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赤い服を着た男④
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アキセは『探しモノ地図』で子どもが多く集まっているところが分かった。そこに犯人はいる。
アキセは瞬時に転送すれば、森の中に小屋があった。
魔術で水の鏡を作り、小屋の中を覗く。子供たちが眠っていた。犯人らしき者はいない。出かけているようだ。
魔術で結界を張った様子もない。『呪い』の濃度が高くないから魔女ではない。だとしたら、魔族(アビス)。獣人。人間になる。
その時、小屋の中で幼児が一人増えた。
獣の耳。全体的にモコモコとした幼児。
どこかで似たような。
今度は、森の奥からモノ音がした。
帰ってきたようだ。
アキセは木陰に隠れる。
大きい袋を持つ。赤い帽子。腹を出し、赤い服に髭を生やした男だった。
あの男か。おそらくあの男がマンガを持っている。
まずは捕まえてから。
アキセはすかさず銃に引き金を引く。
「み~つ~け~た~」
また奥から声がする。
アキセは咄嗟に横にずらし、何かが木にぶつかる。その衝撃で木が折れる。それは空想の魔女ルシア・ファンタジアが飛び蹴りしたからだった。
そのまま木が男に向かって倒れる。
「うわ!」
男は木に潰れる。
「あ・・・」
アキセは思わず唖然する。すかさずルシアに胸倉を掴まれる。
「マンガ返して!」
「マンガならお前が倒した木の下にあるぞ」
「嘘つくな!君が渡したんだろ!僕は騙されないぞ!」
「おまえ。意地でも俺を犯人にさせたいんだな」
ルシアが急に消えたと思えば、そこに白い炎が迫ってくる。
もろに浴びてしまった。
「アツ!アツイアツイアツイ!」
アキセが白い炎に包まれながら、のたうち回る。
「やっぱりおまえか!」
ジャンヌも現れた。
「え?ジャンヌ?」
焦げたアキセは言う。
「もう!前回で死んだと思っていたのに。普通に復活しやがって!」と悔やんでいる。
「そこは無事だったのねっていうところだろ!」
その辺りが可愛くない。
「こいつが諸悪の根源なんだよ~」
ルシアがジャンヌのそばにつき、わざと泣いたように言う。
「あんたもいたの」
ジャンヌは冷めた目でルシアを見る。
「僕のマンガを使って苦しめているんだよ~」
「またおまえか。あんたはどうでもいいけど、こいつをやればすべてが終わるってことね」
ジャンヌは手を鳴らす。
「そうそう!」とすぐにルシアはへらへらと大きく頷く。
「おまえらいい加減にしろよ」
切れ気味に言う。
「なんだ。おまえらは!」
男が木から起き上がっていた。
意外に丈夫だった。
「共犯でも逃がすつもりないから」
「こいつから渡されたマンガを返せ!」
「おまえら。マジで切れるぞ」
本当に切れる寸前。
「マンガ?何のことだ!」と男はとぼける。
「僕は分かっているんだからね!」
「じゃあ。簡単なことね。こいつごと燃やせばいいってことね」とジャンヌの手に白い炎を生み出す。
「やめてー僕のマンガに罪がない!燃やさないでーまだ間に合うー」
ルシアはジャンヌをしがみつく。
「邪魔するな!終わらないだろうか!」
「ここで捕まってたまるか!」
袋から球を取り出し、地面にたたきつける。煙が発生する。
「また・・・」
見えない。逃げようとしているが対策済み。周囲に結界は張っている。絶対に逃げられない。
「うわ!」
ん。これは結界の壁にぶつかった音ではない。
煙が晴れれば、柔らかそうな毛におおわれた巨大な白いイヌがいた。巨大な手で老人を抑えていた。
「何?」
「なんだ?あのイヌ?」
「ワンちゃんだ!」とルシアはのんきに言う。
「勘弁してください~」
情ける声を上げる男はすぐに降参した。
「俺はただ子供が好きでセックスしたいだけなんです!」
――なんという素直な発言だった。
ジャンヌとルシアがドン引きしている。
「やっぱりお前。淫魔か」
気配で分かった。
「この本を返しますから見逃してください」
すかさず本を取り出した。あれが諸悪の根源のマンガだろう。
「やっぱり僕が失くしたマンガだ!」
「「あ“あ”!」」
どんだけ失くしているんだ。
「俺は、落ちていた本の中にいるサンタになれば、子供を誘拐できるし、セックスできると思ったんです」
まさかマンガを参考にこの事件を起こしたということか。前にもマンガの影響で世界征服を考えていた老人がいた。
「僕のマンガを穢さないでよ!本当だったら夢にあふれる子供に見せてやるつもりだったんだから!」
「それでもだめよ」
「えー-」となんでなのと訴えるような顔でルシアはジャンヌに向く。
「えーじゃない!」とジャンヌも強めに返す。
「俺はこの本のおかげで、おかげで・・・」
淫魔の様子がおかしい。
体から黒いモヤが発生し、みるみる筋肉をつけていく。
「今度は何よ」
「ふぎゃああああああああああああああああああああああああああああ」
ルシアが頭をかかえて急に苦しむ。
「何よ。急に」
「あいつ。妄想が弱点」
「は?」
つまりあれは妄想パワーで力をつけているってことなのか。
アキセは瞬時に転送すれば、森の中に小屋があった。
魔術で水の鏡を作り、小屋の中を覗く。子供たちが眠っていた。犯人らしき者はいない。出かけているようだ。
魔術で結界を張った様子もない。『呪い』の濃度が高くないから魔女ではない。だとしたら、魔族(アビス)。獣人。人間になる。
その時、小屋の中で幼児が一人増えた。
獣の耳。全体的にモコモコとした幼児。
どこかで似たような。
今度は、森の奥からモノ音がした。
帰ってきたようだ。
アキセは木陰に隠れる。
大きい袋を持つ。赤い帽子。腹を出し、赤い服に髭を生やした男だった。
あの男か。おそらくあの男がマンガを持っている。
まずは捕まえてから。
アキセはすかさず銃に引き金を引く。
「み~つ~け~た~」
また奥から声がする。
アキセは咄嗟に横にずらし、何かが木にぶつかる。その衝撃で木が折れる。それは空想の魔女ルシア・ファンタジアが飛び蹴りしたからだった。
そのまま木が男に向かって倒れる。
「うわ!」
男は木に潰れる。
「あ・・・」
アキセは思わず唖然する。すかさずルシアに胸倉を掴まれる。
「マンガ返して!」
「マンガならお前が倒した木の下にあるぞ」
「嘘つくな!君が渡したんだろ!僕は騙されないぞ!」
「おまえ。意地でも俺を犯人にさせたいんだな」
ルシアが急に消えたと思えば、そこに白い炎が迫ってくる。
もろに浴びてしまった。
「アツ!アツイアツイアツイ!」
アキセが白い炎に包まれながら、のたうち回る。
「やっぱりおまえか!」
ジャンヌも現れた。
「え?ジャンヌ?」
焦げたアキセは言う。
「もう!前回で死んだと思っていたのに。普通に復活しやがって!」と悔やんでいる。
「そこは無事だったのねっていうところだろ!」
その辺りが可愛くない。
「こいつが諸悪の根源なんだよ~」
ルシアがジャンヌのそばにつき、わざと泣いたように言う。
「あんたもいたの」
ジャンヌは冷めた目でルシアを見る。
「僕のマンガを使って苦しめているんだよ~」
「またおまえか。あんたはどうでもいいけど、こいつをやればすべてが終わるってことね」
ジャンヌは手を鳴らす。
「そうそう!」とすぐにルシアはへらへらと大きく頷く。
「おまえらいい加減にしろよ」
切れ気味に言う。
「なんだ。おまえらは!」
男が木から起き上がっていた。
意外に丈夫だった。
「共犯でも逃がすつもりないから」
「こいつから渡されたマンガを返せ!」
「おまえら。マジで切れるぞ」
本当に切れる寸前。
「マンガ?何のことだ!」と男はとぼける。
「僕は分かっているんだからね!」
「じゃあ。簡単なことね。こいつごと燃やせばいいってことね」とジャンヌの手に白い炎を生み出す。
「やめてー僕のマンガに罪がない!燃やさないでーまだ間に合うー」
ルシアはジャンヌをしがみつく。
「邪魔するな!終わらないだろうか!」
「ここで捕まってたまるか!」
袋から球を取り出し、地面にたたきつける。煙が発生する。
「また・・・」
見えない。逃げようとしているが対策済み。周囲に結界は張っている。絶対に逃げられない。
「うわ!」
ん。これは結界の壁にぶつかった音ではない。
煙が晴れれば、柔らかそうな毛におおわれた巨大な白いイヌがいた。巨大な手で老人を抑えていた。
「何?」
「なんだ?あのイヌ?」
「ワンちゃんだ!」とルシアはのんきに言う。
「勘弁してください~」
情ける声を上げる男はすぐに降参した。
「俺はただ子供が好きでセックスしたいだけなんです!」
――なんという素直な発言だった。
ジャンヌとルシアがドン引きしている。
「やっぱりお前。淫魔か」
気配で分かった。
「この本を返しますから見逃してください」
すかさず本を取り出した。あれが諸悪の根源のマンガだろう。
「やっぱり僕が失くしたマンガだ!」
「「あ“あ”!」」
どんだけ失くしているんだ。
「俺は、落ちていた本の中にいるサンタになれば、子供を誘拐できるし、セックスできると思ったんです」
まさかマンガを参考にこの事件を起こしたということか。前にもマンガの影響で世界征服を考えていた老人がいた。
「僕のマンガを穢さないでよ!本当だったら夢にあふれる子供に見せてやるつもりだったんだから!」
「それでもだめよ」
「えー-」となんでなのと訴えるような顔でルシアはジャンヌに向く。
「えーじゃない!」とジャンヌも強めに返す。
「俺はこの本のおかげで、おかげで・・・」
淫魔の様子がおかしい。
体から黒いモヤが発生し、みるみる筋肉をつけていく。
「今度は何よ」
「ふぎゃああああああああああああああああああああああああああああ」
ルシアが頭をかかえて急に苦しむ。
「何よ。急に」
「あいつ。妄想が弱点」
「は?」
つまりあれは妄想パワーで力をつけているってことなのか。
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