魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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メダルビースト 後半③

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 ギルバーアトラスは、捕獲したヴィヴィの左腕を切る。左腕を粉砕し、エネルギーに変えた。
「おお。これが魔女の力が・・・」
 容器に入った黒いエネルギーを眺める。
 どうしても魔女の力が手に入れなかった。
 メダルビーストは錬金術と科学、魔術を合わせて作った新しい生命体。だか、魔女や聖女の力は手に入れなかった。過去の記録でも、実験は失敗に終わっていた。
 原因を追究し、長年研究し、魔女の力を手に入れる方法を見つけた。これで魔女の力が使える。
 管理室から連絡が来た。
「なんだ」
「聖女様が逃亡しました」
 なぜ。
 聖女には爆弾付きの首輪をつけているから、無理に外しても、部屋から出れば発動する。なぜ逃亡できる。
 ジャイルレイカーの本体が別にあるのは分かっている。聖女の元に来て何かしたのか。だとしても管理室で見張っているから分かる。
「さらに侵入者が発見しましたが、突如消え、捜索中です」
 侵入者が現れただと。なぜ警報装置が発動しなかった。
 二人。どこに行く。
 まさかとは思うが、だとしても保険はつけてある。
 けど、研究成果を見るとするか。容器に入ったエネルギーに手を伸ばす。
 後ろから生命反応。



 ジャンヌはメダルビーストから追われながらも走っていた。
 取り上げられたロザリオは、アキセが取り返したようで、ロザリオと一緒に『飛ばしコイン』も渡された。
 『飛ばしコイン』にギルバーアトラスがいるところを思い描き、すぐに転送した。
 ギルバーアトラスの背後からロザリオを振るうも、ギルバーアトラスがドラゴンの片腕を振るい返す。
ロザリオで受け止め、ジャンヌは距離を取る。
「どうやってこちらに。それに首輪も、その剣も」
 ギルバーアトラスが訊く。
 さすがに転送したことに驚いているようだ。
 ギルバーアトラスの背後に捕獲された箱が開き、ヴィヴィは左腕を失い、体中に結晶の刃が刺している。気を失っているようだ。
「あんたが考えられないことよ」
「なら、また改めて訊きたいので大人しくしてくれますかね」
 ギルバーアトラスは、ドラゴンの腕が黒い容器を飲み込む。ドラゴンの頭が口を開け、電撃が放つ。
 ジャンヌは咄嗟に避ける。
 あの力はヴィヴィの力。ギルバーアトラスの片腕から黒いモヤが漏れている。
「魔女の力を取り込んだの」
「そうですよ」
 魔女の実験をするかと思えば、魔女の力を手に入れたかったのか。
「魔女の力を取り込むって。その内魔女に操られても知らないから」
「長年研究したんだ。私が扱える程度に調整はしている」
 ギルバーアトラスはドラゴンの頭の腕を伸ばして、電撃を飛ばす。
 魔女の力なら『光』が効く。白い炎を放つ。
 白い炎と電撃が打ち消すとギルバーアトラスが飛び出す。
 ジャンヌは背後に下がり、部屋から出る。
「ここで暴れては困るので」
 ギルバーアトラスはドラゴンの腕から電撃を放つ。


 部屋には魔女だけになった。
「壊す・・・」
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