魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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メダルビースト 後半⑤

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 アキセはジャイルレイカーの体と戦っている。
 腕が斧へと再構成し、振り回す。
 ジャイルレイカーの体が必要だから、壊すわけにもいかない。だから動きを止める。
 魔術で動きを封じろうとしたが、弾かれた。魔術が効かない。だったらコルンの発明品を使うしかない。
 ジャイルレイカーが扉の前で壁に貼りつき、鍵のような部分に何かしている。扉を開けようとしている。それまでに時間を稼ぐ。
 召喚した『粘土ハンド』を床に当てる。手元から床が波のように立ち、ジャイルレイカーの体を包み込む。
「まだか!」と扉の前にいる本体に言う。
「もうすぐだ!」
 ジャイルレイカーの体を包まれていた粘土を弾かれる。その時手から何か飛び出す。
 よけきれず、当たってしまい、アキセは光のネットで壁に貼り付けられた。
 体が動けない。魔力も魔術も発動しない。封じられた。
 ジャイルレイカーの体が本体に向かっていく。本体が体に掴まれた時に扉が開いた。
 魔術が封じても、魔術を使わないコルンの発明品なら関係ない。
 指輪の力で視界が入れば、どこにでも召喚できる。
 ネットの本体に直接爆弾を召喚し、爆発する。



 メダルビーストたちが急に倒れ、包まれていた黒いモヤが消える。
 アキセの方は成功したようだ。
 これで洗脳の源であるネットが消えた。
「聖女様!」
 かぶりものがないバーストイーグルが駆け付ける。
 正気に戻った。
「よかった。無事で」
「僕は大丈夫ですが・・・」
 バーストイーグルが視線を向ける。
「あれは・・・」
 バーストイーグルが驚く。
 大きな手。ギルバーアトラスの顔の半分からドラゴンのような大きい顔。魚のような目が上下にずれている。ヴィヴィと似た黒い細い鞭の尾が7つ。鉄と肉体が混じった体に所々にギルバーアトラスの体の一部が残っている。
「ギルバーアトラスよ」
「な・・・」
 周辺にいたメダルビーストたちも気がつき、いびつな姿をしたギルバーアトラスに驚く。この姿を見れば、驚きも隠せない。
 ギルバーアトラスが吠えれば、電撃を放つ。さらに鉱物の円柱が伸び、周辺にいるメダルビーストを攻撃する。
「撃て!」
 メダルビーストたちが銃を構え、光線や弾を撃ち出す。だか、雷で打ち消される。
「どうすれば・・・」
「あいつの中にいる魔女に直接攻撃するしかない」
「だとしたら・・・」
「私をギルバーアトラスに近づけば・・・」
 その時、ギルバーアトラスと目が合う。
 地面が振動する。
 バーストイーグルに腕を掴まれ、空へと上がる。
 地面から黒い鞭の尾が伸びる。ジャンヌは足に絡まれる。
 バーストイーグルが腕を銃に変化し、黒い鞭の尾に向ける。だか、背後から鉱物が飛んでくる。バーストイーグルにぶつかり、手を離してしまう。
 ジャンヌは黒い鞭の尾に体を絡まれ、電撃が流れる。
「う!」
 『光』が浄化しているから半減だか、このまま『光』の浪費してしまう。これ以上浪費すれば、魔女を殺せなくなる。
「せい・・・じょ・・・ころす・・・」
 ギルバーアトラスが口を開け、鉱物が固まっていく。飛ばすつもりだ。
「聖女様!」
 バーストイーグルが近づこうにも地面から伸びる鉱物の円柱が伸び、邪魔をする。
 口から鉱物の塊を飛ばす。
 その時だった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
 雄叫びを上げながら、鉱物が割れた。ジャイルレイカーが拳をぶつけたからだ。
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