532 / 654
メダルビースト 前半①
しおりを挟む
しつこい。
ジャンヌは空を飛びながら、ワイバーンに追われていた。
ワイバーンは、かいぶつの魔女エキドナ・キメライムの子供。合成獣(キメラ)のドラゴンの一種。大きい尾。腕に大きい翼をつけた巨大なトカゲ。
ワイバーンが体を大きく回転し、尾にたたきつけられる。
勢いよく落ちていく。やっと勢いが止まったと顔を上げれば、穴の中に落ちてしまった。それにワイバーンも穴の中へと入ってくる。
上がれない。
ワイバーンの大きい口が近づく。
その時、岩壁から黒い触手が伸びる。
「何?」
ジャンヌは着地する。
黒い触手がワイバーンの体を絡め、引っ張っていく。手足をちぎり、さらに切口から黒い触手が入り、体から黒い触手が伸び、体をちぎっていく。ワイバーンの肉体が落ちていく。
ワイバーンが消えれば、もう一人の侵入者へと標的が変わる。黒い触手が迫ってくる。
白い炎の球を投げる。黒い触手は白い炎に包まれ、消えていく。
やはり、あの触手は『呪い』で作られたものか。
また、黒い触手が一斉に伸びていく。
ロザリオを構え、白い炎を飛ばそうとするが、黒い触手に光線が当たる。
その時、肩に何か掴まれ、勢いよく動かされる。黒い触手から離れていく。
暗い洞窟に所々生えている紫色の結晶で軽く明るさを得ている。それだけ『呪い』の濃度が高い。まだ『光』はあるが、長居はしたくない。
肩が軽くなった。
「あなたは聖女様でよろしいでしょうか」
声をした方へ上げれば、少し大きいハクトウワシだった。
話ができる。魔族(アビス)だろうか。異獣(エヴォル)は身体能力、体形が変わるだけ。話すことはできない。
「あなた・・・」
急に姿を変えた。
羽は背中に移動する。体から折りたたんでいた手足が伸びる。鳥の顔から口が伸び、人の顔が見せる。ジャンヌより少し背が高い人型に変わった。
「僕はメタルビーストのバーストイーグルと申します。どうかお願いします。魔女を退治してください」
バーストイーグルは、膝をつき、頭を下げて言う。
詳しく話すというので、バーストイーグルが案内された小さな洞穴に入る。
「ここは・・・」
「ここで身を潜めています」
身を潜めている。魔女からだろうか。
「メタルビーストって確か動物の姿に変形できる生きた兵器でしかも消息たったって聞いたけど・・・」
「我々はノレッジの脅威から逃げるため、今は地下に身を潜めています」
第4次世界大戦に人が様々な技術を使って生み出した兵器。
ロストテクノロジーの一種。その知識もラプラスに奪われている。ラプラスに今も狙われているから地下に逃げたということか。
当初は人間の兵器として使われたが、人に反乱を起こした。それから無差別に殺したと訊いている。魔女も聖女も。
「そう。で、魔女を退治してほしいって」
「はい」
「魔女は、我々を逃がさないようにこの国に結界を張りました。外に出ることはできません。脱出を試みましたが、あの黒い触手で殺されました」
「それだと魔女を倒さないと出られないと言っているように聞こえるけど」
「そうなります」
結局魔女を退治しないと脱出できない。それに先ほどの戦闘でもう魔女に見つかっているかもしれない。
「もう僕たちではどうにもならないんです・・・このままでは・・・このままでは・・・」
でもこの慌て様は他にもあるようだ。
「魔女だけで終わることなの」
「・・・」
黙り込む。
「私は魔女しか関わらない。けど、魔女を退治するためにもあなたたちの現状を話してくれる」
「分かりました。お話します」
ジャンヌは空を飛びながら、ワイバーンに追われていた。
ワイバーンは、かいぶつの魔女エキドナ・キメライムの子供。合成獣(キメラ)のドラゴンの一種。大きい尾。腕に大きい翼をつけた巨大なトカゲ。
ワイバーンが体を大きく回転し、尾にたたきつけられる。
勢いよく落ちていく。やっと勢いが止まったと顔を上げれば、穴の中に落ちてしまった。それにワイバーンも穴の中へと入ってくる。
上がれない。
ワイバーンの大きい口が近づく。
その時、岩壁から黒い触手が伸びる。
「何?」
ジャンヌは着地する。
黒い触手がワイバーンの体を絡め、引っ張っていく。手足をちぎり、さらに切口から黒い触手が入り、体から黒い触手が伸び、体をちぎっていく。ワイバーンの肉体が落ちていく。
ワイバーンが消えれば、もう一人の侵入者へと標的が変わる。黒い触手が迫ってくる。
白い炎の球を投げる。黒い触手は白い炎に包まれ、消えていく。
やはり、あの触手は『呪い』で作られたものか。
また、黒い触手が一斉に伸びていく。
ロザリオを構え、白い炎を飛ばそうとするが、黒い触手に光線が当たる。
その時、肩に何か掴まれ、勢いよく動かされる。黒い触手から離れていく。
暗い洞窟に所々生えている紫色の結晶で軽く明るさを得ている。それだけ『呪い』の濃度が高い。まだ『光』はあるが、長居はしたくない。
肩が軽くなった。
「あなたは聖女様でよろしいでしょうか」
声をした方へ上げれば、少し大きいハクトウワシだった。
話ができる。魔族(アビス)だろうか。異獣(エヴォル)は身体能力、体形が変わるだけ。話すことはできない。
「あなた・・・」
急に姿を変えた。
羽は背中に移動する。体から折りたたんでいた手足が伸びる。鳥の顔から口が伸び、人の顔が見せる。ジャンヌより少し背が高い人型に変わった。
「僕はメタルビーストのバーストイーグルと申します。どうかお願いします。魔女を退治してください」
バーストイーグルは、膝をつき、頭を下げて言う。
詳しく話すというので、バーストイーグルが案内された小さな洞穴に入る。
「ここは・・・」
「ここで身を潜めています」
身を潜めている。魔女からだろうか。
「メタルビーストって確か動物の姿に変形できる生きた兵器でしかも消息たったって聞いたけど・・・」
「我々はノレッジの脅威から逃げるため、今は地下に身を潜めています」
第4次世界大戦に人が様々な技術を使って生み出した兵器。
ロストテクノロジーの一種。その知識もラプラスに奪われている。ラプラスに今も狙われているから地下に逃げたということか。
当初は人間の兵器として使われたが、人に反乱を起こした。それから無差別に殺したと訊いている。魔女も聖女も。
「そう。で、魔女を退治してほしいって」
「はい」
「魔女は、我々を逃がさないようにこの国に結界を張りました。外に出ることはできません。脱出を試みましたが、あの黒い触手で殺されました」
「それだと魔女を倒さないと出られないと言っているように聞こえるけど」
「そうなります」
結局魔女を退治しないと脱出できない。それに先ほどの戦闘でもう魔女に見つかっているかもしれない。
「もう僕たちではどうにもならないんです・・・このままでは・・・このままでは・・・」
でもこの慌て様は他にもあるようだ。
「魔女だけで終わることなの」
「・・・」
黙り込む。
「私は魔女しか関わらない。けど、魔女を退治するためにもあなたたちの現状を話してくれる」
「分かりました。お話します」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる