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黒い馬③

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 黒い馬が見えた。
 木陰でアキセはライフルのスコープで覗いていた。
 予備の武器庫から出した。
 ユビワが人になってから用意した。ただコルンの発明品がなく、魔道具だけ。武器庫は解読されば、本人以外でも出せる場合もある。だから魔術でも解読できないコルンの発明品である指輪の中に入れていた。
 作戦は簡単。ユニコーン兄弟が襲い、油断したところで捕獲するといったところだった。
黒い馬の恨みと取引で思わず、ユニコーン兄弟と協力したが。
――あいつらバカだから、うまくいくか怪しい。
 騒がしくなった。始まったようだ。
 スコープを覗く。
 向こうから馬の姿をしたユニコーン兄弟が黒い馬を攻撃している。角から黒い刃と飛ばす。それでも黒い馬に当たる気配がない。
 いくら『光』で浄化されてもケガ一つはつけてほしいものだ。
 仕方がない。
 魔術が効かないなら、実弾で目を狙い、動きを抑える。
 スコープを除き、黒い馬の目に狙う。魔術が狙いを定め、引き金を引く。
 弾は絶対に当たるように魔術が組み込まれている。どんな障害でも妨げないように木を透過していく。弾が黒い馬に近づいた時だった。
 黒い馬は、背中から黒く光る片翼が伸ばし、弾を弾く。
「何!」
 翼を出すなんて聞いてないぞ。
 もう肩翼も伸ばし、翼を大きく羽ばたき、空を飛ぶ。黒い翼が星空のように光り、羽ばたかせば、小さな光を飛ばしていく。雨のように降り、ユニコーン兄弟を襲う。
 混乱している隙に、黒い馬がユニコーンの一体を押しつぶす。
 ユニコーンがすぐに黒い刃を飛ばす。黒い馬は羽ばたき、小さな光を飛ばす。小さな光が黒い刃を浄化し、黒い馬がユニコーンの一体を突進する。さらに押しつぶされたユニコーン立ち上がったところで、また突進する。
 意外に強い。ここは一旦引かなければ。
 その時、黒い馬が空に飛んだ。
 やばい。こっちに迫ってくると思った矢先に上から小さな光が雨のように降ってくる。
「うわ!」
 結界を作る間もなく、避ける間もなく襲ってくる。
 どしんと重い音がする。
 黒い馬が見下ろしている。
 前足を上げる。
そのまま潰すつもりか。
 その時、黒い馬の視線が変わり、前足はアキセの肩の上に踏んだ。
 あの勢いだったら、肩を潰す勢いだった。
 その隙に指飾りを召喚し、指を軽く振る。
 事前に魔術を仕掛けた木を動かし、黒い馬をたたきつける。
 黒い馬が飛ばし、木にぶつかる。
 黒い馬が横になった隙に、指飾りで木を操作する。木をそのまま馬を押し付ける。
 これで動かなくなった。
 直接陣に触れなければ魔術は浄化されないから、木を動かせた。
 黒い馬を捕獲したことに一息つく。
――あっちの方もうまくいったようだ。
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