545 / 654
仮面騒動②
しおりを挟む
アキセは『見える聞こえるスコープ』で覗いていた。
コルンの発明品の一つ。耳までかぶせる望遠鏡。覗いた範囲で相手の話を訊けるというもの。
映っていたのはイーグスが木に向かって落ち込んでいるところだった。
やりたがった光景。
『探しモノ地図』で仮面の行動を見ていたら、正体がまさかのイーグスだった。もうこれだけで笑える。だとしても一人でやるような相手ではない。他に協力者がいると思い、様子を見ていた。
「お疲れ~」
イーグスが青ざめて振り返る。
協力者は空想の魔女ルシア・ファンタジアだった。
意外な二人だった。
いつからの関係になったかと思ったら、口説き大会の時にルシアもいた。
「いや~大活躍だったね。もう少しやる気だしたらもっとよかったんだけどな~」
「だったら他の適任者に当てればいいのでは」
青ざめているイーグスは言う。
「え~だって~このマンガに出る前回のラスボスが君と似てるんだもん」
ルシアは本を見せる。
やはりマンガがらみだった。
「このマンガね。続編なんだけど。前回のラスボスがね。罰としてね。正義の味方に変身して主人公と一緒に戦うんだ~」
またふざけたものを。
「アキセ・リーガンという男が面白くさせてくれますよ」
何気に売っている。
「あいつ。嫌~い」
よかった。嫌われていた。
そういえば、妄想で散々痛めつけた。懲りたようだ。
「そんなことよりもさ。もっとやる気を出してよ~従者なら僕の言うことを訊けよ~」
とルシアはイーグスの両肩を掴み、体を揺らす。
「なんのことでしょうか・・・」と切れ気味に言う。
「君がカーミラの元にいる従者だってこと知ってるんだからね」
イーグスを揺さぶりながらルシアが言う。
「魔女の従者なら僕の言うことも訊いてよ~」とさらに肩を揺さぶられる。
「魔女の従者は契約した魔女、誓った魔女にしか従うことになっています。他の魔女に従う義理も一切ないですが」
イーグスは口調強めに返し、肩からルシアを払う。
ルシアがきょとんとする。
「いいもん!正体をばらして、腹だし太った不細工おじさんになればいいんだ!」とルシアが飛んでいく。
――何それ。見たい。
「辞退するとは言っていませんが」
「でねでね」
何事もなかったようにルシアが戻ってきた。
――そこは諦めるなよ。
「次はね。このカイジン出るんだ」
――しかも自演かよ。
ルシアとイーグスは今後の計画を話していた。
まさか。イーグスでルシアと絡んでいた。またマンガを実現するために。しかも正体がバレれば、腹だし太った不細工な老人になるという。
――よしやろう。
正体が分かった。状況も理解した。脅して。いや待てよ。あいつも大人しくするつもりはない。だったら、間接に遊んでやろう。
アキセは間接に嫌がらせすることにした。
コルンの発明品の一つ。耳までかぶせる望遠鏡。覗いた範囲で相手の話を訊けるというもの。
映っていたのはイーグスが木に向かって落ち込んでいるところだった。
やりたがった光景。
『探しモノ地図』で仮面の行動を見ていたら、正体がまさかのイーグスだった。もうこれだけで笑える。だとしても一人でやるような相手ではない。他に協力者がいると思い、様子を見ていた。
「お疲れ~」
イーグスが青ざめて振り返る。
協力者は空想の魔女ルシア・ファンタジアだった。
意外な二人だった。
いつからの関係になったかと思ったら、口説き大会の時にルシアもいた。
「いや~大活躍だったね。もう少しやる気だしたらもっとよかったんだけどな~」
「だったら他の適任者に当てればいいのでは」
青ざめているイーグスは言う。
「え~だって~このマンガに出る前回のラスボスが君と似てるんだもん」
ルシアは本を見せる。
やはりマンガがらみだった。
「このマンガね。続編なんだけど。前回のラスボスがね。罰としてね。正義の味方に変身して主人公と一緒に戦うんだ~」
またふざけたものを。
「アキセ・リーガンという男が面白くさせてくれますよ」
何気に売っている。
「あいつ。嫌~い」
よかった。嫌われていた。
そういえば、妄想で散々痛めつけた。懲りたようだ。
「そんなことよりもさ。もっとやる気を出してよ~従者なら僕の言うことを訊けよ~」
とルシアはイーグスの両肩を掴み、体を揺らす。
「なんのことでしょうか・・・」と切れ気味に言う。
「君がカーミラの元にいる従者だってこと知ってるんだからね」
イーグスを揺さぶりながらルシアが言う。
「魔女の従者なら僕の言うことも訊いてよ~」とさらに肩を揺さぶられる。
「魔女の従者は契約した魔女、誓った魔女にしか従うことになっています。他の魔女に従う義理も一切ないですが」
イーグスは口調強めに返し、肩からルシアを払う。
ルシアがきょとんとする。
「いいもん!正体をばらして、腹だし太った不細工おじさんになればいいんだ!」とルシアが飛んでいく。
――何それ。見たい。
「辞退するとは言っていませんが」
「でねでね」
何事もなかったようにルシアが戻ってきた。
――そこは諦めるなよ。
「次はね。このカイジン出るんだ」
――しかも自演かよ。
ルシアとイーグスは今後の計画を話していた。
まさか。イーグスでルシアと絡んでいた。またマンガを実現するために。しかも正体がバレれば、腹だし太った不細工な老人になるという。
――よしやろう。
正体が分かった。状況も理解した。脅して。いや待てよ。あいつも大人しくするつもりはない。だったら、間接に遊んでやろう。
アキセは間接に嫌がらせすることにした。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?


竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~
月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。
大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう!
忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。
で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。
酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。
異世界にて、タケノコになっちゃった!
「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」
いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。
でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。
というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。
竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。
めざせ! 快適生活と世界征服?
竹林王に、私はなる!

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

素直になる魔法薬を飲まされて
青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。
王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。
「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」
「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」
わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。
婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。
小説家になろうにも投稿しています。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる