魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

文字の大きさ
上 下
486 / 654

貴腐人の館⑤

しおりを挟む
「だめええええええええええええええええええええええええええええ」
 ゴーンとした音とともにイーグスとレオンが離れた。
 誰だと思って見れば、穴が空いた壁の前にいた。水色の長髪。黄色の瞳。ロングスカートとシャツとブラザーを着た。オカマのユーベルがいた。
「私っていう恋人がいながら、浮気なんて!」
「なんでお前が・・・」
「アキセ君が大変だって風の噂で聞いたから急いできたのよ」
 絶対にウィムだろ。
 体中に寒気と鳥肌がする。
「私とするんだから!」
「断る!」
 必死に走りだす。
「待って!アキセきゅうううううううううううううううううううううううん!」
 ユーベルも追いかける。
 そのままユーベルが壊した穴へと逃げる。



「あ~もうちょっとで面白くなるとこだったのに」
 バリーヌはがっかりする。
「オカマか」
「ユーベルじゃないか。かなりの肉食だからな」
「オカマもあり?」
「あり!」
 アリスは鼻に血を垂らしながら言う。
「あ!コゼットちゃん。泣きながら走った」
「イーグス。足が重そうだね」
 ユーベルが作った壁の穴から二人とも帰る。
「換気されたし、正気に戻ったのね」
 バリーヌは冷静に解析する。
「帰って書かなきゃ!」
 アリスは一目散に帰っていった。
「「新作待ってまーす」」とタウォンとソミー。
「ここまでか」
「お開きね」



 現在


「大変だったのね・・・」
 あまりにも予想外な出来事でそれしか言えなかった。
「人になったのですぐに逃げました・・・」
 ユビワが泣く。
「あいつといるといやいや見ることになります。塞ぎたくてもできません」
 指輪をしたままセックスするからユビワはだた見ることしかできない。
「でもあれ以上に私には刺激過ぎです!」
 顔を赤くして手で顔を隠す。
「そうだね。刺激が強すぎたね。頑張ったね」
 一番心配なのはレオンだった。レオンはリリスのお気に入りだから、想像できないことをしているはず。今回のことも持ち直せばいいが。
「見つけたぞ・・・」
 声をした方へ向ける。
 体中にキスの跡、破けた服。疲れ切っているアキセが来た。しかも下半身は露出している。
 すかさず白い炎を投げる。
「うわ!」とアキセは避ける。
「何を!」
 アキセも気づき、木陰に隠れる。
「露出魔は消えろ」と低い声を出す。
「ちが!これはって・・・まさか・・・話を聞いたんじゃ・・・」
「もういや!」
 ユビワはジャンヌに抱きつく。
「変質者嫌い!ヘンタイ嫌い!あんなところに戻りたくない!縁を切りたい!契約切りたい!」
「あんた!ユビワちゃんに刺激的なの見せないでよ!」
「俺は女が趣味だ!」
「戻りたくないです!殺してください!」
「殺したくでも、今ギャグに入っているから殺せない」
「せめて殴ってください!」
「そうね。殴るか」
 ジャンヌは手を鳴らす。
「ちょ!待って!」
 その時、ユビワが指輪に戻った。
 指輪をすぐに取るが、目の前で消える。
「あ!」
 押し倒される。アキセに。
「指輪を返しなさいよ」
「それは俺のセリフ」
 よく見れば、服が着替えられている。指輪を取り戻して一瞬で着替えたところか。
「大丈夫。今日はエッチなことをしないから」
 手を伸ばす。
 まさか記憶を奪うつもりか。
「おまえの・・・」
「アキセきゅううううううううううううううん」
 別の声。
 アキセが身震いする。
 声をした方へ向けば、ユーベルがいた。しかも興奮気味。
「続きをしましょう!」とユーベルは飛び出す。
 アキセは必死な顔で走りだす。
「逃がさない!」とユーベルも追いかける。
 よかった。今回は出番少なめで。あの中に入らなくて。



 イーグスもかなり落ち込んでいた。
 媚薬に引っかかったにしろ、自分の行動に吐き下がする。すぐに忘れたいほどに。
 それにあのネコめ。やっと逃げ切ったと思えば、チェシャに飛ばされた。いつか仕返しする。
 視線を感じる。獲物を狙う視線を。飛び出すが、足が何か動けない。さらに腕を赤い紐に絡まれる。
 拘束された。しかも見たことがある。
「久しぶりだな」
 声をした方へ向く。
「バルトロ様・・・」
 以前、メイド服を着せられ、別で世話になった方。
「さあ帰るか」
 イーグスを抱き上げ、帰るのであった。



「コゼット。よかったね。またオファーきているわよ」とリリスは、ベッドの布団の中でこもっているレオンに言う。
「イヤだああああああああああああああああああああああああああああああああ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

素直になる魔法薬を飲まされて

青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。 王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。 「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」 「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」 わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。 婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。 小説家になろうにも投稿しています。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

処理中です...