魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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メダルビースト 前半⑤

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 ジャンヌはバーストイーグルの腕を掴みながら、洞窟の中を飛んでいた。
「聖女様」
「出口はこの近くにある?」
「ありますが・・・」
「そこに連れて」
「それだと・・・」
「出口の場所に行くために私が飛べないことにしたの」
 出口が一つとは思っていない。でなければ、ギルバーアトラスがいた街に被害がある。ヴィヴィは別の場所から入ってきたと予想できる。だから出口を把握しているバーストイーグルを条件に出した。
「それに私の一言で守るとは思っていないわよ」
 聖女の一人の条件を吞むとは思っていない。
 ギルバーアトラスは信用できない。守るつもりもない。
「私だってあいつを信用できない。取引も破るつもりよ。ジャイルレイカーが生きていたら協力するつもりだったけど、洗脳されていたら話は別よ」
 本来だったら、ジャイルレイカーの解放を条件にしたかった。
 死んでいたら、混乱するために知らせるはず。それが全くない。生きていると思っていた。だか、考えられていた最悪の予想が当たってしまった。ジャイルレイカーが洗脳したことに。
「この国から一旦脱出する」
「でも!」
 この状態でこの国から脱出できないバーストイーグルの気持ちもわかる。
「ギルバーアトラスを抑えるために魔女はまだ生かす。私だけで解決できる問題じゃない。一旦脱出して作戦をねり直す。絶対に戻るから」
「守ってくれますか・・・」
「守る」
「分かりました」
 バーストイーグルの中でもかなり覚悟して決めた。だから彼にも答えるようにこの約束は守る。
「でも、出口には触手が」
「私がフォローする。あなたはまっすぐに飛べばいいから」
 メダルビーストは『光』を耐えられた。だから白い炎に包んでいけば、出られる。
「あそこです」
 地上へ続く穴が見えた。
 その時、背後から岩が飛んできた。バーストイーグルに当たり、離れる。足に白い炎を噴射し、着地する。
「遊ぼうよ!」
 迫ってきたヴィヴィは爪を伸ばした手が迫る。ジャンヌは後ろに下がり、ヴィヴィは地面にたたきつける。そのままヴィヴィはジャンヌに飛び込み、引っ掻き攻撃し、ジャンヌはロザリオで受け流す。
 まだ魔女を退治するわけにはいかない。動きを止めて、逃げるしかない。それに時間をかけるわけにはいかない。ギルバーアトラスが追いかけてくる。
 奥からバーストイーグルの腕が銃に変わっていた。
 ジャンヌはロザリオで払い、距離を取る。
 バーストイーグルは、光線を放つ。
 ヴィヴィは気づき、雷の盾を作り、光線を防ぐ。
 その隙に白い炎を放つ。
 ヴィヴィを白い炎で取り囲む。
「今のうちに!」
バーストイーグルが飛び出し、腕を伸ばして掴む。
 地上と繋がる穴へと向かう。黒い触手が伸びてきた。ここからは白い炎に包んでいけば、行ける。
「待ってよ!」
 白い炎を払ったヴィヴィは吠える。
 その時、地面から伸びた透明な結晶の槍がヴィヴィの腹を刺す。
「え?」
結晶が黒く染まっていく。あの結晶はジルコニアだった。
 『呪い』や『光』の吸収性が高い人工鉱物。
 ヴィヴィがジルコニアの槍を抜こうとするが、ヴィヴィを囲むように二つの箱が地面から飛び出す。その中は透明な結晶の刃が内側に刺している。その箱にヴィヴィが挟む。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ヴィヴィの叫び声が響く。
「何?」
 その時、バーストイーグルに緑の光線が当たる。
 人型に変身できなくなる光線だった。
 バーストイーグルは戻る前にジャンヌを地上へと投げる。
「早く!」
 バーストイーグルはハクトウワシへと戻る。
 ジャンヌは白い炎を噴射し、地上へと飛ぶ。黒い触手の動きが鈍くなってる。これなら出られる。
 横に何かが通り、発光がする。
「う!」
 目が開けられないほどの眩しさで目が眩む。
 その時、足に何かが掴まれた。
 光が止んだ時には、足に噴射しているジャイルレイカーに足を掴まれ、逆さにつるされる。
 マズい。
「どこへ行かれるのですか」
 声をした方へ向けば、ギルバーアトラスもいた。
 持っていた銃から放った電撃を受け、意識が飛ぶ。
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