513 / 648
靴足の魔女⑤
しおりを挟む
デッドは起き上がっている。
男の体が青白い。目に正気を感じない。服には胸から黒く染まっている。
どういうこと。
「デッド・・・」
カーレンは、死んだはずのデッドに涙を流した。
判断ができていないほどに冷静さも思考がない。生きていることにも疑われず、生き返ったことに嬉しがっている。
死んだデッドが動いているのは、アキセが魔術で操っているのか。だとしたら、隙ができた。
攻撃しようとロザリオを振るうが、腹に何かが刺す。細い針だった。体が急にしびれていく。力が入れず、足に噴射していた白い炎が切れ、花畑に落ちる。
体に白い炎に包まれ、落下の衝撃は抑えた。
こんな時にアキセが邪魔するとは思えない。
他に誰がいる。
「デッド・・・」
カーレンがデッドに寄り添う。
恋する乙女のように顔を赤らめる。
「もうちょっと待ってね。もうすぐ二人で歩けるよ。足をつけて歩けたら、結婚しようよ」
少女から足を奪っていた理由は、そのためだったのか。足がないのか。カーレンは体を浮かしているのか。
「カーレンに頼みたいことがあるんだ」
デッドは片言に口を開く。
「なあに?」
「バリコっていう町を襲ってほしんだ」
デッドからまさかの発言がした。町を襲ってほしいと。
「分かった。じゃあ。行こ!」
二人は消える。
消えた。町を襲うつもりか。状況がかなりマズイ。
「ジャンヌ!」
アキセが来た。
「まさか邪魔したんじゃないだろうな・・・」
疑いの目つきをする。
「俺じゃないって」
アキセは刺さった腹に手を当てる。少しずつ体が楽になっていく。魔力で薬を抜いている。
「エディは?」
「眠らせた。何をしてかすか分からないからな。あの遺体は魔術で動いている」
「あんたじゃないの」
「だから違うって。しかも気配も一切感じなかった。魔術で気配は消しても『呪い』の放出量で分かる。けどそれがない」
「他にもいるってこと・・・」
「考えられるのは二人・・・」
「二人も。あと。デッドに何か気づかなかった」
「ジャンヌもか。でも今は」
「分かってる」
アキセが珍しく気を遣っている。気持ち悪いけど。
「行くぞ」とアキセが言った途端に景色が変わる。
男の体が青白い。目に正気を感じない。服には胸から黒く染まっている。
どういうこと。
「デッド・・・」
カーレンは、死んだはずのデッドに涙を流した。
判断ができていないほどに冷静さも思考がない。生きていることにも疑われず、生き返ったことに嬉しがっている。
死んだデッドが動いているのは、アキセが魔術で操っているのか。だとしたら、隙ができた。
攻撃しようとロザリオを振るうが、腹に何かが刺す。細い針だった。体が急にしびれていく。力が入れず、足に噴射していた白い炎が切れ、花畑に落ちる。
体に白い炎に包まれ、落下の衝撃は抑えた。
こんな時にアキセが邪魔するとは思えない。
他に誰がいる。
「デッド・・・」
カーレンがデッドに寄り添う。
恋する乙女のように顔を赤らめる。
「もうちょっと待ってね。もうすぐ二人で歩けるよ。足をつけて歩けたら、結婚しようよ」
少女から足を奪っていた理由は、そのためだったのか。足がないのか。カーレンは体を浮かしているのか。
「カーレンに頼みたいことがあるんだ」
デッドは片言に口を開く。
「なあに?」
「バリコっていう町を襲ってほしんだ」
デッドからまさかの発言がした。町を襲ってほしいと。
「分かった。じゃあ。行こ!」
二人は消える。
消えた。町を襲うつもりか。状況がかなりマズイ。
「ジャンヌ!」
アキセが来た。
「まさか邪魔したんじゃないだろうな・・・」
疑いの目つきをする。
「俺じゃないって」
アキセは刺さった腹に手を当てる。少しずつ体が楽になっていく。魔力で薬を抜いている。
「エディは?」
「眠らせた。何をしてかすか分からないからな。あの遺体は魔術で動いている」
「あんたじゃないの」
「だから違うって。しかも気配も一切感じなかった。魔術で気配は消しても『呪い』の放出量で分かる。けどそれがない」
「他にもいるってこと・・・」
「考えられるのは二人・・・」
「二人も。あと。デッドに何か気づかなかった」
「ジャンヌもか。でも今は」
「分かってる」
アキセが珍しく気を遣っている。気持ち悪いけど。
「行くぞ」とアキセが言った途端に景色が変わる。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる