魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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貴腐人の館②

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「だからついてくるな」
「俺が目を離すとジャンヌさんを呼び出す算段だろ」
「できたらとっくにしてる」
 ジャンヌを召喚するすべはない。
 転送して逃げようにも空間をいじられている。今持っているもので別の空間に逃げる道具はない。
 レオンの様子を見れば、この空間に精霊がいないから精霊術が使えない。だからついている。
 それに効かないのに媚薬がしつこく放っている。鼻がおかしくなる。早くレオンを置いて脱出しなければと思った矢先にレオンが倒れる。
 それでも無視する。
 リリスと契約しているから死ぬことはない。だとしたら、なんで急に倒れた。
 妙な視線を感じる。これは獲物を逃さないという視線だった。
 咄嗟に前に飛び出しながら振り向くが、肩に押され、そのまま壁に突きつけられる。しかも力強く。その相手はレオンだということ。
「え・・・」
 こんな力持っていたか。
「お兄さま・・・」と顔を赤らめるレオンが見つめる。
 お兄さま!
「おまえ・・・まさか、興奮しているのか・・・」
 なぜ急に興奮している。この匂いで惑わされたとは思えない。それとも効くのが遅かっただけなのか。どっちにしてもこの状況はマズイ。
すぐにレオンを突き飛ばすが、張り付くようにすぐに壁に両手で突き出す。
 目にも映らない速さで状況が変わらなかった。
「お兄さま。突き飛ばすなんて・・・そんなに嫌なの・・・」と胸をなでる。
 上目遣いで見つめられる。いやらしく触ってくる。
 リリスが気に入っただけのことがある。色気を出すとやられる。


「いい!いい!」
 ソミーはよだれを垂らしながら映像に食いつく。
「ソミー。離れて。見えない」とバリーヌは映像に視線を変えずに注意する。
「はーい」とソミーは映像から離れる。
「何をしたんだ?」
バルトロは映像を見ながらバリーヌに訊く。
「以前、リリスが来たのよ。効かなかったらこれを使って」
バリーヌの手にボタンを持っていた。
「最強の魔女がどうして」
「単にあの子をいじりたいだけでしょ。まあ、それで助かるからいいけど」
「「さすがリリス様!」」とタウォンとソミーは言う。
「コゼット。意外に攻めも行きますね」とタウォン。
「そのギャップ萌えはいいんじゃないの。受けかと思ったら野獣だぞっていうのが」とソミー。
「それにしてもアリス。遅いですね」
「もう一人連れていくって言っていたけどそんなに手間を取る相手かしら」
「今回は3人か」
「盛り上がるね~」
「おまたせ!」
 ピンク色の髪と瞳。少し短く髪を長いリボンで留めている。ピンクのフリルのワンピースを着た少女だった。アリスの名を持つ魔女。主催者の一人。愛劇(あいげき)の魔女アリス・キルットラーが来た。
「噂をすれば」
「遅い」
「ごめんごめん。なかなか捕まらなくてね」
「そんなに時間かかるの。だったら私がやった方が早かったわよ」
「今回は自分でゲットしたかったんだもん!」
「一人近づくね」とタウォンは言う。
「あの子のこと?」
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