
 やりたがった光景。
 『探しモノ地図』で仮面の行動を見ていたら、正体がまさかのイーグスだった。もうこれだけで笑える。だとしても一人でやるような相手ではない。他に協力者がいると思い、様子を見ていた。
「お疲れ~」
 イーグスが青ざめて振り返る。
 協力者は空想の魔女ルシア・ファンタジアだった。
 意外な二人だった。
 いつからの関係になったかと思ったら、口説き大会の時にルシアもいた。
「いや~大活躍だったね。もう少しやる気だしたらもっとよかったんだけどな~」
「だったら他の適任者に当てればいいのでは」
 青ざめているイーグスは言う。
「え~だって~このマンガに出る前回のラスボスが君と似てるんだもん」
 ルシアは本を見せる。
 やはりマンガがらみだった。
「このマンガね。続編なんだけど。前回のラスボスがね。罰としてね。正義の味方に変身して主人公と一緒に戦うんだ~」
 またふざけたものを。
「アキセ・リーガンという男が面白くさせてくれますよ」
 何気に売っている。
「あいつ。嫌~い」
 よかった。嫌われていた。
 そういえば、妄想で散々痛めつけた。懲りたようだ。
「そんなことよりもさ。もっとやる気を出してよ~従者なら僕の言うことを訊けよ~」
とルシアはイーグスの両肩を掴み、体を揺らす。
「なんのことでしょうか・・・」と切れ気味に言う。
「君がカーミラの元にいる従者だってこと知ってるんだからね」
 イーグスを揺さぶりながらルシアが言う。
「魔女の従者なら僕の言うことも訊いてよ~」とさらに肩を揺さぶられる。
「魔女の従者は契約した魔女、誓った魔女にしか従うことになっています。他の魔女に従う義理も一切ないですが」
 イーグスは口調強めに返し、肩からルシアを払う。
 ルシアがきょとんとする。
「いいもん!正体をばらして、腹だし太った不細工おじさんになればいいんだ!」とルシアが飛んでいく。
――何それ。見たい。
「辞退するとは言っていませんが」
「でねでね」
 何事もなかったようにルシアが戻ってきた。
――そこは諦めるなよ。
「次はね。このカイジン出るんだ」
――しかも自演かよ。
 ルシアとイーグスは今後の計画を話していた。


 まさか。イーグスでルシアと絡んでいた。またマンガを実現するために。しかも正体がバレれば、腹だし太った不細工な老人になるという。
――よしやろう。
 正体が分かった。状況も理解した。脅して。いや待てよ。あいつも大人しくするつもりはない。だったら、間接に遊んでやろう。
 アキセは間接に嫌がらせすることにした。
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