魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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貴腐人の館①

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「ジャンヌさ~ん!」と人になったユビワが泣きながらジャンヌに飛び出す。
「ユビワちゃん!どうしたの?」
 この慌てようはただごとではない。
「私には刺激すぎます!」
「え?」
 ユビワから話を聞いた。


――あれ。森の中にいたのに
 アキセはいつの間にかどこかの建物の中の廊下にいた。
 まるで転送されたような。
 こんなことをできるとしたら、魔女しか考えられない。とりあえず何か起こる前に、ここから脱出しなければと思った矢先に、角から出た女装したレオンと目が合う。
「「なんでジャンヌ(さん)じゃないんだ!」」 
 ハモった。しかも同じ考え。
「いつもの展開ならここはジャンヌだろ。なんでおまえなんだ!」
「それはこっちのセリフだ!」とレオンも負けずに声を出す。
「しかもなんでおまえもジャンヌ指名なんだ!ほかにいるだろ!そいつらに頼め!」
「いたとしてもジャンヌさんと二人にさせるか!」
 急に甘い匂いがする。
「なんだ。この匂い」
「これ。媚薬だな」
「この程度でやられるか」
 リリムはこんな媚薬で興奮しない。リリスの血を引くリリムは惑わすので、その逆はない。
 アキセは気づいてしまう。
 密室な建物の中。しかも男が二人。
「もしかして話に聞いていた『貴腐人の館』か」



 『貴腐人の館』
 長い金髪を一つに留め、目玉をいくつも描いた長い布紐で目を隠し、金色のドレスを着た女。千眼(せんがん)の魔女バリーヌ・アイ・バーグリーが定期的に男を見つけ、館に連れ出し、二人の愛を恵ませて見るという。
 主催者は5人いるが、ただサバトではない。
「なかなか効かないわね」
 バリーヌは壁にある目玉から映った映像を見て言う。
「やはりリリム程度では効かないようだな」
 金髪の赤い瞳。黒いコートを来た男。主催者の一人。吸血鬼のバルトロは言う。
「これでも強力なの使っているのに」
「あ~もう始まってる~」
 二人組の淫魔。
 長い黒手袋に黒いズボンの青年。短黒手袋。黒の布胸と短いスカートの少女。 
 主催者のタウォンとソミーが来た。
「あなたたちが遅いからでしょ」
「始まったばかりだから、まだ起きていないぞ」
「やったー」と喜ぶソミー。
「アリスは?」とバリーヌは言う。
「来ていないの?」
「先に来ているかと」とタウォンは言う。
「そう。いつもネタがないって叫んでいるのに。マイペースにもほどがあるわ」
「その内来るだろう」
 バルトロは言う。
「あれ、あの二人効かないね」とタウォンは映像を見て言う。
「あ~コゼットだ!今人気のリリムじゃないの!しかもリリス様のお気に入りの!」
 ソミーは興奮する。
「もう一人の彼もリリムだね」
「わ~い!禁断の兄弟愛プレイね」とソミーは目をキラキラと輝く。
「それが見たいのに、媚薬に引っかかってないのよ」
「リリムだったら媚薬程度で効かないよ。僕たちよりも誘惑さのレベルは高いからね」
「え~どうするの」
 ソミーがバリーヌに訊く。
「対策は考えてある」
「さすが、バリーヌ様!」
 バリーヌは手に持っていたボタンを押す。
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