魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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宣伝する方法⑤

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 愛劇(あいげき)の魔女アリス・キルットラーは机に頭をつけて悩んでいた。
「あーこの後どうしよう」
 後、最終巻でせっかく盛り上げようとしているのに、今後の展開に悩んでいた。
「手詰まっているね」
 タウォンが横に来た。
「タ~ウォ~ン~」
 アリスは顔だけ向け、タウォンと視線と合う。
「何で悩んでいるんだよ?」
「展開に悩んでるの~」
「どんな展開でもいいですよ。アリスが作ってくれる作品なら」
「その回答が一番嫌なんだよ~プレッシャーかけるから~余計に頭が痛くなるじゃん」
「いつも言っているけど、窓くらいは開けてくださいよ」とタウォンは窓を開ける。
「やめて~ファンの声が耳に入るから~やめて~」とアリスは耳を手で塞ぐ。
 立て込んでいる時は、外部の声が入らないように窓を閉める。
「そんな大げさな。あれ。なんか騒がしいな」
「え?」
 窓から人の声が響く。なにか盛り上がっているような。
「アリス!」
 ソミ―が部屋に入った。
「今、街でさ。アリスのマンガ大盛り上がりなんだけど!」
「え?何?」
「あれ、アリスじゃないの。宣伝のために役者が演じているとかじゃないの」
「そんなの知らない~ん?」とアリスは首をかしげる。



 イーグスの登場でその場にいた者が皆止まった。
「なんで・・・」
「そういえば、恋のライバルキャラでイーグス君に似た子がいるんですよ」とチェシャが横に入る。
「それ!早く言ってよ!」
「さっき言おうとしたんですけどね~」
 チェシャが呑気に言う。
 イーグスが顔を上げる。
「アントニぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
 イーグスがアキセに突っ込む。
 あの本の人物の名前だろう。かなりルシアのタタリにかかっている証拠だ。
「ぐえ!」
 そのままイーグスがアキセを押し倒す。
「おまえまで・・・」とアキセの顔が引きずっている。
「アントニ」
 イーグスがいやらしくアキセの顔を触る。
 アキセが青ざめる。
「まだ弟のことが気になるのか。大丈夫だよ。僕たちの恋を許してくれる」
 イーグスがアキセに口を近づく。
「お兄さんから離れて!」
 レオンがイーグスを突き飛ばす。レオンも演じ始める。
「もうやだ!誰もお兄さんを渡さない!」
 女口調に言いながらレオンがアキセを抱きつく。
「いいか。コリーン」
 流れるようにアキセも演じ始める。
「付き合っても僕たち、兄弟は変わらないんだ」
「そんなの別れ際にいう言い訳にしか聞こえないよ!」
「兄弟だから別れるとかないんだよ」とアキセが優しく言う。
「だめなの!あんなことまでして離れるのは嫌!」
「弟君。いい加減にお兄さん離れしなさい」
 イーグスも入ってきた。
「ここまで言っているんだ。兄弟以上の愛はないんだよ」
「そんなことはない!」
「アントニ。君は弟に囚われている。もっとはっきりいいなさい。僕の恋人だと」
「だめ。そんなの許さない!」
 なんかいろいろとカオスになっている。修羅場状態になっているアキセ、レオン、イーグスを見てジャンヌは思った。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」
 ルシアも頭を抱えている。かなり妄想に苦しんでいるようだ。
 これで自由になり、ルシアから離れる。
「これはまあ」
 シャルロットはトランクケースを抱えながら静かに寄る。
「こういうことなんですね」
「そう。あの本が原因で本の内容を演じているのよ」
「この本か」
 何気にシャルロットが本を回収していた。
「きゃあ。イーサン様が来たわ!」
 急に周辺に人盛りができる。しかも女が多い。
 あの本のファンだろう。かなり興奮して見ている。
どうしてそこまで魅力があるのか理解できないし、したくもない。
 レオン。今回はごめんね。次に状況がよかったら助けてあげるから、今回だけは見逃してね。このまま放置しようかと思った時だった。
 パチン。
 指を鳴らす音が響く。急に人が離れていく。
「君たちなのね」
 そこに3人いた。
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