534 / 642
メダルビースト 前半③
しおりを挟む
メタルビーストたちに連行される。
ジャンヌはロザリオを取り上げられ、手錠をつけられる。
バーストイーグルは、ハクトウワシのまま、体に鉄の塊から出る光線に巻かれ、サソリのメダルビーストに運ばれる。
止まったと思えば、大きい岩の前だと思えば、岩が上がる。
岩を見せかけた扉のようだ。岩が上がり切れば、また洞窟が続いていた。奥から何かが近づいてくる。
それは浮く円盤だった。
魔術で使った様子もない。どういう仕組みなのかも一目でわからない。
サイのメダルビーストに押される。
――これに乗るの
全員、円盤に乗れば、円盤の側面から薄い壁に包まれる。円盤が浮き、洞窟の奥へと飛んでいく。洞窟の先が明るい。洞窟を抜けきれば、今まで見たことがない町だった。
暗い洞窟のはずが、昼のように明るかった。円柱のような建物。長い円柱がいくつも繋がっている。現在の技術でできるとは思えない建物ばかりだった。
別の世界に来てしまったような感覚だった。
どこに運ばれるかと思えば、中央に大きい円柱の建物があった。上部に入口が開き、その中へと入っていく。
部屋の前に着く。
「ギルバーアトラス様。連れて参りました」
サソリのメダルビーストが言う。
「入れ」
扉が左右に引き、部屋に入る。
見晴らしのいい大きい窓に広い部屋だった。その部屋に人より少し大きめの赤いドラゴンがいた。
「ドラゴン?」
「これは失礼」
人型へと変化する。
頭部が左腕になり、手足が伸び、顔をだした。天井まで届きそうなほどに大きかった。
「はじめまして。聖女様。私、ギルバーアトラスと申します」
「あなたが・・・」
バーストイーグルが言っていたメダルビーストが目の前にいる。
「あなたと話したく、ここまでのご無礼をお許しくださいませ」
サイのメタルビーストが手錠を外し、ロザリオも返した。信用を得たいためか、警戒を解かせるためなのか。油断はできない。
「そんなに警戒しなくても殺すつもりはございませんので」
だとしても魔女と退治させるのは目に見えてる。
「ギルバーアトラス様」
ギルバーアトラスが視線をサソリのメタルビーストに向ける。
「バーストイーグルはどうしますか」
サソリのメタルビーストがバーストイーグルを持ち上げる。
「そいつも・・・」
「同席させて」
視線が一斉に向けられる。
「同席させないとあなたの話は聞かない」
ジャンヌはギルバーアトラスに力強く視線を向ける。
バーストイーグルがこの後何されるかわからない。ただ悪い方向になるのは間違いない。目が届く範囲なら彼に何もさせないはず。ギルバーアトラスが信用を少しでも得るためにこの要求は乗る。
「いいでしょ。ただし変身解除はしません」
「分かった」
拘束具は外され、バーストイーグルを突き飛ばされる。
バーストイーグルに駆け付け、「大丈夫?」と声かける。
「はい・・・」
バーストイーグルは人型へと変身はできないが、異常はないようだ。
「さて」
床から椅子が伸びる。ギルバーアトラスは傲慢に椅子に座る。
「話をどこまで訊いていたのでしょうか」
話を訊いた前提で訊いている。下手に嘘をつかない方がいいか。それにジャイルレイカーの安否も確認したい。慎重に聴く。
「そうね。魔女のことも、あなたがみんなに嫌われているってことは分かっている」
「はっきり言いますね」
ギルバーアトラスが苦笑する。
「この国の事情をそこのワシから聞いたとお見受けします。そうですね。これは我々の戦いだ。聖女様を巻き込ませたくない。魔女を退治してくだされば、解放してあげます」
魔女しか関わらないのは分かり切っているか。
「魔女を退治してくれればいいの」
「はい」
「そうね。私。ただ働きって嫌いなの。だからこっちも条件つけたい」
「なんでしょうか」
「私。ジャイルレイカーに興味があるの。だから会いたくなった」
おそらくジャイルレイカーは生きている。
死んでいたら、混乱させるために知らせるはず。それがないとしたら、他に生かす理由がある。
「私を呼びましたか」
部屋に入ってきたのは、人型に変身しているメダルビーストだった。大きさもギルバーアトラスと同じくらいだった。体の部分を見てゴリラのメダルビーストだろう。
「ジャイルレイカー様・・・」
バーストイーグルが一番に反応した。
「あなたがですか・・・」
「ジャイルレイカーと申します」
捕えているはずのジャイルレイカーがここにいる。
「実は、長く話をした結果、ジャイルレイカーは賛同してくれたんです。これから発表しようと思っていたところです」
「嘘だ!」
バーストイーグルは叫ぶ。
「おまえが洗脳しただろうが!」
「何を言うんだ。これは彼の意思だ。司令官の意思は尊重するべきだ」
「違う・・・あなたが賛同するはずがない・・・」
バーストイーグルは絶望する。
「これでジャイルレイカーに会いましたが、条件はそれだけですか」
ギルバーアトラスは言う。
生きているから洗脳される場合も考えていた。だから、「いいえ。他にあるわよ」と返す。
ジャンヌはロザリオを取り上げられ、手錠をつけられる。
バーストイーグルは、ハクトウワシのまま、体に鉄の塊から出る光線に巻かれ、サソリのメダルビーストに運ばれる。
止まったと思えば、大きい岩の前だと思えば、岩が上がる。
岩を見せかけた扉のようだ。岩が上がり切れば、また洞窟が続いていた。奥から何かが近づいてくる。
それは浮く円盤だった。
魔術で使った様子もない。どういう仕組みなのかも一目でわからない。
サイのメダルビーストに押される。
――これに乗るの
全員、円盤に乗れば、円盤の側面から薄い壁に包まれる。円盤が浮き、洞窟の奥へと飛んでいく。洞窟の先が明るい。洞窟を抜けきれば、今まで見たことがない町だった。
暗い洞窟のはずが、昼のように明るかった。円柱のような建物。長い円柱がいくつも繋がっている。現在の技術でできるとは思えない建物ばかりだった。
別の世界に来てしまったような感覚だった。
どこに運ばれるかと思えば、中央に大きい円柱の建物があった。上部に入口が開き、その中へと入っていく。
部屋の前に着く。
「ギルバーアトラス様。連れて参りました」
サソリのメダルビーストが言う。
「入れ」
扉が左右に引き、部屋に入る。
見晴らしのいい大きい窓に広い部屋だった。その部屋に人より少し大きめの赤いドラゴンがいた。
「ドラゴン?」
「これは失礼」
人型へと変化する。
頭部が左腕になり、手足が伸び、顔をだした。天井まで届きそうなほどに大きかった。
「はじめまして。聖女様。私、ギルバーアトラスと申します」
「あなたが・・・」
バーストイーグルが言っていたメダルビーストが目の前にいる。
「あなたと話したく、ここまでのご無礼をお許しくださいませ」
サイのメタルビーストが手錠を外し、ロザリオも返した。信用を得たいためか、警戒を解かせるためなのか。油断はできない。
「そんなに警戒しなくても殺すつもりはございませんので」
だとしても魔女と退治させるのは目に見えてる。
「ギルバーアトラス様」
ギルバーアトラスが視線をサソリのメタルビーストに向ける。
「バーストイーグルはどうしますか」
サソリのメタルビーストがバーストイーグルを持ち上げる。
「そいつも・・・」
「同席させて」
視線が一斉に向けられる。
「同席させないとあなたの話は聞かない」
ジャンヌはギルバーアトラスに力強く視線を向ける。
バーストイーグルがこの後何されるかわからない。ただ悪い方向になるのは間違いない。目が届く範囲なら彼に何もさせないはず。ギルバーアトラスが信用を少しでも得るためにこの要求は乗る。
「いいでしょ。ただし変身解除はしません」
「分かった」
拘束具は外され、バーストイーグルを突き飛ばされる。
バーストイーグルに駆け付け、「大丈夫?」と声かける。
「はい・・・」
バーストイーグルは人型へと変身はできないが、異常はないようだ。
「さて」
床から椅子が伸びる。ギルバーアトラスは傲慢に椅子に座る。
「話をどこまで訊いていたのでしょうか」
話を訊いた前提で訊いている。下手に嘘をつかない方がいいか。それにジャイルレイカーの安否も確認したい。慎重に聴く。
「そうね。魔女のことも、あなたがみんなに嫌われているってことは分かっている」
「はっきり言いますね」
ギルバーアトラスが苦笑する。
「この国の事情をそこのワシから聞いたとお見受けします。そうですね。これは我々の戦いだ。聖女様を巻き込ませたくない。魔女を退治してくだされば、解放してあげます」
魔女しか関わらないのは分かり切っているか。
「魔女を退治してくれればいいの」
「はい」
「そうね。私。ただ働きって嫌いなの。だからこっちも条件つけたい」
「なんでしょうか」
「私。ジャイルレイカーに興味があるの。だから会いたくなった」
おそらくジャイルレイカーは生きている。
死んでいたら、混乱させるために知らせるはず。それがないとしたら、他に生かす理由がある。
「私を呼びましたか」
部屋に入ってきたのは、人型に変身しているメダルビーストだった。大きさもギルバーアトラスと同じくらいだった。体の部分を見てゴリラのメダルビーストだろう。
「ジャイルレイカー様・・・」
バーストイーグルが一番に反応した。
「あなたがですか・・・」
「ジャイルレイカーと申します」
捕えているはずのジャイルレイカーがここにいる。
「実は、長く話をした結果、ジャイルレイカーは賛同してくれたんです。これから発表しようと思っていたところです」
「嘘だ!」
バーストイーグルは叫ぶ。
「おまえが洗脳しただろうが!」
「何を言うんだ。これは彼の意思だ。司令官の意思は尊重するべきだ」
「違う・・・あなたが賛同するはずがない・・・」
バーストイーグルは絶望する。
「これでジャイルレイカーに会いましたが、条件はそれだけですか」
ギルバーアトラスは言う。
生きているから洗脳される場合も考えていた。だから、「いいえ。他にあるわよ」と返す。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
当然だったのかもしれない~問わず語り~
章槻雅希
ファンタジー
学院でダニエーレ第一王子は平民の下働きの少女アンジェリカと運命の出会いをし、恋に落ちた。真実の愛を主張し、二人は結ばれた。そして、数年後、二人は毒をあおり心中した。
そんな二人を見てきた第二王子妃ベアトリーチェの回想録というか、問わず語り。ほぼ地の文で細かなエピソード描写などはなし。ベアトリーチェはあくまで語り部で、かといってアンジェリカやダニエーレが主人公というほど描写されてるわけでもないので、群像劇?
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。
公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます
柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。
社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。
※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。
※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意!
※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる